クロナキルティ ウイスキー ハイボール缶 & ジンソーダ缶

クロナキルティ RTD (Ready To Drink)缶
・潮風感じる クロナキルティ ジンソーダ 7%
・潮風感じる クロナキルティ ハイボール 7%
※ご参考:KOTOコーポレーション公式リリース:https://www.atpress.ne.jp/news/434017
先日、クロナキルティ蒸溜所の1stリリース(自社蒸留原酒)であるクロナキルティ シングルポットスチルをレビューしたところ。
その翌日である4月22日、偶然にもクロナキルティから新リリースであるハイボール缶が公式発表、ローソン限定で発売されました。
いやいや、PBやるくらいの関係だし、くりりん知ってたんでしょ?と、言われそうですが。
本当に知らなかったんですよね。ハイボール缶出すという噂は耳にしていましたが、それ以上のことは。おそらくですが、ローソンという大手企業との絡みの関係上事前にオープンはできなかったのでしょう(そう信じたいw)
そんなわけで最寄りのローソンで早速捕鯨し、まっさらな状態からレビューを書いていきます。
ちなみに、ただレビューするのも面白くないので、行きつけのお店にお願いしてクロナキルティの既存リリースとの比較も行っていきます。
なおこのブログの読者層にクロナキルティの紹介は不要かと思いますが、すごく端的にお伝えするとアイルランド南部のダーンディディで9世代続く農家が2016年に設立、2019年に操業したアイリッシュウイスキーメーカー&蒸溜所がクロナキルティです。詳細は過去記事もご参照ください。

・潮風感じる クロナキルティ ジンソーダ 7%
ミンクジンは、クロナキルティ蒸溜所で作られるスピリッツをベースとしたジン。スピリッツには同蒸留所の熟成庫と畑がある地域にある牧場産のホエイ(乳清)、またボタニカルの一つには同地域で取れるロックサンファイアを使っているとされています。
ともすると、どんな味なんだ?となりますが、基本的には、オーソドックスかつ王道的な柑橘やジュニパーの要素が主体となったドライジンです。
そのジンをベースとした缶の味はというと、これが非常にすっきりとしてドライ、そこに青みがかったジュニパーのジンらしいフレーバーが広がる、実に爽やかかつ本格的な味わいです。
「すっきり無糖、すっきりフローラル」と缶には書かれていますが、まさにですね。特にキンキンに冷やした状態で缶から直にグイッとやると、ドライな感じが強調され、後からジンらしいスパイスや柑橘、ジュニパーの風味が広がり、私はかなり好みでした。
食中酒として使っても、大概のジャンルに合わせられると思います。
一方で面白かったのが、実際のミンクジンから同じ度数設定でハイボールを作った場合、ミンクジンのほうは柑橘系のニュアンスが強く、缶のほうは青みがかったフローラルな要素が強く感じられた点です。また、香りも缶のほうが強かったように思います。
混ぜ方、度数の落とし方などの違いもあるのだと思いますが。今回は缶のレビューなので、缶の方が良かったと言えるのは歓迎です(笑)、何が違うのか、工夫があるのかは後で聞いてみたいと思います。

※海辺に生える塩生植物のロックサンファイア。塩味と磯の香りのする草。もちろん食用。画像引用:https://girisyagohan.blog.jp/archives/50470899.html

