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AMAHAGAN×空挺ドラゴンズ 作者対談イベント(6月25日 14:00~)

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先日レビューした長濱蒸溜所と漫画:空挺ドラゴンズのコラボリリース。
同作の作者である桑原太矩氏と、その関係者らによる本ウイスキーリリースを記念したトークイベントが、6月25日(日)に池袋のミクサライブ東京にて開催されます。

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『空挺ドラゴンズ』ウイスキー発売記念トークイベント
6月25日(日)14時00分~16時00分
参加費:1650円(オンライン参加は1100円)
池袋 ミクサライブ東京(〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-14-3)
https://online.mixalivetokyo.com/blogs/information/driftingdragons

【登壇者】
桑原太矩 『空挺ドラゴンズ』著者
吉平 Tady 直弘(追加ゲスト)  アニメ『空挺ドラゴンズ』監督
橘 もも(追加ゲスト)  小説版『空挺ドラゴンズ』著者
講談社・髙橋正敏 『空挺ドラゴンズ』初代担当
講談社・寺山晃司 『空挺ドラゴンズ』現担当


自分は元々この原作を読んでいて、かつ何かと繋がりのある蒸溜所の1つである長濱蒸溜所の関連ということ。
そして自分がレビューしたボトルの、ウイスキー側ではなく原作側の記念イベントであるということ。ウイスキー側がイベントを実施した事例は数多あるんですが、原作側(今回は講談社)が主導したイベントはあまりなかったと思うんですよね。
ファン層はどんな感じだろうか。長濱のコラボリリースは次もあるし、近場だし、ウイスキーに比べりゃ参加費安いし(※ココ重要)、参加してみるか~と、お買い上げありがとうございま~す。

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てな感じで参加申し込みをしたのですが。
概要を見直してみると、トークイベントの中身は書かれているものの、ウイスキー関連のイベントなら間違いなくあるはずの”酒類提供”に関する記載が無い。
え、なにこれ、ひょっとしてこれってトークだけ?
現地参加とオンライン参加の差額は、ひょっとしてライブ会場の箱代だけ?
うそやん、そんなことある?

で、調べました。
いきなり講談社に凸するのは気が引けるので、本リリースの販売を担当されている「WHISKY BAL」こと合同会社サカキさんに問い合わせたところ、サカキさんのサイトには、ちゃんと記載されていました。
どうやらイベントの主催側と販売側で持っている資格の関係で、主催側では酒類提供について記載できないようです。
なるほどよくわかりました、質問回答頂いたついでに、記事化しておきます。1600円でテイスティングセットとおつまみ付きトークショー、結果論ですが、お得でしたねw。

~~~以下、サイトから転載~~~~
【来場者サービス】
AMAHAGAN 空挺ドラゴンズver.の発売を記念いたしまして、弊社よりどちらか1セットをご提供させていただきます。こちらはトークショー中、お席にお持ち込みいただきご賞味いただけます。

『アルコールセット』
・空挺ウイスキー ハイボール(ハーフサイズ)
・空挺ウイスキー ストレート(15ml)
・じゃがスティック近江牛ステーキ味(長濱浪漫ビール)
・ミネラルウォーター

『ノンアルコールセット』
・キンキンに冷えた炭酸水
・じゃがスティック近江牛ステーキ味(長濱浪漫ビール)
・ミネラルウォーター

参考;http://whiskybal.co.jp/kodansha.html
~~~~~~~~~~~~~~

なるほど、肉に合うだから「じゃがスティック近江牛ステーキ味」か。
サイン用のボトル持って行った人は、おかわりで自分のボトルからついじゃダメなのかな?(笑)。

そんなわけで日曜日は、時間があったら池袋に行こうと思います。
なんか息子の習い事の検定試験の送迎が被っているようなので、自分が行くことになると…ひょっとしたら無駄になっちゃうかもですが。
まったく、妻子持ちの趣味活動は、こう言う時に辛いです。

長濱ウイスキーラボ ブレンディングセミナーで楽しむブレンドウイスキーの魅力

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長濱浪漫ビール(長濱蒸溜所)から、ゴールデンウイーク5月3日~5日の企画として、AZAI FACTORYでのブレンディング体験教室が告知されています。

先日紹介した発刻、祥瑞、グレンマッスル各種、そして現在進行形のいくつかの企画…。長濱蒸溜所関係者を除けば、長濱蒸溜所でのブレンドに最も関わっているのが自分です(たぶん)。
その経験から断言すると、ウイスキー愛好家がシングルカスクでオリジナルボトルを選定するのは浪漫である一方、ブレンドで自分だけのウイスキーを造るのは、浪漫以上に楽しさがある、最高の贅沢の1つ。はっきり言って、めっちゃ楽しいですよ。


長濱蒸溜所 AZAI FACTORY ブレンディング体験教室
5月3日:https://shop.romanbeer.com/view/item/000000000127
5月4日:https://shop.romanbeer.com/view/item/000000000128
5月5日:https://shop.romanbeer.com/view/item/000000000129

◇スケジュール
13時  長浜浪漫ビール集合
14時  ブレンディングセミナー開始
15時半 終了・小学校セラー見学
16時  長濱浪漫ビール着・懇親会


今回のブレンドセミナーは、滋賀県・長浜にある旧七尾小学校(廃校)を活用したAZAI FACTORYで行われます。
この設備は、校舎をウイスキーの熟成スペースに活用しつつ、理科室でブレンドセミナーを行う等、長濱蒸溜所の分室的な位置づけで2021年から整備が進められているもの。蒸留所からはkm単位で離れた場所にあることもあって通常は見学コースに含まれていないため、同蒸留所の熟成環境を見学できる機会でもありますね。

