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2022年02月

OKIBA -ON AIR- 6th 長濱蒸溜所 屋久ブレンダーを迎えて 2月27日22:00〜

カテゴリ:
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Twitter スペース放送
OKIBA ‐ON AIR‐ 6th
放送日:2022年2月27日(日)22:00~23:30


ホストアカウント:くりりん@WarehouseWhisky
ゲスト:長濱蒸溜所 ブレンダー 屋久佑輔氏


トークテーマ:
・話題のリリース:
 -厚岸ブレンデッドウイスキー 大寒
 -AMAHAGAN まどろみバーメイド
・クラフト蒸留所紹介:長濱蒸溜所
・ブログ読者、リスナーからの質問回答:
 ※現在質問募集中です!

配信URL:https://twitter.com/i/spaces/1mrGmaAvqQWGy
※時間になりましたら入場出来ます。入退出は自由です。
※ゲスト以外のスピーカー参加は受付ません。質問は、@WarehouseWhiskyまでメッセージにてお願いします。
※アーカイブ放送は行いません。録音も禁止とさせていただきます。ラジオ感覚で楽しんでいただけたらと思います。


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今回は長濱蒸留所でブレンダーを務める、屋久さんをゲストに招いて、2人で話題のリリースや蒸留所紹介を進めていきます。

屋久佑輔(略歴):
長濱蒸溜所 ブレンダー。バーテンダー時代を経て 2017 年長浜浪漫ビール入社、入社当初は仕込み・蒸留をメインで担当、現在はブレンダーとしてレシピ設計や体験型セミナー等、ウイスキーの奥深さを伝えている。


屋久さんとは2017年の入社直後、スティルマンとして蒸留に関わられていた時、私が蒸留所見学に行ってお会いしました。
それ以外で特にツルんでプライベートで何か、ということはなく、蒸留所見学やイベントなどでお会いするくらいの関係で。ただ、屋久さんがブレンドに関わられるようになり、くりりんもまたブレンドリリースに足を突っ込むようになると、ちょいちょい接点が出てきたという感じです。

そのため、これまでのスペースでゲスト参加頂いた方々とは、また違う距離感でトークが進んでいくと思いますが、私は容赦しません(笑)。屋久さんもきっと、このノリを受け止めて頂けることでしょう。
皆様、ぜひご参加ください!!


~~※※以下、当日参考資料※※~~

①:話題のリリース
今回は通常のOKIBA放送なので、話題のリリース紹介があります。
ピックアップするのは、2月に発売された2種類。
・厚岸 ブレンデッドウイスキー 大寒
・AMAHAGAN まどろバーメイド ”月川雪”
です。

長濱蒸溜所の若きブレンダーは、厚岸ブレンデッドウイスキーに何を見るのか。
そして、自ら手掛けるAMAHAGANのブレンド秘話と共に、2つの銘柄を語って頂きます。

厚岸蒸留所のリリースについては、まさか長濱蒸留所のブレンダーが語るなんて、普通のセミナーじゃあり得ないような企画ですが、本放送はどこにも属さない、ただの愛好家の企画なのでやっちまいます。
そしてAMAHAGAN“まどろみバーメイド”は、リリースコンセプトとなったワイン樽原酒による“ツイスト”を思いつく経緯や、今後の続編に関する話もしていきたいですね。

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(厚岸蒸溜所 二十四節気シリーズ 雨水、処暑、大寒。
ピーティーで樽感も個性強めだった過去2作と異なり、大寒はピートフレーバーがライトでモルト以外にグレーンの風味が雪景色の白い世界を思わせる。これまでとは系統の異なる味わいに仕上がっている。)

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(AMAHAGAN ワールドブレンデッド まどろみバーメイドコラボ“月川雪”
魅力的な絵柄と、カクテルに関する深い造形で人気の漫画とのコラボリリース。発売日には蒸留所にまで列ができたという。アマハガンのレシピを、赤ワインと白ワイン樽の原酒で“アレンジ(ツイスト)”した、コラボ要素もしっかり備わっている。次回作は、伊吹騎帆か、陽乃崎日代子か…)

