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カテゴリ:ブルイックラディ

ブルイックラディ 15年 1990年代流通 43%

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BRUICHLADDICH
Islay
Aged 15 years
1990's
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR LIVET
評価:★★★★★★(6)

香り:軽い苦味を連想させる麦芽香。オレンジピールやアーモンドの殻、干草を思わせるドライな植物感。微かに林檎のフルーティーなアクセント。えぐみを少し伴う。

味:スムーズな口当たり。ほろ苦く香ばしい麦芽風味、薄めた蜂蜜やオレンジジャムの粘性と甘み。微かにハッカを思わせるハーブ香を伴って鼻腔に抜ける。
余韻は微かなえぐみとほろ苦い麦芽風味。塩気を感じるコクを伴って長く続く。

まさにブレンド向けという、プレーンで特徴の乏しいモルトである。ピートフレーバーは明確に感じられず、素朴かつ少々野暮ったい雑味もあって洗練されてはいない麦芽風味主体。しかしそれが良さでもある。加水すると麦系の甘みが儚く、消えゆくような味わい。


1990年代中頃あたりからの流通品。この派手さのないデザインが、まさに名は体を表すようなリリースです。
ブルイックラディ蒸留所は、近年こそノンorライトピート、ヘビーピート、超ヘビーピートと様々な作り分けが行われていますが、かつてはほぼノンピートからライトピート程度の作りがメイン(ボトル、ロットによって多少誤差あり)。
今回のボトルは当時の特徴が現れており、これを飲むと現行品のブルイックラディ表記のボトルが、まさにクラシカルな構成を目指していることが理解できます。

同蒸留所は、1968年にインヴァーゴードン傘下となってから、最終的にホワイト&マッカイの傘下となって1995年に閉鎖されるまで、主にブレンデッドウイスキー用の原酒として位置付けられていました。
代表的な銘柄では、ロングマンディスティラリー社のグレンドロスタンや、フィンドレイター社のフィンドレイター。日本では特級時代のギフト向けにも展開されており、不安定ながら1980年代冬の時代を乗り越えることが出来たのは、輸出向け銘柄の貢献も少なからずあったのではと思われます。


(グレンドロスタンの1960年代流通。内陸系の要素が主体で、味わいはライトでプレーン。日本には阪急デパートが中心となって展開した。)

これらのブレンドにしても、コクやオイリーさはあるものの、あまり強く主張しない酒質が共通事項。
ライトなブレンドの需要が多く、ヘビーピートで癖の強い原酒より、内陸系のモルトがトップドレッシングとしてもブレンド用バルクとしても評価されていた時代ですから、それをアイラ島で作ろうとしたのでしょう。

今回のボトルは、そうした時代背景も伺えるような味わいも感じられます。
しみじみ美味いとは言え、特段華やかでもなく、野暮ったいようなどこか田舎臭いような。。。賛否が分かれる味わい。1980年代〜1990年代流通のオフィシャルスタンダードは得てしてそうした傾向がありますが、それが逆に良さでもあります。
まだこの時代のブルイックラディを試された事がない方は、勉強を兼ねて一度飲むと、経験値としては得られるものが多い1本だと思います。


(1990年代前半流通のブルイックラディ10年。こちらも同系統で、麦感主体の個性の乏しい味わい。熟成感は今回のボトルの方が強いが。。。)

ブルイックラディ 10年 1990年代流通 43%

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BRUICHLADDICH
ISLAY SINGLE MALT SCOTCH WHISKY
AGED 10 YEARS
1990's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:個人主催テイスティング会
評価:★★★★★★(6)

香り:やや青みがかった麦芽香、エステリーさと微かに蜂蜜、徐々に干し草、トーストを思わせる軽い香ばしさを伴う。

味:若干の水っぽさを感じる口当たり。香り同様の構成で、干し草、乾いた麦芽、ほのかにすりおろした林檎のような甘み。余韻は程よくドライでスパイシー、あっさりとしている。

ハイランド寄りのキャラクターで、起伏の乏しいボディが少々没個性的。ただし余韻にかけてのまとまりはよく、1杯目のモルトとして向いている。ストレートで。


1990年代、クリアなデザインの15年に変わる前のブルイックラディ10年。1970年代流通品から続くラベルをルーツに感じるデザインですが、背面ラベルにイギリスバーコードは、古くても1990年ごろのものということになります。

香味の構成は、エステリーでフルーティーさが主体というより、ピート香のないプレーンなブレンド向けハイランドモルトという感じ。実際当時のラディはインヴァーゴードン系列の中核を為す銘柄の一つでしたし、1980年代流通の若いグレンドロスタンとかこういうモルティーさあるよなーと。
さらに古い時代のボトルや長期熟成のもの、あるいはフルストレングスなボトルは林檎系のフルーティーさがしっかり感じられて、それがオールドスタイルのラディらしさとも言えるのですが。。。まあ正直、ブラインドで出されたら自分の経験値では特定できないと思います。