また、蒸留所に戻ってからの懇親会も、長濱蒸溜所見学における魅力の一つと言えるイベントであり、激しくお薦めです(笑)。
スケジュールとしては13時蒸留所集合、懇親会を経て19時ごろ解散であるとしても、東京から日帰りで参加出来るのもポイントです。

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※長濱蒸溜所 AZAI FACTORY 内部。どこか馴染みのある小学校の各種設備の中で熟成中のウイスキー。自分の小学校時代を思い出す懐かしさだけでない、ウイスキーに対する興味や高揚感、言葉で表せない不思議な感覚が湧き上がってくる。

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※AZAI FACTORYでの見学、ブレンド後は、長濱蒸溜所の見学と併設レストランでの食事。小規模であるため見学自体は小一時間で終了するが、食事は出来立て地ビールや長濱ハイボールと近江牛等を使った地元メニューで、通常訪問時でもついつい長居してしまう。


■長濱ブレンディングセミナーについて
これまで長濱蒸溜所は、現地以外に東京やオンラインでもブレンドセミナーを開催してきました。

なぜ長濱がブレンドかというと、同社のブレンデッドモルトウイスキーのAMAHAGANは、元々ブレンドの技術やノウハウを得るためにと位置付けられて発売されたところ。
様々なブレンドにトライし、リリースを重ねるうちに世界的なコンペでも評価され、まさに看板商品にもなったわけですが、そうした経緯からブレンドの可能性や面白さをもっと知ってほしい、そのためには実際に経験してもらうのが一番と考えたからなんですよね。

今回の記事はむしろこちらがメイン。過去のブレンディングセミナーの様子をまとめ、セミナーがどんなイメージで行われるのか、そしてどのようなウイスキーが出来るのかを紹介していきます。

※ご参考:自分のウイスキー仲間2名も、長濱ブレンドセミナーの記事や動画をUPしています。
ブログ:長濱蒸溜所のブレンド体験セミナーへ参加してきました @K67
https://k67malts.wordpress.com/2022/01/24/nagahama_blend_semi/

動画:ウイスキーのブレンド体験してきた【長濱ウイスキーラボ】@ランプちゃん
https://youtu.be/KlUGlm9WfEY

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長浜ウイスキーラボでのブレンディングセミナーは、同蒸留所の屋久ブレンダーが講師となって、蒸留所側で用意した6種類の原酒を使ったブレンドを実体験するだけでなく、作成したブレンドはお土産として持ち帰って楽しむことが出来ます。

セミナーでの基本的な原酒構成は、
・ハイランドモルト5年(ノンピート)
・ハイランドモルト8年(ノンピート)
・ハイランドモルト8年(ピーテッド)
・スコッチグレーン
ここに、長濱蒸溜所のモルト原酒(ワイン樽やシェリー樽など)と、その日のスペシャルウイスキーが1つ加わって、6種類の原酒が準備されています。
スペシャルウイスキーは何が出てくるのかわかりませんが、自分の時は約30年熟成のスコッチウイスキー。他には1982年蒸留のグレーンウイスキー等もあったようです。


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ブレンドするためには、そしてどんなレシピを作るかを考えるには、まず各原酒の個性を知らなければなりません。
セミナーの初めは、屋久ブレンダーからの説明を聞きつつ、用意されている各原酒をテイスティングするところから始まります。少量といっても6種類ありますので、この時点で飲みすぎないように注意です。なぜなら、この後ブレンドが始まると、試作品の確認としてさらに飲むことになるからです(笑)。

一通り試飲が終わったら、配られているスポイトを使ってグラスから原酒を吸い取って、自分のイメージするブレンドを作っていきます。(足りなくなった原酒は、その都度足してもらえます)
ウイスキー原酒には、混ざりやすい原酒、混ざりにくい原酒、その個性によって様々なタイプがあります。長濱蒸溜所が用意している原酒は比較的混ざりやすいモノが多く、難易度としては入門向けに抑えられていると言えますが、それでも基本は抑えないと取っ散らかったブレンドが出来てしまいます。

その基本はセミナーで屋久ブレンダーから説明があると思いますので、ここでは省略しますが、他にも味に深みや奥行きを出すためには、同じ方向の香味の原酒だけではなく、あえて真逆の香味のモノを少量使ってみるとか、グレーンウイスキーについてもその熟成感と香味に応じて使う量を調整したりとか。。。

例えば、ピートが苦手だからと、フルーティー系の原酒だけで仕上げようとするより、ほんの少しだけピート原酒を加えたほうが、フルーティーさが引き立ったり。モルティーなウイスキーを作ろうとする場合でも、100%モルトにするより、5~10%はグレーンを使ったほうが、口当たりの滑らかさと香味の膨らみがギャップとなって、逆に味わい深いウイスキーに仕上がるのです。

6種類の原酒でのブレンドでも、組み合わせはとてつもない数となります。きっと夢中になって作って飲んでを繰り返した結果、ウイスキーが出来上がるのが先か、自分が出来上がるのが先か、そんな状況になるんじゃないかと思います。

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冒頭書いたように、ブレンディングセミナーの最後は、作成した自分のレシピでお土産用のブレンドを作ってもらうことが出来ます。
ブレンドしたばかりのウイスキーは完全には馴染んでおらず、日を置いて飲んでみると、また違った表情を見せてくれるのがブレンドの奥深さであり、難しさでもあります。そこまで経験して、セミナーが完了するとも言えますね。

そして過去には、セミナーで参加者が作ったレシピをベースにしたウェビナーエディションがAMAHAGANからリリースさたりもしましたが、作成したウイスキーを参加者同士で交換してみると更に面白さが広がります。

