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2021年11月

安積蒸留所 山桜 ブレンデッドモルトジャパニーズウイスキー 50% シェリーウッドリザーブ

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ASAKA DISTILLERY 
YAMAZAKURA 
BLENDED  MALT JAPANESE WHISKY 
SHERRY WOOD RESERVE 
700ml 50% 

評価:★★★★★★(6ー7)

香り:ウッディで甘くフルーティーな香り立ち。麦芽や胡桃の乾いた要素に、アプリコットジャムや林檎のカラメル煮を思わせるしっとりと甘いアロマ。微かにスパイシーな要素が混じり、さながら洋菓子にトッピングされたシナモンやマサラを連想する。

味:リッチでコクのある口当たり。林檎ジャムや洋梨の果肉の甘み、栗の渋皮煮、紅茶を思わせるタンニン。微かに乾いた麦芽のようなアクセント。樽由来の要素がしっかりあり、それが果実の果肉を思わせるフルーティーさと、程よい渋みとなって口の中に広がる。
余韻はオーキーで華やか、スパイシーな刺激。黄色系のフルーティーさが戻り香となって長く続いていく。

まるで熟成庫の中にいるような木香と、しっとりとして熟成感のある甘いアロマが特徴的。追熟に使われたシェリーカスクは2〜3回使われたものか、全体を馴染ませている反面、シェリー感としては控えめで基本はバーボン樽由来の濃いオークフレーバーが主体。
構成原酒はおそらく2種類。一つは「かねてより弊社が貯蔵熟成しておりました原酒(背面ラベル記載)」で、10年程度の熟成を思わせるフルーティーさ。もう一つが4〜5年熟成と思しき安積蒸溜所のスパイシーで骨格のはっきりとした原酒。これらが混ざり合い、複層的な仕上がりを感じさせる。個人的にかなり好みな味わい。

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安積蒸留所を操業する笹の川酒造が、第二熟成庫の建設を記念してリリースした1本。440本限定。
本製品は安積名義ですがブレンデッドジャパニーズの区分であり、安積蒸留所の原酒に加え、背面ラベルに記載の通り「同社が貯蔵してきた原酒(国産)」がブレンドされ、シェリーカスクで18カ月のマリッジを経ているのが特徴となります。

本リリースについてはこれ以上明確な情報がなく、同社山口代表の言葉をそのまま伝えれば「シークレットリリースについて公式に情報を発信できませんが、そこも含めて予想しながら楽しんで頂きたい。」と。
また「愛好家がそれぞれの視点から予想を発信することは止めない」とのことなので、当方もいち愛好家として、本リリースの構成原酒等に関する予想を、以下にまとめていきます。

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予想の結論から言えば、構成原酒は
・安積蒸留所ノンピートモルト バーボン樽 4年程度熟成原酒
・秩父蒸留所ノンピートモルト(安積蒸溜所熟成) バーボン樽 10年程度熟成原酒
この2種類を1:1程度か秩父側多めの比率でバッティングして、リフィルシェリー樽でマリッジ。シェリー感は明示的にこれという色濃いものは出ていませんが、繋ぎとなるような品の良い甘さが付与された上で、50%に加水調整したものではないかと。

フレーバーとしては、秩父蒸溜所が昨年リリースした秩父 THE FIRST TENに似た、熟成を経たことで得られるフルーティーさと濃いオーキーさがあり。そこにほのかな酸味、骨格のはっきりしたスパイシーさと麦芽風味…これは安積蒸溜所のノンピート原酒でリリースされた、安積 THE FIRSTの延長線上にある個性。
既存のリリースからも感じることが出来る個性が、混ざり合ったブレンデッドモルトであると考えています。

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また、今回のリリースの特徴であり、そのヒントではないかと思うのが、シングルモルトではないのに安積(#あずみじゃないよあさかだよ)名義となっていることです。
笹の川酒造のウイスキー貯蔵庫には、蒸溜所の操業前から秩父蒸留所の原酒が10樽ほど保管されており、私の記憶が確かなら、該当原酒は蒸溜所を見学した2018年時点で8年熟成だったはずです。

