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2017年07月

ローガン 12年 1980年代流通 43%

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LOGAN
Aged 12 years
Deluxe Scotch Whisky
1980's
1000ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅(持ち寄り会@J氏)
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:カラメルソースやみたらしのようなとろりとした甘いアロマに古酒感。甘みには焦げ感があり、カルメ焼き、キャラメリゼのようでもある。また、ヨードを思わせる若干の薬品香、しっかりとしたスモーキーさも備わっている。

味:香り同様にとろりとした甘みはカラメルソースやみたらし、どっしりとしたピート香も感じられ、リッチなフレーバーが口内に広がる。中間から余韻にかけてはやや単調で少し軽さも感じるが、全体的に濃い味わいが続く。
余韻はモルティーでスモーキー、ほろ苦くビター。

スモーキーで甘口なブレンデッドの代表格といえる銘柄の一つ。キーモルトとなるラガヴーリンらしいピートフレーバーがありつつ、カラメル系の甘さが飲みやすさとバランスにも繋がっている。ストレート以外にハイボールがオススメ。


ホワイトホースの上位グレードとなるローガン。ホワイトホース社が所有する蒸留所の中でも、ラガヴーリンの配合が多いとされるブレンデッドで、テイスティングのとおり飲んで納得のスモーキーな味わいがあります。

オールドブレンデッド市場を見ていると、アイラモルトやタリスカーなどスモーキーな原酒を中核とする銘柄が人気となるケースが多く、特に古いものほど注目を集めるわけですが、下手に高騰して状態もリスキーなホワイトホース・ティンキャップとか手を出すなら、普段飲みは手に入りやすい80年代流通のローガンで良いんじゃない?なんて思ってしまうこともしばしば。もちろん古いホワイトホースの状態の良いヤツとかキングジョージとかメチャウマなんで、そのロマンを追うことは否定しませんが。。。
ジョニーウォーカーのオールドとか好みな方には、オススメしたい銘柄でもありますね。

他方、ウイスキーは時代によって味が変わるものです。ローガンもまた同様で、時代時代によってドライな時期もあれば今回のボトルのように甘みが強い時期もあるように思います。
ローガンは細かいラベルチェンジが多く、海外向けも多く日本市場に入ってきていますので、見分けは基本的にはキャップの形状や色で見ます。
①1950年代、60年代はショートスクリュー。(白ラベルや馬の絵の書かれていない時代)
②1970年代前半はごついスクリューキャップ。(12年表記の有無が分岐)
③1970年代後半は金色のシンプルなスクリューキャップ。
④1980年代初頭からはあずき色のスクリューキャップ。←今回のボトル
⑤1980年代後半鉛シールの貼られたスクリューキャップ
※レアード表記については①の1950年代に一部見られるも、裏ラベルにかかれる程度。その後1960年代には見られないが②以降は平行する形で存在する。

日本のオールド市場で数が多いのは③~⑤です。今回のボトルは④、その前となる③の時代はややドライで甘みが薄めな仕上がり。この辺は好みの問題ですが、ハズレを引きにくい1970年代以降で選ぶなら②か④が甘みとスモーキーさがしっかりあり、ローガンとしてオススメの流通時期だなと感じます。
④は比較的入手しやすいボトルである一方、手に入るなら②ですかね、ボディの厚み、スモーキーさと甘み、今回の④より頭一つ抜けた仕上がりとなっています。もし興味があります方は、合わせてどうぞ!

