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三郎丸 0 THE FOOL 3年 48% シングルモルト

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SABUROMARU ZERO
”THE FOOL”
Heavily Peated (50PPM)
Aged 3 years
Distilled 2017
Bottled 2020
Cask type Bourbon barrel
700ml 48% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★(5)

香り:甘く香ばしい、焚火の後のような落ち着きのあるピートスモーク。麦芽糖、あるいはもろみを思わせる香りが若さを感じさせるが嫌味な要素は少なく、どこか素朴である。微かにオレンジピールのほろ苦さ、柑橘感が混じり、アクセントになっている。

味:オイリーでスモーキー、麦芽由来の甘みに加えて柑橘の皮や綿を思わせるほろ苦さ、穏やかな酸味。加水で整えられており口当たりはスムーズで、じわじわとスパイシーな刺激もある。余韻はピーティーでビターなフィニッシュが長く続く。

麦、内陸系のピート、そして樽と原料由来の柑橘系のニュアンス。ここに若さに通じる若干の垢ぬけなさ、オフフレーバー要素が混じっている。複雑さはあまりないが、加水と複数樽のバッティングによってバランスがとれ、三郎丸蒸溜所の個性を楽しみやすく仕上がっている1本。
例えるならば、ピートのフレーバーの系統としてはブルイックラディやアードモア、酒質のオイリーさはラガヴーリンに似て、麦芽風味と垢抜けない要素が三郎丸。これをベースに熟成が進み、加水やバッティングで整っていくとすれば、将来を期待せずにはいられない。

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若鶴酒造・三郎丸蒸溜所、2017年のリニューアル後の原酒でリリースされた、初のシングルモルトウイスキー「三郎丸0”THE FOOL”」。この三郎丸0はカスクストレングス版が200本、48%の加水版が2000本リリースされ、今回のレビューアイテムは加水版となります。
(カスクストレングス版のレビューはこちら。)

カスクストレングス版は、若鶴酒造の酒販サイ「ALC」での販売開始から数十秒で完売したことで話題になりました。一方で、同酒造敷地内にある販売ブース・令和蔵でも販売され、こちらは来場者に本数がいきわたり、比較的穏やかに(とはいえ即完売)販売が行われたとのことです。

現地では製造関係者との交流に加え、試飲提供や車での来場者向けのドリンク、おつまみの提供等もあり、地元の蒸留所に期待する愛好家を中心に販売・交流が出来たというのは、いい雰囲気だなと感じました。
また、加水版についても普段若鶴酒造と付き合いのある問屋・酒販店に卸されており、発売後に店頭を探して無事購入できたという声も、SNS等で見かけます。

ブームもあって何かと話題になりがちなジャパニーズウイスキーですが、こうしたクラフト蒸溜所のファーストリリースは、本来は地元のユーザーが、あるいはマニアックな愛好家が盛り上げていくレベルのものじゃないかなぁと思うのです。
それこそ、ブーム前のイチローズモルト・秩父蒸留所のファーストリリースはそんな感じでした。

その点で、今回の三郎丸0はネットはさておき、地元を優先した形の販売になっており、自分はこれで良いんじゃないかと感じています。

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前置きが長くなりました。
今回レビューする三郎丸0、THE FOOL は、2017年に蒸留された原酒をバーボン樽で3年熟成させ、複数樽バッティング、加水調整したものです。
三郎丸蒸留所のリニューアルにおける酒質の変化や、蒸留所に関する話はカスクストレングスのレビュー記事でまとめているので、今回は飲み比べ、両リリースの違いに触れていきたいと思います。

まず前提として、どちらも同じ樽からの原酒構成であるため、香味の要素は当然同じ傾向にあります。
そのため、カスクストレングスを飲まなければ三郎丸蒸留所の個性がわからないとか、そういう事はないです。加水版でも充分三郎丸蒸留所のキャラクターと、その可能性を感じられます。

ただ、加水の方が香味が落ち着いており、良い部分も多少勢いが弱まった反面、2017年蒸留の三郎丸原酒にある"旧世代の設備の影響"も控えめで、目立たなくなっているように思います。
カスクストレングス版は、ネガティブな要素も多少抱えているのですが、良い部分、魅力的な要素がそれ以上の勢いでカバーして、厚みのある酒質の一部にしてしまっているという感じです。
その点で、ウイスキーマニアが望むような面白さは、カスクストレングスの方が強く、加水版は普及品として広く蒸留所のキャラクターをPRすることに向いている。当たり前な構成かもしれませんが、よく考えられたリリースだなと思います。

