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2018年10月

グレンモーレンジ レジェンド カドボール 免税店向け 43%

カテゴリ:
GLENMORANGIE
LEGENDS
CADBOLL
Finished in Sweet French Wine Casks
1000ml 43%

グラス:グレンケアン
時期:開封後半年程度
場所:BAR Eclipse
暫定評価:★★★★★(5)

香り:ドライな香り立ち。干草、バニラやメレンゲクッキーを思わせる甘みと合わせて微かにセメダイン、溶剤的な刺激を伴う。

味:甘くスウィートだが平坦気味な口当たり。はちみつやバニラを思わせる甘みと、微かにグリーンレーズンのような酸味、ピリッとした刺激。余韻は干草やクラッカー、ウッディなタンニンが口内を引き締める。

シャープでドライな若めのグレンモーレンジの酒質に、妙に甘い樽感が混じっている。フィニッシュの樽感に圧殺されているような仕上がりではないが、この甘さは好みを分けそうな印象。


グレンモーレンジが今年の1月、免税店向けにリリースしたLEGENDSシリーズの1本。同シリーズとしては4作目でしょうか。
甘口のフランス白ワインの樽でフィニッシュしたという構成で、ベースの原酒はバーボン樽熟成。おそらくスタンダードと同様の10年程度のものだと感じます。

香りに混じるワインカスク熟成の原酒に度々見られる薬品系の要素に加え、味は甘口のワインという説明に嘘偽りなしの淡い酸味を伴う濃い甘み。これがグレンモーレンジのドライで干草や乾いた麦芽を思わせる風味の原酒に混じり、完全に一体となっていないような多少の分離感、ないし違和感をもって口内に広がってきます。
普段そこまで い方などは、逆にこの甘さが飲みやすさに繋がってちょうどいいのかもしれません。 元々グレンモーレンジはソーテルヌカスクなどをリリースして 同じベクトルにあるように感じます。

ただ個人的には、そのままではボソボソしてたいして味もない安価なコッペパンに、甘口のバニラソースをかけて食べるような感じ。
若い原酒の短期間でのフィニッシュなので、そういう感じになるのは仕方ないのかもしれませんが、厳しい言い方をすると、ちょっと誤魔化しているようにも感じますね。


日本国内ではあまり免税向けリリースは話題になりませんがが、グレンモーレンジは精力的に様々なリリースを行なっています。
それらは、先日記事にした19年のような王道系もあれば、シェリー樽やワイン樽のフィニッシュを駆使した意欲作もあります。

結果、単品で見た時、なんでこんなの作ったかな?と思うことはしばしばあるのですが、王道系だけ作っていても多種多様な消費者の趣向は満たせないですし、目先が変わることで王道系の良さも引き立ってくる。
次は何をリリースするのかな?と考えてしまうのは、グレンモーレンジの戦略に捕らえられている証拠なのかもしれません(笑)。

アボットチョイス 1970年代流通 特級表記 43%

カテゴリ:

ABBOT'S CHOICE
Finest Old Scotch Whisky
1970's
760ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1-2年程度
場所:自宅@サンプル ぎんがさん
評価:★★★★★★(6)

香り:香ばしく淡い酸味を伴う香り立ち、奥から麦芽香、微かにリンゴの蜜を思わせる甘み、土っぽいピーティーさを伴って時間経過で開いてくる。

味:柔らかい口当たり、オールドらしいこなれた麦芽風味、ポン菓子、モルティーで合わせて角の取れたエステリーさ。微かに洋梨、蜂蜜レモンキャンディのような甘みも感じられる。
余韻は少し荒さもあるが、ほろ苦くジワリと染み込むピート、穏やかなスモーキーフレーバーで長く続く。

オールドスタイル。素朴な麦芽系のニュアンスが中心で、モルティーでピーティーなブレンデッド。熟成感に通じる果実要素、エステリーさが香味のアクセントになっている。口当たりは多少ゆるいものの、全体的にはキーモルトであるリンクウッドの個性を感じやすい。


