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2020年06月

アラン シェリーカスク 55.8% 2019年リリース

カテゴリ:
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ARRAN 
Sherry Cask 
Cask Strength 
Cask type Sherry Hogshead 250L 
700ml 55.8% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@サンプルテイスティング
評価:★★★★★★(5-6)

香り:樽由来の甘やかさに加えてハイプルーフ故の刺激。甘栗や焼き芋の焦げ感を伴う甘さに、ライムのような柑橘系の爽やかさをともなうシーズニングシェリー香。時間経過でダークフルーツを思わせる甘みが主体的に。

味:パワフルな口当たり。香り同様にハイプルーフ仕様らしい刺激が口内に広がるが、合わせてシェリー樽由来の粘性のある甘味がそれをコーティングしている。ドライプルーンやキャラメルコーティングしたナッツの甘みとほろ苦さ、奥には若い原酒の酸、若干の焦げ感を伴うウッディネス。
余韻はドライでほのかに樽由来のタンニン。シェリー樽由来の甘さの中に、微かにオーキーな黄色系のフルーティーさが混じるアランらしさも感じられる。

全体の仕上がりの粗さはあるが、しっかりとシェリー樽のキャラクターが備わっている1本。一方で原酒の個性なのか、樽由来なのか、1st fill シェリー樽100%での熟成ながら、他の同系統リリースには見られない柑橘系の爽やかさや余韻のフルーティーさが特徴でもある。少量加水すると口当たりがまろやかになり、親しみやすくなる。

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2019年にオフィシャルラインナップを一新したアラン蒸留所。その際、ラインナップに加わったのがカスクストレングスのシェリーカスクです。
樽構成は1st fillのシェリーホグスヘッドのみで、熟成年数は海外情報では7年程度という記述もある若いタイプ。香味の点から見ても、熟成年数については違和感なく、樽は1st fillといっても、ヨーロピアンオークとアメリカンオークのもの、両方が使われていると思われます。

テイスティングでも触れましたが、このボトルにはシェリー系の色濃い甘みの中で、香りにライムなどの柑橘香、味には余韻にかけて黄色いフルーティーさが若干混じるため、それが特有の個性として感じられます。
おそらく、色濃いシェリー感はヨーロピアン(スパニッシュ)オークに由来するものですが、ヨーロピアンオーク100%ならもっと濃厚な仕上がりになってもおかしくありません。このリリースはそこにシーズニング期間の浅いアメリカンオークの原酒が混ざり、若い酒質由来の要素と合わさって上記の個性に通じているのではないかと考えられます。

よってジャンルとしては、所謂アベラワーのアブナックやグレンファークラスの105のような、10年熟成未満の短熟ハイプルーフ仕様にあたりますが、価格的にも内容的にも競合製品に負けていない(というか上位に食い込む)クオリティに仕上がっているあたり、流石アラン蒸留所だなと思ってしまいます。
ここで「流石アラン蒸留所だな」と自然に思えてしまうことが、ファーストリリースから20年間かけて築き上げてきた実績なんでしょうね。 アランのリリースなら外さないだろうという安定感、今回の大幅リニューアルで変更のあった他のボトルも総じて好評で、特に1万円以下の価格帯では磐石とも言えるラインナップが揃っていると思います。



なお、アラン・シェリーカスクは昨年リリース直後にテイスティングして、リカルのほうに紹介記事は掲載していましたが、ブログでのレビューはしていませんでした。※トップの写真はその時のものを使用。
先日、ウイスキー仲間とZOOM飲みでブラインドテイスティングをした際、サンプルとして頂いていたモノの中にこれがあり、せっかくなので記事にもしようかなと。(その際のブラインドは、「ウイスク・イーで取り扱いがあるボトル」という前置きがあったため、ボトル指定で正解できました。)

改めて飲んでみると、粗削りながらアランらしさもあり、ネガティブさの少ないシェリー感はわかりやすい魅力もある。5000円台の価格設定としては優秀な1本ですね。シェリー系は夏に向かないと愛好家の中で評価されることもしばしばありますが、これはレビューでも触れた柑橘系のフレーバー故にあえてハイボールで使ったり、ロックにしたり、冷やして使うことも出来る、ハイプルーフながら使い勝手の良いシェリー系リリースだと思います。

シングルモルト 長濱 3年 2017-2020 ミズナラカスク 53.7% #0002

カテゴリ:
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NAGAHAMA
Single Malt Japanese Whisky
Aged 3 years
Distilled 2017.3.20
Bottled 2020.4.22
Cask type MIZUNARA Cask #0002
500ml 53.7%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★(5)(!)