ベンネヴィス 10年 43% ニッカウイスキー正規品

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BENNEVIS
Highland Single Malt Whisky
Aged 10 Years
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★(5)

香り:癖のある乳酸系の酸味を伴う香り立ち。ワクシーな麦芽香、あわせてケミカルでレモングラスやライチグミのような華やかなフルーティーさ。つんとしたアルコール感が徐々に鼻につく。

味:生焼けのホットケーキのような粉っぽさを感じる口当たり。麦芽風味とレモンキャンディー、ケミカルな風邪薬シロップ。ボディは柔らかくミディアム程度だが蓄積してくる。
徐々に紙っぽさが余韻にかけて開き、軽くドライでスパイシー、柑橘の綿のようなほろ苦さ、微かピートが続く。

特徴的なニュアンスのあるモルトだが、その個性たるフルーティーさは特筆すべき要素がある。特にボトラーズリリースに見られる構成がオフィシャル10年で楽しめるのはポイント。ロックすると氷に負けて薄くなってしまう。加水もそこまで開く印象は無く、ストレートで。


先日仲間内で美味しくなったと話題になった、ベンネヴィスの至って普通なオフィシャルボトル。
集まりで使うブラインドテイスティング用にと購入し、自分でも味見してみました。確かに記憶にあるそれと比較して、良いキャラクターが感じやすい構成だと感じます。
ブラインドでは、普段飲みのウイスキーとして好印象な声も聞こえる結果でした。

ベンネヴィスのボトラーズには、ケミカル傾向で特徴的なフルーティーさが備わっているボトルが多く、それが魅力の一つとして一定の人気があるところ。
ではこのオフィシャルはというと、以前(といっても5年くらい前に)飲んだ記憶ではもっともっさりして、そうしたフルーティーさよりは、若くて特徴の乏しい麦芽風味、ハイランドモルトという印象でした。
それが最近のボトルでは、若さからくる乳酸っぽさや加水ゆえもっさりした感じは抜けきれていないものの、確かにボトラーズのベンネヴィスに通じる華やかでケミカルなフルーティーさがあります。単に自分のテイスティング能力が向上しただけかもしれませんが、こういう変化は喜ばしいですね。
海外向けにはオフィシャル10年の46%仕様などリリースされてるようですし、15年や21年などもう少しラインナップを拡充して欲しくもあります。

(ベンネヴィス蒸留所外観。背後にはベンネヴィス山が広がる。1986年に蒸留を休止したが1989年にニッカウイスキーが買収。稼働を再開した。 Photo by K67)

ベンネヴィスは基本的には"ブレンド用の原酒供給を主とした蒸留所"です。
ニッカウイスキー傘下となるその前後含め、様々なブレンデッドに原酒を提供してきました。
その現在の提供先には、当然ニッカウイスキーも含まれているようで、真偽のほどは定かではないものの、Malt whisky year book にはブレンド用のニュースピリッツを日本に輸出しているという情報も書かれています。
美味しいウイスキーが作れるなら、国の枠を気にする必要はないと思いますが。。。この点についてはもはや理屈ではなく、生理的な何か。せめて議論と枠組みの整理が進んで欲しいです。

グレンモーレンジ 21年 150周年記念 43% 陶器ボトル

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GLENMORANGIE
SESQUIENTENNIAL SELECTION
150th Anniversary
Aged 21 years
Distilled 1971
Bottled 1993
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★★(7ー8)

香り:華やかでナッティーな香り立ち。艶のある品の良いシェリー香に、ビスケット、綿飴を思わせる甘み、整ったウッディネスがアクセントになっている。徐々に熟したフルーツの発散するアロマ、デラウェアやシナモンアップル、トロピカルフルーツ。

味:柔らかくコクのある麦芽風味。香り同様にビスケット、サルタナレーズン、カラメリゼを思わせるほろ苦い味わいへと続く。余韻は鼻腔にチョコウェハースたアーモンドチョコレートを思わせる甘いアロマ。ドライで軽やかなスパイスを伴う。

多彩で素晴らしい香りと、しみじみとした旨さがあるグレンモーレンジ。らしさがありつつ、時代を感じさせる麦芽由来のトロピカル系のフルーティーさ、樽由来の香味、そして熟成と加水で整えられた。。。まさにオフィシャルボトルとしてのバランスのよさが楽しめる。ストレートでじっくりと楽しみたい。 

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通称"牛乳瓶モーレンジ"。
1993年、グレンモーレンジが蒸留所創業150周年を記念し発売したハンドクラフト仕様のボトル。同じ記念としては通常のトールボトルが1971ビンテージでリリースされており、聞くところでは中身は同じモノだそうです。

