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2017年06月

グレンモーレンジ 15年 43% 2000年代流通

カテゴリ:
GLENMORANGIE
Aged 15 years
2000's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml
場所:個人宅(@TWD氏)
開封時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ドライでスパイシーな香り立ち。ドライパイナップル、バニラ、やや青みがかった干し草、ナッツ、オーク香が充実しており、少々あざといが華やかなアロマ。

味:香り同様、ドライな飲み口から広がるスパイシーで華やかなオークフレーバー。奥にはおしろいを思わせる麦芽風味、適度なコクも感じられる。
余韻はオーキーで華やかだが、合わせてえぐみを伴うバニラの甘み、粘性、ウッディネスが現れて長く続く。

何ともわかりやすい、あるいはやや過剰とも言える樽香が魅力でもある。酒質は程よい厚みがあり、バランスは悪くない。ストレートで。


2007年に現在のボトルへのラインナップチェンジと合わせて終売となった、グレンモーレンジの15年もの。
昨日投稿したようにグレンモーレンジのスタンダードラインナップは、現行オフィシャルの中でも評価が高い事に異論を挟む余地はあまりないように感じますが、旧ボトルには旧ボトルの良さがあり、この15年もまた根強いファンのいるボトルとなっています。

グレンモーレンジ15年は、バーボン樽で熟成した原酒を、1年間アメリカンホワイトオークの新樽でフィニッシュ。アメリカンからアメリカンという、少し特殊な熟成リレーで作られています。
その狙いは・・・香味に感じられる、強いオークフレーバーでしょうか。合わせてえぐみやスパイシーな刺激もあり、よく言えばわかりやすく、率直に言えば荒削りというか野暮ったさすら感じる。それが、このボトルの魅力であるとも言えます。現行品18年あたりと飲み比べると、その違いがわかりやすいですね。
(副産物として得られた、リフィルバージンオークフレーバー樽の行方についても気になるところです。)

旧ボトル時代、2000年ごろのモーレンジは、現在のそれのように洗練された味わいではなく、その他のラインナップにも共通する田舎っぽさがありました。
この15年もまた、そうしたニュアンスに、お化粧したような樽の香味。これと決めた個性以外は削ぎ落として洗練していくスタイルもいいですが、この時代のボトルには、逆にそれが味わい深さとなり、愛される要素となっているのだと思うのです。

グレンモーレンジ 18年 43% 750ml オフィシャル

カテゴリ:
グレンモーレンジ18年
GLENMORANGIE
EXTREMELY RARE
Aged 18 years
750ml 43%

グラス:木村硝子 テイスティンググラス
場所:個人宅(@TWD氏)
時期:開封後2年程度
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでドライ、オーキーな香り立ち。干し草、バニラやおしろいを思わせる麦芽香、ドライパイナップル、微かにオレンジのフルーティーさ。

味:オーキーでフルーティー。りんごのコンポート、白桃、微かにミントぽい植物感、ジンジャーシロップ。ボディは軽めでやや樽感主体。
余韻はドライで乾いたウッディネス、華やかで長く続く。 

華やかでバランス良く、グレンモーレンジらしさが詰まった 1本。 まさにラグジュアリー。樽由来の良い部分がメインで作り手の技術も垣間見える。ロックやハイボールも悪く無いが、特段必要性を感じない。ストレートでじっくりと。


現行品の中で、1万円以下でオススメと言われたら、まず名前が出るであろう銘柄の一つ。そう言えばレビューを掲載してませんでした。
モーレンジらしい乾いた麦芽や植物感に、華やかなオークフレーバー。原酒構成としてはバーボン樽で熟成させた後、シェリー樽による再貯蔵をしているそうですが、あまりシェリーシェリーする感じはないですね。
それこそリフィルシェリーホグスヘッドが少し混じってるかな、くらいのバランス感で、上から覆いかぶさるようなフィニッシュ特有の味付けとは異なり、アメリカンホワイトオークのそれがメインであると感じます。