私も上述の知人2名と、自分の作品を交換してテイスティングしてみました。
K67さんはモルティーでバランス寄りのブレンドだけど、ピートの扱いに苦労したんだろうなーとか。ランプさんはマイルドでメロー、随分グレーン寄りのブレンドにしたんだなとか。単に味わいだけでなく、原酒や工程を知っているからこそイメージできる景色があります。
イベント参加にあたっては小瓶を用意しておいて、懇親会で知り合った方々とブレンド交換をしてみるのも良いかもしれません。

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今回の記事は、別に長濱蒸溜所から依頼を受けて書ているわけではなく、純粋にこの企画が楽しいと感じての紹介になります。
最近は各種シングルモルトのリリースに加え、キリンの陸など、ブレンドに必要なハイプルーフの原酒が手に入りやすくなりました。ウイスキーの楽しみ方はもっと自由であっていいと、度々ブログやツイッターで発信してきた自分としては追い風を感じる状況ですが、その楽しみ方の1つ、ブレンドについて学べるセミナーは貴重な機会です。

今回のイベントでは、日々進化を続ける長濱蒸溜所について知ることが出来るのは勿論、ウイスキーそのものについても、ブレンドの奥深さを経験して新しい楽しみ方を見つけることが出来ると期待しています。
視野が広がるというと大げさかもしれませんが、きっとウイスキーライフの充実に一役買ってくれると思いますよ!

ザ ラストピース ブレンデッドモルトのリリースとスペース放送告知(4/1~ 抽選受付)

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ジャパニーズウイスキーボトラーズT&T TOYAMAから、世界初となる国内5箇所のクラフトウイスキー蒸留所の原酒を用いたブレンデッドモルトウイスキー「THE LAST PIECE」がリリースされます。

THE LAST PIECE 
BLENDED MALT WHISKY 
Japanese Edition Batch No,1 700ml 50% (限定300本)
World Edition Batch No,1 700ml 50% (限定800本)

Blender: TAKAHIKO INAGAKI, TADAAKI SHIMONO, KURIRIN 
Bottled By T&T TOYAMA 
発売時期:2022年4月19日(火)予定

※公式ニュースリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000031708.html

※リリース記念スペース放送
3月28日(月)21:00〜
配信URL:https://twitter.com/i/spaces/1lPKqmZeDanKb
スピーカー:T&T TOYAMA(稲垣貴彦、下野孔明)、くりりん
参考資料:本記事後半に記載

・江井ヶ嶋蒸溜所
・桜尾蒸溜所
・三郎丸蒸留所
・長濱蒸溜所
・非公開の国産蒸留所
世界初となる計5蒸留所の原酒を用いた、ブレンデッドモルト ジャパニーズウイスキーです。
また、これらの原酒に国内で追加熟成したスコッチモルトを加えた、ワールドブレンドも同時にリリースされます。販売は若鶴酒造のALCで、抽選販売(4月1日12:30受付開始、クイズ有り)を中心に行われる予定です。

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※3月25日に行なわれた記者会見風景。ニュース動画はこちら

公式発表にもありますように、くりりんがブレンダーの一員として参加させていただきました。(これまで同様に、監修料や販売にかかる利益等報酬は受け取っておりません。)
計画自体は1年以上前からT&Tの2名を中心に動いており、それこそ交換する原酒の選定などにも関わらせて頂いたところです。
ブレンダーとしての参加は、自分のテイスティング能力とこれまでのリリース実績等を評価いただいたとのことですが、本当に凄い経験をさせて貰いました。

リリースにあたっては、タイトルにもあるようにT&T TOYAMAの2名と当方でスペース放送を実施して、改めて企画の説明や狙い、そして裏話等をさせて頂きます。
例えば、ブランド名であるTHE LAST PIECEの由来にもなっている、ブレンドのトライ&エラーです。

今回の原酒は全て光るものがあり、今後の成長も見込めるものでした。しかしそれはあくまでシングルモルト、シングルカスクとしてリリースする場合であり、今回のようにブレンドするとなると、豊かな個性は必ずしもプラスにならない場合があります。
しかもジャパニーズエディションの構成原酒は、全て3年熟成でバーボン樽原酒です。シェリー樽の濃厚な香味でバランスをとるような事も出来ません。かといって、ピートを強くしすぎると他の原酒の個性が死んでしまう。とにかくバランスをとるのが難しかったですね。

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(ブレンド風景。ジャパニーズ、ワールドとも日本のクラフト蒸留所のポテンシャルを感じる事ができるレシピに仕上がった。)

THE LAST PIECEは、各蒸留所の個性をパズルのピースに例え、パズルが1枚の絵画となる瞬間、全く新しい魅力をもったウイスキーが誕生することをイメージしています。
各蒸留所の原酒の個性、混ぜ合わせたときの表情、ブレンドにおける最後の1ピースはどこにあるのか…。リリースを楽しみにしてもらえるようなエピソードを、スペースやブログ記事を通じて紹介していきたいと思います。

なお、本日3月25日はリリースに向けての記者発表が行われたわけですが。3月26日、27日のウイスキーフェスティバルでは、ブレンド直後のサンプルをT&T TOYAMAブースで同プレミアム会員のみに試飲提供するそうです。
気になる方は、ピンバッチをお忘れなく!