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なお、三郎丸蒸溜所の2017年蒸留原酒としては、今後熟成を経ていくことでさらに美味いリリースが出てくることでしょう。
蒸留所によっては3年でピークかという酒質のところもありますが、樽感や時間の流れを受け止める酒質の厚みは、三郎丸蒸留所の個性のひとつであり、5年、7年、冷温環境なら10年以上熟成する中で洗練されて、ピーティーでリッチな味わいをさらに楽しめるようになると期待出来ます。
ニューボーンリリースから期待値高かったですが、今回のリリースで確信に変わりました。まさにこれは原石ですね。

また、2018年以降の原酒については設備の更新等から2017年仕込みよりも質が良く、とあるインポーターさんに2018~2020までのニューメイクを渡して感想を伺ったところ「ピートの効きは2018が一番強く、もっとも好みだった」という評価がありました。
自分も2020と2018がリニューアル後4年間の仕込みのなかでは好みであり、来年以降のリリースが今から楽しみでなりません。

三郎丸蒸留所にとって新しいスタートにして、節目の年となった2020年。新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有の事態が世界を襲う、ままならない1年でもありましたが、リリースとしても、蒸留所のアップデートとしても、そして作り手に、それぞれ明るい話題もあり、門出の年ともなりました。
数年後、自分達はこの1年をどう振り替えるのか。成長した三郎丸蒸留の原酒を楽しみながら、出来れば笑顔で振り返りたい、そう思うのです。

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今日のオマケ:大吟醸 若鶴2020 金沢国税局酒類品評会優等賞受賞 仕込み25号
先日、ウイスキーとセットでALCから購入した若鶴の日本酒。
クラフトウイスキー蒸留所は、異なる酒類をメインにしているところも少なくないので、ウイスキー以外にも楽しみがあります。
若鶴酒造は勿論日本酒。これは吟醸香は品の良い程度で、柔らかい米の旨味とコクがメインとして楽しめるタイプ。単品で飲み飽きず、料理との相性もバッチリです。
ああ、今の時期ならぶりしゃぶとか、おでんとか、良いですよねぇ。。。

三郎丸0 THE FOOL 3年 カスクストレングス 63% シングルモルト

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SABUROMARU ZERO 
”THE FOOL” 
Cask Strength 
Heavily Peated (50PPM) 
Aged 3 years 
Distilled 2017 
Bottled 2020 
Cask type Bourbon barrel 
700ml 63% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:香り立ちはドライで酒精の刺激と香ばしいスモーキーさ。焚火や野焼きの後のような、土っぽさ、干し草の焦げた香りに、郷愁を感じさせる要素を伴う。合わせてエステリーで、グレープフルーツやドライオレンジを思わせる柑橘香、ほのかにオーキーなアクセント。奥にはニューポッティーな要素も微かにある。

味:コクと厚み、そしてボリュームのある口当たり。香ばしい麦芽風味とピートフレーバー、樽由来の甘味と酒質の甘酸っぱさが混じり、柑橘を思わせる風味が広がる。余韻はスモーキーでほろ苦いピートフレーバーの中に、微かに薬品シロップのような甘みと若干の未熟要素。ジンジンとした刺激を伴って長く続く。

度数が63%あるとは思えないアルコール感の穏やかさだが、芯はしっかりとしており、味にボリュームがあるため口の中での広がりに驚かされる。厚みのある酒質が内陸系のピート、麦芽、そして程よく付与された樽由来の風味をまとめ、熟成年数以上の仕上がりを思わせる。
勿論未熟な成分も感じられるが、過去の設備の残滓と言える要素であり、伸び代のひとつと言える。加水するとフレッシュな酒質の若さが前に出るが、すぐに馴染む。2つの世代を跨ぐウイスキーにして、可能性と将来性を感じさせる、門出の1本。

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富山県、若鶴酒造が操業する三郎丸蒸留所は、創業1952年と、日本のウイスキー蒸留所の中でも長い歴史を持つ、老舗の蒸留所です。
同蒸留所は、2016年から2017年にかけ、クラウドファンディングも活用した大規模リニューアルを実施したことでも知られています。そうして新たな環境で仕込まれた、新生・三郎丸としての原酒で3年熟成となる、三郎丸0”ゼロ”がついにリリースされました。