グレンモーレンジ18年が、なぜ評価されるのか。それはひとえにこの華やかな樽香、それに由来するフルーティーさにあると考えられます。
開封直がは硬さがありますが、りんごのコンポート、あるいは白桃。パイナップルを思わせるオークフレーバー由来のフルーティーさ。シェリー樽由来か、少しオレンジを思わせるフルーティーな香味もあります。

酒質は素直で樽由来の香味を邪魔せず、加水も合わさって良い塩梅に。同10年にも同じベクトルのニュアンスはありますが、若いというか樽感が軽く、好ましいニュアンスは18年に多くあるイメージ。スコットランドの気候的に、適齢期とも言える20年に近い熟成期間もプラスに作用しているのでしょう。
こうした香味はハイランドモルトらしさの一つでもあり、麦芽風味、華やかな樽香とはこういうもの、と言う基準も作れるボトル。入門者からコアユーザーまで、幅広く支持される、完成度の高い1本です。


さて、冒頭の話題に関連して、直近リリースのオフィシャルから1万円程度でこれというボトルを地域別に進めるなら、自分の中では以下となります。

アイラ:アードベッグウーガダール
アイランズ:タリスカー18年
ハイランド:グレンモーレンジ18年
スペイサイド:ノッカンドゥ21年
キャンベルタウン:保留
ローランド:選外

MHD系列強し。大手資本が入っていると、生産や原酒管理が安定するのか、オフィシャルの品質も平均して高いように感じます。
キャンベルタウンはスプリングバンクのラベルチェンジ後をまだ飲めていないので保留。そしてローランドは衰退しました。
・・・いや、数年前までリリースされてたオーヘントッシャン21年とか悪くなかったんですけどね。
今のオフィシャルは本当にモノが無く、この価格帯では選外とせざるを得ませんでした。グレンキンチー18年とかこの価格帯でリリースされないかなぁ。
後で記事にまとめようと思ってますので、もしこれというボトルがありましたら教えてください。

サントリー シングルモルト 山崎 NA 43% オフィシャル

カテゴリ:
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SUNTORY WHISKY
YAMAZAKI 
Single Malt Whisky 
No Aged 
180ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティング
場所:自宅
時期:開封直後
評価:★★★★★(5)

香り:ツンとしたアルコール感、ウッディで甘いアロマの奥からハーブ、少し焦げたようなニュアンス、キャラメル、焼き芋や黒砂糖。香りの要素に分離感のある構成。

味:ねっとりとした甘い口当たり。ザラメ、乾いた木材、淡く植物系のニュアンス。少しざらつくような口当たりを残しつつ、奥から若い原酒を思わせるエッジの立ったアルコール感。
余韻はスパイシー、あざとさのあるオークフレーバーの後は、若い原酒の荒さを残して長く続く。

12年に共通する樽香も一部感じるところがあり、山崎らしさは備わっている一方
。香味とも荒さが目立ち、ストレートは少々呑み疲れる。飲み方は少量加水が好ましい。ロックも初めは悪くないが、氷に負けるのが早い印象。


ハイボールブームの折、山崎10年のフェードアウトを支える形で2012年に発売された、山崎ノンエイジ。
先日、久々に白州NAが飲みたくなって180mlボトルを購入したわけですが、ついでだから山崎NAも飲んでおくかとセットで購入していました。
自分の周囲の飲み屋では、白州ハイボールは比較的ラインナップにあって角ハイボールに飽きた時に頼んだりするのですが、山崎NAはあまりなく、かつハイボールというイメージも無いため、NAを飲むのはそういうシーンを含めても本当に久しぶりです。

そんな久しぶりの山崎は・・・"荒い"というのが第一印象。例えば若さというとニューポッティーで乳酸系の酸味が強いというような要素がありがちですが、これはそのタイプではなく。ワイン樽やホワイトオークなど使われた樽由来と思しき甘みはそこそこあるのですが、ベースとなる原酒の奥行きが乏しいので、舌あたりの荒さ、アタックの強さが目立ってしまう印象です。
昔某ウイスキー雑誌のテイスティングコメントで「まだ時間が必要」と書かれていた事を、朧げながら思い出しました。