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(限定品含む、AMAHAGANの全リリース。コラボPBも含めると、このケースに収まらない。2018年から3年で、ここまで増えるとは…。)


(長濱蒸溜所PR動画。断片的ではあるが製造風景や熟成の流れなどが映像から伝わってくる。)


②蒸留所紹介:長濱蒸蒸溜所
蒸溜所紹介は勿論、滋賀県は長濱蒸溜所です。
元々1996年に、リカーマウンテンが開業したクラフトビール醸造所がベースとなり、2016年からウイスキー製造を開始。
この蒸留所もまた、自分がよく口にしている「最寄駅ちゃんと最寄りとして機能している蒸留所」であり、首都圏からの交通の便は良好。
併設レストランの食事と、同蒸留所で仕込まれるビールは地元のファンも多い。

1日平均で200リットルという生産量故に、1醸1樽がキーワード。
アランビックタイプの蒸留機で仕込まれる原酒は、柔らかく軽い香ばしさのある麦芽風味が主体で、嫌味の少ない短熟から仕上がるタイプ。1日あたりの生産量は少ないものの、日々の積み重ねにより、本当に多くの原酒が仕込まれています。
世界に通用するウイスキーをモットーに、とてつもないスピードで様々な活動を展開するのも長濱蒸留所の魅力であり、訪問するたびに新しい取り組みや改修が行われています。

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【簡易年表】
・1996年 ブリュワリー&レストランとして創業
・2017年 2016年にウイスキー製造免許を取得し、本格的に製造開始。
・2018年 スチルを2機から3機に新設&増設。AMAHAGANをリリース。
・2020年 長濱産麦芽による試験製造を実施。初のシングルモルト3種をリリース。
AMAHAGANがWWAの部門賞を受賞。ブレンデッドウイスキーによるPBリリースを開始。
・2021年 原酒交換によるリリース2種を発表。
熟成庫(トンネル)を公開。
廃校となっていた七尾小学校を活用し、AZAI FACTORYを始動。(校舎を使った熟成、長濱ウイスキーラボ)等を開始。
琵琶湖 竹早島での熟成を開始。
クラウドファンディングを活用してウイスキー事業を拡大。

※上記以外にも、本当に多くの取り組みが行われており、全て例示するととんでもないボリュームになります。詳細はこちら

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(ワールドウイスキーアワード2022で、長濱シングルモルト Sherry CaskがSmall batch Single malt部門でカテゴリーウィナーを受賞。モルト原酒も着実に成長してきている。)

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(2021年に公開された、長濱蒸溜所の熟成庫。使われなくなった県道のトンネルを活用している。内部は夏場でも非常に涼しく、また湿度も高い。)

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(廃校となった七尾小学校を活用したAZAI FACTORYでの熟成風景。特別な樽は校長室に置いてあるとか。さまざまな種類の樽があり、将来に向けた準備が進んでいる。屋久さん曰く、ワイン樽に可能性を感じているとのこと。また、理科室ではブレンドセミナーが開催されている。)

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(2016年に廃校となった小学校だが、設備や掲示物などが当時のまま残されており、懐かしさと寂しさが入り混じったような気持ちにさせられる。)

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(竹早島の熟成庫に送られる樽。蒸留所社長の伊藤氏いわく「パワースポット熟成」。長濱蒸留所は、蒸留所内、トンネル、学校、島、とさまざまな環境で原酒の熟成を行っている。これだけ熟成環境を分散している例は国内では他に例がない。)

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(自分だけのオリジナルウイスキーを作れる、長濱ウイスキーラボ。長濱だけでなく、都内でも開催されている。ブレンディングというウイスキーの新しい楽しさ、可能性を発信している。)

※以下、長濱ウイスキーラボ 参考資料
動画:ウイスキーのブレンド体験してきた【長濱ウイスキーラボ】
https://youtu.be/KlUGlm9WfEY

ブログ:長濱蒸溜所のブレンド体験セミナーへ参加してきました 
https://k67malts.wordpress.com/2022/01/24/nagahama_blend_semi/