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※以下、スペース放送用参考資料※
THE LAST PIECE の紹介と、構成原酒を提供頂いた蒸留所に関する所感を以下の通りまとめます。
共通しているのが、若い原酒ながら熟成年数以上にまとまりがあり、どれもレベルが高いということです。
「またまた、忖度してるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、厳しめに見たとしても、どの蒸溜所の原酒もスコッチウイスキーで言うところの10~15年熟成程度のクオリティはあるものと感じています。

放送では、それぞれの原酒に感じた印象、ブレンドに使ってみた際の変化等も伺ってみたいと思います。そのため、原酒調達にあたって各蒸留所を回られたT&T TOYAMAの2人に私が色々質問をして、話を聞いていくような流れをイメージしています。


■THE LAST PIECEについて
ブランドネーミングの由来は上記の通りですが、少し異なる視点の話を記載します。
2021年にジャパニーズウイスキーボトラーズ事業を始めたT&T TOYAMAは、日本のウイスキー産業においてハブとなる存在を目指すという目標を持っています。
ジャパニーズウイスキー約100年の歴史(山崎の創業を起点とした場合)のなかで、日本には作り手がおり、蒸留所があり、それをリリースする酒販店も充実しています。しかし、スコットランドのように各蒸留所と繋がりのあるブレンドメーカー、ボトラーズメーカーが存在せず、また法律的な制限もあって、それらは非常に縦割り的で、組織を越えた横の繋がりは殆どありません。

これまでの時代であれば大手3社を中心に様々なウイスキーがリリースされ、少数のクラフトメーカーが尖ったリリースで愛好家を賑わす、そんなビジネスモデルが成立したところ。しかし今やそのウイスキーメーカーの数は創業予定のものを含めると60社を超える状況です。

如何に複雑な香味を持つウイスキーと言えど、そこまで多様性のあるものは出来ませんし、商品の製造だけでなく販売、広報にかかるコストは馬鹿になりません。
共存共栄を図って日本のウイスキー産業を更に大きなものとしていくためには、各社の間を繋ぎ、リリースを通じたPRも行う”ハブとなるメーカー”、つまりブレンドメーカーやボトラーズメーカーが業界におけるラストピースとなっています。

T&T TOYAMAには4月上旬完成予定の熟成庫があり、ここで原酒の熟成は行われていきます。
そして各クラフト蒸留所と連携し、交換、調達した熟成原酒を用いたリリースの第一歩が、「THE LAST PIECE」。彼らが目指す日本のウイスキー産業に込められた想いが結実した、ブレンデッドウイスキーであると言えるのです。

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Japanese Edition Batch No,1 700ml 50% (限定300本)
各クラフト蒸留所、3年以上熟成原酒をバッティング。

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World Edition Batch No,1 700ml 50% (限定800本)
各クラフト蒸留所の原酒を構成比率で半分以上使用。スコッチモルトは日本国内で追熟したものをブレンド。

■ラベルデザインについて
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ラベルデザインは、各蒸留所の個性がつながり、調和することをイメージして、日本の伝統工芸の一つである組子(くみこ)をモチーフに使用しています。
また、その組子の配置は細胞やDNAをイメージさせるようでもあり、これもまた繋がりと、そしてその繋がりが増えていくことで、新しい日本のウイスキーを形成することも意味として込められているそうです。

最初はパズルのピースでラベル案を作ったんですが、気がついたらめちゃくちゃスタイリッシュでカッコ良くなってました。やはりプロの技術は凄いですね。
組子は様々なデザインがあるので、今後リリースが続く場合はラベルは色違いだけでなく、異なる組子のデザインを用いていくそうです。

■構成原酒と蒸留所について
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①江井ヶ嶋蒸溜所
蒸留時期:2018年6月
度数:62.8%
系統:ライトリーピーテッド
樽:バーボンバレル

軽やかな麦芽風味にピリッとした舌への刺激、柑橘系のフルーティーさ、オークフレーバー、そしてじわじわと土っぽくピーティーな余韻。
同蒸留所の特徴として、ヘビーでフレーバーの力強い原酒とは対極にある、ライトで柔らかく、それでいて適度なコクのある原酒という印象。かつてはコシのないペラくて雑味の強い蒸留所という印象が、こうして単品で飲んでみるとその変化に改めて驚かされました。
先日リリースされた、三郎丸蒸留所とのコラボリリースFAR EAST OF PEATでも同様の役回りでしたが、今回のブレンドにおいても全体の繋ぎ、底支えとしていい仕事をしていると思います。


②桜尾蒸溜所
蒸留時期:2018年8月
度数:60.8%
系統:ノンピート
樽:バーボンバレル

ブレンドに向けてテイスティングをした際、いい意味で一番驚きがあったのがこの原酒でした。
個人的に桜尾蒸留所の原酒は、例えるならスコットランドのグレンマレイのように、プレーンで軽やか、しかし樽感を受け止めてフルーティーに仕上がる近年のスペイサイドモルトのようだと感じています。正直、もっと評価されていい蒸留所ですね。
今回の原酒はしっかりとオーキーなアロマ。軽やかでフルーティーかつナッティーな広がり。余韻がウッディでドライ寄りでもあったので、使う量には注意しなければなりませんでしたが、ジャパニーズ、ワールドともフルーティーな香味を形成する役割を担っています。


③三郎丸蒸留所
蒸留時期:2018年7月、8月
度数:63.1%、62.3%
系統:ヘビーピーテッド
樽:バーボンバレル

今回、三郎丸からは2種類の原酒が用意されていました。
どちらも三郎丸らしくどっしりとした重みのあるフレーバー構成は共通で、
63.1%のほうはモルティーで香ばしく、そして焦げたような強いスモーキーさ。
62.3%のほうはオイリーで微かにハーバル、スモーキーさの中に癖を残したような構成。
ピートフレーバーは前者のほうが素直で、一層際立っているのですが、今回のブレンドでは、後者62.3%の原酒をどう使いこなすかがポイントだったように思います。
三郎丸の原酒はとにかく強いので、使いすぎると全てのフレーバーを圧殺してしまいます。しかし、大黒柱となる存在が無いとブレンドは成り立たず、それぞれの個性が分解してしまいます。
いかにしてバランスをとっていくか…造り手に似てじゃじゃ馬です(笑)。

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④長濱蒸溜所
蒸溜時期:2018年7月
度数:59.9%
系統:ノンピート
樽:バーボンバレル

