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2018年11月

ウイスキーフェスティバル2018 備忘録

昨年はハラワタの病で参戦できなかったウイスキーフェス、今年は2日目のみの参戦です。
さすがに2日目から会場生レポートって感じのノリでもないので、備忘録的にブース写真や簡単なメモ残しだけさせてもらって、後でまるっと編集したいと思います。

お出迎えのお二方、いつものって感じですが、今年はコンペのPR兼ねて気合入ってますね。

リカマン銀座777ブース。日本正規未入荷のハイランドパーク・ドラゴンレジェンド。ハイランドパークらしいスモーキーさとシーズニングシェリー。フルボリュームがバーボンならこっちはシェリー。バランスのいいボトル。

信濃屋、田地ブース。
まずアイリッシュシングルモルト1989。これはちょっと緩いけど素晴らしいパッションフルーツ感。70年代前半のベンリアック好きには是非オススメしたい。

新しく直輸入するVEGAシリーズ、コスパ良いですね。1977はシーバスリーガルアルティスのような長熟ベースのまとまりの良さとホグスヘッド系のフルーティーさ。1976はちょっとシェリー強めでボリューミー、ふくよかな味わい。
そして意外に美味かったベンロマックの信濃屋向け。ドライでナッティーなフルーティーさとスモーキーさが、長熟のスペイサイドを思わせる。少なくとも某ラウンジドリンカーが買った記念ボトルより(ry

酒育の会ブースでオリジナルボトルのオークニー17年。
オークニーはノージングからリフィル樽のハイランドパークですねという味わい。ボディの主張は穏やかですが、良くまとまってますね。
そして酒販業界で働く女性のための育児支援グループ、Not a Dreamの記念ボトル、グレントファース7年。若いですがまとまった華やかさ。それ以上にこういう取り組みは今後広まって欲しいですよね。

ディアジオモエヘネシーブースで、whisktail。タリスカーダークストームベースのオリジナル。大行列でした(笑)

デュワーズブース。25年までフリー。ブレンドらしい軽い飲み口から、華やかでドライ、ハイランドの熟成した味わい。
デュワーズはラインナップが統一したベクトルにあり、年数が上がるたびに華やかさが増していく印象。

今回も絶賛価格破壊中のアプレリカー。店頭販売もあります。
無料試飲、有料試飲ともオールドで自分好みw
とりあえずこの山崎蔵出し15年、オスロスクとバーボンは必飲。4月前後に面白い試みもあるようで、楽しみですね。

コーヴァルの新商品。ベリーリキュール。正直コーヴァルのジンもバーボンもドライというかハードで苦手気味なんですが、このリキュールは美味い!是非ソーダ割りで!

ウィスクイーさんのボトラーズブース。ハートブラザーズのプルトニー11年は、リフィルシェリーで香ばしいサルファリーさがアロマにありつつ、プルトニーらしい麦感が感じられる。
アランはジンを思わせるような柑橘系のニュアンスからオーキーな華やかさ、フルーティーさが特徴。

レミーコアントロー関連。ハイランドパーク、ヴァルキリーに次ぐ第二弾。シェリーはリフィル系で控えめながら、麦感とスモーキーさ、ほのかな塩気が感じられる。
そしてポートシャーロット10年、スモーキーさと樽由来の柑橘、バニラ感のバランスが良く、アイラモルト短熟オフィシャルの中でもレベルの高い仕上がり。

バランタイン17年トリビュート。スモーキーさを意図的に抑えたという構成は、ノンチル48%仕様でボリューミーな味わい。オレンジや熟した洋梨、モルティーさを感じる。

毎度お馴染み。富士山麓のグレーン。熟成を重ねて3年。グレーンながらバーボンを思わせるメローでしっかりとした味わい。

アイリッシュの新興勢力。中身はクーリーでPXフィニッシュらしいですが、PXらしさよりアイリッシュらしいフルーティーさとドライな口当たり。意外に美味い。





オールドフィールド ブルーラベル 特級表記 1980年代流通 43% ブラインド

カテゴリ:
OLD FIELD'S BLUE LABEL
Blended Scotch Whisky
1970-1980's
760ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:ブラインドサンプル@Wenny氏
暫定評価:★★★★★(5)

【ブラインドテイスティング解答】
地域:ハイランド&ローランド
銘柄:BIG-T、ピータードーソン、デュワーズ
年数:NAS(5〜8年程度)
流通時期:1980年代
度数:43%
樽:複数回使用のリフィルシェリー系
仕様:ブレンデッドスコッチ

