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三郎丸蒸留所 The Ultimate Peat Glass オリジナルハンドメイドグラス

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さる6月23日、三郎丸蒸留所からハンドメイドのオリジナルグラス「The Ultimate Peat Glass」が発売されました。
オンライン販売分は即日完売しましたが、今後も増産、継続販売が予定されていること。
何より私自身が本グラスの設計・企画に関わらせてもらっていることもあり、開発の流れやグラスの特性、使い心地など、私個人の視点での情報も含めて当ブログで紹介させて頂きます。

商品名:The Ultimate Peat Glass
価格:15,000円(消費税込16,500円)
製作:木本硝子株式会社
付属品:グラスケース、グラスクロス
公式サイト:ニュースリリース
関連情報:木本氏、稲垣氏のクロストーク

※グラスの特徴
・ピート香を開きつつ、適度に樽や酒質由来の香りを馴染ませる。蒸留所の個性を感じやすい。
・リムの返しとエッジの処理から、口当たりはスムーズで柔らかく、ウイスキーを味わいやすい。
・全体的に滑らかで一体感のある、まさにハンドメイドというデザイン。

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The Ultimate Peat Glassは、三郎丸蒸留所のコンセプト(ピートを極める)をより確かに感じてもらうことをテーマに開発された、ウイスキー用のテイスティンググラスです。
グラスが変わると香味も変わるウイスキーにおいて、蒸留所マネージャーからの提案であり、お墨付き。
言い換えるとピーティーなウイスキーを最高に楽しめるグラスという位置付けで、個人的には三郎丸に限らずスモーキーさと樽由来のフレーバーが一定以上にあるウイスキーに対して、相性が良いグラスに仕上がっていると感じています。

◾️The Ultimate Peat Glass製作の流れ
同蒸留所マネージャーの稲垣さんは、ベルギービールのように、飲み方の提案としてウイスキーも蒸留所毎にオリジナルグラスがあると良いのではないかという考えがあり。
一方で、私自身はかねてから、ウイスキーを楽しむ上では、ワインのようにその種類、銘柄毎に適したグラスが必要ではないかと考えていたところ。
昨年から稲垣さん、モルトヤマの下野さん、そして私で硝子会社を複数訪問してそれぞれ話を伺い。その中で稲垣さんの紹介から木本社長の熱意に触れ、パートナーとしてグラス作りを行なって頂くことになります。

※関連する話は上述のクロストークでも語られていますので参照してみてください。

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とは言え、オリジナルグラス作りは、そう簡単に進む話ではありません。
数ミリ単位の形状の違いであっても、香味に大きな影響を与えるということ。
また、グラスは手吹きのハンドメイド、機械作りのマシンメイドがありますが、どちらもグラスの形状を決めるための金型が必要で、まずはデザインの方向性を定め、その金型を設計しなければ試作も出来ないということ。
そう、職人がゼロからぷーっと膨らませてイメージに合う形を試作してくれるわけではないのです。

この金型、決して安くなく、何パターンも作るとそれだけ販売価格に影響します。
最初の段階で可能な限り確度の高いデザイン案を作る必要があるわけですが、ご存知のようにグラスの形状は様々です。
そのため、まずは既製品のグラスを使ってウイスキーとの相性を確認すべく。木本硝子さんに我が家からウイスキーグラスやワイングラス、持ってるグラスを大量に持ち込み、コンセプトに近いデザインを絞り込みました。

この時の様子は、上述のクロストークでも語られています。木本社長としても、ここまでやる顧客は初めてだったようです(笑)。※上の写真は、ある程度絞り込んだ後のものになります。
某有名メーカーの大ぶりなグラスだけでなく、よく知られている形状のテイスティンググラスも、目指す香味の方向性ではないと稲垣さんの一刀両断でバシバシ除外。開かせすぎたり、全く開いていなかったり…、木本さんだけでなくT&Tの二人も「え、そんなに持ってきたの?」と驚いていましたが、むしろ持ってきていて良かったと、この時ばかりは安堵しました。

そうこうして行く中で、残ったグラスの形状とサイズから、徐々に目指す方向性が見えてきます。
完全にストレート形状ではなく、多少の膨らみがあり、リムは味わい易さのために少し返しをつける…。
このイメージを形にしていくのがグラスメーカー、木本社長の仕事です。
なお、金型が決まったらあとはデザインを調整できないかというとそんなことはなく。そこから少し金型を削るなど、微調整を加えて行くことは可能です。
試作品が完成後は、稲垣さんが直接木本社長とやりとりされ、当初の予定では4月のはずが2ヶ月遅れの6月下旬、ついに発売となりました。

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※開発当初予定になかった、付属の専用グラスクロス。美味しいお酒は美しいグラスで飲んで欲しい、造り手への敬意として急遽追加した。

形状検討の際にもう一つ考える必要があったのが、“ウイスキーを楽しむ”ことにおける、美味しさとテイスティング性能のバランスです。
例えばウイスキーを深掘りする、テイスティング目的なら、良いも悪いも含めて可能な限り香味要素をはっきり拾える形状のグラスが望ましいと言えます。ですが、それが美味しいか、楽しいかというと、悪い部分も強く拾うグラスが一般に好まれるとは言えません。