長濱蒸溜所の個性がしっかり出ていると言える原酒です。
香りはモルティーで微かにモロミの香り、穏やかな酸味とオーク香。味わいも柔らかくコクがある麦芽風味を主体として、余韻はほろ苦く軽い香ばしさが混じる。
バーボンバレル特有の華やかさはまだそれほど強くないため、5蒸留所の原酒の中では最も中立的なキャラクターと言えるかもしれません。まさに各蒸留所の繋ぎ役ですね。
今回はバーボン樽原酒ですが、くりりんは個人的に別リリース関連でワイン樽やシェリー樽原酒を使ったところ、どれも非常にいい仕事をしていました。


⑤非公開の国産蒸留所X
蒸留時期:2018年
度数:非公開
系統:ノンピート
樽:バーボンバレル

蒸留所側の希望により、完全非公開となります。私も一切コメントできません。
ただ、この蒸留所の原酒なくして、今回のブレンドレシピは成り立ちませんでした。
蒸留所の個性としてはジャパニーズ、ワールド、どちらのブレンドからでも感じることが出来ると思います。テイスティングに当たっては、各蒸留所の個性を紐解きつつ、どこの蒸留所かを予想しながら楽しんで貰えたらと思います。


⑥スコッチモルト各種
熟成年数:非公開
系統:ノンピート、ピーテッド
樽:シェリー樽、バーボン樽、ウイスキー樽

ワールド仕様のレシピに使われた、輸入スコッチ原酒です。(同仕様では、構成比率51%以上がジャパニーズ原酒です。)
国内で追加熟成された原酒が用いられ、かなりこなれているもの、日本的な個性・樽感が付与されているものがあり、ジャパニーズという枠を超えて可能性を感じるものでした。
今回のリリースでは、各蒸留所の個性と将来性を感じられるリリースがジャパニーズだとすれば、ワールドは日本だからこそ作ることが出来るウイスキーとしての可能性を感じられると思います。

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最後に、本リリースに関わったブレンダーの一人としての感想を。
日本のウイスキーはスコットランドをルーツにしていますが、現代においてはそれを完全に再現するのではなく、蒸留所毎に発酵や蒸留、そして熟成等で工夫し、各地の環境にアジャストして独自の個性を生み出しています。

例えば、温暖な日本においては樽感が強く出るため、基本的には熟成期間を短く設定しなければなりませんが、その分、長期熟成では失われてしまう原酒の個性が強く残ります。
結果、シングルモルトではそうした個性が強みとなり、現在進行形で評価を高めているわけですが。規模の限られるクラフト蒸留所単体で作る事が出来る原酒の種類、香味の幅には限界があります。
T&T TOYAMAが進めている各種プロジェクトは、まさに日本のウイスキー産業の将来を見据えたものと言えるわけです。

ただ…記事中にも書いたとおり、個性豊かなクラフト原酒のブレンドは、想像以上に難しかったですね(笑)。
これはリリースコンセプトというより、自分個人の想いとなりますが、今回のブレンドで表現したかったジャパニーズウイスキー観は「十二単」です。熟成を経たことで得られる重厚なウッディさと個性、これらが重なり合うことで生まれるウイスキーを、雅で艶やかな日本の着物独特の雰囲気に重ねています。

結果、十二単というよりは、単に着物の重ね着のような感じかもしれませんが、それぞれの原酒の個性が色彩となり、重なりあうことでこれまでにない味わいに仕上がったと思います。
最初の1杯は、是非テイスティンググラスでじっくりと、各蒸留所に思いを馳せながら楽しんでいただけたら幸いです。

OKIBA -ON AIR- 6th 長濱蒸溜所 屋久ブレンダーを迎えて 2月27日22:00〜

カテゴリ:
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Twitter スペース放送
OKIBA ‐ON AIR‐ 6th
放送日:2022年2月27日(日)22:00~23:30


ホストアカウント:くりりん@WarehouseWhisky
ゲスト:長濱蒸溜所 ブレンダー 屋久佑輔氏


トークテーマ:
・話題のリリース:
 -厚岸ブレンデッドウイスキー 大寒
 -AMAHAGAN まどろみバーメイド
・クラフト蒸留所紹介:長濱蒸溜所
・ブログ読者、リスナーからの質問回答:
 ※現在質問募集中です!

配信URL:https://twitter.com/i/spaces/1mrGmaAvqQWGy
※時間になりましたら入場出来ます。入退出は自由です。
※ゲスト以外のスピーカー参加は受付ません。質問は、@WarehouseWhiskyまでメッセージにてお願いします。
※アーカイブ放送は行いません。録音も禁止とさせていただきます。ラジオ感覚で楽しんでいただけたらと思います。


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今回は長濱蒸留所でブレンダーを務める、屋久さんをゲストに招いて、2人で話題のリリースや蒸留所紹介を進めていきます。

屋久佑輔(略歴):
長濱蒸溜所 ブレンダー。バーテンダー時代を経て 2017 年長浜浪漫ビール入社、入社当初は仕込み・蒸留をメインで担当、現在はブレンダーとしてレシピ設計や体験型セミナー等、ウイスキーの奥深さを伝えている。


屋久さんとは2017年の入社直後、スティルマンとして蒸留に関わられていた時、私が蒸留所見学に行ってお会いしました。
それ以外で特にツルんでプライベートで何か、ということはなく、蒸留所見学やイベントなどでお会いするくらいの関係で。ただ、屋久さんがブレンドに関わられるようになり、くりりんもまたブレンドリリースに足を突っ込むようになると、ちょいちょい接点が出てきたという感じです。

そのため、これまでのスペースでゲスト参加頂いた方々とは、また違う距離感でトークが進んでいくと思いますが、私は容赦しません(笑)。屋久さんもきっと、このノリを受け止めて頂けることでしょう。
皆様、ぜひご参加ください!!