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(併設レストランで提供されている長濱浪漫ビール製のエール。IPAタイプからピルスナーまで、そして怪しい限定品まで多数揃っている。このビールが美味しく、蒸留所訪問の楽しみの一つになっている。また、レストランでは新メニューが完成したとか…)


③リスナー、ブログ読者からの質問回答
ただいま質問募集中です。当日の放送を聞いて、くりりんのツイッターアカウント宛にダイレクトメッセージいただいても問題ございません。可能な限り放送中に回答させていただきます。

現在は
・AMAHAGANには長濱蒸溜所の原酒がどれくらい使われているのか。
・三郎丸や江井ヶ嶋等、原酒交換のリリースは今後も行われていくか。
・カスクエントリーは今は何度となっているか。初期は59%、途中から63%など、蒸留のノウハウにかかるその工夫と背景情報を教えてほしい。
・ブレンドの際にどのようなことをイメージしているか、何かメッセージを込めているか。
等を質問として頂いております。

なお、個人的には屋久さんも自分も、ウイスキーのブレンドに関わってるため、ブレンドの考え方、美学的なものを聞いてみたいと思っています。
それでは、今回もよろしくお願いします!

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オーヘントッシャン 22年 1998-2020 カーンモア for TWC 46.5%

カテゴリ:
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AUCHENTOSHAN 
CARN MOR 
Aged 22 years 
Distilled 1998/04/03 
Bottled 2020/07/06 
Cask type Bourbon #100697 
For THE WHISKY CREW 
700ml 46.5% 

評価:★★★★★★(6)(!)

香り:少しハーブやスパイス、乾いた紙のようなアクセントを伴うオーキーさ。スワリングすると熟した洋梨、あんず、黄桃のシロップなどフルーティーな甘さと、ほのかにナッティーな熟成感のあるアロマが広がる。

味:口当たりはややドライでピリッとした刺激があり、香りで感じたフルーティーさ、特に洋梨を思わせる甘味と、甘栗や胡桃のような香ばしくほろ苦いフレーバー。徐々にウッディな渋みが口内に染み込み、ジンジンとした刺激を伴う長い余韻。

バーボンバレルの熟成だが、オーキーで華やかでドライな黄色系フルーツ…という典型的な構成ではなく。同じ黄色系でも蜜やシロップっぽいフルーティーな甘さが感じられるのが特徴。
酒質は3回蒸溜ということもあってシャープな質感があり、その片鱗は香味のなかで感じられるが、それ以上に若い原酒には出てこない熟成香が、いい意味で期待を裏切ってくれる。加水の変化も良好。


THE WHISKY CREW(TWC)向けのオーヘントッシャン。
 TWCクレジット入りカーンモアは、これまでクライヌリッシュ1993、グレンキース1992、そしてこのオーヘントッシャン1998と3種類リリースされていますが、どれも当たりなボトルだったと言えます。

選定者の好みなのか、少し枯れ気味な要素はこの3種に共通するところですが、それ以上にリッチで熟した果実を思わせるフルーティーさも共通項。このオーヘントッシャンも中々ですが、特にグレンキースがすごかったです。
また、リリース直後は「ちょっと高いよね」なんて言われて即完売はしないのですが、じわじわ口コミで広まって、買おうと思ったらなかった、なんてオチも2回続いているシリーズとなっています。

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(知人からブラインドで出題されたTWC向けのグレンキース1992。バーボン樽だがこの色合い。さながら10年くらい前にリリースが多かった1970キースを思わせる濃縮感、フルーティーさがあり、まさに当たりなカスクだった…。)


さて、オーヘントッシャンといえば3回蒸溜ですが、同蒸留所に限らず3回蒸溜した原酒はベース部分の香味が薄くなるためか、クリアな酒質…というよりはシャープで、トゲトゲしたような質感になる傾向があります。
熟成による経年を経ても2回蒸溜の原酒ほど角がとれないので、このオーヘントッシャンにも多少なり感じられる要素です。
そこがローランドらしさであり、口開けは「硬さ」として認識されるのではとも思いますが、ただ、上述の通り樽由来のフルーティーさ、熟成感が補って、個性として楽しむことができるクオリティに仕上がっているのも特徴です。