今回のThe Ultimate Peat Glassは、テイスティング性能は担保しつつも、広げる香味は良いもの、美味しさ寄りであるべきというのが稲垣さんの考えで、そのための工夫が設計に反映されていきます。
一方、ここでテイスティング性能寄りのグラスも作れないかと、下野さんがここまでの情報から新しい提案をするに至るのですが…。
詳細は、正式な発表があったら、改めて本ブログでも公開していこうと思います。

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※グラスの奥深い世界に、今までの価値観が崩壊して、思わず目を覆う下野さん。

◾️ The Ultimate Peat Glassの性能検証
そうして完成したThe Ultimate Peat Glassですが、性能、使い勝手について、本記事では一般にテイスティンググラスとして使われていることが多いグレンケアンと、国際企画ワインテイスティンググラス、この2脚と比較しながら解説していきます。

まず重量ですが、
・グレンケアン テイスティンググラス (約130g)
・国際規格ワインテイスティンググラス (約120g)
・三郎丸 The Ultimate Peat Glass (約90g)

持った感じは、重心が真ん中寄り上部にあるので90gという数字よりも少し重く感じるかもしれませんが、逆にスワリングはしやすいですね。
強度は…食洗機や強い衝撃、あとは捻り洗い等をしなければ、つまり通常のハンドメイドテイスティンググラスと同等程度、特に繊細すぎる設計にはなっていません。

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比較テイスティングに使用するウイスキーは、コンセプトに合わせ、三郎丸Ⅱ シングルモルト 加水とカスクストレングスの2種。それぞれ30ml注いでの比較となります。
三郎丸モルトの強いピートフレーバーと、Zemonによって生み出される厚みと甘みのある酒質、熟成環境に由来する3年としては強めの樽感をどう広げるか。

【香り立ち】
いずれも同系統のアロマを拾えるが、グレンケアンは香りがボヤけたような、水っぽさが混じる。国際規格は逆にシャープでテイスティングはしやすい一方、ピートの強さだけでなくネガティブな要素を拾いやすく、特にカスクストレングス版ではその特性が際立つ。
一方でThe Ultimate Peat Glassは、適度にシャープなピート香に、樽由来の甘さが混じり、水っぽさもなくバランスよく感じられる。カスクストレングス版でも同様で、香りを広げつつもアルコールの刺激は強すぎない程度に抑えられている。

【味わい】
グレンケアン、国際規格はリム形状が特に変わらないこともあり、大きな違いは感じられないが、強いて言えばグレンケアンの方が口当たりは丸みがある。
一方で、The Ultimate Peat Glassはリムの返しとハンドメイドグラス特有のエッジ加工の丁寧さで、ウイスキーがスムーズに口内に導かれるだけでなく、口当たりも柔らかく感じられる。

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どの系統が良いかというのは好みの問題もあり、以下はあくまで主観的な考察ですが。
最も三郎丸モルトの良い部分を拾いやすかったのは、やはりThe Ultimate Peat Glassでした。昨年受け取った試作品の方向性の通りに仕上がっており、コンセプト通りのグラスだと思います。
ただ、最初にウイスキーの各要素をしっかり開かせるため、三郎丸以外の若いウイスキー、雑味要素が強い原酒だと、注いでから開いた要素が馴染むまで少し時間がかかるかもしれません。
その意味では、酒質が、造り手が試されるグラスという面も…。

それでは、それぞれのグラスで違いがでた考察として、まずは香りの違いにフォーカス。要因としてリムの口径、返し、ボウルの広がり具合が考えられます。
まずリムの口径はそれぞれ約43mm、46mm、46mm。実は国際規格とThe Ultimate Peat Glassは口径がほぼ同じなのですが、前者はボウル部分から緩やかに広がってすぼまるように広い空間が作られるのに対して、後者はボウルの広がりが大きく、その空間がリムの返しに向けて国際規格以上にすぼまっています。

国際規格のような形状のグラスは、各要素が良いも悪いもダイレクトに伝わってくる傾向があり、テイスティング向きの形状と言えます。テイスティングに限れば、安くて丈夫で使い勝手の良い、オールラウンダーなテイスティンググラスなんですよね。あともう1回り小さい製品があると、嬉しいんですが…。
一方でThe Ultimate Peat Glassは丸みを帯びた縦長なフォルムですが、口当たりで効果を発揮する“返し”がある分、グラスの中に適度な広さの空間が作られ、樽と酒質の香りの要素が滞留して馴染むこと。またすぼまったところから広がるように鼻腔へ導かれるため、開いた香りがダイレクトではなく、適度に逃がされることでバランス良く感じられるのだと考察します。

