ハイランドクイーン マジェスティ 23年 アイラシングルモルト 40%
HIGHLAND QUEEN
MAJESTY
ISLAY SINGLE MALT
Aged 23 years
Distilled 1989
Bottled 2013
700ml 40%
グラス:テイスティンググラス
場所:萌木の村 BAR Perch
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)
味:スパイシーでオーキーな強いニュアンス。麦芽風味とナッティな香ばしさを伴う口当たり。平坦気味だが徐々にオイリーな質感を伴い、余韻にかけてグレープフルーツのワタに通じるほろ苦いピーティーさ。
余韻はウッディでドライ、スモーキー。ほのかにヨード香を伴い、染み込むよう。
ファーストフィルバーボンと、リフィルシェリーオークが混じったような樽感で、強い樽感を整えるために多少ボディと酒質由来の香味を犠牲にした加水仕上げであるように感じる。あるいは、整った飲み口を重視した仕上がりは、ブレンド銘柄ハイランドクイーンとしてのスタイルを意識したとのかもしれない。加水はせずにストレートで。
ブレンデッドブランド、ハイランドクイーンからリリースされた、シングルモルト表記の1本。
1989年蒸留、2013年のボトリングで、今から約5年前のリリースですが、日本には昨年ごろに並行品として入ってきたように記憶しています。
近年のミドルエイジ以上のアイラモルト高騰と、逆にポンド安が進んだ今なら買いだと、バイヤーが在庫をまとめて引いてきたのかもしれません。
結果、23年のアイラシングルモルトとしても同品の海外流通価格と比較しても、安価な設定になっているのが特徴です。
中身については、地域以外は不明とされていますが、飲んでみると魚介的な要素に、かすかにフローラルでグレープフルーツ的な要素を感じるあたり、ボウモアのような印象を受けます。
ハイランドクイーンはグレンモーレンジとグレンマレイをキーモルトとしたブレンドであり、そのバックホーンからグレンモーレンジ繋がりでアードベッグ・・・は仮に5年前でも市場価格と釣り合わないし、そもそも原酒が貴重すぎる。MHDにリンクしてブレンド用に調達していたカリラを使ったのかと予想していたため、まさかのこの蒸留所の系統と余計に驚きました。
1980年代のボウモアというと、パフューム香を警戒される方が多いと思います。しかし1989年のボウモアはそれが全開なビンテージというわけではなく、時に感じさせない原酒がある場合もあります。(例えば、ラトレーの1989)
ボウモアにサントリー資本が入ったのは1989年からであり、徐々に生産方法や樽について手を入れていったとされています。そのため、この時期はまだ安定しないものの、90年代ボウモアのキャラクターが出始めてもおかしくない時期と言えます。
それにしても、なぜハイランドクイーンでボウモアなのか。日本では同蒸留所を「アイラの女王」と例えることがあり、安易に考えれば女王繋がりとなるのですが、この2つ名、現地ではあまり一般的でないように思います。
それこそ、クイーンエリザベス2世が訪問した唯一の蒸留所という記録があるくらいで・・・。
と、ついボウモアであるという前提で話をしてしまいましたが、何れにせよ、1989年蒸留の特徴的なピーテッドアイラシングルモルトが1万円ちょっとで買えるのは、今の市場でのスペック的にはお得と言えるのではと思います。
シングルカスク&ハイプルーフのような突き抜けた味わいや個性はないので、BARでは1杯目、家飲みではまったりと肩の力を抜いて楽しむのが良さそうです。