・潮風感じる クロナキルティ ハイボール 7%
クロナキルティで作られ、ブレンドしたアイリッシュウイスキーをベースにしたハイボール缶。
このリリースは、ベースとなるウイスキーがラベルデザインの似ているダブルオーク(右)かなと予想したのですが、飲み比べてみると全く味が違いました。おそらく、缶用のオリジナルレシピか国内未流通の商品をベースにしていると考えられます。
プレーン寄りで軽やかな穀物風味、徐々にバニラのような優しい甘さが炭酸と共に広がる。使われている原酒の熟成は5〜7年くらいか。アイリッシュとしては若すぎず、樽感も穏やかでクロナキルティのスタイルの優しい甘さがよく表現されています。
余韻は炭酸に混じるほろ苦さ、ほのかにオーキー。基本的には軽やかでクセのないスッキリ系ながら、温度が上がると穀物風味の広がりも。
香味から推察するにグレーン比率が高く、おそらくグレーン7〜8割、モルト(シングルポット含む)2〜3割といったアイリッシュブレンデッドウイスキー。
コメントに記載した「クロナキルティのスタイルの優しい甘さ」を感じるあたり、軸となる原酒には、自社蒸留&熟成したリリースであるシングルポットスチルウイスキーが使われているのでは…。だとすると結構贅沢なハイボール缶ですね。
(関係者に確認したところ、ほとんど正解だそうです。5/3追記)

※2024年11月にリリースされたシングルポットスチルウイスキー。ハイボールにすると素朴な麦芽風味の中に優しい甘さとほのかな酸味が引き立つ。今回のハイボール缶にフロートするのも面白い。

※クロナキルティ蒸溜所の熟成庫。銘柄にもなっているギャレーヘッド灯台の近く(ダーンディディ)の高台にあり、眼下には大西洋が広がる。
さて、今回のリリースには共通して「潮風」という表現に加え、ハイボール缶には「程よいソルティ」という記載もあります。
アイリッシュウイスキーやジンでなぜ海や塩気をイメージする表現が…という疑問に答えると、ミンクジンについては使用されているボタニカルのロックサンファイアが塩生植物であり、塩茹でしないでもしょっぱいと感じるくらいに潮気や磯の香りを含んでいること。
そしてウイスキーについては、クロナキルティの熟成庫が上の写真にあるように海辺で潮風吹き付ける高台にあり、その影響を受けているためと考えられます。
そういわれると、そういう味がしてくるような…?
何れにせよ、ジンソーダはドライで本格的、ウイスキーハイボールは優しい甘さとプレーンでスッキリとした味わいが万人受けする構成。
ジンソーダはサントリーの翠ジン缶で物足りない人に刺さると思いますし、ウイスキーに関してはもっと癖が強いほうが好み!という人もいるでしょうけれど、アイリッシュって元々そういうクセの少ないスッキリとしたタイプですから。クロナキルティブランドの入門と考えても、広報的にもアリなリリースだと思います。

ここ数年、RTD市場におけるハイボール缶の開発競走、リリース合戦が加速しています。缶のラインを持っている企業に販売プランが確立したためか、大手ビールメーカー所有以外のクラフト銘柄からもリリースが行われているところ。
今回のリリースがそうかはわかりませんが、他社の事例では1ロット10万本以上という話なので、限定で作るにしてもそれなりの販路が求められるものの、スーパーや酒販などのチェーン店であればやってやれない規模ではなく。。。
アイリッシュに限定するなら、昨年から今年にかけては上の写真にあるバスカーやイーガンズからのリリースが行われてきました。
バスカーは元々フルーティーさをウリにした銘柄だっただけに、6%のものは華やかでフルーティーな、8%は芯のある味わいの中に華やかさがあり。イーガンズは樽由来のフレーバーを複数重ね合わせて香味形成する傾向があることからか、このハイボール缶も樽由来の香味が複雑に主張してくる味わい。
お互いがちゃんとベースとなる銘柄、ブランドの個性を意識している点が違いに繋がって、お値段以上に楽しませてもらいました。
今後はRTDジャンルにどんなリリースが出てくるのか。先日は長濱蒸溜所からのAMAHAGANハイボール缶や、福島県内限定で福島県南酒販から963ハイボール缶もリリース、いずれもいい出来でした。そう言えば桜尾からジントニック缶が5月下旬にリリースされるというニュースもありました、これもたまたま4月21日発表なんですよね(笑)。
ハイボール缶戦争に加えてジン缶の仁義なき戦い。。。こちらも楽しみです。