かつてスコッチウイスキーでは、クリアでブレンドの邪魔をしない原酒をと、いくつかの蒸留所で3回蒸溜が試みられた時期がありました。
しかし数年で2回蒸溜に変更されている事例が散見されるのは、効率の問題だけではなくこうした香味の問題もあったのかなと思うところです。

他方で、ブレンドではなくシングルモルトとしてみた場合、そうしたキャラクターも一つの個性となり得るところ。ブラインドでこれを飲んでオーヘントッシャンと答えられる人は変態だと思いますが、良質なスペイサイドを思わせるフルーティーさがありながら、製法由来の個性もある。
良いカスクを引いてきたなと、また同じ“オチ”を予想させるリリースです。

駒ヶ岳 7年 2013-2021 for Bar ICHINANA #1717 60%

カテゴリ:
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KOMAGATAKE 
(Heavy Peated Malt) 
Aged 7 years 
Distilled 2013 
Bottled 2021 
Cask type American White Oak #1717 
For Bar ICHINANA 7th Anniversary 
700ml 60% 

評価:★★★★★★(5-6)

香り:土っぽさの感じられる丸みを帯びたピート香、焚火のようなスモーキーさ。乾いた麦芽、柑橘、微かに蜂蜜。青菜の漬物を思わせる酸と合わせて、もみじおろしのような辛さと爽やかさが鼻腔を刺激する。和的な要素を連想するアロマ。

味:麦芽の甘みとピーティーでどっしりとした主張。スモーキーな含み香に、香り同様土っぽさ、オレンジ、オークの削りカス、徐々に乾いたウッディさへ。余韻は重みのあるピートフレーバーに微かに金属や根菜系のニュアンス、スパイシーな刺激を伴う。

このカスクはキラキラと華やかでわかりやすい味わいではない。ピートも樽感もどこか垢抜けなく、逆に言えば地味な感じで、地酒という表現がしっくりくる。近い傾向としてはスコットランド・アイランズ地域のいくつかの蒸留所があるが・・・香味にあるスパイシーさ、刺激は西洋的ではない和的な辛さで、この蒸留所の個性を強烈に伝えてくる。
少量加水するとスモーキーなアロマが引き立つが、独特のスパイシーな刺激は残る。

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信州は長野県伊那市にある、BAR ICHINANAさんの7周年記念プライベートボトル。
カスクナンバー1717という、BARの店名にも繋がるチョイス。そしてBARは店主が織りなす個性ある空間を楽しむ非日常の場所とするなら、このウイスキーもまた個性を楽しめる仕上がりであり、非常にユニークな1本だと思います。

そのウイスキーに彩りを加えるラベルに写るは、グラビアモデルの桜田茉央さん。それを写真界の巨匠・立木 義浩さんが撮影という、中身以外にも目が行くボトルです。
当ブログはウイスキーブログであり、ウイスキーにとって重要なのはウイスキーそのもの、ということで中身にフォーカスして紹介していきますが、昨今増えてきたコラボラベルの1つとして、ファンにとっては堪らない1本でもあるのだと思います。

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さて、このボトルですが、マルスウイスキー・信州蒸溜所の原酒…といっても、現在のそれから見て2世代前に当たる原酒です。
同蒸留所は1985年に信州で稼働、その後1992年に操業を休止。
2011年に19年ぶりに再稼働し、2014年にポットスチルを入れ替え。
2020年には蒸留所全体のリニューアルも実施しており、鉄製の発酵槽等古い設備が入れ替えられて現在に至ります。

つまり、今回の原酒が蒸留された時期である2013年は再稼働直後にあたり、旧時代の設備で作られていた時代の原酒ということになります。
昨今稼働の増えているクラフトウイスキーは、現在のトレンドに合わせてか、あるいは設備がそうした需要に合わせられて調整されているためか、洗練されて綺麗なニューメイクが作られることが多くあるところ。この原酒はそうした設備の影響を受けているのか、外観だけでなく個性としてもユニークなボトルに仕上がっています。