なおグレンケアンは、リムの口径は一番狭いのですが、液面から上の空間があまり広がらず、滞留もせず、そのままリム部分へと繋がるため、香りが広がりきらないのではないかと。。。
では容量を20mや15mlにしたらどうか。ハイプルーフのもの、特に長期熟成で奥行きのあるウイスキーはバランスが取れるような気もしますが、比較すると少しぼやけた香りになりがちです。
テイスティングと美味しさ、引き出す要素を中間くらいで見ると、こんな感じなのかもしれません。
まさに入門向けというグラスの一つであり、改めて、ある程度飲み慣れた人はグレンケアンから拘りの1脚にステップアップしても良いのでは、とも思える結果となりました。

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◾️余談&結びに
今回のグラス製作の話が出た時「僕の考えた最強のグラス」の要素が、
・リーデル ソムリエ ブルゴーニュ グランクリュのような薄さと返しのあるリム。
・既に蒸留所で販売されている、三郎丸テイスティンググラスから、大きくかけ離れないデザイン。
・サイズ感は国際規格と同等または一回り小さくした程度。
・木村硝子テイスティンググラスのような、リムから台座まで滑らかなフォルム。
でした。

私の趣味でデザインを決定したわけではありませんが、出来上がったグラスをみてみると、まさに上記の「さいきょうぐらす」の系譜とも言えるデザインとなっており、その意味でも完成品には特別な思い入れがあります。
何より、グラス製作という、通常いち愛好家では関われないことまで関われる機会を頂けたことに感謝しかありません。
お酒におけるグラスの重要性はわかっているつもりでしたが、グラス製作の経験で、さらに知見を深めることが出来たと思います。

最近自分の周囲でオリジナルハンドメイドグラスのリリースが複数あり、造り手のコンセプトを反映した、個性的な形状のグラスが揃ってきました。
ウイスキーのグラスは、比較のために同じグラスを常に使うことは理に適っていますが、1本のウイスキーを理解しようとしたならば、複数のグラスで多角的に個性を見て行くこと。あるいはその個性を最大に活かすグラスを探索することも、ウイスキーの楽しさだと思います。

例えば、ストレートの入門グラスとして知られる「咲グラス」で飲んだ後、The Ultimate Peat Glassで同じウイスキーをテイスティングすると、その違いに驚くと共に、これまで見えなかった個性や、異なる視点でのイメージを掴めるかと思います。
これも嗜好品の“沼”とされる世界の一つ…。
掘り始めたらキリがないですが。せっかくこうした機会と共にグラスも手元にあるので、今後は比較含めてグラスレビューもやっていこうと思います。
あぁ、ウイスキーって楽しい!

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Redsack 電動ディスペンサーが思った以上に便利だった話

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最近AMAZON等で販売されている、
電動ディスペンサー
Redsack

https://amzn.asia/d/aey99y1

1〜999mlまで、設定した量の液体を注ぐことができるツール。電動ポアラー。
イメージとしては、ドリンクバーでグラスをセットしたらドリンクが注がれるパーツを、いろいろなボトルに後づけ出来るモノ、と言えば伝わるでしょうか。
結論から言えば、同じお酒を何杯も注ぐ、飲食店やイベント、蒸留所の試飲ブース、あるいは小瓶へのサンプル小分け用に、実に便利なガジェットでした。


ウイスキーやワインなど、お酒を定量注ぐためのツールとして販売されている本品ですが、自分は元々消毒用アルコールの移し替えに使おう思っていました。
我が家はコロナ禍前から一斗缶でドーバーパストリーゼを購入しており、手持ちから卓上まで、様々な場所の消毒ツールとして活用しているのですが、一斗缶から手軽に、サイズを問わずハンディボトルに移し替えが出来るガジェットがあったら良いなと。

が、思った以上に出番が少ない。いざ移し替える時も、付属のポンプで足りてしまう。
利用頻度が上がらず、このまま押入れの肥やしにしてしまうくらいなら。。。本来の用途で使おうと使ってみたところ、案外使いやすい。
これなら個人利用(特に、リッターサイズのボトルで家飲みされている方)もさることながら、イベントや蒸留所の試飲ブースなど、商用利用も充分いけるんじゃないかと。
とりあえず1ヶ月ほど使ってみて耐久性も問題ないようなので、記事にさせてもらいます。

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中身は本体、手入れ用クロス、充電ケーブル、本体をボトルに固定する口径別の栓✖️3、伸縮するステンレス製のホース。

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利用方法は至ってシンプル。
①ボトルに合わせて栓をセット。
②ホースを適当な長さに伸ばし、押し込むようにボトルにはめる。(ホースは12cm〜34cmまで伸縮するため、通常サイズのボトルなら大概対応する。)
③注ぎ口にあるレバーを起こすと電源が入る。
④注ぎたい量を➕➖ボタンで設定して使用する。

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リッターサイズのボトルで開封されているものがなかったので、サイズ別や銘柄別でそれぞれ試してみたものの、使用感は問題なし。
最近のウイスキーのボトルの場合は、栓は中サイズがフィット。ホースの長さも勿論問題なく調整して使用できる。

