アーカイブ

2017年10月

ダイナースクラブ 12年 デラックススコッチウイスキー 1990年代流通 43%

カテゴリ:
DINERS
12 Years old
DeLuxe OLD SCOTCH WHISKY
1990's
750ml 43%

グラス:名称不明テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★(5)

【ブラインドテイスティング(お猪口)】
区分:ブレンデッド
地域:ハイランド、ローランド中心
蒸留所:不明
年数:10年程度
度数:43%

世界で5本指に入るとされる稀代の名ブレンダーにして、音楽家メンデルスゾーンの末裔、ロバート・メンデルスゾーン氏が手がけたというダイナースクラブの会員向けのウイスキーの一つ。
今回は例のお猪口のブラインドテイスティングで出題されており、テイスティングコメントは簡易的なものとなっています。

飲み口はスムーズで穏やか、ほのかな植物感に、べっこう飴やざらめを思わせる甘さと古酒感が中心のクセの少ないウイスキーで、この時代のブレンデッドに見られる存在感の強いオールドピートやスモーキーさ、熟成したハイランドの華やかなモルティーさといった要素は感じられません。
構成原酒は不明ですが、香味から受け印象は特段ライトボディという感じでもないため、ブレンド向けのローランドモルトやハイランドモルトをベースとしているのかなと。アイラモルトなど、個性の強い原酒は使われていないような印象を受けます。

当時のブレンデッドの系統の一つに見られるタイプで、自分としては物足りないですが、逆にその手のスモーキーさが苦手という方々は楽しめる要素も多いと思います。
万人向けの味と言えるかもしれません。

(テイスティングするロバートメンデルスゾーン氏。恐らくは由緒正しい方なのだと思いますが、溢れ出る胡散◯さから当ブログでは若干ネタ的に扱わせていただいております。)

ちなみに、このブレンドを手がけたメンデルスゾーン氏については、他にもプリンススコッチウイスキーなど、オールドブレンデッド愛好家や昭和の時代から飲んでいる方は見たことがある銘柄を手がけているようなのですが、上記画像を見ると妙にツボってしまうというか、違う何かが心の中に生まれてしまいます。

ただ、ここまで煽っておいて手のひらを返すようですが、完全に色眼鏡見てしまうのは早計。このダイナースクラブのウイスキーシリーズは、グレードによって熟成感などの違いはあれど、総じて同じマイルドでスムーズというベクトルにある味わい。ブームに乗じて誕生した数多ある自称名門の零細ブレンドと比べるとスジは通っており、モルトの比率も多少高い印象。企業の力かブレンダーの力量か、いずれにせよ光るものはあることも触れておきます。

GM グレンエイボン 21年 1980年代流通 40%

カテゴリ:
GLEN AVON
Single Highland Malt
Years 21 old
1980's
Gordon & Macphail
750ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかで甘くややドライな香り立ち。サルタナレーズン、ブラウンシュガー。合わせて干し草っぽい植物感、乾いたウッディネス、アーモンド、うっすらとカラメルソースの甘み。

味:柔らかくスムーズな口当たり。香り同様の甘みから、麦芽風味、干し草、ドライでゆるい甘み。中間はあまり広がらず平坦気味。
余韻はオールドシェリーの優しい甘み、ほのかな土っぽさ。ドライでウッディで緩やかに消えていく。

ゆるくまったりとしたカラメルソースやブラウンシュガーの甘味を伴う飲み心地が、いかにもかつてのGM加水らしい構成。樽構成はリフィルシェリー系統で、余韻に感じる微かなピートは蒸留所のヒントか。加水するとぼやけたような味に。


グレンエイボンは、GMがエボンサイド・ウイスキー社なる子会社?経由でリリースしているボトラーズ銘柄。ハイランドモルト(スペイサイドモルト)である以外中身は明らかにされておらず、愛好家の間では、グレンファークラス、マッカラン、グレンリベットなどが候補。
このボトルに関しては、角瓶時代のファークラスで、色の薄いロットの味わいに近いものを感じるので、ファークラスに一票です。

この銘柄はかなり多くのリリースが行われていて、中には50年を超える長期熟成や、バッチリオールドシェリーが効いて唸らされるような出来のものもあるのですが、総じて加水が効き過ぎていたり、色が薄くても妙にドライだったり、これはと思うものが少ないように思います。
あくまで個人的な推測ですが、GM側で微妙と判断された樽を中心に融通されているのかと思うこともあります。
(これまで飲んだグレンエイボンの中でベストヒットは、メゾン向けのグレンエイボン1959-2000。メゾン向けということで特別な樽だったのか、妖艶さを纏う素晴らしいシェリー感だった。)

今回のボトルは逆算すると、1950〜60年代蒸留の原酒。本来ならピートや麦の風味は今より強い時代であり、40%加水とはいえ当時を思わせるオールドなニュアンスは残っています。料理でいうなら素材の良さ、ベースの良さで飲ませているボトルと言える印象です。
おそらく今の原酒で同じような構成を作ったら、スカスカで飲めたものじゃなかったとも。(実際そういうボトルは無いわけじゃありません。)