香り:キャラメルを思わせるような濃縮感のある甘いアロマ。日本家屋や古い家具のような落ち着いた木香に、甘栗や干し草、ニッキ、クローヴ等のスパイス香、ほのかにお香のような要素も混じる。

味:干し柿や杏のペーストを思わせるようなねっとりとした甘いオークフレーバーに、若い原酒に由来する酸と微かに根菜系のピートフレーバー。続いてスパイシーでハーバルなニュアンスが混じる複雑な味わい。余韻はドライでウッディ、ほのかなタンニンの渋みが樽由来のキャラメルシロップのような甘さを伴い長く続く。

短熟ながら熟成環境に由来して樽感が強く、濃縮したミズナラフレーバーが特徴の1本。現時点ではまだフルーティーさやミズナラ樽に求める香木系のニュアンスが整っていないが、ニッキ系のニュアンスが強く出たり、ウッディなタンニンが強すぎたりという熟成の若いミズナラ樽にありがちなネガティブな部分が目立たず、面白い複雑さが楽しめる。将来リリースされるブレンドやシングルモルトの軸としても可能性を感じる1本である。

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長濱蒸留所、ファーストリリース三部作のうちの1つ。おそらく最も注目されているのではないかと思われるミズナラ樽熟成の1本。また、ほかの2本がノンピート仕様なのに対して、このボトルはライトリーピーテッド仕様となっています。

長濱蒸留所からは、これまで
・ノンピート(0ppm)
・ライトリーピーテッド(??ppm)
・ピーテッド(20ppm)
・ヘビリーピーテッド(45ppm)
と、ピートの強弱で4種類のニューメイクがリリースされていますが、今回のリリースに使われているライトリーピーテッド原酒は、ノンピート用とピーテッド用の麦芽を仕込み段階で混ぜ合わせているため、フェノール値が測定できないためか、数値としては明らかになっていません。

ただ、同仕様のニューメイクを飲んだ印象としてはフェノール値は10弱程度という感じ。ピートフレーバーは熟成によって減少していくため、長濱蒸留所の雑味が少なく柔らかい味わいの酒質と合わさって、スコットランドの内陸蒸留所のいくつかに見られるような、モルティーでほのかなピート香という熟成後の仕上がりを予想していました。
今回のリリースを飲んだ印象としてもそれは変わらず、順調にまとまってきていると感じます。

そして注目ポイントはもう一つ、ミズナラ樽由来のフレーバーです。
新しいミズナラ樽の短熟は、愛好家が求める所謂オリエンタルなフレーバーやフルーティーさよりも、ニッキ等のスパイシーさやウッディなえぐみが先行して出てしまいがちな傾向があります。
長濱モルトも1年未満のものはそうしたキャラクターが出ていましたが、熟成環境によるものか、樽の仕様によるものか、3年と短い期間でありながら樽由来の甘みがあって、既にリッチで複雑さもあるフレーバーが付与されているのです。

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(2017年に蒸留所を見学した際、試飲したカスクサンプル4種のなかに同じ仕様で蒸留日4日違いのミズナラ樽原酒があった。この時点では樽の甘みよりニッキ系のフレーバーが強く出ていたが、ここから約3年の間にこれだけの成長を見せたと思うと非常に興味深い。)



長濱蒸留所が火入れ(創業)式を行った際、記念式典と合わせて最初に蒸留された原酒を詰めた樽がミズナラ樽でした。次のミズナラ樽はピーテッドで仕込むことが触れられていますが、今回のリリースのカスクナンバーが2番であることからも、リリースされたのはまさに引用したFacebook投稿で書かれている樽ではないかと考えられます。