その時点で今回のリリースに通じるフルーティーさが既にあったわけですが、2021年までマリッジ期間の18か月を含め3年強の熟成を経たとすれば、今回のリリースの構成原酒として違和感はなく。
何より蒸溜所は異なるとしても、ウイスキーの熟成で重要なファクターである”熟成環境”が、ほとんどの期間を安積蒸留所の環境下にある原酒なら、安積名義としてリリースするブレンデッドモルトウイスキーであっても同様に違和感のない構成であると言えます。

以上のようにいくつかの状況材料と、こうだったら良いなと言う願望が混ざった予想となっていますが、少なくともブレンドされている原酒の片方は10年前後の熟成期間を彷彿とさせるものであることは違いなく。そうなると、国内蒸留所でそれだけの原酒があって、しかも笹の川酒造が”かねてから熟成させていた”となる蒸溜所は、おのずと限られているわけです。

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(建設中の安積蒸留所の第二熟成庫。画像引用:笹の川酒造安積蒸留所公式Twitter

さて、ここからは仮定の話の上で、自分の願望というか、笹の川酒造とイチローズモルトの繋がりについて紹介します。

今や世界的なブランドとなったイチローズモルト。その設立前、肥土伊知郎氏が東亜酒造・羽生蒸留所の原酒を引き取った際、笹の川酒造がその保管場所を提供したという話は有名です。
ただしこれは微妙に事実と異なっており、日本の酒税法の関係から原酒を買い取ったのは笹の川酒造であり、イチローズモルト(ベンチャーウイスキー)の体制が整うまでは、笹の川酒造がイチローズモルトのリリースを代行していたのです。

ウイスキーブームの昨今なら、こうしたビジネスも受け入れられるでしょうが、当時は2000年代前半、ウイスキー冬の時代真っ只中。ほぼ同時期、余市蒸留所ですら1年間創業を休止した時期があったほどで、日本のウイスキー産業は明日もわからぬ状況でした。
そんな中大量の原酒を買い取り、血縁があるわけでもない1人の人間のチャレンジに協力する。なんて男気のある話だろうかと、思い返すたびに感じます。

さらに、笹の川酒造に保管されていた秩父蒸留所の原酒10樽。これは確か2010年頃に蒸留されたもので、ブームの到来はまだ先であり、蒸留所として製品がリリースされる前の頃のもの。
原酒を購入した経緯もまた、両者の繋がりの強さ、冬の時代を共に超えていこうという助けの手であるように感じます。

一方で、笹の川酒造が安積蒸留所として2016年にウイスキー事業を再開するにあたっては、秩父蒸留所と伊知郎さんが協力したのは言うまでもありません。
今回のリリースの構成原酒を秩父と安積とすれば、それは単なるブレンデッドとは言えない、熟成期間以上に、長く強い繋がりが産んだウイスキーであると言えます。個人的には待望の1本ですね。
単純に日本のブレンデッドモルトとして飲んでも美味しい1本ですが、是非そのバックストーリー含めて考察し、楽しんで貰えたらと思います。

グレンマッスル No,8

カテゴリ:
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GLEN MUSCLE 
AKKESHI BLEND 
No,8 "Five Spirits" 
Distilled Matured Bottled by AKKESHI DISTILLERY 
Selected Blended by Team GLEN MUSCLE with HOKKAIDO BAR 
700ml 61% 

香り:フレッシュなピート香。焚火のスモーキーさに混ざる潮騒の香り。腐葉土、ベーコン、オレンジや若い林檎を思わせる甘みと酸を伴う、力強いアロマ。

味:口当たりは度数を感じさせない柔らかさとコク、徐々に力強く、麦芽やシェリー樽原酒由来の甘みと柑橘系の酸味。続いて焦げたようなピーティーさ、ヨード、輪郭のはっきりとしたスモーキーフレーバーが鼻腔に抜け、ウッディでハイトーンな刺激が余韻となって長く続く。

若いなりにバランスの取れた味わい。厚岸蒸溜所のモルト原酒の特徴とも言える柔らかさ、麦芽の甘みに加えて、ブレンドに用いられた試験熟成原酒、スコッチ原酒、複数種類の熟成樽がもたらす個性と複雑さが楽しめる。少量加水するとバランスがさらに良くなり、香りは樽由来の甘さとシャープなピート、味わいは柔らかさが増し、余韻にかけてソルティな要素が顔を出す。厚岸蒸溜所が持ち得る原酒から、愛好家が求める味わいを目指したもう一つの厚岸ウイスキー。

