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2019年11月

キルホーマン 100%アイラ 9thリリース 50%

カテゴリ:
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KILCHOMAN 
100% ISLAY 
THE 9th EDTION 
Release in 2019 
Cask type Bourbon 
700ml 50%

グラス:国際規格テイスティンググラス
場所:ジェイズバー
時期:開封後1週間程度
暫定評価:★★★★★★★(6ー7)(!)

香り:オーキーなフルーティーさと塩素やヨードの混じるしっかりとスモーキーなアロマ。バニラ、リンゴや洋梨を加熱調理したようなエステリーな果実感、熟したパイナップル。そこにタイムを思わせるハーブ、ピート香には土っぽさと焦げたような要素もある。

味:パインやレモンの黄色いシロップのようなとろりとしたオーク由来の甘味。合わせて燻した麦芽のスモーキーさが、ほろ苦いピートフレーバーと共に口の中に開く。ボディはそこまで厚くなく、塩気も伴うが角が取れて柔らかい。
余韻はピーティーでややドライ、若干の根菜っぽさや植物感。近年寄りのトロピカルフレーバーも続いて開き長く続く。

アメリカンオーク由来の華やかさとフルーティーさにアイラピートの組み合わせ、そして麦芽由来のニュアンス。若さは目立たずむしろ熟成感があり、バッティング加水で適度に角がとれつつ複雑さもある。個人的にキルホーマンに求める味わいはこれ。ややフルーティー要素がが強いというか、それに見合うようもう少し酒質が厚いとなお良いが、充分すぎる完成度である。

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キルホーマンのローカルバーレイ。
2007年蒸留と2009年蒸留の原酒をバーボン樽で熟成させ、計43樽バッティングしたもので12000本の限定品。
前作8thリリースは、バッティングされたシェリー樽原酒がボディの厚さに繋がっているものの、同時に悪い部分にも繋がっていて、大器の片鱗は感じられるが惜しい作り。次はバーボン樽100%で作ってほしいなと思っていたところに、求めていた構成のキルホーマンがリリースがされました。

創業初期のキルホーマンの酒質は、そこまで厚みがあるものではない一方で、雑味も少ないことから10年熟成でそこそこ仕上がる早熟な傾向があり。また、バーボン樽との相性が良く、10年程度の熟成を経たものからは、好ましいフルーティーさを感じられるリリースが複数確認されています。
今回のボトルは、まさにその熟成期間である9~12年熟成の原酒バッティング。若さはあまり感じず、むしろ樽由来のフルーティーさがしっかりと備わっていることから、加水調整と合わさって熟成したモルトの風格すら感じられるのです。

それはさがなら、バッティングによって作られたオールドスタイルのラフロイグのフルーティーさ。
先日レビューしたシングルカスクのキルホーマンでは、仕上がりの荒さが経年によって穏やかになることを期待しているとを書きましたが、そのイメージがまさにこれ。"作られた"と表現した通り些か作為的ではありますが、確実に黄色系統のフルーティーさが備わっているアイラモルトが1万円以内で買えるのは、なんと精神的にもお財布にも優しいことでしょう。

少なくとも、過去リリースされてきたキルホーマンのなかでも、トップクラスの味わいであることは間違いなく。今後は同様の原酒を使ったスタンダードの10年クラスがリリースされていくでしょうし、最近良くなったと評価のある現行品マキヤーベイらに使われている、若い原酒の成長も控えているわけですから。。。キルホーマンの飛躍と、可能性を感じますね。今後益々注目すべき蒸留所です。
そんなわけでその場で1本購入。評価については家でじっくり飲んだあと改めてまとめたいと思いますが、ファーストインプレッションは★7。ウイスキー愛好家は是非飲んで、キルホーマンの進化を感じてほしいですね。