投稿では”ピーテッドモルト100%で仕込んだ原酒”とありますが、実際の仕様がライトリーピーテッドなのは、原酒の試作を進める中で方針の変更があったのかもしれません。
結果論ですが、それは正しかったとも思えるのがテイスティングを通じての印象でもあります。長濱のピーテッド&ヘビーピート原酒は、ベースの酒質のボディがそこまで強くないためか、ニューメイク時点ではちょっとピートが浮つくように感じていました。その点、自然にまとまりそうなライトリーピーテッドのほうがミズナラフレーバーとの馴染みも良さそうです。

実際、今回のリリースについても粗い部分は当然ありますが、ミズナラ樽由来のフレーバーの中でライトなピートフレーバーが程よいアクセントとなっており、同系統の樽があれば今後数年間の熟成で樽感はよりリッチに、そして酒質と馴染んで甘やかに。ピートフレーバーは隠し味にと、面白い仕上がりになるのでは・・・と。
また、こうした原酒はシングルモルトやブレンデッドを作る際にも力を発揮するもので、バーボン樽やシェリー樽原酒とのブレンドによる多層的なウッディさ、奥行きのある味わいは、例えばサントリーのブレンド等で既に高く評価されている組み合わせです。

今はまだその領域に届くレベルではないですが、限られた原酒で作られる蒸留所のファーストリリースは、将来の可能性をどれだけ感じさせてくれるかという点に魅力があり、今回のリリースは十分合格点であるように思います。


以下、同蒸留所繋がりで余談。
長濱蒸留所が同蒸留所のモルトと輸入原酒を使い、ブレンドに焦点を当てて作るオリジナルブランド”アマハガン”の3rd Releaseに、ミズナラウッドフィニッシュがあります。
このブレンデッドは昨年のWWAでジャパニーズブレンデッド部門でベストアワードを受賞するなど実績もあるのですが、以下の通り6月30日に新しいブレンドレシピによるミズナラウッドフィニッシュがリリースされるようです。

長濱蒸留所が保有する長期熟成の輸入グレーンは、自分もグレンマッスル2ndリリースで使わせてもらいましたが、「そのままボトリングしたい」という希望が出るくらい、クオリティの高いものです。モルトについても同様で、質のいい輸入原酒があるところに、長濱のモルトも上記の通り粗削りながら育ってきています。長濱モルトの個性がさっそくブレンドで活かされてくるのか、このリリースにも注目しています。


シングルモルト 長濱 3年 2017-2020 バーボンカスク 61.3%

カテゴリ:
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NAGAHAMA 
Single Malt Japanese Whisky 
Aged 3 years 
Distilled 2017.1.26 
Bottled 2020.4.20 
Cask type Bourbon Cask #0007 
500ml 61.3% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(5-6)

香り:柔らかい香り立ちから、オーキーな華やかさ。樽由来の甘いアロマは、バニラや林檎の蜜、微かに木材の削りカスのような粉っぽさを感じる。

味:口当たりはねっとりとしたオーク由来のフルーティーさと合わせて、若い原酒由来の刺激と酸味が混じる。加熱した林檎や黄色い果実、じわじわと柑橘の皮を思わせるほろ苦さ。フィニッシュはオーキーでドライだが、60%以上の度数を感じさせない柔らかさもあり、長く続く。

若い原酒にバーボン樽という組み合わせだが、温暖な地域で熟成されていたこともあってか、熟成年数に反して濃い目の樽感、オーキーなフレーバーが主体。樽感と合わさる長濱の原酒は、蒸留直後から柔らかくクリアな麦芽風味で、若さに由来するネガティブなフレーバーは目立たず、むしろ樽感と合わさることで蜜っぽい甘みへと姿を変えようとしている。ピークが短熟傾向にあり、現時点で3年とは思えないクオリティの高さ。2~3年後が楽しみな原酒である。