樽構成はリフィルシェリー系主体のバッティング。バランスタイプで品の良いオールドシェリーのニュアンスが楽しめます。
グレンモーレンジはバーボン樽という印象がありますが、1970年代蒸留のグレンモーレンジには同銘柄で最高峰と名高い"カローデンの戦い"を筆頭に、数々の良質なシェリー系ボトルもリリースしており、シェリー樽がダメというわけではないんですよね。 
むしろベースとなる酒質の良さは、1970~80年代流通のオールドの10年などを飲めば一目瞭然。樽さえ良ければ後は仕上げ方次第で、今回のように酒質由来の部分が残りつつ、バッティングと加水で仕上げてあるあるボトルは、突き抜けるようなインパクトはなくてもしみじみとゆっくり楽しめる旨さが最大の魅力だと思います。

縁あって我が家に来たこの1本。仕事で疲れて帰ってきた体に染み込むような、優しさと古典的な個性が広がる美味な味わいです。 先週一週間、このボトルにどれだけ癒されたことか。。。
このボトルは自分が飲み始めた頃に何度か飲んでいる1本ですが、陶器ボトルゆえかまだ開ききってないのか、以前よりシェリー感がゆるく、麦芽由来のフルーティーさが強く出てい流ように感じます。
いずれにせよ、旨いボトルであることに変わりはありません。

スプリングバンク ファウンダーズリザーブ 1st レッド 46%

カテゴリ:
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SPRINGBANK
FOUNDER'S RESERVE
"RED FOUNDER'S"
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス 
量:1ショットらしいです(笑)
時期:不明
場所:自宅&個人宅
評価:★★★★★★(6)

香り:香ばしい麦芽香に加え、金属を思わせるシャープなアタック。ドライオレンジピール、土っぽさ、ブラウンシュガーや硫黄も微かに感じるがバランス良くプラスの要素に繋がっている。

味:緩い口当たりから、香ばしさのある麦芽の甘み、微かに干し草、蜂蜜レモン、少し蝋っぽいニュアンスを伴うコクのある旨味。じわじわと塩気も感じられる。
余韻はほろ苦く、塩気を思わせる辛味に通じる刺激とコクが柔らかく収束する。軽やかな香ばしさも漂う。

独特なニュアンス漂う麦芽風味、コク、そして塩気・・・バンクのキャラクターとして王道的な要素を備えている1本。
熟成感は15年程度で、樽はバーボン樽以外にシェリー樽も若干使われているような特徴が感じられる。
元々緩さはあったが、ボトリング後10年を経て飲み口はだいぶ柔らかい。加水はらしさが薄まるのでストレートで。


1960年代のスプリングバンクのキャラクターを再現したとされる、ロッホデール社のファウンダーズリザーブ。10年以上ウイスキーを飲まれている方々からは、懐かしいと感じるボトルだと思います。
オフィシャルではなくボトラーズ区分ですが、作り手がスプリングバンク創業者の子孫であり、半オフィシャルと言えるボトルでもあります。

以下の写真にあるように、赤、青、黒、金と2000年代前半から1種類ずつ、計4種類がリリースされ、確か赤、青とリリースされた後、黒が発売されるまでは少し時間が空いていました。
2009年にゴールドラベルがリリースされてからは、同シリーズに動きはありません。
(ファウンダーズリザーブ全種。友人であるマッスルK氏宅にて。飲みたいって言ったよな、と注がれた1ショットは。。。)

今では見かけなくなったシリーズですが、自分がウイスキーを本格的に飲み始めた頃はどれも普通に飲むことが出来ましたし、探せば買えました。
そしてこれらの評判はというと、特筆した何かという事でもなく、芳しくない声もあったと記憶しています。