※本リリースは関係者向けの限定商品となりますが、一部、信濃屋さんから一般販売(抽選受付)が11月21日(日)12:00~23:59に行われます。
販売価格は税込み13,200円。オンラインのみで実店舗での受付は無しとのこと。
また、関係者、一般に限らず発送は12/1〜で、代引きのみ対応となります。
詳細は以下のサイトを参照ください。
https://www.shinanoya-tokyo.jp/view/item/000000015897

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愛好家による愛好家のためのウイスキーブランド、グレンマッスルの第8弾。今作は、ファン待望とも言える、厚岸蒸溜所の協力のもとで作られたブレンデッドウイスキーです。
リリース本数は300本。ラベルは厚岸蒸溜所の重厚なボトルに馴染むよう、某A蒸溜所コミッティ向けリリースをオマージュしてデザインしました。ネタがわかる人にとっては懐かしい外観ではないかと思います。

構成原酒は、
・厚岸蒸溜所のノンピートモルト、ピーテッドモルト(共にバーボン樽熟成)
・試験熟成国産原酒A(ミズナラ樽熟成、シェリー樽熟成)※
・試験熟成国産原酒E(シェリー樽熟成、アメリカンオーク樽熟成)※
・輸入アイラモルトウイスキー
・輸入スコッチグレーンウイスキー
ジャパニーズとスコッチのブレンドで、所謂ワールド仕様のレシピとなります。

そして蒸溜所としては5か所の原酒を軸にしていること。ブレンドレシピの模索・決定には、チームグレンマッスルに加えて、北海道のBAR4店舗、合わせて5組のメンバーがタッグを組んだことから、本リリースは5つの蒸溜所の魂と、5組の造り手の熱情を秘めたものとして、”Five Spirits”がサブタイトルとなっています。(No,8ということで、8種類の原酒を使っているのもポイントと言えます。)

※試験熟成国産原酒:厚岸蒸溜所が建設される前、厚岸の風土が原酒にもたらす影響を確認するため、2013年から建設予定地で行われていた熟成実験。日本国内の2蒸留所の原酒が用いられており、蒸溜所が稼働した現在も熟成が継続している。

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今回のリリース、企画にご協力いただいた厚岸蒸溜所…については、これまで当ブログでも記事にしていますし、それ以上に高い知名度です。本記事では、グレンマッスルNo,8が誕生するまでの流れ等を紹介していきます。

企画の始まりは昨年11月。個人的に兼ねてから厚岸蒸溜所の皆様とは交流があり、いつかは厚岸蒸溜所とタイアップした企画を実施してみたいと、思い切って企画を持ち込みました。すると快く承諾頂き、その後は何度かのWEBミーティングと企画書のやり取りを経て、蒸溜所から原酒のサンプルが到着したのが2021年2月頃。
また同時並行して、本企画は北海道の皆様と一緒に形にしていきたいと。1stリリースからグレンマッスルを応援してくださっていた、BAR無路良の山田さんの紹介で、4店との合同チームを結成しました。

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原酒の選定にあたっては、従来の厚岸ウイスキーとは異なるベクトルで、グレンマッスルらしさである「尖った魅力やワクワクするような構成」を実現するため、厚岸蒸溜所の原酒に加えて、同蒸留所が保有している試験熟成原酒等、通常リリースで使用していない原酒を依頼。
本来なら、蒸溜所に伺って直接やり取りをさせて頂くところですが、今年の日本はコロナウイルス感染拡大真っ只中。。。現地訪問は叶わず。しかし樋田社長のご厚意で「納得いくものを造ってください」と、大変多くの原酒サンプルを頂きました。

厚岸蒸溜所が、こうして外部のメンバーとタイアップしたブレンドウイスキーをリリースするのは初めてのことです。我々としても満足のいくものを造りたいですし、その心意気を裏切るわけにはいきません。そのため、レシピの選定は、
(1)グレンマッスルメンバーがそれぞれ2種類ずつ、計8種類のレシピを作成。
(2)ゲストも交え、この8種類から半分に絞る第一次評価を実施。
(3)厚岸蒸溜所側での評価、北海道BARによる評価を頂き、最も評価の高かった1つのレシピをリリース
以上の流れで、関係者による複数回の審査を経て実施しました。

