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松井酒造 倉吉 ピュアモルト シェリーカスク NA 43%

カテゴリ:
KURAYOSHI
PURE MALT WHISKY 
Sherry Cask 
Matsui Whisky
No age 
Made in Nippon 
43% 700ml

グラス:グレンケアン
量:50ml(頂き物@TBさん)
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★(3)

香り:淡いシェリー香の奥から乾いた牧草のようなえぐみ、ツンとした刺激を感じる香り立ち。時間経過でシェリー香は弱くなってしまい、若い麦芽香、むせ返るようなニューポッティーさが支配的。シェリー香も擬似的な生っぽさがある。

味:水っぽさを感じる口当たり、口内をちくちくとし刺激する荒さ。香り同様の構成、レモングラス、ニューポッティーな麦芽風味、作り置きのパンのような冷めた香ばしさ、ほろ苦さが余韻にかけて残っていく。


シェリーカスクというだけあって、一応シェリー感はうっすらと感じられるピュアモルト。
しかしその薄いシェリー香を突き破るようにニューポットそのものの香味が感じられる、とにかく若さの強いボトルです。それこそ樽の違いか、ノーマルのNAより強く感じるような・・・。
近年、原酒不足からNA表記のボトルが増えてきていますが、一概にNAと言ってもピンキリである中で、これは本当に年数がカウントできないNo Ageじゃなんじゃないかとすら思います。

このピュアモルト倉吉の説明文には
・モルトウィスキーの本場、スコットランド北部で蒸溜・熟成された原酒を、タンクローリー他で輸入。
・日本国内の協力蒸溜工場で熟成された原酒とを、松井酒造自慢のブレンダ―がヴァッティング。
・鳥取県倉吉市の大自然の中で、樽にて熟成(マリッジ)。
・大山山系のまろやかな伏流水を加水調整し、ボトリング。
として記載されているわけですが、原酒買い付けであるため熟成期間は正確にはわかりませんが、体感では3年未満です。

なお、松井酒造は平成26年9月に広島国税局に製造免許を申請。翌年平成27年4月に認可されたとの情報があります。
仮にその4月同日から、届いた原酒のブレンドとマリッジがスタートしたとしても、平成28年4月発売のピュアモルトウイスキー倉吉の日本でのマリッジ期間は1年未満ということに。(それで倉吉という地名を付けて売ってしまうのは、違和感を感じる点はありますが・・・。)

言ってみればウイスキーの歴史の中で耳にする、かつてのキャンベルタウンにあるようなウイスキーであり、ブームの産物であり、地ウイスキーの極端な事例の一つ。慌てず騒がず、BARで1杯飲んで「あんなのあったね」と話の種にするのが一番だと思います。
間違っても世界最高のジャパニーズなどと煽ることのないように・・・。

松井酒造 倉吉 ピュアモルトウイスキー NA 43%

カテゴリ:
KURAYOSHI
PURE MALT WHISKY
Matsui Whisky
No age 
Made in Nippon 
43% 700ml

グラス:グレンケアン
量:50ml(頂き物@TBさん)
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★(4)

香り:爽やかだが、乳酸系の酸味と麦芽、トゲトゲした刺激の強いニューポッティーな香り立ち。
時間とともにニューポッティーさはどんどん強くなってくる。焼く前のパン生地の甘く酵母が混じったような香りに溶剤系の刺激もある。

味:水っぽく麦芽風味主体の口当たりから、徐々にちくちくとした荒さを舌に感じる。
ニューポッティーで複雑さはなく単調な構成。余韻はスパイシーで加水とは思えないほど口の中がヒリヒリする。
乾いた牧草や麦芽、微かなピートフレーバーのほろ苦さを伴うあっさりとした余韻。


先月、鳥取にある松井酒造合名会社がノンエイジ、シェリーカスク、18年と3種類リリースしたピュアモルトウイスキー。そのノーマルなノンエイジ仕様が今回のボトルです。

※ご参考
・倉吉 NA ピュアモルト シェリーカスクのレビューはこちら
・倉吉18年 ピュアモルトのレビューはこちら

ラベルだけ見ると、突っ込みどころが満載・・・と言う話はさておき、日本産をにおわせる表記があり、鳥取にある倉吉蒸留所で蒸留、熟成された原酒に、一部外部から調達した日本産の原酒を使ったピュアモルトであるかのように見えます。
しかし実際は倉吉では蒸留は行っておらず、ハイランド産の原酒を輸入し、そこに国内の提携蒸留所から調達したウイスキーをバッティング。マリッジと加水調整のみ鳥取県の倉吉で行ったという、確かに日本産は日本産なのですが、言ってしまえば海外産の肉を輸入して、国内で加工して「国産」表記にしてしまうそれと類似の臭いを感じます。

まあ、クラフトディスティラリーが外部調達の原酒に頼っている状況は今に始まったことではなく、それそのものがNOであるとは言いません。バルクの使用は多かれ少なかれ、大手も一通り使用している的な説もあるわけで、旨いウイスキーを造ること、その1点で考えれば選択肢を増やしている積極策としても評価できます。

ようするに、松井さんはやり方がまずかったんですね。
紛らわしい説明文やPRから、案の定リリース当初は一部で物議を醸したようです。
それが原因かどうかは知りませんが、5月11日現在WEBページまで「リニューアル中」表記になってしまっています。ブームに乗っかるべく、ちょっと頑張り過ぎちゃいましたか・・・。

話が周辺情報に集中してしまいましたが、その中身は非常にニューポッティー、体感熟成期間は3年程度。ハイランドの原酒を使っているのもあって、スコッチスタイルの若いウイスキーという感じで、若さゆえ全体を通して単調な仕上がりにも感じられます。
絶対的に熟成が足りてませんが、酒質はそこまで悪いと良い切れる素性のものでもなく。今後松井酒造が蒸留を行うようになり、こういう酒質のウイスキーを造れるなら、10年熟成した先にある本当の倉吉ウイスキーの姿は面白い仕上がりになるんじゃないかなと思います。

ご参考②

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