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長濱蒸留所のファーストリリースとなるシングルモルト3種のうちの1つ。2017年に蒸留された原酒を、バーボン樽に詰めて3年熟成させたシングルカスクで、この他にミズナラ樽、シェリー樽がそれぞれリリースされています(以下、写真参照。)

長濱蒸留所の原酒の特徴は、酒質の柔らかさに加え、若い段階でも発酵臭や硫黄といったニューメイクにあるネガティブな要素が少ないことが挙げられます。
ボディはライト~ミディアム程度で長熟向きではありませんが、逆に樽感が強く出やすい熟成環境と合わさることで、5年もあれば酒質の若さと喧嘩せず、バリっと樽が効いた仕上がりが期待できる。今回は3年ということでまだ成長途中と感じる部分はありますが、バーボン樽由来のオーキーさとフルーティーさの中にその片鱗があるというか、完成図が見えるようなリリースとなっています。

ここまで読んで、つまり長濱蒸留所はカヴァラン系統ってこと?と感じる方も居るかもしれません。
確かに樽感が短期間で仕上がるという点は同じですが、カヴァランはニューメイク時点でボディが非常に軽く、樽の要素によってフルーティーさの出やすい、樽感を邪魔しない酒質である一方。長濱はカヴァランほどボディが軽くないモルティーな甘みの残るタイプで、樽感と混じることで蜜っぽい質感にもなっていくような系統の違いがあります。

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(長濱蒸留所、待望のシングルモルト・ファーストリリース3種。それぞれ使われている樽の特徴がはっきり出ているだけでなく、ネガティブ要素の少ない酒質が樽感に溶け込み、3年とは思えない仕上がりである。王道的な美味しさはバーボン、複雑さ・面白さはミズナラ、わかりやすい味としてはシェリーカスクという印象。残りの2種も追ってレビューする予定。)

長濱蒸留所は、1996年創業のクラフトブリュワリー長濱浪漫ビールが、その製造現場の一部を改装してウイスキーづくりの設備を併設したものです。
ウイスキーの入門書籍等で、ビールとウイスキーは親戚で、途中まで製造行程は同じなんて説明があったりしますが、長濱蒸留所はまさにその説明の通り、共有できる設備は共有したコンパクトな設計となっています。
それこそ下の写真だけで、麦芽の粉砕以外の、糖化(写真右)、発酵(写真上)、蒸留(写真中央奥)の3行程が含まれているだけでなく、併設するレストランまで映り込んでいるあたり、日本最小と言われるそのサイズ感が伺えると思います。

原酒の仕込みでは、ノンピート、ライトピート、ヘビーピートといったピートレベルの違いに加えて、コーヒーモルト等原料を変えたモノも仕込まれています。
今回リリースされたのは、スタンダードなノンピート仕様。酵母はDistilaMaxで、糖化・発酵は写真に写るクラフトビールと共同利用のタンク。蒸溜に使われているアランビックタイプの小型蒸留器2基(後に3基に増設)は、銅との接触面積が大きくなるためか、あるいは蒸留の際にそうした酒質を狙って蒸留器の温度や内容量、カットポイント等を調整しているためか、酒質は雑味が少なく柔らかいモルティな甘みが感じられる仕上がり。
この質感が、最近流行りのハイブリットスチルや、スタンダードなポットスチルによる原酒とは違う、長濱蒸留所の個性だと感じています。

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さて、ファーストリリースの話は残る2本の更新に先送りするとして(ここで書きすぎるとネタがなくなるw)、そろそろ長濱蒸留所”そのもの”についても紹介していきます。
写真だけ見ると、規模の小ささと効率化された設計が目立つように思えますが、個人的には、それら設備の繋ぎ部分の原始的な工程や、ビアパブ併設という一般のウイスキー蒸留所とは異なる環境が魅力であると感じています。

例えば蒸留行程では、まず2Fの発酵槽から蒸留器へとホースを垂らしてもろみを移し、蒸留後はスピリッツセーフがないので写真のような桶にためて、人力でスピリッツタンクに移すという重労働を1日に何度も繰り返していたり・・・熟成も、蒸留所から離れた場所にある関係上、樽詰めされた原酒がトラックで現地まで運ばれていたり・・・小さい蒸留所だからコンパクトで効率化されているわけではないという手作り感があります。