要素を一つ一つ見ていくと、まず若さという点ではそこまで目立ちません。
ヘビーピート仕様でピートフレーバーは内陸系ですが、オレオレと強く刺々しく主張するタイプではなく、どっしりとした重厚さがあり、若さを感じさせない要素の1つとなっています。
樽はアメリカンホワイトオークとのことですが、最近のバーボン樽のようなキラキラと華やかな主張ではなく、蜜っぽい甘みと穏やかなウッディさが加わっている。マルス蒸溜所にたまにある「昔から使い込まれてなんの樽かわからないけど、アメリカンオークであることは間違いないからアメリカンオーク」かもしれません。

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そして最大の個性は、香りにある「もみじおろし」のような爽やかなスパイシーさにあると感じています。
余韻にもこうした和的な刺激が混じりますが、なぜこうした要素があるのか。知人に重症重度のマルス愛好家が数名いるので話を聞いたところ、これは2019年まで使われていた「鉄製の発酵槽」によるものではないか、とのこと。
これらの要素が織りなす味わいは、地的というか和的というか、どこか田舎っぽさがあり、他のクラフトには見られない個性であると思います。

そのため、本リリースは通好みというだけでなく、好みがはっきり分かれるリリースとも言えるわけですが。。。
万人向けで表情の見えない、量産されたようなキラキラモルトより、多少垢抜けなくてもこれくらい尖った個性のあるモルトのほうが、個性を楽しむシングルモルトと言えるのかもしれません。
最後にBAR ICHINANA様、月並みかつだいぶ遅いですが、7周年おめでとうございます。


※以下、本リリース関係者参考情報※
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販売元:Liquor Shop TMC
https://liquor-shop-tmc.stores.jp/
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立木 義浩(たつき よしひろ、1937年10月25日 - )
日本の写真家。徳島県徳島市出身。
1980年NHKの朝の連続テレビ小説『なっちゃんの写真館』のモデルとなった立木写真館3代目・立木香都子の次男。
1958年、東京写真短期大学(現・東京工芸大学)を卒業。
「アドセンター」設立と同時に、写真家として活動を開始する。
作品は多岐に渡るが、主に人物を撮影するのを好む。
今のグラビアの撮影の草分け的存在。
エリザベス女王が来日した際の撮影も行う。
黒沢明にも信頼され黒沢作品のスチール撮影も担当。
特にウィスキーに造詣が深く「世界ウィスキー紀行: スコットランドから東の国まで」などの、撮影のみならず寄稿も行う。
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桜田茉央(さくらだ まお、1997年10月22日) 
2019年3月に芸能事務所に所属。 就職活動を行う中、21年間ずっとなりたかった女優への道も模索し、人生の一発逆転を狙うために「ミスマガジン2019」のエントリーシート提出。この時点では反対されるだろうと、父に相談も報告もしていなかった。 2019年8月に「ミスマガジン2019 審査員特別賞」を受賞
大学時代は建築デザイン科。現在二級建築士の資格取得の為に猛勉強中。
それが、縁で日建学院の全国CMに出演中。
桜田茉央 instagram
桜田茉央 twitter 

江井ヶ嶋 ブレンデッドウイスキー シェリーカスクフィニッシュ 50%

カテゴリ:
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EIGASHIMA 
BLENDED WHISKY 
SHERRY CASK FINISH 
500ml 50% 

評価:★★★★★(5)

香り:トップノートはオロロソシェリーの甘いシーズニング香、合わせてメローなグレーン、穀物を思わせる要素も混ざり、全体的に柔らかい甘さが主体のアロマ。微かに焦がした杉板のような、古典的な日本家屋に通じる香りが混ざる。

味:まずシェリー樽由来の香味が広がる。ドライプルーンを思わせる近年系シェリーの甘み、奥にビターなカカオ、ウッディネス、微かにスパイスや針葉樹のアクセント。じわじわと舌先からタンニンが感じられ、余韻はシェリー樽の甘さが鼻腔に抜けるとともに、ピリッとした刺激が残る。