香り:ドライでクリア、あまり香りが立たない。プレーンな穀物感、アロエ果肉。時間経過でほのかにレーズンを思わせる酸味。

味:品のいい甘さと麦芽風味主体。ヒリヒリとしたアタック、薄めた蜂蜜、砂糖漬けレモンピール。あまり変化はない。余韻はドライ、微かなピートフレーバー、あっさりとしている。

スタンダードクラスと思われるオールドブレンデッド。癖の少ないハイランドやローランドのブレンド向け蒸留所のモルトをベースに、グレーンも相応に使われている印象である。

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オールドフィールド社製のブレンデッドウイスキー。愛好家の間では"天国に一番近いBAR"としても知られる、静岡に本店を持つBARブルーラベルの店名の由来になった、ブレンデッドウイスキーでもあります。

その素性は1970年代初頭、ウイスキー新興市場向けに作られた輸出用のブレンデッドウイスキーだった模様。
当時はストラスコノンなど、イギリス以外の国への販路を求めた銘柄も複数ありましたので、この銘柄がそうした素性のウイスキーであってもおかしくはありません。実際、日本向け以外にイタリア向けのボトルは確認できるのですが、イギリス側の関連サイト等にほぼ情報がないのです。

BARブルーラベルから発信された情報によると、同ボトルの位置付けはスタンダードクラスで、構成原酒はトーモアやベンネヴィス。オールドフィールド社はロングジョン社の関連企業で、同社が保有する原酒を主に使ったブレンデッドを作っていたそうです。
とすると、他にはグレンアギー、ラフロイグなどもありえるわけですが、飲んだ印象としてアギーはあってもラフロイグはほとんど無いかなと言う構成。テイスティングで感じたように、熟成の比較的若く、ブレンド向けの癖の少ない穏やかな原酒とグレーンが中心だと感じます。 


今回のブラインドサンプルは、当ブログ読者のWennyさんから頂きました。
直接の面識はないのですが、以前も出題を頂いており、こうしてまた新たにサンプルを頂けるとは、ブロガー冥利に尽きる光栄な話です。
ちょうど「ブラインドテイスティングの考え方」なんて持論を記事にしたところでもあり、これは外せないぞと挑んだ今回の出題。。。これから順次公開していきますが、個人的に及第点から要補習という結果でした(汗)。

このブルーラベルはスペック的には大きく外してないので、まさに及第点という回答。言われて見ると納得な銘柄なのですが、この辺りの個性の少ないスコッチでの銘柄当ては、思いつく銘柄を揃えた上でのサイコロになっちゃいます。
もっとも当たり目が入っているかどうか、それが問題なのですが。

【BAR訪問記】Sandrie (サンドリエ) 東京・立川

カテゴリ:
古きを学びて新しきを得る、温故知新という言葉があります。
ブラウンスピリッツやリキュールの場合は、古いものを軽々に時代遅れなどと言い切れず、ましてカクテルは昔のレシピが継承されながらも、ベースのお酒は年々香味が変わっている状況。
紡がれた先にある今を変えるには、オールドジャンルもまた知っておかねばならないのは道理と言えます。

今回紹介するBAR、東京・立川のサンドリエは、基本はしっかりと抑えつつ、時にオールドボトルや海外で流通する未知のお酒を、レシピを調整しながら取り込む。温故知新をグラスに詰めたようなカクテルと、レアウイスキーの数々を手頃な価格から提供しているBARの一つ。ドリンカーの皆様に是非オススメしたいオーセンティックバーです。

BAR Sandrie 
時間:19:00~29:00
定休日:火曜日
住所:東京都立川柴崎町3-4-4 すいれんビル2F (立川駅南口徒歩3分)

サンドリエのマスターにしてオーナーである大野さんとは、カウンター越しではなく持ち寄り会で知り合いました。
丁寧な人柄に加え、その際作って頂いたカクテルのアプローチに得心がいったと言うか、端的に言えば自分の好みにマッチした事もあり。
最近は仕事の都合でちょっとだけ寄り道しやすくなったので、時間が取れる時に寄らせてもらっています。

(先日の1杯目は完全におまかせ。出て来たのは和三盆と90年代流通のゴードンジンを使ったジンフィズ。チャームは燻製3種盛り。レモンは搾りたてを果肉が残る形で散らし、爽やかで軽快な飲み口と飽きの来ない上品な甘み。絶妙なバランスで何杯でも飲んでいられそう。。。)