50PPMというこだわりのヘビーピート麦芽に由来する、ピーティーでしっかりと厚みや甘味のあるヘビーな酒質。これは他のジャパニーズモルトにはない個性と言えます。
今回のリリースは、同社酒販サイトALC限定で63%のカスクストレングス仕様(200本)と、通常リリースとなる48%の加水仕様(2000本)があり、どちらもバーボン樽で熟成した原酒のみをバッティングし、構成されています。
※()内はリリース本数。

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(三郎丸0カスクストレングス(左)と48%加水仕様(右)。ベースとなる原酒はどちらも同じ。外箱は富山県高岡市の伝統工芸品である高岡銅器から、銅をデザインに採用している。)

中身の説明に移る前に、三郎丸0THE FOOLの位置づけについて、裏面に書かれたメーカー説明文を補足します。
1つ目は、なぜ”ゼロ”なのか。
この手のリリースはファーストリリースであることを表記するのが一般的ですが、三郎丸は位置づけが少し異なります。
蒸留所責任者である稲垣さんに伺ったところ、2017年は厳密にはリニューアル過程の途中であり、旧世代の設備(ポットスチルの一部や、マッシュタン)が残って使われていました。進化の途中、リニューアル前後の三郎丸蒸留所を繋ぐ、1の前の”0”という意味があるそうです。

もう1つが、タイトルやラベルに描かれたタロット"THE FOOL"(愚者)について。
これは、裏ラベルでキーワードとして触れられていますが、単なる愚か者ということではなく、「思うところに従い、自由に進む者」という意味があるとのこと。
蒸留所のリニューアルやウイスキー造りは、稲垣さんが自分で考え、まさに愚者の意味する通り様々なアップデートや工夫を凝らして行われてきました。
そういえば、タロットカードとしての愚者の番号も「0」なんですよね。
若者の挑戦がどのような結末に繋がるのか、0から1へと繋がるのか。。。蒸留所としても作り手としても、分岐点となるリリースと言えます。

※蒸留所の特徴や設備、リニューアル・アプデートがもたらした酒質の変化等については、LIQULの対談記事(ジャパニーズクラフトウイスキーの現在~VOL.1 三郎丸蒸留所編~)で、詳しくまとめられています。今回のリリース、あるいは若鶴のウイスキーを飲みながら、ご一読いただければ幸いです。





前置きが長くなりましたが、ここから中身の話です。
三郎丸0 THE FOOL カスクストレングスは、これぞ2017年の三郎丸という前述の個性が全面にあり、バーボン樽由来の香味は引き立て役。ネガティブな要素も多少ありますが、それも含めてまとまりの良さが特徴の一つです。
加水版はまだ飲めていませんが、カスクストレングスを加水した感じでは、若さが多少出るものの、目立って崩れる印象はないため、方向性は同じと推察しています。

酒質の懐の深さと言うべきでしょうか。フレーバーの傾向としては、何度かリリースされたニューボーン等から大きく変わっていませんが、複数の原酒がバッティングされたことで味わいに厚みが出ています。GLEN MUSCLE  No,3でブレンドしたときも感じましたが、キャラは強いのにチームを壊さない。キーモルトとしても申し分ない特性を備えていると感じます。

一方で、リニューアル前となる2016年以前の原酒は、特徴的な厚みやオイリーさはプラス要素でしたが、設備の問題で未熟香に繋がる成分、オフフレーバーが多かっただけでなく、50PPMで仕込まれたはずのピート香が蒸留後は抜けているという症状もありました。一部愛好家からは酷評される仕上がりで、ニューメイクに至っては体が嚥下を拒否するレベルだったことも。
それがリニューアルを経て、ステンレス製だったポットスチルが改造され、形状はほぼそのまま銅の触媒効果が得られるようになり。また、酵母や仕込みも見直されたことで、現在の味わいに通じる下地が作られることとなります。

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(リニューアル前後の三郎丸。画像右上にあるマッシュタンは、裏ラベルにも書かれた"縦長のマッシュタン"。麦芽粉砕比率は前代未聞の4.5:4.5:1。2017時点では継続して使われており、2018年に三宅製作所製の導入で半世紀に及ぶ役目を終えた。)

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(三郎丸蒸留所の設備や原料の遍歴まとめ。2018年以降も、段階的に様々な改修が行われている。つまり作り手も新しい環境へのアジャストが求められ、難しい5年間だったことが伺える。)