香味ともはっきりとシェリー樽の個性が感じられるブレンデッド。加水すると一瞬甘酸っぱいドライフルーツ、柑橘の皮、オランジェットなど香りを構成する要素が増すが、極短時間の変化であり、その後はドライなグレーン感が主体となる。他方で味わいはスムーズでマイルド、余韻は日本の熟成環境を思わせるウッディさが残る。輸入原酒とのブレンドとは言え、これが江井ヶ嶋のリリースである点に驚かされた。

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江井ヶ嶋酒造からリリースされている、江井ヶ嶋蒸溜所のモルト原酒と、輸入原酒(モルト、グレーン)をブレンドし、オロロソシェリー樽でフィニッシュした通常リリース。
同社のウイスキーブランドと言えばホワイトオークとあかしですが、2019年に蒸溜所名義をホワイトオーク蒸蒸溜所から江井ヶ嶋蒸溜所とし、新たに“江井ヶ嶋”ブランドを最上位に位置付けてリリースを行う、ブランド戦略の見直しが行われました。

そうしてリリースされたうちの1つが、このブレンデッドウイスキーです。
しかしこれまで江井ヶ嶋のモルト原酒は、雑に作っているのが見えるというか、悪い意味で地ウイスキー的というか、「風味が薄っぺらいわりに原料由来とは傾向の異なる雑味が多く、樽感のなじみも悪い。」
はっきり言っていい印象はなく、この蒸留所、立地以外何が良いのかわからない、というのが本音でしたね。
(同じように感じていた愛好家の皆様、江井ヶ嶋の皆様は怒らないので、黙って拍手ボタンを押しましょう。)

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他方で、昨年から2018年蒸留のカスクサンプル、直近のニューメイクを飲ませていただく機会があり、あれ、悪い要素が消えてる。。。っていうか別物じゃん、と評価を改めていたところに、先日のスペース放送です。
事前打ち合わせ含めて詳しい話を聞き、江井ヶ嶋蒸溜所のウイスキーは、同社が1919年にウイスキー販売を始めて100年経った今からやっと“始まる”のだと、確信に至りました。

字面的な印象で言えば「地ウイスキーからクラフトウイスキーへ」と言いますか。
この改革の立役者である中村蒸留所所長が着任された2016年以降、江井ヶ嶋蒸溜所では意識とプライドをもった仕込みが行われているだけでなく。2019年の改修工事前から、老朽化した配管やタンクの交換など、今まではおざなりにされていた設備の保守管理・清掃も徹底されるようになったと言う話を聞き、原酒の香味の変化にも納得しました。
やはりモノづくりは細かいことの積み重ね、基礎をおろそかにしてはならないと言うことですね。

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(2月3日のスペース放送。中村蒸留所所長の「お前ら、そんなウイスキー作ってて家族に恥ずかしくないんか、一緒に飲みたいウイスキー造ってるって言えるんか」という話は、胸の内に込み上げてくるものがあった。)

そんなわけで、じゃあ新時代の江井ヶ嶋のウイスキーを飲んでみようと。スペース放送にあたって購入していた一つが、このブレンデッドウイスキーです。
輸入原酒を使っているため、江井ヶ嶋モルト100%の香味ではありませんが、例え輸入原酒を一部使おうとも香味の仕上げに設備の影響は少なからずありますし、何より造り手の意識が低いと、よくわからないものが仕上がってくるのは説明するまでもありません。

傾向としてはフィニッシュに使われたシーズニングシェリー樽の、近年の市場で良く見る香味を主体。ですが、バランス良く仕上がってます。
江井ヶ嶋蒸留所は実はシェリー樽の保有比率が高い(全体の半分以上)そうで、これはある意味で江井ヶ嶋のハウススタイルと言えるのかもしれません。
何より、ちゃんとユーザーが求めている味に向き合っている気がしますね。フラットに見ればようやく他社と横並びのスタートラインの立ったとも言えますが、お、中々悪くないじゃんとも、思わされる一本でした。
引き続き注目していきたいと思います。

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