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後日談:先週末、飲んだその場で注文したボトルを受け取り、着・即・開!!(言いたいだけ)
グラスの違いからか、ちょっとタールというか焦げたような要素は強めに感じられたものの、全体的にはフルーティーでスモーキーにまとまっていて今後の開き具合にも期待が持てる。何より口に含むほどに美味しさが持続する、原料由来の旨味のあるウイスキーの特徴を備えている点は、やはり好感が持てる作りです。
あと、これからのシーズンはお湯割りがなかなか美味ですぞ。(11/19~追記)

ボウモア 23年 1995-2018 ウィームス 57.4%

カテゴリ:
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BOWMORE 
WEMYSS MALTS 
"Nostalgic 70's Flavor" 
Aged 23 years 
Disilled 1995 
Bottled 2018 
Cask type Hogshead 
700ml 57.4%

グラス:国際規格テイスティング
時期:開封直後?
場所:ジェイズバー(ALLEN氏持参物)
暫定評価:★★★★★★★★(7ー8)

香り:エキゾチックなニュアンスを含む、トロピカルなフルーティーさ。熟した果実の発散するフェロモン。アップルマンゴー、グレープフルーツ、土っぽいピートと燃えさしのような柔らかいスモーキーさ。微かに地磯を思わせる要素もある。官能的なアロマ。

味:とろりとした口当たりから、香り同様に南国果実に混じる柑橘のニュアンス。ピートのほろ苦さと、ダシっぽいコクのある塩気、熟したマンゴーの甘さと薬品を思わせる含み香が、余韻のウッディネスと混ざりあって鼻孔に抜けていく、長く続くフィニッシュ。

90年代中頃のボウモアらしいダシっぽさと適度な雑味、厚みのある酒質に60年代に通じるトロピカルなフルーティーさが備わった素晴らしい1本。1995年にもこんなカスクがあったのかと衝撃を受ける。サブタイトルはノスタルジック70'sではなく60’sにするべき。

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先日、台湾のボトラーズである”AQUAVITAE”の代表アレン氏が開催した、招待制のテイスティング会。そこでスペシャルアイテムとして振る舞われた1本。
アレン氏は兼ねてから日本の愛好家のなかでも、ウイスキーに造形が深いブロガーを招いたテイスティング会を開催してみたかったとのことで、信濃屋さんの協力を経て企画の実現に至りました。

その際のテイスティングアイテムについては、追って個別に記事化させていただくとして、イベントの最後に提供されたのが、アレン氏ら台湾のグループでジョイントボトリングしたこのボウモア。
会のラインナップのボトルはどれも面白く、かつアレン氏が好んでいるフレーバーの傾向が、我々日本の飲み手の好みと近いことが理解できるなど、1本1本選び手のイメージを確認しながらテイスティングできる貴重な機会であったわけですが。。。ボウモアのあまりの美味しさに、最後に全部持っていかれてしまった感すらあります。

スペシャルアイテムの提供はブラインド。ですがノージングで即90年代のボウモアとわかる、官能的なフルーティーさとピート香のハーモニー。
フルーティーさについては
アレン「昔のボウモアを思わせるフレーバーがあるから、Nostalgic 70's flavorと書いているんだ(英語)」
くり「70年代というより60年代なんじゃ?(日本語で呟く)」
アレン「(通訳もなしに)自分も60年代だと思うんだけど、実は78年に似ているという人が居たから、配慮して70sにしたんだ」
という、通訳なしで想いが通じあってしまったやりとりも(笑)。
さすがにパフューム時代のボウもアとは違うと思いますが、このくだりからも我々とアレン氏は感じ方が近いんだな、と感じたエピソードでした。

しかし1995年のボウモアはフルーティーさよりもアイラ要素の強いものがメインという印象でしたから、1990~1993年あたりを思わせるフルーティー系統とボディ感の両立した味わいには驚かされました。まさしく現代に甦った60年代のボウモアです。
そして会を通じて、アレン氏だけでなく日本のブロガー、情報発信者との交流ができたことも大きな収穫であり、今回の機会を作っていただいた、アレン氏と信濃屋さんには感謝しかありません。(また、金曜日の20時30分からというゴールデンタイムに会場を提供してくださった、ジェイズバー・蓮村さんの男気にも。)
お声がけいただき、ありがとうございました!!