発酵臭や硫黄香といったネガティブ要素が大幅に軽減され、強みと言える厚みのある麦芽風味とピートフレーバー、オイリーな酒質が残ったのが、2017年のニューメイクです。
伝統の中でも良い部分を受け継ぎ、まさに過去と未来を繋ぐ中間点にある存在と言っても間違いないと思います。

2018年以降のものに比べると、まだ未熟要素が目立ちますが、熟成によって消えるか馴染むかする程度。何より、新たな旅を始めたばかりの蒸留所の第一歩に、これ以上を求めるのも酷というものでしょう。
実際、酒質的にも樽感的にも、熟成の余地は残されていますし、同蒸留所には冷温熟成庫があるため、日本の環境下でありながら20年以上の熟成が見込める点は、他のクラフト蒸留所にはない大きな強みだと思います。

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(原酒の受け皿となる樽も、バーボンだけでなくボデガ払い出しの長熟シェリー樽や、PX樽、ミズナラ樽、ワイン樽・・・などなど数多くある。いくつか利かせてもらったが、これから先が楽しみになる成長具合だった。)

自分はリニューアル以降、毎年蒸留所を訪問し、酒質の変化を見てきました。
大きな変化があった2017年、期待が確信に変わったのがマッシュタンを変更した2018年。2019年はポットスチルの交換や、乳酸発酵への取り組みもあって特に苦労があったそうですが、2020年はその甲斐あって、蒸留所改修プランの集大成ともいうべき原酒が生まれています。

つまり、今後リリースされる銘柄は、ますます酒質のクオリティが高くなっていくと予想できるのです。それは将来的にあの偉大な、巨人と称される蒸留所に届きうるまでとも。。。
勿論規模では比較にならないでしょうが、そもそもターゲット領域が違う話です。小規模だからこそ、実現できるアイデアもあります。(例えば良質な樽の確保や、アイラピート麦芽とか)
ああ、リアルタイムでこうした蒸留所の成長を感じられることの、なんと贅沢な楽しみ方でしょう。

4年前、飯田橋の居酒屋で稲垣さんから聞いた、無謀とも思えた蒸留所の再建プラン。今にして思えば、それはまさに"愚者"に描かれた若者の旅立ちだったのかもしれません。
愚者のタロットは、崖の上を歩く姿が書かれています。崖から落ちてしまうのか、あるいは踏みとどまって旅を続けていくのか。後者の可能性をニューメイクで感じ、シングルモルトがリリースされた今はもう疑いの余地はありません。
今後もファンの一人として、三郎丸蒸留所の成長・成熟を見ていけたら良いなと思います。

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改めて三郎丸0のリリース、おめでとうございます!

グレンマッスル No,3 テイスターコメントやBAR入荷情報について

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4月13日に発売された、グレンマッスル No,3 New Born Little Giantおよびその構成原酒。
現在の社会的状況下でのリリース故、不安はありましたが、まさかの数分で完売。
今回のボトルは、イベント等で事前に飲む機会もなく。3作目とはいえ、素性のよくわからない決して安くもないウイスキーに、ここまでの関心を持っていただけて本当に感謝です。

SNSを見ると、買えなかったけど飲んでみたい、どこのBARで飲めるのかわからない。オフィシャルの○○に比べたら割高なのではないか等の様々な反響もありました。
飲めるBARについては、これまで第1作、第2作でも掲載しており、今回も可能な範囲で情報をまとめましたのでこの記事で紹介していきます。
また、先に公開したNo,3のレビュー記事では、ブレンドの行程や三郎丸蒸留所の紹介を主としており。”グレンマッスルとは”の部分を省略していましたので、メンバーのコメントと合わせて改めて記事にまとめたいと思います。

※記事構成
・グレンマッスルのブランド位置付け
・テイスターレビュー(座談会形式)
・グレンマッスルNo,3が飲めるBARリスト

※参考:本ブログでのレビュー

■グレンマッスルとは
グレンマッスルはウイスキー好きのためのオリジナルブランドであり、愛好家が飲んで楽しめるような、笑顔になるようなリリースを目指しています。それは何を基準としているかというと、オフィシャルスタンダードとは異なる領域で、”美味しいだけでなく、ちょっと尖った魅力のあるリリース”であることです。

尖った要素としては、ワクワクするようなバックストーリーや、あるいは特定の個性を強調するような、オフィシャルのそれとは異なるバランスであるとかです。
従来、このジャンルは主にボトラーズリリースが担っていた領域です。
もちろん現在もそうなのですが、原酒の枯渇や価格の高騰から、選択肢は減少傾向にあります。予算を増せば手に入るのは当たり前ですが、ボトラーズメーカーを介して1万円前後という価格帯で、該当するリリースを実現することは困難な状況と言えます。 