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注いでいる最中は、注いだ量がカウントされる。上の画像は40ml設定で使用しているところ。1、2、3、4、、、と液量がカウントされていき、途中で注ぐのを止めると注いだ量で止まる。
ガソリンスタンドでガソリンを車に入れている時の表示のような感じ…。30ml程度なら2-3秒で終わってしまうためあまり意味はないが、100ml、500mlと注ぐ場合は、経過を確認できるのでありがたい機能。

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注ぐ量の精度。ディスペンサーをセットした最初の1杯だけ、ホース内の空気が影響して誤差が出るが、後はほぼ一定(写真は20mlを連続して注いだもの)。つまり最初の1杯は2回注ぐ必要があって、2回目を途中で止めて適量で飲むか、設定より濃く作るか…これは酒飲みにとっては些細なことである。多分迷わず後者でしょうw

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氷を入れたグラスにウイスキーを設定量入れて、ソーダを注いでハイボールの出来上がり…。
実を言うと、自分は通常サイズのボトルの場合、15ml、30ml、40mlといった量は、手の感覚で注ぐことが出来てしまうため、ディスペンサーを使う前は、手で普通に注げば良いじゃんと思っていたところもありました。

しかし、使ってみると2杯目以降が段違いに楽なんです。酔ってきていても、何も考えずに決まった量を注いでくれる。当たり前のことだけど、これがなんて楽なことか。まして業務用の4000mlペットボトルとかガロンボトル等の重量物の場合、ディスペンサーは必須アイテムですね。
何よりイベントの時など、決まった量をなんども注がなければならない場合、700mlであってもボトルを持たなくて済むという、ただそれだけのことが、後々めちゃくちゃ効いてきます。

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最後に、これは使えるなと思ったのが、ワインのサーブ、そしてサンプル瓶への小分け。
まあ、上の画像にあるように、ワインディスペンサーとして売っているモノなわけですから、ワインのサーブに使えて当たり前といえばその通りですが(笑)。

このRedsackは、ホースを通ってサーブする際に空気を混ぜながら注ぐ機能が備わっています。
ワインのディスペンサーで、空気と触れさせることで香りを開かせるという機能を売りにするものがありますが、それと同様の効果が期待できます。ウイスキーについても、普通に注ぐよりも香りが開いている…ような気がします。(※この機能はオフにすることもできます。)
また、ボトルを傾けないで注げるため、澱を舞わせてしまうことなく注げるのも個人的にはポイント。
空気と混ぜることがプラスに働くかどうかはお酒次第と言えそうですが、ウイスキー以外にも普通に使えるなと。

そしてもう一つがサンプル瓶の小分け。
いやもうこれはありがたい。サンプル交換や共同購入で、決まった量を複数小分けにしないといけない場合、5個、10個と小瓶に同じ量を注ぐのは結構手間なのですが。このディスペンサーがあれば1発で解決。注ぐ量を設定して、レバーの倒し方だけ工夫してやれば流れ作業で小瓶に詰められる。
ニッチな紹介になりますが、小瓶で販売されてる酒販さんとか、このディスペンサーかなり使い勝手いいんじゃないでしょうか。

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なお、使った後のお手入れとしては、ステンレス製のホースは取り外して水洗いOK。
本体は洗えないのですが、ホースをつけたまま、ミネラルウォーターやお湯、ハイボールの後なら残った炭酸水を通してあげるくらいが良いかと思います。(衛生面が気になる方は消毒用アルコールを通しましょう。)
そして充電はUSBのtype-Cなので、パソコンだろうがiPhoneの充電器だろうが、なんでも対応。公式は500mlが100回注げる電力量。数回使った程度ではほとんどバッテリーは減らないので、自分の利用頻度なら、1ヶ月に20〜30%程度しか減らず。充電は2ヶ月に1度とかになりそうです。

というわけで、ほとんど期待していなかったというか、元々は消毒用アルコールの移し替え用と考えていたガジェットが、想定していなかった本来の使い方をしてみたら思ったよりも便利だったと言う話。
最近、1周回って角瓶やブラックニッカのハイボールが普段飲みや晩酌にちょうどいいと感じてきたところ。こんな便利グッズが手元にあるなら、いよいよリッターペットボトルの世界に踏み込んでも良いかな…なんて考えてしまいました。

【咲グラス】ウイスキーをストレートで楽しむための最適なグラスづくり

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ウイスキーのブラインドテイスティングで定期的に競い合い、ライバルとも言っていい関係にあるシズタニエンこと静谷和典氏から「オリジナルグラスが出来上がったので、使用感を教えて欲しい」と連絡頂き、そのサンプルを使わせいただきました。

今回のオリジナルグラスの構想、出発点はハイボールでウイスキーに慣れ親しんだ人たちに、さらにウイスキーを楽しんで貰うにはどうしたらいいか。
ウイスキーの個性を全面に打ち出したカクテル「ウイスクテイル」や、ウイスキーをストレートでフードとペアリングする「ウイスキーニコラシカ」など、バーマンならではのアイディアを形にしてきた静谷さんが、純粋にウイスキーそのものを、つまりウイスキー単体をストレートで楽しんでもらうためのツールとして打ち出したのが、オリジナルテイスティンググラス「SAKI(咲)グラス」でした。