これもまた古き良き時代だからこそ実現した、バランスと飲み心地。個性を求める飲み手には物足りないかもしれませんが、1杯目のモルトで準備運動的に香味を探してみると案外楽しめると思います。

ワイルドターキー 8年 1970年代流通 50.5%

カテゴリ:
WILD TURKEY
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON
8 Years old
1970's
1Quart 101proof

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:艶のある甘みとベリーやチェリーの果実香。メープルシロップ、カカオを思わせる焦げたオーク材。華やかでウッディなアロマが、穏やかでありつつも、じわじわとスパイシーな刺激と共に香り立つ。

味:コクのあるまろやかな口当たり、小麦を思わせるような柔らかさと落ち着いた甘み。甘酸っぱくクランベリーや焦がしたバニラ、徐々にキャラメリゼのほろ苦くビターな味わいへと繋がっていく。
余韻はドライでウッディで力強い。スパイシーな刺激と焦げ感を伴いつつ、華やかで艶のあるオーク香が長く続く。

ワイルドターキーの魅力が十二分に詰まった実にウマい1本。この時期のバーボンに多く見られるコクと甘酸っぱい赤い果実のニュアンスを伴いつつ、ヘビーチャーを施す処理故か焦げたウッディネスもらしさとして感じられる。余韻にかけて力強さが増していく構成で、ストレート、少量加水、ロック、どの飲み方でもOK。


個人的に"メンチ切りターキー"と呼んでいる、ターキーの顔が正対した、若干エイリアンっぽくてキモいデザインの8年ハイプルーフ。
この系統のラベルは、かなり古い時代から2000年頃まで続くため、一見すると見分けがつきづらいですが、日本市場には1970年代以降のボトルの流通が多く、ネック部分に使われたシール素材やコルクキャップ部分の違いを認識すれば、比較的容易に見分けられます。
また、1970年代から1980年代のロットにおける新旧の区別は、裏ラベルのバーコード有無で線引きすることも可能です。(アメリカは1980年代初頭からバーコードが酒類に採用されているため、08バーコードがあるほうが後期ロットということに。)

ワイルドターキーは、1980年代流通のゴールドラベルで七面鳥が空を飛ぶ、12年熟成の通称"フライングターキー"が高い評価を受けていますが、この"メンチ切り"ターキーも負けず劣らず素晴らしいバーボンだと感じています。
昔はもっと荒々しかったのかもしれませんが、経年で落ち着いた飲み口に広がる華やかでコクのある甘み、果実を思わせる甘酸っぱさ、余韻にかけて強まる香味の刺激。1990年代の8年熟成も決して悪くないのですが、完成度が頭ひとつ違います。

そしてそれは現行の8年を何十年熟成、瓶熟させようと、ベースが違いすぎて辿り着かない領域でもあることは言うまでもなく・・・このレベルのバーボンを量産していたのですから、古のアメリカはなんと言う技術を持っていたのでしょうか。
昔安かった時期にいっぱい買っておけばよかったとか、後悔しているボトルです。

近年、モルトウイスキーの長期熟成原酒が枯渇する中、グレーンウイスキーの長期熟成原酒がリリースされるシーンが度々見られるようになってきました。
もちろんそれはそれで美味しいものもあるわけですが、であればこそバーボンにあまり興味がないというスコッチタイプ派のウイスキードリンカーにも、この辺りのボトルは是非飲んでもらいたいですね。
ひょっとしたら、新しい発見(沼)があるかもしれません。

ラフロイグ 30年 リミテッドエディション 2016 53.5%

カテゴリ:
LAPHROAIG
Aged 30 years
Limited Edition 2016's
Distilled 1985
Cask type ex-bourbon barrels
700ml 53.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:焦げたピートのスモーキーさ、淀みのない香り立ちで勢いがある。ヨードや塩素、バニラ、時間経過で柑橘、ドライパイナップル、ややエステリーでハーブのアクセント。乾いたウッディネスのスパイシーさも感じられる。

味:香り同様に勢いがあり、フレッシュでフルーティ。グレープフルーツ、オレンジママレード、淡いトロピカル要素。奥からピートのほろ苦くスモーキーな味わいがしっかり。ナッツと乾いた麦芽、スパイスの刺激。
余韻はスモーキーでフルーティー。ハイトーンでオークの華やかさとウッディなドライさが長く残る。

長熟ラフロイグらしいフルーティーでピーティーなキャラクターがしっかりとある魅力的な1本。枯れた感じの少ないフレッシュさ、度数相応のアタックが開封直後は硬さにも繋がっている印象。
少量加水すると華やかさは増すが、思ったよりボディが伸びずピートもぼやけてしまう。時間をかけてじっくりと楽しみたい。

順番が逆になりましたが、昨年2016年にリリースされたラフロイグのリミテッドエディションです。
リフィルのバーボンバレルで30年熟成させた複数樽をバッティングした、シングルモルトのカスクストレングス。長期熟成オフィシャルのカスクストレングスで、この度数というのも近年珍しい仕様ですが、それ以上にバーボンバレルのみで30年熟成はボトラーズでもすっかり見なくなりました。