ラベルやパッケージデザインで損をしていたブランドとされるアボットチョイス。以前記事にした1980年代のフィギュアボトルはまさにその典型ですが、このラベルもそれなりに「手に取りづらさ」を醸し出しています。
なんせ、洋酒がギフトとして扱われることが多かった時代。一般レベルの知識しかない方が、箱を開けたらキメ顔坊さんラベル(またはフィギュア)であった時の心境は想像に難くありません。
せめてオールドパーみたいにバックストーリーでもあれば話は違ったんでしょうけど。。。

ですが、味は本物。間違いなくいい原酒使ってますよ。
無名銘柄や低価格のブレンドにありがちな、グレーン増し増し系だったり、あるいは表情の見えない無個性なハイランドorローランドモルトを中核せず。キーモルトである"かつてのリンクウッド"をしっかり感じられるモルティーな構成が、オールドブレンデッドを飲む楽しみを感じさせてくれます。
ストレート以外にハイボールにしても美味しそうです。


アボットチョイスの姉妹銘柄で、上位グレードにあたるチェッカーズも"本来の姿"はスモーキーで芳醇なオールドリンクウッド感をしっかり感じられるブレンドです。
しかし使われている金属張りキャップの影響で、今やオフフレーバーが出ている個体の方が多く。。。果敢にチャレンジして散っていった同志は数知れず。

そこにきて、アボットチョイスのボトル仕様は問題なし。また、試しにこの2種類に加えて、ほぼ同時期の流通であるリンクウッド12年、計3種類を飲み比べてみましたが、共通項はしっかり感じられます。
リンクウッドは品のいいフルーティーさと麦芽風味に、存在感のあるピーティーさが魅力で間違いない旨さ。チェッカーズは長熟原酒も多少混じっているのか、よりマイルドかつ香味の濃い口当たりから、余韻のほろ苦さと ピーティーさ、焙煎した麦芽の香ばしさとカルメ焼きのような甘みを感じる。やはり美味いブレンドです。

(チェッカーズとアボットチョイス、1970年代流通品の比較。色の濃いほうがチェッカーズ。)

比較をすると、アボットチョイスの方が少々軽い印象はあるものの、大きく見劣りはしない。むしろ、麦系の香味がわかりやすいだけでなく、地雷を引く可能性を考慮すると、"DCLの至宝"と呼ばれた時代のリンクウッドを感じたいなら、アボットチョイスの1970年代流通でいいんじゃない?とも感じます。
不遇な時代を生きたアボットチョイスに、時を経て光が当たる時代がついに訪れたと言えるのかもしれませんね。

グレンファークラス 21年 角瓶 1980年代後期流通 43%

カテゴリ:
GLENFARCLAS 
Years 21 old
1985-1989's
750ml 43%

グラス:リーデルヴィノテクスピリッツ
場所:BAR Sandriie
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:カカオチョコやカラメルソースを思わせる濃い甘み、ブラックチェリーなどのダークフルーツに、い草や和室を思わせる乾いた植物っぽさ、焦げ感のあるピートがアクセント。

味:とろりとした甘みに合わせて少しヒリヒリした口当たり。酒質の強さを感じる。黒蜜、チョコブラウニー、レーズン、奥からい草や乾いた植物。余韻はドライでややトーンは高い。ピーティーなスモーキーフレーバーとウッディな余韻が、古酒っぽい要素を伴って長く続く。

濃厚なシェリー感はあるが、ウッディーさとピート、ややアタックの強い酒質、古酒系のニュアンスがそれぞれ悪目立ちしていて、注ぎたてからしばらく時間が必要だと感じる。その後はとろりとした甘みが乾いた植物感をまとめてバランスが取れてくる。


1980年代の終わり頃に流通した、角瓶ファークラスの最終モデル。先週投稿した25年と同時期のオフィシャルボトルで、ラベルの表記から1988年前後のものと思われます。

角瓶時代のファークラスのラベル遍歴は、前回の記事でざっと触れたところですので省略させていただくとして。。。
現行品のファークラスとは色合いからしても一目瞭然。BARの薄暗い照明を差し引いても濃厚な色合と、リッチなシェリー感。これが時代を経る毎に薄くなっていくワケですが、これより古いオフィシャル通常リリースの21年はさらにシェリー感が濃かったかかというとそうではなく。時代やロットによって差が結構あったように思います。