咲(SAKI)グラス
製造:非公開(国内にて職人のハンドメイド)
設計・監修:静谷和典

※咲グラス先行販売サイト:https://ideamarket.yomiuri.co.jp/projects/whisky-glass2022
9月15日(木)午前0時から、100脚分が先行販売されます。(酒販店や百貨店等で通常販売も調整中とのこと。)

グラスの製作エピソードやこだわりの数々は、上記URL先のクラウドファンディングサイトにまとめられています。
自ら手吹でグラスを作った経験、既存テイスティンググラスの分析、3Dプリンタを使った試作の数々、そしてブランド化する上での戦略…コロナ禍という苦境の中、休業という普段は生まれなかった時間を使った挑戦。
素直に凄いなと、同年代でここまでやれるのかと、ただただ感服する内容となっています。

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さて、当ブログでは咲グラスの使用感や、色々使ってみた上で見えてきた特性、ウイスキーのジャンルとの相性に焦点を当ててまとめていきます。
エピソードをあらためて紹介するのも良いですが、どういう性能のグラスなのか、実際に使用した印象を知りたい人が大半だと思いますので。。。
で、どうだったかというと。ウイスキーの良い部分を引き出し、親しみやすくする。まさに「ストレートでウイスキーを楽しむ」というコンセプトの通りのグラスだったのです。

香り:開かせて馴染ませる。各要素を引き出しつつ、特にウイスキーそのものが持つ麦芽や樽由来の甘さを引き立てて馴染ませることで、アルコール感を和らげる。

味:口当たりの部分がフィットするようにアーチを描いており、ウイスキーが抵抗なく口の中に導かれる。それによって口当たりが良く、アルコール感も穏やかに感じられる。

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相性:長期熟成から短熟、バーボンからスコッチ、あるいはラムやコニャックなど、多くの銘柄、ジャンル、仕様にマッチするオールマイティさが最大の魅力。
強いて言えば、甘さよりもクリアでシャープなピート香を楽しみたいようなアイラモルトは開かせる香味の傾向が異なるため、違うグラスを選びたい。また、香りが強い酒類に向いているため、香りがそもそも立たないような安ウイスキーは期待できない。40%台のブレンデッドよりは45%以上ある比較的個性のはっきりしたリリース(シングルカスクなど)に適正がある。
例えば、ジャパニーズクラフトで10年未満の高度数ウイスキーに対し、非常に良い仕事をしてくれる。

その他:全体としては適度な大きさで、ステムは細く、軽く仕上がっており、手に持った際に違和感が少ない(重量、70〜80g)。一方で、ボウルやリムは某社最高級ワイングラスのような薄さではなく、例えばケースに入れて自然に持ち運べる程度の耐久性が見込めるのも特徴と言える。

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以上が一般に使われている、ノーマルなテイスティンググラス、グレンケアン、国際規格グラス等と比較しながら、色々と飲み比べてみた使用感、感想です。特に初心者向けと見た場合ほとんどダメ出しするところのない、非常に良いグラスでした。

タイトルにある「ウイスキーをストレートで…」ひいては、ハイボールからのステップアップでウイスキーの個性をストレートで楽しんでほしいというコンセプトに対して、飲み慣れない人が敏感に感じ取る要素、飲みにくさに繋がる粗さ、アルコール感を軽減し、日本人が美味しさの基準にするといっても過言ではない「甘さ」を引き出す点が、グラスの特性として特筆すべきところです。

また、現在長期熟成の原酒が枯渇し、リリースも高騰しています。そのため、ウイスキーとしてテイスティングする機会が増えているのは、20年熟成未満のスコッチやアイリッシュ、5〜10年程度のジャパニーズ。バーボンは元々長期熟成の流通量が少なかったですが、全体的に甘みが弱くなり、ドライな傾向にあります。その他、コニャックやラムなどが代替品として注目されていますが、これら今後の市場の主力商品とも言えるジャンルの良さを引き出す事も、咲グラスに期待できる特性です。
静谷さんはこれを科学的に分析して作ったわけではなく、さまざまな試行錯誤の中で、自身の経験を交えて導き出した。バーマンであり、マスターオブウイスキーだからこその経験と知識、そして直感による作品とも言えるわけです。

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形状を分析すると、グラスのボウル(底)部分が同じサイズのものより大きく広がって、それがポットスチルに見られる形状のように一旦すぼまることで、香りを広げるスペースが作られている。
このスペースでは、香りのポジティブな要素もネガティブな要素も増幅されますが、そこから口をつけるリムにかけて口径が広がり、スペースから距離がとられていることで、アルコール感が拡散し、まとまって鼻腔に届かないような構造であることが伺えます。

これが例えば、上の写真中央にある、卵の上部分をすっぱり切ったような… 自分がよく使っている木村硝子のテイスティンググラス0番や、さらに飲み口が窄まっている形状のものだと、香りの良い部分も悪い部分も、またアルコール要素が強く残って、飲み慣れた人向け、玄人向けのグラスになっていたのではないかと考えられます。