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ハイランドパーク 13年 2004-2018 フランクフルト空港限定 60.1% #6438 

カテゴリ:
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HIGHLAND PARK 
SINGLE CASK SERIES 
For FRANKFURT AIRPORT 
Aged 13 years 
Distilled 2004 
Bottled 2018 
Cask type Refill Butt # 6438 
700ml 60.1% 

グラス:リーデルテイスティング 
時期:開封後1週間程度 
場所:BAR Kitchen 
評価:★★★★★★(6)

香り:やや生っぽさのあるウッディさとしっとりとしたシェリー香。直後、キャラメルソースを思わせる甘さの後で、ハイプルーフらしく鼻孔がひりつくようなアタックと、ほのかにヘザーのスモーキーさが香る。

味:パワフルでスウィート。ブラウンシュガーやプルーンのチョコレートがけ、とろりとした甘味の後に、ハイトーンで強い刺激があり、ややざらつくようなウッディさも感じる。
余韻はウッディでキャラメルソースを思わせる甘味と、微かに土っぽいピートを伴ってほろ苦く長く続く。

パワフルではあるが、硫黄もなくリッチな味わいが楽しめる。恐らく使われているのは長期熟成のシェリーを払いだした後のものだろう。またそのシェリー感の裏にはハイランドパークらしいピートフレーバーも感じられ、若く強さの残った酒質の角をシェリー感が緩和しつつ、その個性を楽しめる。

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ハイランドパーク(エドリントン)が樽売りしている、オフィシャル扱いのシングルカスクリリース。日本ではほとんど見かけませんが、大規模国際空港の免税店や有名酒販店、高級価格帯のリリースが動くところには比較的展開されているように思います。
GOTHAM CITY向けなんて、反応してしまう方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

今回、BAR Kitchenではマスターの岡さんが海外で買い付けた5種類のリリースを確認。そのなかでももっとも色の濃かった、フランクフルト空港向けのリリースをテイスティングしました。
ハイランドパークは熟成に使う樽としてシェリー樽を主としている蒸留所ですが、一部バーボン樽のものも仕込んでいたものの、これはブランドイメージと異なるためかほとんどがボトラーズやブレンド用に展開されていたと聞きます。(オフィシャルでのバーボン樽使用例だと、1999年蒸留のハイランドパークフルボリュームがある。)

一方、公式には2004年の仕込みからはハイランドパークの熟成は全てシェリー樽に統一したとの情報もあり、今回のリリースはまさにその時期の仕込みです。
もちろんそれらはファーストフィルのみではなく、形状、回数含めて様々。他方でこのボトルの仕様はリフィルシェリーバット表記ですが、色が比較的濃いのが興味深いですね。風味から樽材はアメリカンオーク。リチャーしている感じではないので、とすると最初の熟成を短い期間で終えたとかか。。。

構成としては、その樽感をソースとするなら、酒質の上にそれがかかっているような感じ。まだフレーバーの結び付きというか、均一化が進んでいない点が、乖離感として多少あります。
他方で、だからこそ香味でのピートフレーバーが感じやすくもあり、シェリー感そのものも決して悪くないので、それらを若いなりの良さとして楽しめる点が魅力であると感じた1本でした。


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今日のオマケ:ダイヤモンドリッジ グランドリザーブ カベルネ・ソーヴィニヨン 2017

マイルドでいかにもアメリカのカベルネらしい濃厚なぶどう感。熟したチェリーやカシス、微かにタバコ葉のイメージからウッディネスへ。樽香は特に味のほうで強めに感じられる。余韻はほどよいタンニンを伴い、濃厚さのなかでバランスが整っている、丁寧な作りを感じる。