例えば、写真の21年1970年代流通の角瓶は、明らかにリフィル系の香味と色合。流通時期から逆算して1950年代あたりの蒸留ですが、この1940年代から1950年代は、シェリー酒の消費量が一時的に低迷したとされる時期に合致しています。(不況説、第二次世界大戦説、スペイン内乱影響説など多説アリ。)

まあそれはそれで、当時の麦感とピーティーさが強く感じられて良い面もありました。一方、1960年代から1970年代は、一転して世界的にシェリー酒が飲まれた時代にあたります。
これらは推測ですが、溜め込まれた濃厚なシェリー酒が流通するとともに設備の近代化も行われ、古い樽をガンガン輸出用に払い出した結果、濃厚なシェリー感のリリースが集中することになったとすれば。。。

グレンファークラスのロット差は、いかに大規模な蒸留所といえど、一族経営で大手グループに属さない不安定さが、上記のようにその時々の情勢の影響を受けることで、樽感の異なる原酒が熟成年数に限らず混在する形になったのではないかと考えられます。
それこそ、10年クラスから長期熟成まで、多様なキャラクターのオフィシャルボトルを作り上げることから、ファークラスマジックなる呼び名でも知られたところ。
それはひょっとすると、先の考察の通り原酒を仕込んだ時代の影響の副産物にして、その中でウイスキーを作り続けて来たグラント一族のセレンディピティなのではないかとも思うのです。


なんだかグレンファークラス21年から始まった話が、シェリー樽とファークラスマジックの考察などと無駄に大きくなってしまいました(汗)。
中身の話あんまりしてないし・・・。

そんなわけで、最後に強引に元の話に戻すと、今回のテイスティングは21年、25年を飲み比べながら行いました。
好みとしては、フルーティーさのしっかりあった25年ですが、21年も濃厚な甘みとスモーキーさが、時間経過でどう化けていくかは楽しみなボトルでもあります。
この他、サンドリエさんには同時期流通の角瓶15年もバックバーにあり、3種揃えて飲み比べなんて最近は中々出来ない贅沢な楽しみ方だと思います。

モートラック 37年 1968-2006 GM プライベートコレクション 45%

カテゴリ:
MORTLACH
GORDON & MACPHAIL
PRIVATE COLLECTION
Aged 37 years
Distilled 1968
Bottled 2006
700ml 45%

グラス:サントリーテイスティング
時期:不明
場所:Y's Land IAN
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:濃厚でスウィート、ややベタつきがあり、長期熟成のクリームシェリーを思わせるようなアロマ。カラメルソース、黒蜜、レーズン、微かにベリー感を伴う果実香と、湿った木材を思わせる落ち着いたウッディネス。

味:マイルドで滑らかな口当たり。クリームシェリー、レーズンや皮付きの葡萄、ブルーベリージャム、濃く入れた紅茶のタンニン。濃厚な甘みを主体とする中で、ほのかな酸味とタンニンがアクセントになっている。
余韻は渋みが強く、タンニンが収斂するドライなフィニッシュへと続く。

見るからに圧殺シェリーだが、近年のスパニッシュオーク系ではなく、GM独特の甘みの強いカラメル系。なんとも葉巻に合いそうである。加水というよりチェイサーで余分なシェリー感を流すと、余韻の強いタンニンが軽減され、フルーティーさが残る。


GM社のディレクターがカスクチョイスしたというシリーズ、プライベートコレクション。
要するに立場ある人間のチョイスだから、普段のリリースより特別な樽を選んでるぜ、って位置付けだったのだと思うのですが、最近は特別感のある1950〜70年代の蒸留原酒以外に、カスクフィニッシュなど意欲作もリリースされており、位置付けがよく分からない印象もあります。(中にはプライベートコレクション=カスクフィニッシュに限定しているようなPRもあったり。。。)

ではこの時期のGMのリリース傾向と、このプライベートコレクションで考えてみると、如何にもGMらしいカラメルっぽいシェリー感のこってりした味わい。45%加水でありながら、このシェリー感の濃厚さは特筆モノですし、加水だからこその滑らかな口当たりもポイント。タンニンは強くあるものの、なるほどこれは中々悪くない濃厚系シェリーです。