また、上の写真右側にある、Kyoto Fine Wine & Spirits さんのオリジナルグラスのような、液面から鼻腔までの面積と距離がある、大ぶりのグラスだったらどうなるか。
これはウイスキーの熟成感や奥行き、複雑さが試される構造になり、長期熟成ウイスキーは存分にその魅力を開かせる一方で、若いウイスキーには向かない形状になっていた。
つまり静谷さんが目指していた入門向けグラスとは異なるコンセプトになっていたわけで、こうして結果だけ見ると、これ以外に正解はないと思えるくらい、ダメ出しのしようがないグラスだったのです。

まあ、強いて言えば…香りを開かせる空間、変化の大きな形状が、最後の一口になるといつもの3割増しくらいでグラスを傾けないとウイスキーが口に入ってこない、というくらいでしょうか。。。口当たりについてはタリランド(写真左)のような構造で、ウイスキーがスッと口の中に入るのですが、機能面と造形面のバランスの問題で、難しい点なのです。
あんまり褒めすぎると、ステマ感が増してしまうのでイヤなんですけどね、正直このグラスには驚かされました。

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最近、ウイスキーグラスのリリースが増えてきて、さまざまな形状のものが誕生しています。
ただ、ウイスキーは1990年頃までは、ブレンデッドが中心の市場であり、そこから冬の時代を経て、2000年代に入ってシングルモルトが普及し始めた。
つまり飲みやすさ重視の時代から、個性を楽しむ時代が到来したのは直近10年程度のことであり、個性を楽しむ飲み方としてストレートが、ツールとしてテイスティンググラスが注目されるようになったのは、本当に最近のことなんですよね。

そしてその流れの中で、地域の特徴、品種の違い、テロワールと言われる要素を紐解くためにさまざまなグラスが造られたワインに倣って、多くのグラスが造られるようになっていくのは自然な流れであるように感じます。
ウイスキー業界におけるテイスティンググラスは過渡期にあり、今後はスタンダードなものから樽や度数、地域によってグラスの形状が確立していくのでは無いかと予想しています。

その中で、今回発表された咲グラスは、造り手と設計者の確かな知識、経験、技術によって作られる、ウイスキーの入門から応用まで幅広くカバーするオールマイティなテイスティンググラス。
グレンケアンに物足りなさを感じた人は、ぜひ一度手に取って、あるいは静谷さんのBAR(LI VET、Whisky Salon)で注文して、その違いを体感して頂けたらと思います。

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ウイスキーハイボール大全 ハイボール専門書籍が発売(2021/7/20)

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関東梅雨明け、いよいよ夏本番。
夏と言えばウイスキー界隈としてはハイボールですが、季節に合わせる形で7月20日、STUDIO TAC CREATEIVE からハイボールの専門書籍となる「ウイスキーハイボール大全」が発売されます。
著者はBARとカクテルの専門ライターとして活躍されている、いしかわあさこさん。STUDIO TACさんは「スコッチウイスキー新時代の真実」、「世界のウイスキー厳選150本」など、これまでもウイスキー関連の書籍を出版してきた実績もある出版社さんです。

ウイスキー関連の書籍は数多くあり、その中でハイボールがウイスキーの飲み方として触れられることは珍しくありませんが、ハイボールに特化した専門書籍というのは前例がなく、紹介されている銘柄もトータルで150本以上。日本、あるいは世界でも初めての1冊ではないかと思います。

ウイスキーハイボール大全
WHISKY HIGHBALL DICTIONARY
定価:2200円+税
総ページ数:224P
出版:STUDIO TAC CREATEIVE
監修・著者:いしかわあさこ
amazon 販売ページ

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いしかわさんの話では、今回の書籍は、
ウイスキーというよりは、銘柄を意識せず”ハイボール”を飲んでいる方々に、ハイボールをきっかけとしてウイスキーの個性、美味しさを知ってもらい、ロックやストレートでも楽しむ、世界を広げる手引きになればとのこと。

構成はハイボールの歴史、作り方、ウイスキーの定義などの基本的な情報から、ハイボールにお薦めのウイスキー126本の紹介。グラスやソーダの紹介や、プロフェッショナルからのフードペアリングも含めたお勧め銘柄の提案など。
ボトル紹介は、香味にフォーカスした短めの内容でビジュアル多め、コアな愛好家には物足りないところはあるものの、初心者がボトルを選ぶ目安に使うには程よい情報量とも言えます。

一方、「シェリー樽熟成ウイスキーは合わないものが多い」など、ハイボールに合わせて選別は行われており、ブームに乗った雑誌特集やムック本にありがちな、基準の見えない選定、単なるボトルカタログになってないのも見どころです。
また基本的な情報といっても、ハイボールの歴史については、缶ハイボールの歴史や、氷無しハイボールで一度は名前を聞いたことがあるだろう「サンボア」の系譜までまとめられていたり。ある程度ウイスキーを飲みなれている方が読んでも新しい知識を得られる。著者の専門分野が活かされた構成も魅力のひとつです。