蒸留所の雰囲気としては、一般的なウイスキー蒸留所にあるような工場や酒蔵的なそれとは異なって、まさにパブの中の蒸留所。オリジナルビールを店内で作っているビアパブは珍しくありませんが、ビールとウイスキーを同時に作っているパブは、世界広しと言えど長濱蒸留所・長濱浪漫ビールだけではないでしょうか。
蒸留所見学を見学していると、同時に食事目当てのお客さんが多数来店され、ワイワイと楽し気な雰囲気が全体を包んでいるのです。

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ちなみに、この長濱浪漫ビールが作るビールのキャラクターは、主にホップをしっかり効かせたIPAタイプのビール。これが本場にも負けないレベルの美味さで、個人的に蒸留所訪問の楽しみでもあったりします。
スタンダード品でも十分レベルは高いのですが、定期的に限定品がリリースされるなど、面白い取り組みをいろいろ行っているため、ウイスキーと合わせて是非一度飲んで欲しいなと感じています。(ウイスキーファンにはIPA系のビールが好きな人、多いですよね。)

それこそ、高品質なビールがあるということは、ウイスキーとのタイアップも期待できるということですし。今後ウイスキーのリリースが拡充されていけば、ウイスキーに加えてビール、そして美味しい料理と酒飲みの楽園のような環境が蒸留所内に充実していくことにもなります。
現在はなかなか現地に行くことが難しい状況ですが・・・、長濱浪漫ビールのビールはメーカーサイトの直販に加えて、提携しているリカーマウンテンでも購入可能です。最近気温が上がり、ビールが美味しい季節にもなってきました。今回のリリースを通じて長濱蒸留所を知ったという方は、ウイスキーと合わせて長濱のビールも楽しんでみてほしいです。

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(写真上:長濱蒸留所併設レストランの近江牛のたたきと長濱ハイボール。写真下:長濱ロマンビールから季節限定ビールの第4弾・レモンホップIPA。IPAらしくホップがしっかり効いた味わいに、レモンの爽やかさと甘酸っぱさ。室内の照明の関係で色の映りが悪いが、個人的にはかなりヒットなビール。)

シングルモルト 白州 ノンエイジ 2020年リリース 43%

カテゴリ:
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SUNTORY
HAKUSHU
SINGLE MALT WHISKY
No Age
Release 2020
180ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:自宅
評価:★★★★★★(5-6)

香り:ややドライだが品のいい香り立ち。バニラや洋梨を思わせる甘さ、干し草、微かにグレープフルーツの皮を思わせる爽やかさ。原酒の若さからか、樽香がささくれているようなイメージで、多少の刺激を伴うものの、総じて華やかでオーキーなアロマが主体。

味:若い原酒由来のピリピリとした刺激、香り同様のオーキーな含み香を伴う粘性のある口当たり。酒質由来か刺激の中に柔らかい甘さ、膨らみがあり、すりおろし林檎や柑橘の皮を思わせるフレーバーも。
余韻はドライでほろ苦いウッディネス。華やかなオーク香が鼻腔に抜けていく。

類似のタイプを挙げるなら、スペイサイドやハイランドモルトのバーボン樽熟成10~12年モノという系統の構成。若い原酒のフレッシュさとオークフレーバー、木々のアロマ、すなわち森の蒸留所。白州NASのリリース当初から変わらないキャラクターでもある。
味わいに適度な厚みと熟成感もあり、少量加水すると若さが軽減され特に香りのまとまりが良く、口に含むと徐々にフレーバーが膨らむように広がる。ストレートでは粗さがあるが、ハイボール良好、ウイスキーフロートも面白い。

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 先日、2020年ロットのシングルモルト山崎NASが美味しくなった、というレビューを書かせていただきました。その要因としては、全体的な熟成感の向上、一部キーモルトとなる原酒の風味が厚くなったことで、山崎らしさが感じられるようになったことが印象としてありました。