~~※※以下、当日参考資料※※~~

①:話題のリリース
今回は通常のOKIBA放送なので、話題のリリース紹介があります。
ピックアップするのは、2月に発売された2種類。
・厚岸 ブレンデッドウイスキー 大寒
・AMAHAGAN まどろバーメイド ”月川雪”
です。

長濱蒸溜所の若きブレンダーは、厚岸ブレンデッドウイスキーに何を見るのか。
そして、自ら手掛けるAMAHAGANのブレンド秘話と共に、2つの銘柄を語って頂きます。

厚岸蒸留所のリリースについては、まさか長濱蒸留所のブレンダーが語るなんて、普通のセミナーじゃあり得ないような企画ですが、本放送はどこにも属さない、ただの愛好家の企画なのでやっちまいます。
そしてAMAHAGAN“まどろみバーメイド”は、リリースコンセプトとなったワイン樽原酒による“ツイスト”を思いつく経緯や、今後の続編に関する話もしていきたいですね。

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(厚岸蒸溜所 二十四節気シリーズ 雨水、処暑、大寒。
ピーティーで樽感も個性強めだった過去2作と異なり、大寒はピートフレーバーがライトでモルト以外にグレーンの風味が雪景色の白い世界を思わせる。これまでとは系統の異なる味わいに仕上がっている。)

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(AMAHAGAN ワールドブレンデッド まどろみバーメイドコラボ“月川雪”
魅力的な絵柄と、カクテルに関する深い造形で人気の漫画とのコラボリリース。発売日には蒸留所にまで列ができたという。アマハガンのレシピを、赤ワインと白ワイン樽の原酒で“アレンジ(ツイスト)”した、コラボ要素もしっかり備わっている。次回作は、伊吹騎帆か、陽乃崎日代子か…)

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(限定品含む、AMAHAGANの全リリース。コラボPBも含めると、このケースに収まらない。2018年から3年で、ここまで増えるとは…。)


(長濱蒸溜所PR動画。断片的ではあるが製造風景や熟成の流れなどが映像から伝わってくる。)


②蒸留所紹介:長濱蒸蒸溜所
蒸溜所紹介は勿論、滋賀県は長濱蒸溜所です。
元々1996年に、リカーマウンテンが開業したクラフトビール醸造所がベースとなり、2016年からウイスキー製造を開始。
この蒸留所もまた、自分がよく口にしている「最寄駅ちゃんと最寄りとして機能している蒸留所」であり、首都圏からの交通の便は良好。
併設レストランの食事と、同蒸留所で仕込まれるビールは地元のファンも多い。

1日平均で200リットルという生産量故に、1醸1樽がキーワード。
アランビックタイプの蒸留機で仕込まれる原酒は、柔らかく軽い香ばしさのある麦芽風味が主体で、嫌味の少ない短熟から仕上がるタイプ。1日あたりの生産量は少ないものの、日々の積み重ねにより、本当に多くの原酒が仕込まれています。
世界に通用するウイスキーをモットーに、とてつもないスピードで様々な活動を展開するのも長濱蒸留所の魅力であり、訪問するたびに新しい取り組みや改修が行われています。

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【簡易年表】
・1996年 ブリュワリー&レストランとして創業
・2017年 2016年にウイスキー製造免許を取得し、本格的に製造開始。
・2018年 スチルを2機から3機に新設&増設。AMAHAGANをリリース。
・2020年 長濱産麦芽による試験製造を実施。初のシングルモルト3種をリリース。
AMAHAGANがWWAの部門賞を受賞。ブレンデッドウイスキーによるPBリリースを開始。
・2021年 原酒交換によるリリース2種を発表。
熟成庫(トンネル)を公開。
廃校となっていた七尾小学校を活用し、AZAI FACTORYを始動。(校舎を使った熟成、長濱ウイスキーラボ)等を開始。
琵琶湖 竹早島での熟成を開始。
クラウドファンディングを活用してウイスキー事業を拡大。

※上記以外にも、本当に多くの取り組みが行われており、全て例示するととんでもないボリュームになります。詳細はこちら

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(ワールドウイスキーアワード2022で、長濱シングルモルト Sherry CaskがSmall batch Single malt部門でカテゴリーウィナーを受賞。モルト原酒も着実に成長してきている。)

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(2021年に公開された、長濱蒸溜所の熟成庫。使われなくなった県道のトンネルを活用している。内部は夏場でも非常に涼しく、また湿度も高い。)

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(廃校となった七尾小学校を活用したAZAI FACTORYでの熟成風景。特別な樽は校長室に置いてあるとか。さまざまな種類の樽があり、将来に向けた準備が進んでいる。屋久さん曰く、ワイン樽に可能性を感じているとのこと。また、理科室ではブレンドセミナーが開催されている。)

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(2016年に廃校となった小学校だが、設備や掲示物などが当時のまま残されており、懐かしさと寂しさが入り混じったような気持ちにさせられる。)

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(竹早島の熟成庫に送られる樽。蒸留所社長の伊藤氏いわく「パワースポット熟成」。長濱蒸留所は、蒸留所内、トンネル、学校、島、とさまざまな環境で原酒の熟成を行っている。これだけ熟成環境を分散している例は国内では他に例がない。)

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(自分だけのオリジナルウイスキーを作れる、長濱ウイスキーラボ。長濱だけでなく、都内でも開催されている。ブレンディングというウイスキーの新しい楽しさ、可能性を発信している。)

※以下、長濱ウイスキーラボ 参考資料
動画:ウイスキーのブレンド体験してきた【長濱ウイスキーラボ】
https://youtu.be/KlUGlm9WfEY

ブログ:長濱蒸溜所のブレンド体験セミナーへ参加してきました 
https://k67malts.wordpress.com/2022/01/24/nagahama_blend_semi/