ならば自分達で作ることは出来ないか。具体的には国内蒸留所やウイスキーメーカー協力のもと、彼らが保有する原酒を用いてメンバーがブレンドやリリース全般の監修、テイスティング(評価)等を行うもので。。。言い換えると、実例と共にメーカー側に愛好家としての意見を伝えているとも言えます。
そしてそれを実際に作るか、アレンジを加えてリリースするかは、メーカーの判断に委ねられています。

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■グレンマッスルテイスターの評価
No,3に対する自分の感想は、先日熱く語らせてもらった通りです。ではメンバーはどう感じているのか。
本リリースは4月13日発売ですが、JWフェスに合わせてのもので、2月中旬の時点でボトリングは完了、うち1本をサンプルとして取り寄せ、都合のついたメンバーで状態確認をしていました。
その際のメンバーの感想を、トーク形式でまとめていきます。これからグレンマッスルNo,3を飲まれる方は、その手引きとしても楽しんでもらえたら幸いです。


※2020年3月 新宿ウイスキーサロンにて
”ありえたかもしれないマッスルトーク”

くりりん:三郎丸蒸留所からグレンマッスル3のサンプルボトルが届きました。我々がレシピを作った時点から、ちょっとだけ各原酒の熟成も進んでいるので、改めてテイスティングしてどうでしょうか。

静谷:度数はあるのに、思ったより香り立ちが優しいですね。ドライでそこから焚き木を思わせるスモーキーさが、柑橘系の要素と共にある。

木下:・・・(ええやん)。

倉島:黒土や根菜、内陸系のピート香ですが、潮気も伴うような。アルコールの刺激、あとはジンジャーやスパイスを思わせる要素が複数感じられる。ちょっとBBQっぽい煙と甘さも出てきます。

くりりん:香りはそうなんですが、口に含むと一気にきますね。

倉島:確かに。最初はオイリーな感じですが、生き生きとしたピートとスパイシーな刺激に切り替わる。それをふくよかなモルティーさが支えています。

静谷:オレンジビターズみたいな柑橘感、ほろ苦さは味でも感じます。スモーキーさは囲炉裏のような穏やかな感じにまとまっていくんですが、スパイス系のフレーバーが残りますね。

くりりん:若い原酒由来のニュアンスがありつつも、ネガではなくフレッシュな部分に現れていると思います。オイリーでボディのしっかりした酒質や柑橘系のニュアンスは、三郎丸らしさでもあります。

木下:・・・(味もええやん)。

倉島:若さはありますが、このバランスというか複雑さというか、杯が進んでしまうボディ感が良い。

静谷:加水も良いですね。柑橘系の酸味がはちみつ林檎酢みたいな柔らかい感じに変化する。ああ、これはハイボールも良さそう。ちょっと贅沢ですが(笑)

木下:・・・(これはロックやな)。あ、静谷さんロックグラスと氷もらって良いですか?

くりりん:度数は58%ですが、なんだかんだみんな杯が進んでますね(笑)。

静谷:シェリー樽原酒の比率がちょうど良いですね。これ以上多かったら加水やハイボールでバラけてたかもしれません。

倉島:バーボンオーク由来の甘みだけでなく、シェリー樽由来の甘味もちゃんとあるのが面白い。ブレンデッドらしさですね。味で感動するウイスキーではないかもしれないけど、飲んで笑顔になる楽しさ、力強さがあると思います。

木下:・・・(ロックええやん)。

くりりん:将来性という点ではどうでしょう。マッスル4(仮)に向け、現在進行形で同じブレンドの熟成が進んでいるわけですが。

静谷:ちょっと樽の繋ぎというか、余韻にかけて樽感が足りない印象が補われてくれたら面白いですね。

倉島:これはこれでまとまってるけど、完成していない要素もある。追熟の樽はバーボンでしたっけ。

くりりん:バッファロートレースの1st fillだと聞いてます。それを三郎丸蒸留所の冷温熟成庫に保管です。サンプリングして、樽感が足りないようなら、リリース時期や熟成場所を変えて貰うのも手です。
※冷温熟成庫:若鶴酒造にある日本酒用の原料を保管するための倉庫。原酒の一部はここで保管されている。温度は夏場でも20度に届かず、湿度も保たれており、スコットランドに近い環境となっている。

倉島:比較してテイスティングしたら面白そうですよね。そういう意味でも今回のリリースは様々な楽しさがあると思います。

くりりん:比較という意味では、構成原酒もあります。三郎丸蒸留所の可能性を楽しんでもらうというコンセプトとして、現在地、将来のイメージ、双方を比較して楽しんでもらえたら嬉しいですね。

静谷:現時点でも美味しいですが、若さはある。それが熟成を経て良くなっていく姿がはっきりイメージ出来るのが、すごくポジティブな感じだと思います。飲んでて元気でてきました。

くりりん:リリースがますます楽しみですね。リーダー、尺もあるんで最後に今日の総括いただけますか?