今改めてこれらを飲んでみると決して悪い出来というわけではなく、それは1960年代のスプリングバンクを再現したという自ら上げたハードルの高さも少なからず影響していたと感じられます。
実際、同時期のバンクというと、ローカルバーレイやウエストハイランドなどの伝説的ないくつかのリリースがあり、過去が偉大であるがゆえ、どうしても復刻品にもその片鱗を期待してしまう消費者心理があります。

冷静に考えると、全てのスプリングバンクが伝説的だったわけではなく、70年代〜80年代にかけてのリリースにはロット差もかなりありました。
同じ蒸留所ですから、当たり前と言えば当たり前ですが、一般的なそれらに共通するところは確かにあると感じます。
というか、普通においしいボトルです。
最近オフィシャルが美味しいと言われるバンクですが、合わせてこの辺りのボトルに注目してみても面白いかもしれません。


【以下、雑談】
1週間ほど間があいてしまいました。読者の皆さま、ご無沙汰しております。
この4月頃から大きな仕事を任されていて、ここが勝負の1週間だったこともあり私生活もほぼ仕事に向けていました。
ブログページを開いたのも本当に久しぶりです。
そんな1週間になることがわかっていながら、休日に記事ストックを作ってなかったのも問題ではあるんですけどね
(笑)。

まあその甲斐あってか、なんとか最初の山を越えることは出来ました。自分一人の力ではなく、表で、裏で、部署関係なしに多くの協力があったことに涙が出そうになります(実際トイレで泣きましたが)。
今後どうなるかというと、ブログは自分の趣味であり、ライフスタイルの一部のようなモノですので、勿論書き続けていくわけですが、今の仕事が終わったわけではなく、先には2つほど大きな山が控えているので、また今回のように更新が止まるかもしれません。

仕事と趣味、どちらも大事ですが、やはり仕事あっての趣味ですので。まして自分は一家の大黒柱でもあります。
その時は、「ああ、あいつも頑張ってるんだな」なんて思いながら、皆さまの生活の基盤となる"仕事"のやる気につなげて頂けますと幸いです。

J&B ロイヤルエイジ 15年 1980年代流通 特級表記

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ROYAL AGES
Aged 15 years
Blended Scotch Whisky
1980's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会@J氏
時期:不明
暫定評価:★★★★★(5)

香り:ドライな香り立ち。ハーブを思わせる爽やかさ、麦芽香、少し癖のある樹脂のようなニュアンス。徐々にトーストのような香ばしさもある。

味:香り同様ツンとしてドライな口当たり。ザラメ、干し草や麦芽風味、グレーンの軽く植物感を伴う穀物の甘みが主体的に広がる。合わせて薄っすらとべっこう飴のような古酒感もあり。
余韻はややトーン高く、ハードな刺激が感じられるキレのいい余韻。

癖の少ないライトでドライなブレンデッド。モルトに対しややグレーン感が強く、飲み応えという点ではいささか物足りない。1杯目のハイボール向き。

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ロイヤルエイジはJ&Bでアメリカ市場を席巻した、ジャスティリーニ&ブルックス社が1970年代にその上位グレードとして発売したブレンデッド。当時はデラックス表記のノンエイジでしたが、後に15年表記へとシフトしています。
今回のテイスティングアイテムは15年表記に切り替わった後、1980年代中頃あたりのものと思われます。

同社所有の蒸留所はグレンスペイ、ノッカンドゥ、ストラスミル。J&Bといえば原酒不足に対応すべく1974年に創業されたオスロスクもありますが、オスロスクの原酒が15年もののブレンデッドに使えるようになるのは1989年以降であることから、このブレンドには使われていないものと推察。

J&Bのオールドを飲まれた方はご存知かと思いますが、J&Bの通常品は流通時期を問わず共通して味わいが硬いというかドライでピリピリとした刺激があり、その奥に麦芽風味が広がるような構成。このロイヤルエイジもまた同様の傾向があります。
原酒3種類のうち、特にストラスミルの酒質はそうしたシャープで ドライなタイプですから、キーモルトとして同シリーズのキャラクターを作っているのは間違いないとも感じられます。

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