(同じくジンベースで、ホワイトレディ。
組み合わせは先のゴードンジンに、1980年代流通のコアントロー。クリアな口当たりから、口内で温度が上がるにつれて骨格のしっかりした風味が広がる。) 

ジンベースのカクテルは、マスターの得意なジャンルとのこと。
しかしジンフィズはシェイクからのステアという手順に加え、砂糖、レモン、ソーダの量の調整もその都度グラス毎に必要で、手間だけでなく味を安定させる技術も必要。"バーマンの技量を試すカクテル"なんて挑戦的な二つ名も知られています。
それを狙って頼むようなモンじゃないと思いますが。手間のかかるカクテルをしれっと出してくれて、しかも 文句なく美味いのですから、これ以上ないサービスですよね。

一方で、オールドリキュールは現行品に比べ香味が強く、ボディもしっかりしてるものが多い傾向があります。
ホワイトレディだと、コアントローとジン、どちらもそのタイプに該当。ジントニックのような割るタイプはまだ調整しやすい印象はありますが、強いもの同士を掛け合わせることが多いショートカクテルだと、レシピの構成にセンスと経験が問われると感じます。

(現行ボンベイのジントニック。。。しかしただのジントニックではなく、バーマンとボンベイが共同開発した、トニックエッセンスを使用したもので、割る側の工夫がされている1杯。すっきりとした柑橘感のあるボンベイジンに、マッチする各種フレーバーを自由に調整出来る。この1杯も実にうまい。)

冒頭でも触れたように、今も伝わるオーソドックスなカクテルレシピは、リキュールの香味やボディが今より遥かに強い時代に生まれ、当時のメーカーやバーマンの創意工夫で形になってきました。
時代とともにお酒の味が変わる中で、レシピだけが残るものもあれば、それをベースに調整が行われてきたのもあると言えます。
つまり今カクテルブックに載っているレシピが最適かはわからないのです。

「カクテルは今までの経験や気づきを思い出しながら、時に定石に囚われずに美味しさを追求したい。」というのは、話の中で出て来たマスターの言。
定石に囚われないというのは、例えば目新しさで何かをするのではなく、美味しいものを飲みたいというお客の本質を満たすにはどうしたら良いかを考えた結果、時にオールド、時に現行、様々な選択肢の中から最適なレシピを導いて提供すること。
突き詰めると、カクテルしかりウイスキーしかりは、飲む側の好みに合うかなんですよね。
どのBARにもある思想のようで、それをしっかりとした基礎の上で抵抗なくやっているのが、サンドリエの魅力と思うのです。


さて、カクテルパートが長くなってしまいましたが、ここはウイスキーブログですし最後はウイスキーを紹介して結びとしましょう(笑)。

サンドリエのバックバーには懐かしのGMコニッサーズチョイスや、ダッシーなどマスターが収集したレアなボトルが多数。ゆるいところからスタートして。。。と行くのが定石ですが、この日はすでにカクテルを飲んでいたので、いきなりマネージャーズドラムのリンクウッドから。
マネドラらしくハイプルーフで強い酒質と淡い樽香、香ばしくスモーキーな味わいで、12年と若いながらリンクウッドのキャラクターを充分に楽しめるボトルです。
(先日レビュー記事も公開した、グレンファークラス角瓶の21年、25年を飲み比べ。古き良き濃厚かつフルーティーなシェリー感。ファークラスマジックを感じる世代。)

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(今年の7月から提供されている、サンドリエも名を連ねる3店舗連名のオリジナルボトル。クーリー10年。パワフルでややドライだが、オーク由来の華やかさもありハイボールが美味しい。)
写真のように、ラインナップはスコッチ系が中心ですが、バーボンやブランデーも多少あり、スコッチウイスキーを軸に「それならこう言うタイプも」と繋げていけるような、要点を押さえている印象。
一人でも複数名でも落ち着いて飲めるカウンターとサービスは、ウイスキードリンカーなら失望することはないと思います。

サンドリエは今年の12月で5周年を迎えます。東京都心部が活動の中心である自分としては、都内駅前数分のところにあるBARで、よくもまあこれだけのボトルが適正価格と言えるレベルで残ってるものだと素直に驚くとともにカクテルについても前述の通り文句なし。引き続き通うであろうBARが、また一つ増えてしまいました。
大野さん、これからもお世話になります!