木下:ええやん!(ええやん!)

くりりん:皆さん、本日はありがとうございました。


■GLEN MUSCLE No,3 が飲めるBAR
本リストは、ご購入いただいた旨のご連絡、確認がとれたBAR・飲食店のリストとなります。この他、新たに情報がわかりましたら、随時更新していきます。(2020年4月14日時点)

BAR BOTA (北海道 小樽)
BAR Fish born (北海道 帯広)
BAR 無路良(北海道 札幌)
バルハルヤ(北海道 札幌)
洋食屋さん りもーね(岩手 滝沢)
BAR Harry's 高岡(富山 高岡)
BAR 無駄話(茨城 下妻
BAR レモンハート(東京 大泉学園)
旬味 菜野(東京 北千住)
BAR Boushu 蔵前(東京 蔵前)
BAR Groovy(東京 神田)
BAR Eclipse first(東京 神田)
BAR Algernon Sinfonia(東京 赤坂)
BAR もるとや(東京 池袋)
Jam Lounge (東京 高田馬場)
BAR Unite(東京 新宿)
BAR Louge(東京 新宿)
BAR 新宿ウイスキーサロン(東京 新宿)
BAR LIVET(東京 新宿)
BAR Highlander Inn(東京 人形町)
BAR Shu-shu(東京 葛西)
BAR Shanty Shack(神奈川 横浜)
&BAR Old⇔Craft(神奈川 関内)
BAR BARNS(愛知 名古屋)
BAR Rubin's Vase(愛知 名古屋)
ANNIE HALL BAR (京都 ハトヤ瑞鳳閣)
BAR Kaguya(京都 宇治)
BAR シルバームーン(京都 伏見)
BAR TANKS(京都 今出川)
BAR MINMORE HOUSE(大阪 北新地)
BAR SIMON(大阪 難波)
BAR Hotaru (大阪 神山町)
憩処ありがとう(岡山県 笠岡)
BAR TRANSENDANCE(広島 中区胡町)
BAR Shamrock(香川 高松)
BAR Higuchi(福岡 博多)
BAR poco rit(沖縄 松山)

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■最後に
今回のグレンマッスルリリースは、新型コロナウイルスの感染拡大の最中という、大変難しい状況の中で行われました。
ご購入いただいた皆様もそうですが、製造元である若鶴酒造、ならびに三郎丸蒸留所の皆様は、別途ニュースにもなっている高度数アルコール製造対応の真っ只中で、本リリースを行っていただいたということになります。
本当に、頭が上がりません。。。

今回のリリースにあたっても、ジャパニーズウイスキーということを考えれば、価格設定は強気にすることもできたはずです。
しかし我々が贔屓目抜きにみても、プライベートボトルとして妥当(むしろ安い)と思える設定や、蒸留所見学やブレンド作りにおける各種サポート等、本企画に理解をいただいた、三郎丸蒸留所の稲垣マネージャーの「愛好家と一緒にウイスキーを楽しみたい」という心意気があったからこそ、今回のリリースは実現したのだと思います。

レビューや裏ラベルでも触れていますが、グレンマッスルNo,3は、三郎丸蒸留所の将来を、可能性を楽しんでもらうウイスキーです。
それは時間が経てばなんとかなるだろう、という無責任なものではなくて、間違いないというある種の確信を持ってリリースするものです。
その将来のイメージを形にしたのが、No,3 New Born Little Giantであり、現在地が同時にリリースした構成原酒#274です。

勿論、トータルでの完成度としてはオフィシャルの同価格帯でもっと良いものがあると思います。ですが、前置きのとおりグレンマッスルはその領域でトップを目指すものではありません。
このリリースから感じられる将来への期待、ワクワクする気持ち、そしてオフィシャル加水リリースにはない尖った個性、通常のリリースでは語られないようなバックストーリー。。。それらを是非楽しんでいただくと共に、次のリリースにも期待頂けたら幸いです。

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……Special thanks to Saburomaru distillery manager T.Inagaki

See you Next Muscle No,4.