先日、急遽開催された友人とのワイン持ち寄り食事会。予定が空いたので、会社の机の中に置いてあったワイン片手に緊急参戦。
カリピノですが、赤身系の肉、特に鴨肉のタタキとの相性が抜群過ぎて、ばくばくいってしまいました。
その友人は日本酒とウイスキー系がメインですが、最近ワインも面白いなと感じ始めたらしく。特にこのボトルを飲んで気に入り、セラーまで買ってしまったのだとか。
そういえば自分もウイスキーの合間に飲んでいたワインで、アメリカのカベルネは美味しいなと感じましたし、やはりこの辺はウイスキードリンカーに琴線があるのかも。
それにしても、馬刺の盛り合わせとワイン・・・映えるなぁ・・・。

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キルホーマン 11年 2007-2019 キャンベルタウンロッホ20周年記念 55.7%

カテゴリ:

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KILCHOMAN 

For BAR CAMPBELLTOWN LOCH 20th ANNIVERSARY 
Aged 11 years old 
Distilled 2007
Bottled 2019 
Cask type Bourbon #380/2017 
700ml 55.7% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:BAR Eclipse 
暫定評価:★★★★★★(6)
香り:ピーティーで焦げた木材、炒めたカシューナッツのような香ばしさ。シトラスを含むバニラとオーキーな華やかさ。しっかりヨードやクレゾールの薬品香も感じられる。香味のまとまりに若干の粗さはあるが、レベルの高いアイラモルト。

味:スムーズでピーティー、香り同様に柑橘を思わせる要素から若干焦げた木材、タールのようなニュアンス。そこからオークの甘味とフルーティーさ。ピートフレーバーには根菜っぽさも混じる。
余韻はピーティーでほろ苦くスモーキー、ほのかに柑橘やパイナップルを思わせる果実味を伴って長く続く。

ピーティーなアイラ要素に加え、フルーティーさもある好ましい仕上がりのキルホーマン。やや荒削りな感じもあるが、加水調整が樽由来の要素と酒質由来の要素を活かしつつバランス良く仕上がっている。加水するとボディが薄くなりやすく、しても少量まで。また、荒削りな部分については経年変化でこなれていくことも期待できるため、将来性のあるボトルでもある。

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有楽町にあるウイスキー愛好家の聖地、もはやそれ以上の前置きは不要とも言える、BAR キャンベルタウンロッホの20周年記念ボトルの1本。
通常の周年ではなく、10年刻みの大きな節目とあって多くの記念ボトルがリリースされていますが、ここでキルホーマンを選んでくるというのは、近年のキルホーマンの成長を見れば逆に納得させられてしまうチョイスです。

キルホーマンの創業は2005年で、先に触れたように近年めきめきと酒質を向上させてきた、今注目の蒸留所のひとつです。
一例として最近のロットのマキヤーベイや、キルホーマン・100%アイラなどのバーボン樽を主体としたリリースが、若いアイラモルトそのものの完成度だけでなく、将来性も十分感じさせてくれる仕上がり。下積みを重ねてきた若手選手が、いよいよブレイクの時を迎えようとしている、といった印象を受けています。

一方、今回のリリースのように、創業から数年間以内の原酒がどうかというと、一時はあまり評価されていなかったように思いますが、これも悪くないのです。
10年程度熟成を経たものを既存のモルトに例えるなら、ラフロイグとラガヴーリンの二つのモルトの特徴を持っているように感じられ、後は固体差ですが、この樽はバーボン樽熟成のラフ要素強めといった感じ。
今は樽感と酒質由来の部分が多少乖離しているというか、少し荒削りで距離があるような感じもしますが、そこが経年でまとまる余地である伸び代。将来性は充分にあると感じます。

他の類似スペックのキルホーマンと比べ、特別クオリティが抜きん出ているという訳ではないのですが、こういう系統を選んでくるのはやはりマスター・中村さんの経験値故でしょうか。
中村さんは、オールドだけでなく、新しい可能性についても現地を巡って自分の目と舌で確認しており、それをラインナップやこうしたリリースで形にしていることが、同店が愛好家を惹き付ける大きな要素のひとつ。信頼性が段違いなんですよね。