若鶴酒造 三郎丸蒸留所 ニューポット 2018 CF結果追跡その2

カテゴリ:
今から2年前、クラウドファンディングで蒸留所改修計画を打ち出し、新たな設備を導入して再稼働した若鶴酒造、三郎丸蒸留所。
プロジェクトリーダーにして、後に蒸留所のマネージャーとなる稲垣さんの人柄とプランに惹かれ、改修工事前から当ブログでも応援させていただきました。

その後、想定した通りの原酒ができているのか、プロジェクトはちゃんと形になったのか。昨年、そして今年も稼働中の三郎丸蒸留所を見学し、仕込んだばかりの原酒を確認していました。
結論から言うと、素晴らしい可能性を秘めた原酒が産まれており、一部の愛好家が持っていたであろう若鶴酒造への評価を、改める時が来たと言っても過言ではありません。
今回は今年見学した蒸留所の状況と、進化した原酒のテイスティングをまとめます。

SABUROMARU
NEW POT
Heavily Peated
Distilled 2018
200ml 60%

香り:香ばしく乾燥した麦、木材や藁を焦がしたようなピーティーさ、少し粘土質の土っぽさを伴う。時間経過でスモーキーさの奥に微かな乳酸、イーストを思わせるニュアンスも。

味:とろりとした口当たりと柑橘を思わせる酸味、香ばしい麦芽風味。時間差で香りで感じた焦がしたようなスモーキーさが口内に広がる。
余韻はヒリヒリとしたアタックもあるが、合わせて麦の甘みが舌の上に残り、ほろ苦くピーティーで長く続く。

発酵したようなニュアンスや若さ故のネガは目立たず、余計な雑味も少ない。それでいてしっかりと重みのある酒質である。ピートは内陸系が主体か、ヨードなどの海系の要素は見られない。また余韻に酒質由来の甘みが残り、ピートに負けない強さもあることから、短熟から長期熟成までをカバーするであろう優れたニューメイク。 

三郎丸蒸留所の原酒に関する特徴は大きく2点。まず一つは50PPMという、アードベッグやキルホーマンクラスのヘビーピート麦芽が用いられていること。
そして写真の日本に二つとない、独特な形状のポットスチルで蒸留されていることにあります。

このスチルはボディの部分がステンレスで、ネックから先が銅製というもの。また、ラインアームに該当する部分が非常に短く、折れ曲がった先ほんの1m少々で冷却機(写真で水滴が付いている部分)というのも三郎丸独自の構造です。
ステンレスは触媒反応がないため、蒸留の際、原酒にオフフレーバーが残るというのが定説にあります。しかし最も反応が起こるのは気化した後であり、その部分を銅化することで、通常のスチルと殆ど違わない効果が得られている模様。
また、現時点ではポットスチルが1基しかないため、1つのスチルで日を分けて初留と再留を行なっているのも特徴と言えます。

そして設備改修初年度の時点で、他のクラフトに無い重みのある原酒が産まれ、荒削りながら可能性を感じていたところ。
今年はマッシュタンを新調して最適な糖化ができるようになったことと、前年の経験を活かしてミドルカットなどの調整を行った結果、酒質の重みや厚みはそのまま、より麦芽の甘みとピートのしっかり乗ったニューメイクが出来上がったのです。

(2018年から導入した三宅製作所製のマッシュタン。以前は密造時代のようなタンクを使っていたが、このマッシュタンの導入で麦芽の粉砕比率から、糖化の温度などの各種コントロールが可能となり、酒質が格段に向上した。)

(蒸留されたばかりのニューメイクの出来を確認する稲垣マネージャー。蒸留直後は60%後半、60〜63%に加水して樽詰めする。この時点のニューメイクもまた、フレッシュなピーティーさが際立っており、加水するのが勿体無いとも感じる。)

(三郎丸蒸留所の熟成庫。左側の壁の向こうには蒸留器などの設備があり、同じ建物の中で区分けされたスペース。比率はバーボン樽を中心に、シェリーやワイン樽なども。この他空調の入った冷温の貯蔵庫があり、熟成環境の違いとして他のクラフトにはない恩恵をもたらしている。)


これまで日本で操業する蒸留所、全てのニューメイクを飲めているわけではありませんが、少なくとも昨年までに稼働したクラフト蒸留所の原酒で、一番可能性を感じたのは三郎丸蒸留所というのが、今年のそれを飲んでの偽りない感想です。