ただ、モートラックでこの他リリースされていた、イーグルラベルの1960年代単一蒸留年モノなどと比較してどうかというと。。。突き抜けている印象はなく、良いも悪いもあとは好みの問題という印象。
それだけ同時期のボトラーズリリースのレベルが高かった結果にして、GMの豊富な原酒保有量だからこそ、逆に埋没したリリースとも言えそうです。


今回のテイスティングはいつもお世話になっている日本橋のBAR IANにて。
ちょっと前のGMでシェリーの濃いヤツないっすかねと頼んで奥からしれっと出てくる、今となってはレアなボトルたち。価格も良心的で、こういうかつてのGMらしさを経験したいという近年のドリンカーには是非オススメしたい環境であり、1本だと思います。


キルホーマン マキヤーベイ 46% 2018年ロット

カテゴリ:
IMG_8914
KILCHOMAN
MACHIR BAY
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間以内
場所:自宅
評価:★★★★★ (5-6)

香り:フレッシュな香り立ち。レモンやオレンジピールなどの柑橘、塩素と薬品臭、焦げたようなピート香。少し根菜のような土っぽさの混じる植物感も伴う。

味:若干水っぽさのある口当たりから、蜂蜜レモン、土っぽいピート、乾いた麦芽風味。飲んでいる最中から鼻腔に抜けていくフレッシュなピート香。余韻はほろ苦くスモーキー、焦げたようなピートフレーバーが長く続く。

若いウイスキーらしくピート要素のエッジが立っており、今この瞬間燻したような新鮮さ。合わせてオーク由来の柑橘感がアクセントになって、加水と合わせて上手くまとまっている。まさにピートを味わう酒。ただ酒質は素直ながら少し軽いのか、加水やハイボールではボディが負けてぼやけてしまう。冷凍してハイボールにするとGOOD。
  

2005年に創業したキルホーマン蒸留所のエントリーグレード。昔飲んだ時は若さが結構強かった気がするのですが、今飲むとむしろ良い面も感じます。
パッケージにあるようにバーボン樽を主体に、3~5年熟成の原酒をバッティングして加水調整した若いウイスキーですが、ニューポッティーな雑味的要素はほぼなく、酒質の素直さとピートのフレッシュさがメイン。オーク由来の柑橘系の香味がアクセントになっている、若いなりの良さが感じられる構成です。

ここ最近、キルホーマンのオフィシャルスタンダードを飲む機会が結構ありました。これまでは"まだまだ発展途上"という印象が拭えなかったのですが、リリースされたばかりのバーボンバレル熟成の10年はフルーティーさのはっきり出た美味しいアイラモルトですし、今年の初めに話題になったシェリーカスクも同様。
このエントリーグレードのマキヤーベイにしても、テイスティングの通りフレッシュなピートと柑橘感で、若いなりに良さを感じる味わい。いよいよ蒸留所としてキャラクターが確立してきたなと感じるのです。

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(キルホーマン蒸留所所有の麦畑。アイラ島にある自社農場で生産した麦芽を原料の一部としており、アイラ島産のピートで50ppmのヘビーピート仕様に仕上げられる。 Photo by K67)

であれば、そろそろちゃんと飲んでおかねばならないと、家飲み用のヤングアイラ枠に採用してみました。いつ何時キルホーマンをブラインドでぶっこんで来る輩が出てくるか判らないですしね(笑)。
いくつか飲み方を試してみて思うのは、フレッシュなピーティーさを除けば素直な酒質である反面、少々ボディが弱いというか軽い点。10年くらいの熟成までなら樽感を受けとめられるだけの余力は残ると思うのですが、15年、20年と育ったときにどうか・・・はちょっと気になるところ。近年流行りの早熟傾向な酒質ってヤツでしょうか。

まあ神のみぞ知る先の話を心配しても仕方ないのと、そもそも短熟でリリースすることをメインにしていくならこれはこれでアリ。むしろこれがキルホーマンのキャラクターとも評価できます。
同価格帯の他のオフィシャルアイラモルトに比べて突き抜けて旨いというワケではありませんが、今の完成度なら後はユーザーの好みで選べる選択肢の一つであることは、蒸留所としての大きな成長だと思うのです。


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