日本の洋酒文化を支え、そしてリードする存在のBARキャンベルタウンロッホ、その更なる発展を祈念して記事の結びとします。

グレンドロナック 12年 1964年蒸留 43% 特級表記

カテゴリ:
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GLENDRONACH 
Aged 12 years 
Gleen dumpy bottle 
Distilled 1964 
1970's 
760ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅@サンプルMさん
時期:不明
評価:★★★★★★★(7)

香り:古典的な麦芽香。あぶったナッツの軽い香ばしさとピートのスモーキーさ。熟成したソーテルヌワインのようなの甘みが一瞬あり、グレープフルーツを思わせる爽やかな要素からトロピカルなアロマ。軽い陶酔感がある。時間経過でスモーキーさが主張を強めてくる。素晴らしい。

味:しっかりとコクと香ばしさを感じる麦芽由来の風味。存在感のあるオールドピートがほろ苦さ、土っぽいニュアンスを感じさせ、奥にあるパイナップルやライチのようなフルーティーさを燻している。
加水なりのスムーズさもあるが、決して香味が薄いということはなく満足感は高い。
余韻はピーティーで軽くスパイスの刺激、染み込むようにほろ苦いスモーキーさが長く残っていく。

香りが特に素晴らしく、それだけでご飯3杯。樽由来ではなく麦とピートが織りなすフルーティーでスモーキーな香味構成であり、古き良き時代の内陸系モルトの代表的なキャラクターのひとつである。系統としては同時期のロングモーンとも似ているが、このドロナックのほうがピートが強い印象。
なお、このボトルは近い将来香味の一部が鹸化反応を起こしてダークサイド(パフューム)落ちてしまう可能性がある。おそらく今が最後の飲み頃、今のうち飲んでおきたい。


最近ご無沙汰だったグリーンダンピー・ドロナック。サンプル交換ありがとうございます!
この仕様のグレンドロナックは8年と12年があり、近年グレンドロナックが良質なシェリーカスクで非常に高い評価を受けるままでは、他の有名スペイサイドモルトに全く劣らない味わいをもっていながらも、コアな愛好家向けのボトルという位置付けでした。(最近は良さが理解されたのか、すっかり高嶺の華に・・・)

当時のグレンドロナックの酒質の特徴は、麦芽に由来すると思われる絶滅危惧種のトロピカルフレーバー。テイスティングで触れたように60年代蒸留のロングモーン等にも見られるそれが、この時代のドロナックにも感じられます。
当時のグレンドロナックは1960年にティーチャーズ傘下となり、1966年から1967年にかけては増産のためポットスチル2基の増設工事に着手。(2→4に増加)
元々あったスチルのほうは1920年頃から同じものが使われ続けてきたそうで、蒸留方式はもちろん今は無き石炭直火炊きの時代です。

味に厚みがあってどこか香ばしさも伴うのは、麦芽品種の影響以外に蒸留方法由来なのか。
また、今回のボトルは1964年蒸留ですから、増設工事の前、ティーチャーズ傘下に移った後の仕込みということになります。
1970年代以降流通のティーチャーズはアードモアを軸としつつ、対外輸出等を見据えてブレンドをライトに仕上げていく傾向があり、プレーンな樽での原酒を60年代から相当数仕込んでいたのでしょう。今回のボトルに使われた原酒は樽感があまり強くはなく、しかしそれが酒質由来のフルーティーさ、ピーティーさを邪魔しない絶妙なバランスに繋がっているのです。

ひょっとすると、当時のグレンドロナックは短熟でリリースするのはプレーンオーク、長熟がシェリーカスクという整理だったのかもしれません。
ブレンドに使われてしまったからか、60年代のドロナックでプレーンオーク系統のカスクストレングスがリリースされているのは見たことがありません。
当時のグレンドロナックのシェリーカスクが素晴らしいのは言うまでもありませんが、もしそのボトルがリリースされていたら、伝説の一本になったのではないかというポテンシャルが感じられるだけに、どこかに無いものかなあと。。。

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