一方、飲み進めていくと、テイスティングの通り「この辺は上位グレードと共通点があるな」と思う部分もあります。
その一つが余韻にかけて感じる華やかなオーク香、熟成した山崎原酒に感じられる要素です。
限られた原酒の中で苦労して作られている事が伺えます。
これはこういうもの、として割り切るなら、楽しめる要素にフォーカスして飲んでいける。エントリーグレードのあり方を考えさせられるボトルでした。

ティーニニック 43年 1973-2017 パーフェクトドラム 48.8% リンブルグウイスキーフェア向け

カテゴリ:
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TEANINICH 
THE PERFECT DRAM 
WHISKY AGENCY 
Aged 43 years 
Distilled 1973 
Bottled 2017 
Cask type EX-Sherry Butt 
700ml 48.8% 

グラス:サントリーテイスティンググラス
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(BAR GOSSE)
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★★(7-8)

香り:チェリー、枝付きレーズンあるいは黒葡萄、林檎のカラメル煮を思わせる華やかでフルーティーなシェリー香。やややドライ、徐々に渋みを感じるウッディネス、キャラメルコーティングしたアーモンドナッツのアクセント。

味:フルーティーでオーキーな華やかさが口当たりから広がる。レーズン、ドライマンゴー、シナモンアップルパイ。ハイトーン気味でヒリヒリとした飲み口の硬さもあるが、ボディはしっかりしており、樽香とのバランスは悪くない。
余韻はウッディでドライ。濃く入れた紅茶を思わせるタンニン、ナッティーなオークフレーバー、艶やかで長く続く。

高貴さの漂うフルーティーなシェリー香に、エージェンシーフレーバーとも言えるナッティーなリフィル系のオーク香が合わさって、充実した1本に仕上がっている。口開け直後のテイスティングだったが、過度な硬さは無くうっとりする味わい。加水は水っぽさがあり向かない、ストレートで。


つい先日開催された、リンブルグウイスキーフェア2017向け、ウイスキーエージェンシーからのリリース。何とも目を引くラベルは、同社代表であるカーステン氏の奥様がプロデュースしたとのことです。

ここ最近、ウイスキーエージェンシーからは1970年代前半蒸留となる"スペイサイド名称"の長期熟成モルトが集中的にリリースされています。 
同社はドイツ系ボトラーズメーカー。つまりこのリンブルグ向けは自国向けのリリースということにもなるわけですが、このリリースも最近集中しているスペイサイド・・・かと思いきや、銘柄はまさかのティーニニック。随分マニアックなチョイスだなと感じてしまいました。

こういうボトル、長期熟成リリースが枯渇している昨今においてはもっと注目されるべきと思うものの、ここまで短期間だとありがたみが無くなっていく不思議。味わい的にもテイスティングに書いたように、"エージェンシー味"と言える独特の樽感があって、だいたいその系統なのも一役買っているようです。
直近では信濃屋のNAGOMI、山岡氏がリリースに関わったスペイサイドリュージョン、海外のBARのプライベートボトリング・・・これらは一説にはグレンファークラスとも言われており、樽はリフィルシェリーホグスヘッドタイプだろうというオーク系の華やかな香味、長期熟成ゆえにややボディが硬く、ドライな味わいが共通するところです。 

このティーニニックも"そんな感じ"かと思っていたわけですが、共通するフルーティーさこそあれど、香りの段階からひきつけられる要素がいくつかあり。加えて近年中々見ることの無い、澱みの無いシェリー香は「間違いない」という確信に近い予感が沸き起こる。思わず口角が上がってしまいます。
   