選ばれたレシピのモルト比率は8:2。構成比率として最も多く使われているのは、厚岸蒸溜所のモルト原酒とアイラモルトウイスキーで、おそらく20~30PPM程度の比較的ピーティーな仕上がり。
ベースにある厚岸モルトの麦芽風味と柔らかい甘さ、複数種類の樽がもたらす香味を繋ぐ、シェリー樽原酒の色濃い風味、ミズナラ樽由来の複雑さ。異なるピートフレーバーの融合も香味の多彩さの一端を担っていると思います。

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こうしてレシピが決まったのは今年の6月頃でしたが、ボトリングは厚岸蒸溜所のリリースの関係から10月末。使用することが決まっている原酒は樽に入ったままであるため、熟成を継続していくこととなります。
厚岸蒸溜所はリリースのタイミングが年間計画で決まっているので、通常リリースでもこういうことが珍しくないのだとか。特に今回は、ブレンドしてマリッジしたのではなく、大きな影響があると考えられる夏場を越えた後でレシピに基づきブレンドする。完成図を予想してレシピを作る、これまでにない難しさがあったと言えます。

そして追加熟成を経た原酒によるブレンドは9月に行われ、そこからステンレスタンクで1か月強のマリッジ期間を経て10月末にボトリング。企画が始動してからちょうど1年、晴れてリリースとなりました。
なおレシピ作成時点の原酒で試作したものと、半年後にブレンド・ボトリングされたものを記憶の上で比較すると、熟成を経て得られた樽感、口当たりの丸みなど、全体的にいい方向に変化しており、自画自賛ですが上手くバランスをとることが出来たと感じています。

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表ラベル案

ちなみに、ブレンド待ちだった夏の間に行っていたのがラベル作成です。元々は上のラベル画像2枚目のように、シンプルなデザインにするつもりでした。
ところが厚岸蒸溜所のボトルに張り付けてみると、まあ合わないこと合わないこと…。ボトルが重厚過ぎて浮いてしまうのです。紆余曲折あって今回のラベルに落ち着いたわけですが、印刷会社との間に入って頂いた蒸溜所の担当者Yさんには本当にご迷惑をおかけしました。


グレンマッスルはウイスキー好きが思わず笑顔になるような美味しさや、ちょっと尖った魅力のあるリリースを、愛好家が蒸溜所やウイスキーメーカーとの協力で実現していくことをコンセプトとした、オリジナルブランドです。

今回は若い原酒を中心にしたブレンドウイスキーであるため、香味の中にやんちゃな部分や荒々しさが残るところはあります。
しかしそれ以上に、厚岸蒸溜所の原酒がもたらす厚みのある麦芽の甘み。おそらく明示的に使用されているものとしては初となる、厚岸蒸溜所が建設される前から実施している試験熟成による原酒を使ったものや、ピーティーなアイラモルトもブレンドに用いているなど、ワクワクしてもらえるようなリリースに仕上がったのではないかと思います。

こうしたリリースを形にしていくには、過去どのグレンマッスルにおいても、我々だけの力では実現できず、蒸溜所やウイスキーメーカーの皆様のご協力と、そしていつも本リリースを応援してくださっている愛好家各位の後押しがあったからこそ、実現できたのだと感じています。
企画を快諾頂くと共に、様々な無理を聞いてくださった厚岸蒸溜所の皆様。これまでのリリースを応援し、今回のリリースにも快くご協力いただいた北海道のBAR4店の皆様。改めまして感謝申し上げます。
そして、本リリースに関心を頂きました愛好家の皆様。発売後は是非笑顔で、本リリースを楽しんで貰えたら幸いです。

2021年11月 TEAM GLEN MUSCLE 一同

オスロスク 15年 2006-2021 55.5% GM for ハリーズ金沢

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AUCHROISK 
GORDON & MACPHAIL 
For Harry’s KANAZAWA 
Aged 15 years 
Distilled 2006 
Bottled 2021 
Cask type Refill Bourbon Barrel 
700ml 55.5% 

評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでオーキー、バニラ、ココナッツ、洋菓子系の甘さ。序盤はウッディでドライなトップノートだが、徐々に熟したバナナや洋梨、フルーティーな甘さが開いてくる。