バーボン樽熟成とあって近年仕様のラフロイグを象徴するような、あるいは目指す姿の一つを見るような1本。
シェリー樽のニュアンスがない分、逆に樽感にキレがあり、全体を通しての華やかさやフレッシュさが強調されている一方、それが飲み口の硬さにも繋がっているようにも感じます。
例えばここで25年などに使われているリフィルシェリー樽やホグスヘッドなどが使われて入れば、もっとマイルドでコクのある味わいになったかもしれません。ただ、それは時としていい意味でも悪い意味でもオフィシャルバッティング的な味わいとなり、主張のはっきりとしたキャラクターになるかは別だと感じます。

言わば塩で味付けた料理(特にスープ類)に醤油を入れるようなモノですね。
このリミテッドリリースがそうした複数種類の樽を使ってこなかったのは、単に原酒の選定上そうなっただけとは思えず、作り手側に何か狙いがあったのかと感じてしまいます。
前年の32年がこの逆、複数タイプの樽を使って総合的に旨くレベルの高いボトルを出してきているだけになおのこと。

ちなみに今年リリースされた2017とはキャラクターは同系統ですが、樽使いの傾向の違いもあって、30、27、25で好みが分かれるなという印象です。
自分の好みとしては、樽感がストレートに感じられる30年はもう少し時間を置きたい。27年はバランスが良いものの、度数の低さ故勢いにはかけるのであまり時間はかけないほうがいい。とすると面白みは乏しくとも、毎年度リリースされている25年の安定感は流石だなぁとか感じています。

シャトー カントナック ブラウン 14% メドック格付第3級

カテゴリ:

CHATEAU CANTENAC BROWN 1980

CRU CLASSE EN 1855

MARGAUX

750ml 14%


セット買いしたリキュールについてきたワイン。カントナックは神の雫効果か、日本市場で扱いの多い銘柄で、自分も名前だけは知っていました。


この銘柄は、近年こそ品質の向上が目覚ましいが、古いものに見るところは少なく、特に1960〜70年代はバッドビンテージであるとパーカーさんあたりが言ってるとか。

1980年代も特筆して評価された記録はなく、あるのはこの1980年から所有者がレミーマルタンに変わったということくらいです。(ここからワインの作りが軽くなったという話も。)

品種はカベルネ主体、飲み頃は2000年ごろまで。今回の1本は既に10年以上オーバーしている古酒であるだけでなく、入手がオークションの抱き合わせ品ですから、状態含めまったく期待していませんでした(笑)

ま、レストランのグラスワインレベルで楽しませてくれれば良いよーってくらいに考えていた訳です。


 

届いてから1週間程度縦置きして、オリを沈めて抜栓。グズグズかと思えば意外とコルクがしっかりしていて、色合いもオレンジ系の中に赤みや透明感があって見た感じは期待出来そうです。


注ぎたては長期熟成らしく落ち着きのあるきめ細やかなタンニンや焙煎香、アーモンド、胡桃の皮、少し埃っぽいような古い家具、果実香はあまり開いていない。

30分~1時間くらい経つと蜜っぽい甘みと酸味、プラム、カシスソース、徐々に赤い果実を連想させるアロマ。

口当たりはまろやかで濃厚、余韻は柔らかいタンニンが重なるように残る。


最初はちょっと逝ってるかな?と思い警戒しましたが、全然飲めるレベル。思ったほど過熟という感じもしないですね。

ただ特段華やかというわけでも、果実味がしっかりあるわけでもなく、たぶん元からそういう系統でガッチガチだった赤が、時間経過でまろやかになったという感じ。ピークはもっと甘みが立ってきたのだろうと思うのですが、逆に拒絶されるような要素はなく、生ハム、煮込みハンバーグなど「塩気や酸味」を伴う肉料理との相性が抜群でした。



あれ、これってテーブルワイン以上に楽しませてもらったんじゃないか?w

ラベルは日焼けしてる感じはなく、一部水分で退色したような汚れ具合。飲んでるうちに見えてきたラベル裏は、酒石酸?の蓄積した後もあり、恐らく地下倉庫かセラーかで保管されていたワインが、何かのきっかけで最後の1~2年流れてしまった感じかなと推察。

ちゃんと飲んで介錯できてよかったです。


最近ウイスキー愛好家だけでなく、ウイスキーに興味を持たれたワイン愛好家の方々が、当方のブログを読んでウイスキーテイスティングや購入の参考にされているという話を聞き。また、先日紹介したカーサのアパッシメントなど、ウイスキー愛好家の方からデイリーワインで愛飲するようになったなんて話も伺いました。

どちらの意味でも門戸を広げることに貢献出来ているのは嬉しいことですね。

そんなわけで、今日は逆に自分がワインの投稿です。

ワインのジャンルはわからないことだらけですが、周囲にその筋の方々も多いので、いろいろ教えて貰えたらいいなと思っています。


このページのトップヘ

見出し画像
×