ならば、もう一つのシングルモルトである白州も美味しくなったのでは。。。と考えるのは愛好家の性。ハイボールブームを受けての原酒増産にかかる効果に加えて、原酒のやりくり。それこそ白州は12年を休売としているわけですが、関連する原酒をNASリリースにまわしている可能性も考えられます。
機会を見つけて飲んでみたいと思っていたところ、このタイミングで出荷停止となっていたノンエイジの180mlボトルが復活しており、コンビニを中心に展開されていたので、さっそくテイスティングしてみます。

 ※2020年ロットのシングルモルト山崎。このロットから表ラベルにJAPANESE WHISKYの表記が入る。白州も同様の整理。昨今整備が進むジャパニーズウイスキーの定義に沿ったものだろうか。

結論から言うと、香味のベクトルは以前の白州NASと同じ。しかし熟成感が若干向上して、美味しくなったようにも感じられます。あくまで個人的な印象ですが、例えば数年前のロットが6~10年の原酒をブレンドしていたとして・・・それが6~12年に広がり、平均熟成年数としても若干増えた結果なのではないかという感じです。
そのため、若いニュアンスは変わらずあるのですが、刺激の中に感じられる熟成を経た原酒由来の粘性のある甘みや、オーキーなフルーティーさ。全体に厚みと華やかさがあるのではないかと思います。

ただ、山崎NASと比べてしまうと、個人的に白州のほうは明確にこれと感じるような違いではありません。 お、なんかよくなったかも。。。というレベル。
そもそも白州NASはリリース当初から方向性が定まっており、軸になっていたのはバーボン樽、アメリカンホワイトオーク系のフレーバー。若いなりに良い仕上がりのシングルモルトでした。
それがリリースを重ねるごとに、原酒不足からかちょっとオーキーなフレーバーが薄くなって、若さが目立っていたのが2~3年前時点のロットという印象。今回のリリースは良くなったという話もそうですが、初期ロットの頃の味に”先祖返り”したと言うのが適切かもしれません。

白州NASは、山崎同様にこれがプレ値ではなく正規価格で買えるなら、納得感あるクオリティ。最近のジャパニーズウイスキー市場の中でのコスパも十分です。
しかし水を差す形になりますが、冷静に考えるとこの手のフレーバーはスコッチモルトに結構あるタイプなだけでなく、スコッチのほうが安定して買えてしまうという点が・・・。
例えば、5000円以下の価格帯でアラン・バレルリザーブ(新ボトル)や、グレンモーレンジ10年、グレンフィディック12年、グレングラント10年or12年・・・など、アメリカンオーク系フレーバーを主とする蒸留所のオフィシャルリリースと、モロかぶりしてしまうのが少々ネックです。

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この点はノンエイジというエントリーグレードでありながら、唯一無二と言える日本的な個性を持つ山崎に対して、白州は王道というかスコッチ寄りのキャラクター故に、独自の個性・ハウススタイルのためにはさらなる熟成が必要なようです。
白州は”森の蒸留所”と言われていますが、オフィシャルシングルモルトは12年、18年、25年と熟成年数が上がる毎に、その"森"が深くなっていくような印象があります。
例えるなら、25年は深山幽谷の深く立ち込める森の空気も、NAS時点では木々が細く、日も差し込み、風も抜けていくような、若い森の姿なのです。

今回のリリースでは、白州という”森”に成長(あるいは伐採からの回復)の兆しが見られたのが、明るい話題です。
それは一時的なものなのか、今後さらに良い変化があるのかはわかりませんが、今は純粋に、一定以上のクオリティがあるジャパニーズウイスキーを手に取れる機会と、その味わいとを楽しみたいと思います。

キャパドニック 14年 1977-1992 ケイデンヘッド 60.5%

カテゴリ:
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CAPERDONICH 
CADENHEAD'S 
AUTHENTIC COLLECITON 
AGEd 14 YEARS 
Distilled 1977 
Bottled 1992 
Cask type Sherry Oak 
700ml 60.5% 