グレンマッスル 3rdリリース 構成原酒 #274 三郎丸蒸留所 63%

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SABUROMARU 
GLEN MUSCLE No,3 KEY MALT 
Aged 2 years old 6 months 
Distilled 2017.8 
Bottled 2019.2 
Cask type Bourbon barrel #274 
200ml 63% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封直後
評価:-(!)

香り:注ぎたては焦げたオークの香ばしさ、立ち上るスモーキーなピート。キャラメルを思わせる甘さに、シトラス、あるいは皮ごと絞ったオレンジを思わせるフレッシュな柑橘香が混じる。徐々にシャープな内陸系のピート香と消毒用アルコールのようなアロマも目立ってくる。

味:スパイシーな刺激と合わせて、とろりとオイリーで粘性のある口当たり。焦げた木材や土、根菜を思わせる強いピート。柑橘系の要素もアクセントになっており、オークと麦芽由来の甘味と混ざり、香ばしさのなかに甘酸っぱさを伴う。
奥には仄かにニューポッティーさと煎餅のような香ばしさ、余韻は支配的なスモーキーさと、ハイプルーフらしい刺激を伴って長く続く。

若さに通じるニュアンスも顔を出してくるが、3年未満の熟成であることを考えれば当然というか、十分すぎる仕上がり。内陸系のピートと、適度なオークフレーバー。甘酸っぱさと香ばしさ、厚みのある酒質由来の香味。加水するとネガティブさに通じる未熟感のあるフレーバーが顔を出すが、熟成による伸び代は充分。
ニューボーン扱いのため評価は記載しないものの、素晴らしい可能性を持ったモルトである。

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先日紹介させていただいた、グレンマッスルNo,3 New Born Little Giant。明日4月13日正午の発売が予定されている訳ですが、同時に数量限定で発売される隠し球が、このグレンマッスル 3rd Release 構成原酒 ”三郎丸 Single Cask #274”です。

50PPMのヘビーピーテッド仕様の麦芽を原料に、三郎丸蒸留所で仕込み、蒸留した、正真正銘のジャパニーズウイスキー。そしてグレンマッスルNo,3の約50%を構成している、文字通りキーモルトです。
チームグレンマッスルメンバーが惚れた”三郎丸の可能性”を、そのままウイスキー好きに味わってもらいたいと希望し、少量ですがリリースしていただけることになりました。
販売はグレンマッスルと同じ、若鶴酒造オンラインショップにて行われるとのことです。


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三郎丸蒸留所(若鶴酒造)は、半世紀以上前からウイスキーを蒸留し、サンシャインウイスキーとして販売してきた歴史があります。
その後クラウドファンディング等を通じて愛好家の支援を受け、2016年から2017年にかけて大規模な改修工事を実施。老朽化した建物の改修、酒質の改善に必要な機器の導入等を行います。その様子は、関連するサイトや過去の記事を参照いただければと思います。

改修工事前の三郎丸蒸留所のウイスキーは、ボディに厚みがある点は良いとしてもオフフレーバーが強く、お世辞にも質が良いとは言い切れないものでした。
一方、工事を終えた2017年、新たに生まれた三郎丸のニューポットは品質が大きく改善され、厚みのあるボディはそのままに、ピーティーなフレーバーが溶け込んだ、将来性を秘めたものとなっていました。
当時、蒸留所を見学して受けた衝撃は鮮明に覚えています。そして、いつかこのウイスキーを使ってブレンドを作りたいと感じたことも・・・。

その後、三郎丸蒸留所の歩みとしては、2018年にマッシュタンを三宅製の最新式のものに交換し、ピートの馴染みがさらに良くなるなど酒質を向上。2019年には世界初の鋳造のポットスチルZEMONを導入。これにより、厚みのあるボディはそのまま、よりネガティブなフレーバーを軽減し、甘酸っぱさとスモーキーさの引き立つニューメイクが生まれています。また設備以外に糖化、発酵、蒸留、各行程において多くの調整があったことも触れておかねばなりません。
2020年は一部の発酵曹を木桶にするなど、更なる工夫が設備や素材の両面で行われており、その歩みは未だとどまらず。更なる進化を遂げようとしています。