1990年代より前のブルイックラディは基本的にノンピートからライトピートな構成。1993年にインバーゴードングループからホワイト&マッカイへと傘下を移すと、ピートレベルを強めた原酒の仕込みも始めるものの1995年に閉鎖。再稼働後はオクトモアやカスクフィニッシュなど奇抜なリリースが増えて、徐々にオールドスタイルのラディが薄れていく印象すらありますが、ちょっと前にリリースされていたラディ16年は、この時代にある古典的なキャラクターを維持していたように思います。

なお再稼働後に仕込まれた原酒となる最近の若いラディシリーズは、原料由来と思しき酸味、軽いボディが目立ってまた違うスタイルになりつつあるようです。
ベア種を含む地元アイラ島産の麦芽を使った仕込みなど、レミー傘下に移っても色々やってるようですが、近年のこの仕上がりは看板商品とも言えるピートフレーバーの乗りの良さを意識してるのでしょうか。。。


ブルイックラディ 1970 ディスティラリーコレクション 48.5%

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BRUICHLADDICH
Distillery Collection
Distilled 1970
Bottled 2001
700ml 48.5%

グラス:木村硝子テイスティング
場所:個人宅持ち寄り会@マッスルK氏
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★★(7-8)

香り:リッチなオーク香だがシルキーで引っかかり少なく鼻腔に広がる。甘露栗、蜂蜜や林檎のコンポート。香木、ハーブやニッキのニュアンスもほのかに感じられる。

味:とろりとリッチな口当たりで、合わせてウッディなスパイス、蜜林檎、熟した洋梨、微かにファイバーパイナップル。オーキーで品の良い甘みが合わせて広がる。
余韻は華やかなウッディネスとスパイシーなフィニッシュ。

リッチな樽感とそれを邪魔しない酒質が融合し、フルーティーでスパイシーなウイスキーへと昇華した素晴らしいカスク。使われた樽はバーボンホグスヘッドだろうか。加水はボディが負けやすいので加減が必要だが、小量であればさらにフルーティーな香味と麦芽風味を引き出せる。


ブルイックラディの当たり年とも言われる1970年蒸留の1本。といっても60年代のラディも充分美味しく、この前後5年間のビンテージに大きな違いはないようにも。強いて言えば60年代の方が柔らかく、70年の方がアタック、スパイシーさが強いボトルが多いかなと言う印象。。。なんですが、書いていて自信がなくなってきました。この辺はラディ大好きなウイスキー仲間に意見を聞きたいところ。
ボトルの話に戻ると、ピートをほとんど使わないで仕込まれた酒質よろしく、適度にボディがあってナチュラルな酒質に、樽由来の果実味、ウッディネスが融合している。テイスティングでは、その"融合した味わい"を楽しむものと感じました。

例えば、柔らかく癖のないニューメイクに、短熟で樽感をドバッとつけてリリースしたようなウイスキーであれば、今回のボトルと同じくらいの樽の濃さは実現できますし、フルーティーさも樽次第で同じ方向性にすることも出来ると思います。
しかし、長い熟成によって織り成す一体感だけは、短期熟成ではどうにもならない。そこは加水が橋渡しをするケースもあるのですが、今回のボトルのような、カスクストレングスだからこその突き抜けるような香味の勢いと合わさって、明確な違いとして感じられるのです。

今回のテイスティングでは、この時代のブルイックラディらしい酒質と樽が融合した結果、蜜感のある林檎を思わせる果実味をじっくりと堪能させてもらいました。ここにピートが多少効いても美味いのですが、それは例えば同時期のスペイサイドの蒸留所などにも結構あるスタイル。無いからこそ、スパイスなど他の要素が引き立っているのだと感じています。

ブルイックラディ 10年 陶器ボトル 1980年代流通 43%

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BRUICHLADDICH
Ceramic Decanter
Aged 10 years
1980-1990's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@Y's Land IAN
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:林檎やかりんエキス、ほのかにレモンの香りを思わせる華やかなオーク香と、乾いた麦芽香主体のアロマ。ややドライだが少し抜けたようなくすみも感じられる。

味:口当たりは緩く水っぽさを感じるが、すぐに乾いた麦芽、りんごの蜜やコンポート。ほのかに干し草、若干の青っぽさを伴う味の広がり。
余韻は華やかで香り同様のオーク香と優しく染み込むような麦芽風味。ドライなキレも感じる。

