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モートラックではなく、モナーク。ブレンデットウイスキーです。
ボトル形状等から、1970年代の流通と思われるもの。素性はほぼ不明ながら、ラベルのデザインとその雰囲気に惹かれてしまう、ミステリアスな魅力があります。
実際、オークションに出た時の価格は他のブレンドに比べても高めです。

気になっていたブレンデットでしたが、中々手元に来ることは無く。しかしこのたび、ウイスキー仲間からのご好意でテイスティングの機会をいただきました。

THE MONARCH
6 Years old
LAMBERT BROTHERS
1970-1980’s
75Proof  26 2/3FL.OZS
(750ml 43%)

構成原酒:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:焦がしたカラメルのようなほろ苦い香り立ち。乾燥させた麦芽、ザラメ、微かに植物のえぐみ、ほのかにスモーキー。時間経過でモルティーで華やかなアロマが開いてくる。グレーン感が少なく非常にモルティー。

味:一瞬水っぽさを感じる口当たりだが、すぐにブラウンシュガーと乾煎りした麦芽の香ばしさが開いてくる。微かにレーズン、スパイス。フィニッシュはまったりとしたほろ苦さ、長く残る。  

6年表記ということもあって長熟感はないが、極端な若さも感じない。オールブランを思わせる香ばしい麦芽の香味主体のウイスキー。 
ロックは可もなく不可もなく。ハイボールもまた特筆する何かがあるわけではなく、あっさりとした飲み口と思いきや、モルト由来か意外にコクがあり上品なフレーバーの開き方。薄くなるのではなく伸びている印象。だしをしっかり引いた汁物のようで、不思議な満足感がある。
うーん、やるなあモナハイ!

 
注ぎたて香りが弱い印象があったので、テイスティング時期をフライングしてしまったかなと思ったのですが、グラスに入れて飲み進めると、しっかり開いてくれました。 
特段ヒネている印象も無く、アルコールも立っている。微かに異物感はあったもののオールドなら許容範囲のレベル。おそらく、こういうタイプのウイスキーなのでしょう。
何よりこのビカビカのラベル、外観から見た状態は完璧です。

モナークと名の付く商品は他にもいくつかあるのですが、"君主"というウイスキーの銘柄らしい大層な意味を持つ単語であるがゆえに複数のブランドが採用しただけの話で、そもそもこのブレンデットとメーカーは現在存在しません。
ザ・モナークの製造元はLambert brothers。ゴルフシリーズやジュエルオブスコットランドなどで有名なボトラーズのロンバート(Lombard)とは関係無いようです。
モナークのほかに手がけているブレンドはタリスマン、スコティッシュリールなど。ブレンデット大全によるとスコティッシュリールは別企業が販売しているのですが、Lambert borthersは海外の企業情報では1996年に会社を閉じているようですので、ライセンスを買い取ったのかもしれません。
こうして書籍や海外サイトをまわってみたものの、結局このボトルの素性、構成原酒が判明するまでには至りませんでした。
モルト含有率が非常に高いという情報もありましたが、確かに飲んでみると相当モルティーであったことは上述のとおりです。
あまりスモーキーでもなく、アイラの特徴も見られなかったので、ハイランド、あるいはローランドのそうした蒸留所になるとは思います。
(ご存知の方、ぜひ教えてください!)


来月10月中旬ごろ、テイスティング会を都内で開催します。テーマはオールドブレンデット。総勢50〜60名ほどの会で、今から開催が楽しみです。
このボトルは、その会で使ってくださいと、別件でサンプル交換をしていたウイスキー仲間から提供頂きました。
自分はつくづく人に恵まれていると思っているのですが、今回も恩恵を受けることとなりました。
皆様、いつもありがとうございます!