ティーニニックの中ではかなり旨いリリースである一方、"らしさ"は開封時点ではほぼ皆無。目を瞑って飲むと「またスペイサイド出してきた?」と思ってしまうかもしれません。
それでも約49%の度数とボディが樽感を支え、樽しゃぶり系になりつつある長期熟成モルトとは一線を画している仕上がりに、エージェーンシーの自国向けボトルとしての本気を感じます。
また、最近増えたスパニッシュのコテコテシェリーボトルとは異なる、長期熟成によってこそ作られる華やかでよどみの無いフルーティーさが、懐かしくも、そして嬉しくもある1杯でした。

ジャックダニエル シングルバレル バレルプルーフ 65.85%

カテゴリ:

JACK DANIEL'S
SINGLE BARREL
BARREL PROOF
Bottling date 2017.1.31
Lot No, 23 Barrel No,17-0600
750ml 65.85% 

グラス:SK2
場所:自宅(サンプル@T.Ishihara)
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★(6) (!)

香り:ハイトーンでメロー、刺激の強い香り立ち。キャラメリゼやチョコチップクッキーを思わせる甘くほろ苦いリッチなアロマ。ハーブや幾つかのスパイス、焦げた木材のえぐみも感じる。

味:ハイプルーフらしく強いアタック。ねっとりとした甘みとスパイシーな口当たり。オーク由来のバニラ、メープルシロップ、微かに青みを残す植物感、シロップ漬けのチェリー を思わせる甘酸っぱさもある。
余韻はハイトーンでスパイシー。ヒリヒリとした刺激の裏に、染み込むようなタンニン、えぐみ、ドライで長く続く。

リッチでパワフル、樽香も豊か。加水するとメープルシロップの甘さ、焦げたウッディネス、メローな味わいがさらに際立つ。また、ロックでも味わいは長く持続する。
外連味のない、ジャックダニエルらしさをダイレクトに味わえる佳酒。


日本未入荷、ジャックダニエル・シングルバレルのバレルプルーフ、カスクストレングスです。
バーボンでは加水されているモノよりハイプルーフのほうが香味が豊か。同じ度数で飲むにしても、飲む直前に加水したほうが多彩な味わいが感じられるとされています。

それは勿論、テネシーウイスキーであっても同様です。
これまで、ジャックダニエルから47%加水のシングルバレルはリリースされていましたが、単一樽と言ってもやはり加水では。。。そんな中、度数60%を大きく越えるバレルプルーフがリリースされたのは2015年8月のこと。コアな愛好者からすれば、念願の1本だったことと思います。
かく言う自分も日本への並行品入荷を密かに楽しみにしていたところ、ウイスキー仲間のT.Ishiharaさんがお土産にと、現地で買い付けたボトルをおすそ分けしてくださいました。
(ジャックダニエルの仕込み水、鉄分を全く含まないというケーヴスプリングの湧き水"ライムグリーンウォーター"の清らかな流れ。 Photo by T.Ishihara)

ジャックダニエルのキャラクターは、ベリーなどの甘酸っぱさよりもチョコレートやバニラなど樽由来の甘みがしっかりついているという印象があります。
これは様々に工夫されている樽もさることながら、同蒸留所オリジナル、サトウカエデの炭を用いてスピリッツを濾過する、チャコールメローイング製法によるところもあると思われます。
こうしたフレーバーには、上述の甘みに直結するポジティブな要素に加え、焦げたような苦味、植物っぽさ、えぐみなど、ありすぎるとマイナスになるものも含まれており、加水調整無しのシングルバレルというだからこそ、それらがダイレクトに飛び込んできます。

外連味のない香味、とはまさにこういうことを指すのでしょう。良いも悪いも含め、ありのまま。しかし全体的にアンバランスというわけではなく、それらを含めて楽しめる味わいに仕上がっています。
通常品と飲み比べると、原酒単体が持つジャックダニエルらしさがどこに活かされてるのか、その指標となるボトルでもあります。
飲める機会があれば・・・あるいは現地に行く機会があれば、オススメしたい1本です。

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