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バルブレア 19年 1997−2016 ウイスキーフープ 58.6%

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BALBLAIR
THE WHISKY HOOP
Distilled 1997
Bottled 2016
Cask type Bourbon #1111
700ml 58.6%

グラス:スニフタースピリッツ
場所:BAR飲み@Nadurra
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなオーキーさ、干草を思わせる乾いたウッディネス、心地よくドライ。スワリングするとクッキーやバニラの甘さ、麦芽香が開いてくる勢いのあるアロマ。

味:ドライな口当たり、ハイプルーフらしくツンとした刺激があるが徐々にコクのある甘みが舌を包む。薄めた蜂蜜、ナッツ、洋梨を思わせる甘みと麦芽風味。
余韻はスパイシーな刺激を伴うドライなオークフレーバー、華やかなフィニッシュ。

バーボン樽を思わせる華やかで強い樽感、アメリカンオークの良さがしっかりと出ている奇をてらわない構成。そこに酒質由来の麦芽風味が合わさってバランスの良い仕上がり。少量加水すると麦芽の香味が開き、洋梨の果実味、更に整った味わいに仕上がる。


先日ナデューラさんで飲んだ時のこと、「バックバーにあるフープでオススメってどれっすか」という話から、チョイス頂いたのがこのバルブレア。コクのある麦芽風味と白系の果実香、スタンダードなハイランドモルトの一つと言える蒸留所で、特に長熟モノを中心に人気が高いモルトです。

素性の良い酒質であるため、短熟もそれなりに飲めますが、若いうちはスパイシーで勢いのあるボトルが多いのも特徴。対して長期熟成のものには樽負けしない酒質が際立って、素晴らしい一体感を感じさせるボトルが出てくる訳ですが、今回のボトルは約20年熟成でミドルエイジに入ったあたり。酒質の部分は勢いを残しつつ、樽由来の強い香味が味わえる、バーボン樽熟成でのピークと言える仕上がりです。

バルブレアは基本的にはブレンド向けの原酒でしたが、1996年にアライド社からインヴァーハウス社に所有が移って以降、熟成年数ではなく熟成がピークとなった時期ごとにシングルカスクのモルトが展開されるようになりました。ボトラーズはGM経由が中心でしたが最近はリリースが控えめに。。。


以下、少々脱線。
ウイスキーのテイスティングスキルを向上させたいなら、まず飲むべきはシングルカスクのウイスキーだと思っています。
このアプローチは様々にありますが、自分の考え方として、ウイスキーのフレーバーを構成する主な要素の一つが樽である以上、これがオフィシャルシングルモルトやブレンデッドにある複数種類混じったタイプでは「なんだか混じっている大きな味わい」という感覚になってしまい、特徴は掴みづらくなると。
例えば、初めてオーケストラに行って、「あの楽器の音が良かったよね」と聞かれても、印象に残っていなかったり、聞き分けることが困難であったりするのと同じです。

なので、最初は混じりっけない単一のものを飲んで、次は同じ種類の樽のカスクストレングスと加水版を比較してみる。そして様々な蒸留所の経験を自分の中でプロットしていくと、"樽由来の香味"に焦点が合いやすくなり、通常のオフィシャルボトルやブレンデッドウイスキーを飲んだ時に、今までと異なる情報を得られるようになるのです。

長くなりましたが、そうした経験を積む為のシングルカスクウイスキーは、ボトラーズリリースが中心となります。
近年、世界的なウイスキーブームから、良質なカスク、ボトルの確保は熾烈を極め、特に資金力のある国の勢力拡大が目立ちつつあります。
ウイスキーフープはそのボトラーズにあって、数少ない日本の組織。オフィシャル保有の原酒を含め、幅広い蒸留所から買い付けるウイスキーフープの活動は、ウイスキーの理解促進という意味も含め、単に良質なウイスキーの提供という枠を超えた、ウイスキー業界にとって重要なものと言えます。
ウイスキーに興味を持ち始めた方は、是非BARでフープのリリースを含めたシングルカスクリリースを飲んで、経験を積んでみてほしいですね。

バルブレア 23年 1993-2016 ロイヤルマイル 53.2%

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BALBLAIR
ROYAL MILE WHISKY
Aged 23 years
Distilled 1993
Bottled 2016
700ml 53.2%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:自宅セミナールーム持ち寄り会
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなでドライな香り立ち、ナチュラルな麦芽、淡いドライパイナップル、少し植物系のニュアンスを伴う樽由来のアロマ。