味:コクがあって柔らかい度数を感じさせない口当たり。麦芽風味と合わせてオークフレーバーの塊。マロングラッセと黄色フルーツのアクセント。徐々にドライでウッディ、スパイシーなフィニッシュ。
時間経過でオークフレーバーの塊が解け、林檎のコンポートや白葡萄を思わせる甘く華やかなフレーバーが広がってくる。

近年のGMコニチョらしい蒸溜所の個性を活かしたカスク。リフィルバーボンバレルだが、1st fillかと思うくらいに濃厚なオーキーさがあり、それでいて渋みが強いというわけではない。オスロスクらしい適度な厚みのある酒質、柔らかい麦芽風味が馴染んでいる。
時間経過での変化についてはコメントの通りで、開封直後やグラスに注いだ直後は絡まって一つの塊になっているフレーバーが、徐々に解け、広がっていく点がこのボトルの注目すべき点である。また、加水の変化も同様でしっかりと伸びてくれる。これは手元に置いて1本付き合いたいボトル。

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先日より応援記事を投稿している、BARハリーズ金沢さんの記念ボトル。
経緯については過去記事に記載の通り、三郎丸蒸溜所ともつながりの深いBARハリーズ高岡が金沢駅前に移転することとなり、その店内内装にかかる費用としてクラウドファンディングが行われています。
このボトルはそのリターンの1つとなっているもので、今回サンプルを頂いたのでレビューを掲載します。

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※クラウドファンディングは11月18日まで。初期の目標額である300万円は達成しており、500万円のネクストリターンも達成間近。後30万円!!
樽焼きステーキ&ウイスキーが楽しめるモルトバー「ハリーズ金沢」を作りたい‼ - CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)

オスロスクのリリースは最近少なく、特に近年間違いのないGMコニチョとなれば、気になっている人も少なくなかったのではないかと思います。
で、飲んでみた感想としてはやはり間違いなかったわけです。カスクストレングスでハイプルーフらしい余韻の強さ、麦芽系のフレーバーの厚み、熟成を経たことによる奥行きがあり、それでいて近年のトレンド的なフレーバーは外さない。一見すると通向けというか、地味なところがあるスペックですが、ある程度飲んだ愛好家にとってはこういうのが良いんです。

某ロールスロイスとか政府公認第一号とかより、タムデューとかノッカンドゥ―とか…こういうちょっとマニアックなところのほうが”くる”んですよね。
また、今回のボトルのポイントはリフィルのバレルでありながら、しっかりとしたオークフレーバーが備わりつつ、逆にウッディすぎないバランスの良い仕上がりがポイントです。開封後の変化が良好であることから、それこそハリーズ金沢が今後長く金沢の地でウイスキーを広めていくにあたり、5年後であっても10年後であっても変化を楽しめるような、同店にとって基準であり、基盤になるようなボトルだと感じます。これは良いカスクを選ばれましたね。

ハリーズ金沢のオープンは11月23日(火)。マスターの田島さんから頂いた写真を見て、その雰囲気の良さにびっくりしました。なんで東京にないんでしょうか(笑)
カウンターの一枚板の雰囲気、マーブル模様のような木目は、同店が以前あった高岡の銅器を思わせる模様の洋でもあります。
昨日の東京のコロナ感染者は7名。月曜日とはいえ今年一番低い数字。いよいよ現実を帯びてきたアフターコロナの社会。。。三郎丸蒸留所にも去年以来いけてませんし、北陸に脚を運ぶ楽しみがまた一つ増えました。

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【経過報告】ハリーズ金沢 クラウドファンディング続報 (11月18日まで)

カテゴリ:

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ハリーズ金沢
〒920-0853
石川県金沢市本町1丁目3-27 2F
TEL:0762258830 
OPEN:2021年11月23日
SNS:https://twitter.com/TazimaKazuhiko

先日、当ブログで紹介させていただいた、ハリーズ金沢のクラウドファンディング。
無事目標額を達成し、支援額は現在350万円オーバー。ネクストゴール500万円に挑戦中です。