優しく繊細な味わいのモルトで、染みるような美味しさがある。但し単に優しいだけでなく、ドライなキレも程度にあって、次の一杯にバトンを繋げてくれる1〜2杯目向きの1本。加水はNG。ハイボールやロックはやっても良いが、得るものはあまりない。


ウイスキーラバーズ名古屋2018向けボトル、先行テイスティング会@IANにて。
懐かしい陶器ボトルのブルイックラディ。同蒸留所が1994年に一時閉鎖する前の原酒ですね。
このボトルは過去何度か飲んでいるわけですが、自分世代より前から飲んでいる人であれば、なおのこと出会う機会が多かったのではないかと思います。

ブルイックラディというと、近年はヘビーピートのオクトモアから極ライトピートのラディシリーズまで、精力的に多様なリリースを展開している一方、当時のオフィシャルは後者のラディスタイル一本槍。
スペイサイドモルトを思わせる柔らかい口当たり、蜜っぽい甘さとドライなキレ。下手すると当時の内地のそれらよりピートフレーバーのない繊細な味わいが、オールドスタイルのブルイックラディの特徴です。


かつてはブレンデッド全盛の時代、ライトなウイスキーが好まれた時代でもあって、そうした嗜好に合わせてピートフレーバーをつけない原酒づくりがされていたのかもしれません。
他方で原酒の特徴から差別化もされにくく、ウイスキー業界に不況と生産縮小の流れが訪れると、こうした蒸留所の幾つかは閉鎖の憂き目にあっていました。

ブルイックラディの場合、モノが悪いわけではありません。
ピートフレーバーのバッチリ効いたウイスキーも良いですが、改めて飲むとその良さがしみじみ感じられます。

ブルイックラディ 20年 1969-1989 R.W.ダッシー 53.6%

カテゴリ:
BRUICHLADDICH 
R.W.Duthie
Islay Single Malt Whisky
Aged 20 Years
Distilled 1969
Bottled 1989
53.6% 750ml  

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml程度
場所:個人宅(TMC T兄さん)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★(6→7)

香り:ツンとハイトーンで華やかな香り立ち。乾いた植物感からバニラの甘み、淡くカラメルを思わせる古酒感。徐々にリンゴやカスタードを思わせる甘みに変化する。少量加水するとさらにリンゴ系の香りが強くなる。

味:乾いた麦芽やバニラウェハースを思わせる軽やかな香ばしさ、続いて蜜入りリンゴや熟した洋ナシ、鼈甲飴を思わせるコクのある味わいから、トーン高くヒリヒリとした刺激へと変化。
余韻は乾いた木を思わせるウッディネス。ドライで洋ナシのタルトを思わせる甘みが長く続く。
加水すると香味が伸びて、さらに蜜っぽい甘みを引き出せる。


昨日ダッシー絡みのボトルを紹介したので、今回の記事はそのダッシーからブルイックラディです。
当時のブルイックラディのキャラクターというと、ノンピートでボディの線が細く、オークフレーバーがうまく馴染んだリンゴを思わせる香味が特徴。このボトルもまた例外ではなく、同様のベクトルな仕上がりとなっています。
また、ケイデンヘッドを出元とするボトルの特徴として、90年代ボトリングあたりはリフィル系統の樽感、ツンとした乾いた木のニュアンスが多く見られますが、その傾向も感じられます。
そこから察するに、ボトリング当時はもっとやんちゃでフレッシュだったものが、瓶内変化でゆっくりと馴染んできたのではないかなと思います。
実際、ヒネとまではいかないものの、瓶熟による古酒感は香味の中にあり、良い意味でまとまりに繋がっていました。

このボトルをテイスティングする機会を、今年は3回も頂いておりました。
1度目は今回とは別ボトルで、ブラインドテイスティングでほぼ口開けを飲んでおり、70年代あたりのスプリングバンクと答えて見事に撃沈。(この時はそこまで突き抜けた印象はなく、普通に美味しいくらいやなと。)
2度目はテイスティングを書いた時。タイミングの違いか、あるいは固体差か、2度目のほうが華やかさや香味の開きがありました。
また、3度目は後述するオールドブレンデッドテイスティング会でのテイスティングで、3度目のほうが美味しかったことから、時間経過で開く要素もあったと推察します。

なお、このボトルは先日のオールドブレンデッドテイスティング会にラスト2ショット分が持ち込まれており、じゃんけん大会での勝者にテイスティングの権利が!
今回、育児でイベントに参加できなかったT兄さんが、合間を縫ってボトルを届けてくださったのです。イベント本体より盛り上がった瞬間でした(笑)。
いつもありがとうございます!

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