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加えて、もう一つの特徴と言えるのが、書籍後半にまとめられている、第一線で活躍するバーマン5名(上画像)のオススメするハイボールとフードペアリング。そして業界のプロフェッショナルと位置付けられた6名が、ハイボール、ロック、ストレートと、それぞれの飲み方にお勧めのウイスキー銘柄を紹介するコーナーです。

※「プロフェッショナルが薦めるウイスキー」選定者
・リカーズハセガワ ×倉島英昭
・ウイスキーブロガー ×くりりん
・M's Tasting Room ×吉村宗之
・スリーリバース ×大熊慎也
・BAR Leichhardt ×住吉祐一郎
・目白田中屋 ×栗林幸吉

以上6名がそれぞれ、ハイボール3銘柄、ロック、ストレートを1銘柄ずつ、合計5銘柄を紹介しています。
そして、そうなんです。恐れ多くも無謀にも、今回の企画でくりりんに声がかかり、名だたる業界著名人の中に名を連ねているのです。いやホント、このメンバーの中にくりりんって、職種、年齢、字面等もあって、個人的にはかなり違和感です(笑)。

先に触れたように、企画の趣旨は”ウイスキー入門者に薦めるハイボール”であり、ウイスキーが持つ個性の多様さ、美味しさ、楽しさを知ってもらうためのものです。
この点は6名それぞれに解釈があり、私としてはオールドブレンドのように入手に難があるものや、熟成年数がミドルエイジ以上の価格的にハードルの高いボトルを選ぶことは出来ない…。
 美味しさだけで言ったら、”神々の遊び”的銘柄が思い浮かびますが、札束が泡のごとく消えゆくそれが、果たして入門向けかと言われたら違うでしょうと。

というか一般的には、5000円以上のボトルをハイボールにすることにも抵抗があると思います。
あえてそうしたボトルを紹介して、そういう世界もあると紹介するのも一案です。が、自分のチョイスは大前提として「自分が日常的に飲んで納得できる美味しさ」に加え、
・スーパーや一般的な酒販店で入手しやすい。
・実売価格でハイボールは2000円台まで。
・ロック、ストレートは5000円程度まで。
という条件を設け、誰でも抵抗なく、ウイスキーの個性に繋がる、”原料”、”樽”、”ピート”、それぞれの違いを楽しんで貰えるような銘柄を選びしました。

ハイボール大全くりりんページ

また、3種のハイボールのうち、どれが好みだったかで、ロック、ストレートで飲んで欲しい銘柄にリンクする構成にしています。

※くりりんチョイス5銘柄
・キリン陸 ハイボール
→ フォアローゼズシングルバレル(ロック)
・サントリーリザーブ ハイボール
→ グレングラント12年(ストレート)
・ホワイトホース12年 ハイボール
→スモーキーなアイラモルト。カリラやラガを想定。

キリン陸は、原料や製法に由来するフレーバーの違い。つまるところスコッチタイプとアメリカンタイプのウイスキーの違いを知るための1本として。構成原酒については…(自主規制)…なので、リンクするのはバーボン、中でもフォアローゼズ。陸のハイボールで好みだった方は、個人的にオススメであるシングルバレル50%をロックで。更に濃厚でメロー、スパイシーな刺激の中にフルーティーさが感じられる味わいを楽しんでほしいです。

サントリーリザーブについては、スコッチタイプのウイスキーでは避けて通れない、バーボン樽の特性を知ることが出来る銘柄として、この価格帯で最も完成度が高いと感じているリザーブを。
リンクする銘柄はシングルモルト白州をストレートと行きたいところでしたが、昨今のブームで入手難易度と価格が…。だったら、無理せずスコッチで良いじゃないと。バーボン樽熟成原酒のキャラクターが良く出ているグラント12年をストレートで。

ホワイトホース12年はピートの個性を知る銘柄としてチョイス。スペースの関係でリンクする銘柄は紹介出来ていませんが、キーモルトのラガヴーリンで16年か、予算内に抑えるならカリラやキルホーマンあたりを想定しています。

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こうして選ばれたボトル30種類の中には、一部高価なボトルも含まれていますが、ほとんどはスタンダードな銘柄です。普段ストレートで飲むかと言われたら選択肢に入るかわからないけれど、ハイボールだからこそ選択肢となり、美味しさが引き出されるという基準の違いも伝わってくると思います。
例えば、長期熟成の銘柄で樽のしっかり効いたウイスキーよりも、手ごろな価格で販売されている若い熟成の銘柄が、ハイボールにするとバランスが取れ、ピートフレーバー等特徴となるフレーバーも引き立って、すっきりと美味しく楽しむことが出来る、というケースは珍しくありません。

先ほど、初心者向けだから…と前置きをしましたが、選ばれたボトルは変な妥協をしたものでもなく、選定者が日常的にお店で提供し、あるいは飲んでいる風景が連想できる。書き手の顔が見えるのも、この書籍の魅力であるように感じます。
選定者についてご存知の方は、ああこの人この銘柄好きだよなあ、このBARのハイボール美味いんだよなあ、なんて思い返しながら読んでいただくのも楽しいと思います。