一方で、既に店舗は予定していた工事に着手しており、ハリーズ高岡時代は溢れにあふれていたボトル約1000本も、金沢店では綺麗にバックバーに配置完了。グランドオープン11月23日に向けて更なる準備を進めていくところとのことです。
(マスターの田島さん曰く、今後はバックバーにボトルはきっちり収納し、カウンター上はまっさらに保ちたいとのこと…本当に大丈夫でしょうか(笑))

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そういえば、前回の記事ではさわり程度しか紹介しなかったハリーズ金沢ですが、ただのBARではないんですよね。
1Fにはリカーショップ併設の、ステーキハウス「薪火三庵」がOPEN。このステーキハウスは、肉を焼く際、ウイスキー熟成後の樽材やミズナラ材等を使って焼き上げるとのこと。

樽材で肉を焼いたことはありませんが・・・、アウトドアでウイスキーかけながら焚火で肉を焼いたことはあり、独特の甘い香りと炭火とは違う焼き上がりが美味しかった印象があります。それを熟成ウイスキー樽材でやるということで、どんなアクセントになるのか楽しみです。

ちなみにクラウドファンディングは11月18日までであるところ、日程の関係で支援は今日までなんですが、マスターがネタに走った支援プラン「レセプションご招待プラン」があるんですよね。
T&Tの熟成庫建設クラファンの時に、おもてなしプランと高所作業車名づけ権がありましたが、要するにアレ。
何というか…こんなキャラじゃないのに…無茶しやがって(笑)

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 余談ですが、ハリーズと言えば三郎丸。
その三郎丸蒸溜所からシングルモルト第2弾、三郎丸Ⅰ”THE MAGICAN”の11月29日リリースが正式に発表されました。

前回のリリース、三郎丸0の仕込みは蒸溜所リニューアル直後の2017年。そこから比較して2018年は三宅製作所のマッシュタンを導入した仕込みの年で、ニューメイクをテイスティングした限り明らかに酒質が向上しており、当ブログでも「愛好家が三郎丸蒸溜所への評価を改める時が来た」と記事にした、その仕込みの原酒です。
前作も楽しみでしたが、それ以上に今年のリリースが楽しみにならないわけがないでしょうと。

販売方法は抽選で、前回の販売同様…いや、それ以上に難しいクイズが関門となっていますが。三郎丸ファンにとっては問題なく解ける内容かと思います。かくいう私も、リニューアル前から三郎丸を応援している一人で、もはや赤子の手をひねるような…すいません、1問ググりました、白状します。
益々熱を帯びる北陸のウイスキーシーン。金沢、富山、早く現地に行けるようになる日が待ち遠しいです。

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Twitter スペース放送のご案内 11月7日22:00~ OKIBA -ON AIR- 3rd

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OKIBA -ON AIR- 3rd 
11月7日(日)22:00~ 
@WarehouseWhisky 

https://twitter.com/WarehouseWhisky 

Twitterのspace 機能を使って、ウイスキー関連のラジオ風放送をします。
毎月1回、既に過去2回実施していて、今回が3回目。
以前はスペース機能があまり安定しておらず、音声が途切れたり、途中でスペースそのものが落ちてしまうということもありましたが、最近は安定してきているようなので、今回はブログとも連動させてみます。

入退出は自由、勿論何か事前登録が必要とかはありませんので、興味あります方はご参加ください。


【放送内容】
①最近の注目ボトル
②日本のクラフトウイスキー蒸溜所紹介:厚岸蒸留所
③今月のホットトピックス:トロピカルフレーバーの整理と傾向について
④質問受付、フリーセッション

spaceの参加方法について、わからない方は適当にぐぐってください。上述のTwitterアカウントをフォロー頂ければ、時間になるとTwitterアプリの画面上にスペースの情報が表示されるかと思います。※Twitterアプリが必須です。

なお、トップの画像にも記載してありますように、この放送は洒落たBGMなんてなく、くりりんがひたすら1時間強話し続ける放送です。
参加頂く皆様は、各自お手元に飲み物と、そして別途BGMを調達してご参加いただけますと幸いです。

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【内容紹介、参考画像】
①最近の注目のボトル
1カ月に1度の頻度で放送している、本スペース。その1か月間の中で面白いと感じたリリース、これと思う銘柄を紹介していきます。今回は10月5日に都光さんが輸入を開始した、ラッセイ蒸溜所のスタンダードラインナップから。

