厚岸 ブレンデッドウイスキー 大寒 48% 二十四節気シリーズ
AKKESHI BLENDED WHISKY
DAIKAN
A Fusion of the World Best Whiskies
24th. Season in the 24 ”Sekki”
Bottled 2022
700ml 48%
評価:★★★★★(5−6)
香り:軽やかでスパイシー、ツンとした刺激から和柑橘を思わせる酸を感じるトップノート、ほのかに焦げたようなスモーキーさ。徐々にバタークッキーのような甘み、軽い香ばしさ、微かに赤みがかったドライフルーツも連想させる。
味:柔らかく瑞々しい口あたり。序盤は軽く平坦な印象を受けるが、じわじわとモルティーな甘み、柑橘や洋梨、ビターで土っぽいピートフレーバーが穏やかに広がっていく。
余韻はスパイシー、ピートフレーバーが染み込むように長く続く。
グレーン原酒を思わせるプレーンでスパイシーなニュアンスがトップにあり、そこから厚岸モルト由来の甘みや各種フレーバーが広がっていく。モルト比率は5割ほど、樽構成としてはバーボン樽メインで、複雑さはワイン樽やミズナラ樽といったところか。ピート香も控えめで体感10PPM未満、ノンピート原酒がメインであるようにも感じられる。
飲み方としてはストレート以外にはハイボールがおすすめ。軽やかですっきりとした中に、麦芽や樽由来の甘み、柔らかいスモーキーフレーバーを感じられる。
厚岸蒸留所からリリースされる、二十四節気シリーズの第6弾。2022年2月下旬に発売されたブレンデッドウイスキーとなります。
厚岸蒸留所は一般的なクラフト蒸留所同様に、ブレンデッドウイスキーに必要なグレーン原酒を自社蒸留できていませんが、グレーンをスピリッツで輸入し、自社で3年以上熟成したものを用いているという拘りがあります。
さて、今回のブレンドは過去のリリースと大きく異なり、香味とも序盤が穏やかでピートフレーバーも強く主張しない。静謐とした雰囲気を感じさせる点が特徴だと言えます。
さながら、晴れた冬の日の空気というべきでしょうか。ベースにあるのは間違いなく厚岸蒸溜所のモルトウイスキーですが、地形の起伏、色、匂い、それらが雪によって白く塗りつぶされて平坦になった雪景色のよう。ツンと鼻を刺激する冬の寒さを感じさせつつ、グラスの中で静まり返っているのです。
おそらく過去作よりもグレーンの比率が多く(公式発表では過半数がモルトとのことですが、5:5ではないかと)、また過去作とは系統の違うグレーン原酒を用いているのではないかと推測されます。
(厚岸蒸溜所からリリースされた、二十四節気シリーズのブレンデッド3種のラベル。ふと、このデザインは蒸留所から見える厚岸の景色、特に水平線の景色がモチーフではないかと思い当たった。)
このように第一印象を描くと、グレーン原酒でモルトの個性を塗り潰したような、薄っぺらく平坦なブレンドだと感じるかもしれませんが、如何に雪景色と言っても多少の変化があり、空気には地域の特色とも言える匂いが混じるように。ベースとなるモルトの香味に加えて、土の匂い、潮風、柑橘や白色果実、微かに赤みがかったドライフルーツ、徐々に複雑な印象を感じさせるのです。
樽の傾向としては、モルト、グレーンの熟成で最も比率が高いのはバーボン樽だと思いますが、複雑な印象に通じているのはワイン樽やミズナラ樽由来の香味ではないかと思われます。
なお、過去作との違いとしては、“雨水”が最も強くシェリー系の原酒のキャラクターを感じさせ、“処暑”は丸みを帯びつつもはっきりとしたピートフレーバーの主張があります。
それらを今回の“大寒”のレビュー同様に季節に置き換えるなら、雨水は春の空気が濃くなる時期であり、春の空気をシェリー樽原酒由来の甘く色濃いキャラクターで。
夏の処暑は暑さが峠を越した時期とされていますが、その名残として照りつける日差し、強い夕日がピートフレーバーで表現されているのではと。。。
私のこじつけか、考えすぎかもしれませんが、これまでは感じなかったブレンドの傾向と季節の関係が、飲み比べることによって見えてきたようにも感じました。
現在のペースでリリースが進むと、次のリリースは約3ヶ月後にシングルモルト、その後ブレンデッドですから、時期的には9〜10月ごろでしょうか。既に寒露はリリースされているため、白露、秋分、霜降あたりになると思いますが、厚岸の季節がどのようにブレンドで表現されているかも、注目していきたいと思います。