三郎丸新旧ポットスチル
(三郎丸蒸留所のポットスチル。改修工事前のステンレス製のスチル・上と、改修後のネック部分が銅製に切り替わったもの・下。三郎丸のスチルは、ネックから冷却用コンデンサまでの距離が極めて短い配置であること(画像下、水滴の場所からコンデンサ)。コンデンサとワームタブの2つの冷却機構が、1つのスチルに連続して備わっていることが特徴で、これが重くボディのしっかりした酒質の要因のひとつであると推察される。)

今回、我々愛好家チームがレシピを模索するにあたり、複数の原酒をテイスティングするなかで「これは」と惚れ込んだのが、このCask No,274。グレンマッスルNo,3の裏ラベルに書かれた「2020年で3年熟成となる」という、2017年の改修後に仕込まれた三郎丸モルトです。
蒸留所の進化としてはまだ1歩目時点の原酒ですが、その1歩が限りなく大きかったことは先に書いた通りです。

熟成期間から当然多少の若さがあり、粗削りな部分はありますが、熟成に耐える厚みと削りしろの残された酒質。その酒質はジャパニーズウイスキーのなかでも特にピーティーでスモーキーなフレーバーが自然に溶け込んでいることから、原石と言えるウイスキーだと言えます。
プロスポーツのスカウトが、若手のなかに光り輝く逸材を見つけた時の気持ちは、こんな感じなのでしょうか。数年先を思うだけで実にワクワクしてきます。

ピートの産地の関係でヨード香はありませんが、その酒質は日本の中のアイラのような、ラガヴーリンを思わせるような・・・熟成を経ることで、まさに巨人と称される蒸留所に届きうるポテンシャルを秘めていると評価します
グレンマッスルNo,3のレシピは、原酒の魅力はそのままに、輸入原酒の力も使って若い部分を打ち消し、本来なら5年先にたどり着くようなシングルモルトとしての構成を表現することをテーマとしています。
このシングルカスクリリースでは、その原点たる味わい、大いなる可能性を楽しんでもらえたら幸いです。

三郎丸蒸留所 一口カスクオーナーを追加募集 7/5から

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7月1日、昨年に引き続き募集のあった、三郎丸蒸留所の1口樽オーナー制度。
同蒸留所の原酒をバーボン樽(バッファロートレース、ウッドフォード)でそれぞれ熟成させ、2本のシングルカスクウイスキーが5年後に手元に届くというもの。
昨年は数日で、今年は僅か1日で200口が埋まってしまい、その関心の高さが伺える結果となりました。

完売するとは思ってましたが、まさか即日とは。。。
思わぬ反響を受け、三郎丸では追加のオーナー50口を7月5日10時から募集するとのこと。
前回溢れてしまった方は必見ですね。

※応募はこちらから。

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この光景、新生三郎丸をまさにプロジェクト初期から見てきた自分にとって非常に感慨深いものがありました。
今から3年前、三郎丸がクラウドファンディングで改修資金を募った時。これまでのウイスキーの出来から、懐疑的な意見を述べる愛好家は少なくなく。昨年の原酒を飲むまで、自分もあれ程のものが出来るとは思ってなかったんですよね。(面白いものを持っているから、可能性は間違いなくあるとは某パンチョンの人と話していましたが。)

今、一度でも新生三郎丸のニューメイクを飲んだことがあるウイスキー関係の方であれば、少なくとも昔とは違うというイメージの払拭と、前向きな印象を持たない方は居ないと思うのです。
その点、小口でもカスクオーナーになれるという今回の試みが魅力的で、即完売するのも自然な流れだと思います。

一方、三郎丸蒸留所では今年の仕込みにかけて大規模な改修を実施しており、業界初の「鋳造製ポットスチル(ZEMON)」を2基導入。これまではステンレスと銅のハイブリット構造なスチル1基で初留も再留も行っていたところ。スチルを入れ換えて一般的な蒸留所と同様、初留と再留を同日に蒸留が出来るようになっています。

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(ポットスチル新旧。ネック角度と長さ、ラインアームの構造などは以前を参考に設計してあるとのことだが、鋳造という製造方法に加え、銅と錫の合金という新しい要素が酒質にどう作用するかは未知数。)

現在カットポイントや温度を探りつつ蒸留を行っている最中ということですが、昨年の酒質からどんな変化があるのか。実は後日伺う予定があるので、早速確認してきます。
本当は樽オーナー募集開始前に確認できていれば良かったのですが。。。きっと稲垣マネージャーのことです。今回も良いものを仕込んでくれていると期待しています。

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