ラッセイ蒸溜所 
RASSAY SINGLE MALT
R-01 46.4%
R-02 46.4%

※販売元コメント
アイル オブ ラッセイ蒸溜所は、スコットランド西海岸にあるヘブリディーズ諸島のひとつ、ラッセイ島で稼働する唯一の蒸溜所です。スコットランド出身の起業家「ビル ドビー」氏とウイスキーブレンダーであり、植物学者でもある「アラスデア デイ」氏により 2014 年に設立されました。

同蒸溜所のモットーは「品質至上主義」。その独特な味わいを決定づける大きな特徴のひとつが仕込水です。
ダンカン山に降った雨は火山岩を通り、ジュラ紀の砂岩によって濾過されます。そのため、敷地内で汲みあげられた仕込水はミネラル分を豊富に含んでおり、それを醗酵に使用することで非常にフルーティなスピリッツが生まれます。
この仕込水は加水などを含む全ての工程で使用されており「アイル オブ ラッセイ」のウイスキーに独特の甘い風味を与えます。そして、もう一つがユニークな樽熟成です。現在使用している樽は主にライウイスキー樽、ボルドー赤ワイン樽、そしてチンカピンオーク樽の 3 種類で、これにピーテッドとノンピーテッドのスピリッツを詰めることで、計 6 種類の原酒を熟成しています。
これは素晴らしい品質の 3 年熟成を造るという計画のもと考え出されたメソッドであり、熟成期間が短いながらも複層的で複雑さを感じるウイスキーを目指しています。

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②日本のクラフト蒸留所紹介
1放送で1蒸留所、連載的に紹介していきます。
今回は厚岸蒸留所です。立冬のリリースも控えており、この蒸留所の成長、目指すところ、これまでのリリースの傾向等を、自分が知っている範囲で小ネタも交えて紹介します。

なお、後日GLEN MUSCLE No,8もリリースされますが、このウイスキーについては追ってメンバーとスペースか何かイベントをやりますので、今回は蒸溜所との調整やブレンドを通じて知ることが出来た、蒸溜所の特徴等を紹介するに留めます。

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③今月のホットトピックス:トロピカルフレーバーの整理と傾向について
昨今、必ずといって良いほどウイスキーシーンで見られる「トロピカルフレーバー」。このフレーバーを追い求める愛好家は多く、先日は、Whisky-e社が代理店となったアイリッシュウイスキー”バスカー”の公式コメントがきっかけになり、トロピカルフレーバーという単語が界隈を駆け巡りました。

ただ、このフレーバーは時代時代によって類似のフレーバーを求める動きと、広義的な解釈が重なったことから、適用される香味要素が広がってきた傾向が一つ。また、一部のフレーバーは原酒の枯渇と高騰から市場に出回りにくくなり、こと現代においては、飲み手がいつからウイスキーを意識して飲んでいたか、いつ頃の市場の状況を基準にしているかによって、適用されるフレーバーが異なるという変化も起こってきています。
どの表現が正しいということを言う話ではありませんが、その傾向を以下の資料に沿って超主観的視点ですが、解説していきます。

トロピカルフレーバーの整理と傾向
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④質問受付、フリーセッション
Twitterのメッセージ等で頂いている質問を紹介、回答させて頂きます。
ラジオのお便り紹介的なコーナーですね。
既にいくつか質問頂いており、
・並行品と正規品で味の違いはあるか。
・ウイスキー開封後の賞味期限は、パラフィルムの効果は本当にあるか。
・憧れのウイスキーを購入した、テイスティングにあたって魅力を最大限楽しむにはどうしたらいいか。
以上3つは取り上げる予定です。

また、Twitterのspaceは、リスナーが発言者(スピーカー)に入ることも出来るため、質問や発現がある方は是非このセッション中にスピーカーの参加希望を頂き、ご質問、お話を頂ければと思います。
(Twitterアカウントにメッセージを直接頂いても、可能な範囲で取り上げさせていただきます。)


以上を1時間くらいでやっていきます。
結構色々質問を頂くので、初回は3時間、2回目も2時間強やっていた記憶があります(笑)
ですが、流石に今回は3回目ですし、あまり延長なく終わるかな?というところで、今回もよろしくお願いいたします。

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