また、自分以外の飲み手がどのように感じるか、2組の持ち寄り会に試供品のニューメイクを出してみたところ、どちらも評判は上々。
1組には「スコッチのニューポット」と言って出し、帰ってきた答えは「ラガヴーリン」。
もう1組では三郎丸として出しましたが、「こんな綺麗で美味いニューポット、あの若鶴とは思えない」、「1樽欲しい、このグループで買おう」という評価。

かつて若鶴酒造では、地ウイスキーと言えば聞こえはいいものの、決して高いとは言えない質のウイスキーを生産・販売しており、愛好家の評価も相応のものが形成されていました。それこそ上記の「あの若鶴とは思えない」という言葉が、その当時の評価を代弁していると言えます。
しかし一連の改修工事と、稲垣マネージャーを中心に行われたトライ&エラーの結果が結実し、ついに我々もその評価を改める時が来たのです。
蒸留所の見学は勿論、機会があれば是非ニューメイクをテイスティングして欲しいですね。今週末のウィスキーフェス2018でも提供があるそうです。

(ウイスキーの作業場は1F。関連展示、蒸留行程見学は2Fから1Fのウェアハウスを見る流れ。各種導線は洗練されており、クラウドファンディングの成果を受けて、しっかりと設計、改修されたことが伺える。)

(三郎丸蒸留所外観。今年創業100周年を迎えた若鶴酒造の歴史と、改修による新しさも併せ持つ造りである。見学は1日3枠までで、同社WEBから要事前予約。)

今年の6月、若鶴酒造の親会社であるGRNが、洋酒等輸入販売の国内主要企業であるリラックスとウィックの子会社化を発表。次の100年に向けた体制強化として、驚きの一手を打ってきました。

そしてこのニューメイク。若鶴酒造でのウイスキーの仕込みは7月から9月の夏場のみで、今年の仕込みはすでに終了していますが、次のシーズンに向けて新たなアイディアが複数ある模様。どのような形でウイスキーづくりに反映されるのか、興味は尽きません。
少なくとも、初年度に蒸留した原酒の熟成経過から新たなフィードバックもあるでしょうし、今年の驚きを越えて、より洗練されたウイスキーが産まれていくこと期待したいです。

スーパーニッカ プレミアム 1990年代流通 43%

カテゴリ:
NIKKA WHISKY
SUPER NIKKA
Premium
1990's
750ml 43%

グラス:テイスティンググラス
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★(5)

香り:カステラと麦芽、メレンゲクッキー。柔らかい甘みの後から少しのアルコールとモルティーさ。ほろ苦くドライ。

味:穀物系の軽い香ばしさ、蜂蜜、カステラやカルメ焼き、スウィートでマイルドな甘みが中心で、ほのかな香ばしさも感じられる。
余韻はほろ苦く、樽感由来の甘みが張り付くように長く続く。

モルトとグレーンの比率は4:6程度だろうか。若干グレーンスピリッツ的な要素もあるが、主体は香ばしく強いモルティーさとこってりとした熟成グレーンの甘み、ジャパニーズらしいブレンド。加水すると微かに洋梨のような果実味が開く。


1990年にリリースされ、その後スーパーニッカ15年に移行する形でフェードアウトした、スーパーニッカの上位グレード。個人的に統一感というか高級感のあるデザインがツボで、オールドにハマりはじめの頃、3本くらい購入した記憶があります。
キャップの部分までガラスがコーティングされており、初期のスーパーニッカ・カガミクリスタルボトルを思わせるデザインがグッときちゃったのです(笑)。

もっとも、味は当時のジャパニーズの枠の中というか、特筆して複雑さがあるわけではありません。
マイルドで甘く香ばしい、そして香味にボリュームがあるという感じ。様々なフレーバーが混ざり合うスコッチとは異なる、ワインで言う新世界系のわかりやすさ。
こうした香味は、多少なり水が加わるロックや水割りで飲まれるようなスタイルを想定していたようにも感じられます。

ちなみに先に触れたように、スーパーニッカプレミアムは、2006〜2007年ごろにスーパーニッカ15年にシフトする形で市場から姿を消す訳ですが、プレミアムの方がマイルド、15年の方が樽香含めて香味のメリハリが効いていて、ブレンドの方向性の違いを感じることが出来ます。
少なくともニッカの売りと言える新樽系のニュアンスは、15年の方が感じやすい印象です。

結果、ストレートで飲むなら15年。ノスタルジーな雰囲気を感じたいならプレミアムをロックで。。。後者は思い出と共に飲みたいウイスキーかな、なんてクサいことを思うのです。

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