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(併設レストランで提供されている長濱浪漫ビール製のエール。IPAタイプからピルスナーまで、そして怪しい限定品まで多数揃っている。このビールが美味しく、蒸留所訪問の楽しみの一つになっている。また、レストランでは新メニューが完成したとか…)


③リスナー、ブログ読者からの質問回答
ただいま質問募集中です。当日の放送を聞いて、くりりんのツイッターアカウント宛にダイレクトメッセージいただいても問題ございません。可能な限り放送中に回答させていただきます。

現在は
・AMAHAGANには長濱蒸溜所の原酒がどれくらい使われているのか。
・三郎丸や江井ヶ嶋等、原酒交換のリリースは今後も行われていくか。
・カスクエントリーは今は何度となっているか。初期は59%、途中から63%など、蒸留のノウハウにかかるその工夫と背景情報を教えてほしい。
・ブレンドの際にどのようなことをイメージしているか、何かメッセージを込めているか。
等を質問として頂いております。

なお、個人的には屋久さんも自分も、ウイスキーのブレンドに関わってるため、ブレンドの考え方、美学的なものを聞いてみたいと思っています。
それでは、今回もよろしくお願いします!

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OKIBA -ON AIR- SPECIAL 三郎丸蒸留所×江井ヶ嶋蒸溜所コラボリリース スペース放送

カテゴリ:
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OKIBA ‐ON AIR‐ SPECIAL
三郎丸蒸留所×江井ヶ嶋蒸溜所 コラボレーションリリース記念 スペース放送

放送日:2022年2月3日(木)21:00~22:30
ホストアカウント(司会):くりりん  @WarehouseWhisky

ゲスト:
三郎丸蒸留所:稲垣貴彦 ブレンダー&マネージャー
江井ヶ嶋蒸溜所: 中村裕司 ウイスキー蒸留所長
T&T TOYAMA:下野孔明 代表

トークテーマ:
・三郎丸蒸留所、江井ヶ嶋蒸溜所の現在と酒質。各ゲストが持つ両蒸留所の印象。
・コラボ企画でリリースされるウイスキーの紹介
・JWの基準下で両蒸留所が目指すウイスキー像
・リスナーやブログ読者の皆様から頂いた質問

配信URL:
https://twitter.com/i/spaces/1BRJjnjyaZRJw
※時間になりましたら入場出来ます。入退出は自由です。
※ゲスト以外のスピーカー参加は受付ません。質問は、@WarehouseWhiskyまでメッセージにてお願いします。
※アーカイブ放送は行いません。録音も禁止とさせていただきます。



先日、若鶴酒造・三郎丸蒸留所から、江井ヶ嶋酒造・江井ヶ嶋蒸溜所とのコラボレーションリリースが発表されました。
昨年、第1弾として発表された三郎丸蒸留所、長濱蒸溜所のコラボレーションは、ジャパニーズウイスキーの基準が公開された直後だったこともあって大きな話題となり、日本のウイスキー業界に新しい風を吹き込む試みとなりました。

そして第2弾は、三郎丸蒸留所が江井ヶ嶋蒸溜所と、2018年蒸留の原酒を交換し合うことで実現した企画となります。
くりりんのウイスキー置場では縁あって、本企画における最重要人物と言える中村氏、稲垣氏。
そしてジャパニーズウイスキーボトラーズ T&T TOYAMAの代表として、全国の蒸留所を駆け回る下野氏をゲストに招いて、スペース放送を実施させて頂くこととなりました。

ゲストスピーカー

…。
いや、最初は稲垣さんに声かけただけなんですよ。
スペースでトークイベント出来たら面白いですよねーって。そしたら、あれよあれよとゲストが増えてですね。しかも実施日も、どうせなら公式販売の受付期間にしましょうと前倒しに。。。
自分の雑な放送に、こんなゲスト呼んでいいの?いいんですか?
やるしかないのか。こうなったら腹を括ります!

放送では、リリースに関する紹介、トークは勿論、愛好家によるスペース配信だからこそできる踏み込んだ裏話や、現時点で未発表である江井ヶ嶋蒸溜所から今後リリースされるコラボウイスキーに関する情報。
また、例によって三郎丸蒸留所からのリリース「FAR EAST OF PEAT」の公式販売には、出題者の性格が滲み出た激ムズクイズが用意されているわけで…その内容にも少し、切り込んでみたりしたいですね。

以上のように盛沢山の1時間半の予定です。
本ブログまたは当方のTwitterアカウントではゲストへの質問も募集しますので、どしどしご連絡ください!


~~以下、当日放送用参考資料~~
三郎丸蒸留所は2016年に稲垣マネージャーが着任。蒸留所の改修計画が動き出し、クラウドファンディングなどの支援を集めて2017年の仕込みに向けて蒸留所の大規模リニューアルが行われました。2018年にはマッシュタンが、2019年にはポットスチルが交換され、段階的にリニューアルが行われていきました。

一方で、江井ケ嶋蒸留所は、2016年に中村蒸留所長がが着任。一部古いものはあったものの、生産設備が整っていた江井ケ嶋蒸留所では、まずウイスキーづくりの行程全般で見直しや意識改革を行います。(この点は、放送で解説していきます。)
結果、酒質という点で大きな変化、成長があったことは想像に難しくありません。
その後、2019年にポットスチルの交換、熟成庫増設も含めた大規模改修を実施。蒸留所名も、ホワイトオークから江井ケ嶋に変更されました。

全く接点がないように見えた両蒸留所ですが、実は2016年をターニングポイントに、翌年から大きく酒質を改善したという点。
手順は異なるものの、その改善にはキーバーソンとなる人物が居たという点。
ここに共通点があり、抽象的な表現となりますが、地ウイスキーからクラフトウイスキーへの転換が、同時期に行われてきた蒸留所なのです。