ブログ読者の皆様はご存じと思いますが、当方はこれまで様々な銘柄をハイボールにしてきた、あるいはさせてもらってきた実績(前科)があります。お声がけ頂いたときは本当に嬉しく、二つ返事で了承しました。※本業側の許可を取ったうえで参加しています。また謝金、原稿料は受け取っていません。
いしかわさんとはこのコーナーをきっかけとして、本書籍の構成についても情報交換する場を設けて頂き、ただ寄稿しただけではない、全体的に思い入れのある書籍となりました。

なお、タイトルが「〜〜〜大全」で、某文化研究所の書籍を連想するものとなっていますが、編纂にあたって特に同所は関係はありません。巻末に記載されていますが、”大全”を使用する許可は頂いているそうです。
監修、著述されたいしかわさんは本当に大変だったと思いますが、ハイボールの領域はまだまだ深掘り出来るものがありますから、売れ行き次第では「完全版」とか、拡張も期待したいです(笑)。
この度は著書の完成、おめでとうございます。そしてお声がけ頂き、本当にありがとうございました。

ウイスキー愛好家作 卓上カレンダーの紹介

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ウイスキー仲間で、当ブログに写真の提供も頂いているK67さんが、自身で撮影した写真を使った2021年のウイスキーカレンダーを作成。購入方法をSNS等で紹介しています。
カレンダーは
・ポットスチル集となっているカラー版
・蒸留所のシンボルをまとめたモノクロ版
の2種類があり、どちらも中々に良い出来です。
せっかくなので今日の記事で紹介させてもらいます。

K67さんは友人へのプレゼントとして、毎年ウイスキーカレンダーを少量作っていました。
それが、TOLOTの”みんなも注文”という機能を使うことで、第三者が自由に注文することが出来るとわかり、もし欲しい方がいらっしゃったらと、購入方法を公開されています。

価格はそれぞれ送料込みで650円。
K67さんから画像をお借りして、以下にサンプルと購入ページURLを表示します。


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カレンダー・ポットスチル(カラー)
※購入方法:上記リンクにアクセス後、アクセスパスワード3758を入力



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カレンダー・蒸溜所シンボル(モノクローム)
※購入方法:上記リンクにアクセス後、アクセスパスワード2625を入力。


自分はK67さんから毎年カレンダーを頂いていたのですが、これまで風景的、俯瞰的な作品が多かった構成から、今年はモノにフォーカスした、比較的距離の近い写真が多く使われているのもポイントです。
ポットスチルやロゴなど、蒸溜所や地域のシンボルとも言えるパーツから、逆にその周辺の景色やリリースされているウイスキーを連想するような作品で、既に会社の机にはカラーが、自宅の在宅ワーク用スペースにはモノクロが、来年に向けてスタンバイしています。

誤解のないように補足すると、この販売を通じた売上や個人情報が、K67さんの手元に入るものではありません。(勿論私の手元に入るものでもありません。)
この完成度だしちょっとくらい儲けても良いじゃんってレベルなのですが。。。。価格はトロットの受注・制作・発送サービスの利用料です。
なので、写真を見ていいなと思った方は購入いただき、そして手に取った感想を伝えていただけたら嬉しいです。


※K67さん個人サイト"酒は人生の妙薬"

K67さんは趣味としてスコットランドをはじめ各地を旅行して、様々な写真を撮られています。
その質感というかアングルというか、カメラの設定を撮りたいイメージにアジャストする能力というか、語彙力の問題でうまく言葉にできませんが、瞬間を切り取るセンスが素晴らしく、思わず惹き付けられるような作品が多くあります。

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(北海道で今年8月末に撮影されたという1枚。夏の終わりという雰囲気が犇々と伝わってくる。)

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(オークニーのストーンヘンジ。流れる雲と風の気まぐれが造った素晴らしい風景を切り取った1枚だと思う。)

その他作品は個人サイトのギャラリーをご覧いただければと思いますが、この写真を撮影する機材が、キャノン砲みたいな一眼レフじゃない、10年選手のコンパクトなカメラで撮ってるというのだから、写真は機材で撮れる幅が広がるけど、それを活かすのはセンスと技術なんだなぁと思わされます。
ホント、自分もこんな写真が撮れたら。。。

話が逸れました。
今年は本当にいろんなことがありましたね。
毎年様々な出来事があり、決まり文句のような言葉ですが、100年に一度、あるいは世界規模のパンデミックに関連しては、過去経験のない出来事ではないかと思います。
そしてこれは、きっと来年も暫く続くのです。
終わりの見えないコロナ禍の生活に、閉塞感を感じている人も多く居るなかで、ちょっとした気分転換。ふと思いを馳せることが出来るアイテムって良いなと。
ままならない日々が続きますが、感動したり、共感したり、楽しい気持ちになれるモノを大事にしたいですね。

では、今回はこのへんで。

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