味:ピリピリとした刺激を伴う口当たり。トーンの高い甘さ、乾いた麦芽風味、バニラウェハース、ほのかにドライパイナップル。
余韻はスパイシーでドライ、ハーブの爽やかさを伴う爽やかなフィニッシュ。

樽感は淡く、口当たりでスパイシーな刺激を伴う一方で、青っぽさなどの癖はなく非常にニュートラルなハイランドモルトという印象。加水するとまろやかで甘みを感じやすいが、ボディが軽く水に負けやすいイメージも。

ウイスキーショップ、ロイヤルマイルのオリジナルボトルの1本。
同ショップ向けのリリースは、ソサイエティでバイヤーを務めていたアーサー氏がカスクチョイスを行うなど、業界との強いコネクションを活かしたレベルの高いものが多く、このバルブレアもロイヤルマイルと聞いた瞬間、まず間違いないだろうと感じていました。

使われた樽はバーボンホグスのリフィル辺りでしょうか、オークフレーバーが適度について、樽材由来の渋みや苦味は控えめ。そこに麦芽風味とドライなニュアンスが共存しており、同蒸留所のハウススタイルを感じさせる、らしい香味が備わっています。
思い込みが強いかもしれませんが、それこそ旧ラベル時代のソサイエティがチョイスしていそうなカスクだなとも感じます。



バルブレア 30年 1978-2008 オフィシャル 46% (+信濃屋 1997)

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BALBLAIR
Aged Years
Distilled 1978
Bottled 2008
700ml 46%

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml以上
場所:個人宅(持ち寄り@Yさん)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

バルブレアは所謂ウイスキー通の間では評価は高いけれど、一般的には無名という蒸留所の一つ。
特に1960年代蒸留はオフィシャル、ボトラーズ問わず良い物が多い印象があり、オールドボトルの8年なども満足感高い良品です。
対して現行品のオフィシャルリリースはちょっと目立たないですよね。BAR等に行っていきなり「バルブレアは何がありますか」なんて質問したら、驚かれるか警戒されるかどちからではないでしょうか。

最近とんとご無沙汰でしたが、先日ウイスキー仲間のホームパーティーに持ち込まれた1本として、今回の1978ビンテージに遭遇しました。
1978年というと、特にハイランド周辺は自分の中ではスコッチウイスキーが個性的な時代から没個性的な近年の酒質に至る過渡期の印象が強く、オフィシャルボトルとはいえこの時期はなぁと、箸休め的なイメージで口にしました。
そしてその予想は、しっかりと裏切られるわけです。

香り立ちは穏やかで華やか、オーク系のアロマにドライアップル、洋梨。軽い印象のある香り立ちで、エグミなどのマイナス要素は少なく、いかにもオフィシャルバッティングらしいバランスの良さ。この時点で期待以上かというと、まあいいんじゃないレベル。
そして口に含むと加水らしくひっかかりのない口当たりに、香り同様の華やかさフルーティーさに、麦芽系のニュアンス、軽い香ばしさが盛り上がり、余韻は微かなピートと黄色いフルーツの綺麗な戻りを伴って長く続く。全体の完成度の高さで、「ああ、成る程」と納得させられるのです。
1杯飲んでこれは美味い(旨いではなく、美味い)なと、おかわりを注ぎ、オマケで小瓶も貰ってしまいました(笑)。 


さて、バルブレアについては、つい先日信濃屋から9月2日予約開始のプライベートボトル、バルブレア1997のリリース発表があったところ。 
今回はこちらも合わせて掲載します。


BALBLAIR 
Aged 18 Years
Distilled 1997
Bottled 2015
Cask type 1st Fill Barrel #909
FOR SHINANOYA
700ml 52.2%

同銘柄としては、日本初のオフィシャルプライベートボトリングだそうです。信濃屋さん、最近こうしたオリジナルボトルのリリースも多く、かなり頑張ってますね。
サンプルを飲ませて貰ったところ、18年というミドルエイジでカスクストレングスという仕様から、香り立ちや口当たりでやんちゃな部分は感じるものの、スパイシーで中間にコクのある甘さと余韻にかけてオーキーな華やかさが感じられます。
樽感は程よい程度で、酒質的には先述の1978と共通するニュアンスもありました。 

スペックが違うので一概に比較は出来ませんが、それは1978のバルブレアはこれ以上行ったら枯れてしまうピークの飲み頃なら、今回のリリースは最初の飲み頃という印象。 
ちょうどこの二本は近い時期で機会があったこともあり、個人的には色々発見のある良いテイスティングとなりました。

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