是非、現在だけでなくこれまでの自社ウイスキーについて、そして双方のウイスキーに持っていた印象についても、ゲストの皆様から話を聞いてみたいと思います。


①両蒸留所の設備等に関する参考資料
※作りや設備などは2018年時点のものを、参考資料に掲載します。

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三郎丸蒸留所外観。

三郎丸ビフォーアフター
三郎丸蒸留所 2016年(上)、2017年(下)。クラウドファンディングを経て内装、外装、一部設備を一新した。2018年時点ではポットスチルは旧世代のものを改造し、1機で製造を行っている。

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2018年に導入された三宅製作所製マッシュタン。糖化の質が向上したことで、ピートフレーバーが際立ち、香味のメリハリがはっきりとした原酒が生まれている。

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3年熟成を経てリリースされた、三郎丸0と三郎丸Ⅰ。今回の交換原酒は2018年のもの。比較することで明確に酒質の成長が感じられる。

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江井ヶ嶋蒸溜所外観。2019年以降はWhite Oak Distillery 表記からEigashima Distillery表記に変更されている。

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蒸留棟内部。粉砕→糖化→発酵→蒸留と、奥に進むにつれて製造行程も進む配置となっている。なお糖化行程で糖化と濾過が装置で分かれていたり、発酵時に加える酵母の培養タンクがあるなど、糖化・発酵行程は他の蒸留所とは異なるプロセスが採用されている。

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ステンレス製の発酵槽。

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2018年まで使われていたポットスチル。ウイスキー以外に、ブランデーの蒸留にも使われていた。

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今回の交換原酒であるライトリーピーテッドモルトの仕込みにも用いられた、ピーテッド麦芽。現在は0〜60PPMと、幅広く原酒を仕込んでいる。


②コラボレーションリリースについて
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三郎丸蒸留所:
FAR EAST OF PEATED 3rd BATCH
BLENDED MALT JAPANESE WHISKY
SABUROMARU ✖️ EIGASHIMA
700ml 50%

三郎丸蒸留所の2018年蒸留ヘビーピーテッド原酒と、江井ケ嶋蒸溜所のライトリーピーテッド原酒(バーボン樽熟成)をバッティング。
 
FAR EAST OF PEATED 4th BATCH
BLENDED MALT WHISKY
EXTRA SELECTED
(WORLD BLENDED)
700ml 50%

上述の原酒に加え、スコットランドからの輸入原酒をバッティングした、ワールドブレンデッドモルトウイスキー。

公式販売(抽選)URL:https://wakatsuru.shop-pro.jp/
※前回、そして先日の三郎丸Ⅰ THE MAGICIAN同様にクイズが用意されています。。。

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FAR EAST OF PEAT 構成原酒の一部である3樽のモルトウイスキー
・三郎丸 2018年蒸留 50PPM #295 & 296
・江井ヶ嶋 2018年蒸留 #21116 ライトリーピーテッド

三郎丸のヘビーな酒質、力強いピートフレーバーは先日リリースされた三郎丸I THE MAGICIANからも連想することができる、安定の三郎丸と言えるクオリティ。
一方、江井ヶ嶋ライトリーピーテッドモルトの、コクと適度な厚みのある麦芽風味。土っぽさやシトラスの混じる爽やかなスモーキーさには、良い意味で驚かされた。
どちらの原酒にも、造り手の熱意と技術が込められている。

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江井ヶ嶋蒸溜所:
ピュアモルトウイスキー
あかし&SABUROMARU
500ml 62%
クリームシェリー樽で熟成させた、江井ヶ嶋蒸溜所のノンピート原酒(2018年蒸留)に、三郎丸のヘビーピーテッドモルト3年熟成をブレンドした、ブレンデッドモルトウイスキー。(2022年3月頃リリース予定)


③JWの基準下で目指すウイスキー像
1年前の2月、日本洋酒酒造組合から、通称「ジャパニーズウイスキーの基準」として知られる組合基準が発表されました。
あれから1年。国内のウイスキーメーカーの多くは、その基準を意識したウイスキーを造りや、商品開発、販売を行ってきました。

さらに増え続ける国内の蒸留所、ウイスキー業界への新規参入、広がる市場。そんな中で、三郎丸、江井ケ嶋のブランドキーパーソンでもある稲垣さん、中村さんから、目指すウイスキー像について伺っていきます。
また、下野さんにも国内外の動向についてコメント頂こうと思います。

三郎丸蒸留所アップデート2019ー2020
(三郎丸蒸留所2019年、2020年のアップデート。ポットスチルZEMONの導入、第二熟成庫建設、木桶発酵槽導入、アイラピートの活用など、様々な取り組みが行われている。)

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(江井ケ嶋蒸留所は2019年にポットスチル、発酵、熟成庫増設等、蒸留所の改修増設を行った。酒質は雑味が少なく、それでいて麦芽風味豊かで微かに柑橘のニュアンスが混じるニューメイクが生まれている。)

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(日本初のジャパニーズウイスキーボトラーズ、T&T TOYAMA。三郎丸蒸留所に加え、江井ケ嶋蒸溜所も原酒を提供している。)


④リスナーやブログ読者の皆様から頂いた質問
くりりんのウイスキー置場では、当日の話題にしてほしいテーマや、ゲストに伺いたいこと、各種質問等を募集します。

OKIBA -ON AIR-のいつもの放送では、スピーカーに上がっていただきフリートークも行うところですが、今回は事前ないし当日のメッセージのみで受付とさせていただきます。
なお、可能な限りいただいた質問にはお答えしたいと思いますが、時間の関係で受付られない可能性もありますので、その場合は後日個別に返答(出来る範囲で)させていただきます。

以上、よろしくお願いいたします。

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