グラス:木村硝子
時期:開封後10年程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6ー )

香り:ハイトーンで強いアタック。ローストしたアーモンドや麦芽のクッキー、かりんとうを思わせる香ばしい甘さがあり、その奥にはリンゴのカラメル煮、エステリーなフルーティーさも潜んでいる。

味:スウィートでリッチな口当たり。経年故に序盤はマイルドだが、徐々にハイプルーフらしくヒリつくような刺激を伴う。ボディは骨格がしっかりとしており、レーズンやオレンジを思わせるドライフルーツの甘み、微かに黒糖かりんとう。口内で膨らむように広がる。
余韻はスパイシーでシェリー樽由来のウッディな甘さに加え、焙煎麦芽を思わせるほろ苦い香ばしさが長く残る。

この時代のケイデンヘッドリリースらしく、開封直後はパワフルでバッチバチ。樽感は淡いがシェリー系で、硫黄要素が樽由来の甘みの中に目立つ、中々扱いに困るボトル。ただ、時間経過で随分こなれて美味しく頂けるまでに変化した。時代的に酒質に厚みがあることもあって、少量加水すると樽由来の甘み、フルーティーさが香味とも開き、高度数故の刺激も収まることで全体のバランスが極めて良くなる。


ケイデンヘッドからリリースされていた、オーセンティックコレクションシリーズ。通称グリーンケイデン。
黒ダンピーボトルの後継として、主に1990年代にリリースされていたもので、蒸留時期としては1970~80年代、熟成年数10~20年程度の、比較的短熟~中熟クラスのカスクストレングスが多いという特徴があります。

また、蒸留時期がシェリー樽からバーボン樽にシフトする狭間の期間にあったためか、熟成に使われている樽は一部長熟モノを除きリフィルシェリータイプ(中にはサードフィルっぽいものも)を主とするのも特徴の一つ。よってシェリー系の香味がメインにあるわけではなく、現在のようなアメリカンオークの華やかでオーキーな香味というわけでもない、樽香のプレーンなリリースが多くありました。

これらの特徴から、同シリーズは開封直後はとにかく高度数と熟成年数の若さからくるバチバチとした刺激が強かったのですが・・・それが逆に、樽出しとは、酒質由来の香味とはこういうものだと、あるいはボトラーズリリースとはこういうものだと。総合的な完成度として熟成のピークを見極めたというより、多少の粗さは目をつぶりつつ個性を楽しめる時期に入ったからリリースしたという、オフィシャルとは評価軸の異なるリリースが、グリーンケイデンの魅力だったとも感じています。
この辺は、シェリー系でも濃厚なタイプが多かったGM、樽だけでなく加水にも抵抗はなかったシグナトリーらとは異なるベクトルだったと言えます。

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(我が家のグリーンケイデンたち。。。7年前時点。当時は60年代の長熟が注目の主流で、ちょっと外れた時期のグリーンケイデンは、そこまで高騰していなかった。行きつけのBARにモノが多くあったことや、このデザインが好きでかなり飲んだボトルである。)

前置きが長くなりましたが、こうした特徴に対して、このキャパドニックがどうだったかと言うと、だいたいは上記で述べたスタイルに合致して、その他ボトラーズリリースに見られる熟成したスペイサイドモルトのフルーティーさとは違い、モルティーな厚みが楽しめるタイプ。経年からアルコールが抜けてスカスカというわけではなく、55%くらいは残っているように感じます。
また、開封直後はシェリー感にネガティブな部分も多少あったわけですが、これがかなり時間をかけて抜けた結果、ドライフルーツ系の香味の要素の中に、かりんとうを思わせる香ばしさといったフレーバーに繋がっています。

先日キルホーマン・サロンドシマジ向けのレビューでも触れましたが、硫黄は適度に抜けてくれれば、後はそれが香味の下支えになって全体の厚みにも繋がってくる。このボトルはとにかく時間がありましたが(汗)、瓶熟の可能性を含めてしっかりと楽しませてもらいました。

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