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2017年05月

グレンファークラス 15年 46% オフィシャル

カテゴリ:
GLENFARCLAS 
Aged 15 years 
Highland Single Malt Whisky 
700ml 46% 

グラス:サントリーテイスティンググラス
場所:BAR飲み(サウスパーク@中野)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(5ー6)

香り:グリーンレーズンやバニラを思わせる甘いアロマ。シーズニングシェリー。徐々に乾いた木材、軽いピートスモーク。

味:まろやかな口当たりから、プルーン、ビスケット、バタークリームサンドのような甘み。微かに干し草、割り箸のようなウッディネス、軽いスパイスも感じる。
余韻はシーズニングシェリーの甘みと並行するようにほろ苦さ、染み込むように続く。

色は薄いが、そこから想像する以上にシェリー感がある。えぐみや渋み、硫黄などのマイナス要素も目立ってなく、バランスよくまとまっている。また内陸系のピート香も感じられ、らしさのある味わいも楽しめる。


先日中野のモルトバー、サウスパークさんで飲んでいた時のこと。マスターに「近年のオフィシャルでこれと思ったシェリー系ウイスキー」あるいは「ウイスキー入門者に進めるシェリー系ってなんでしょう」という質問をぶつけてみました。
自分も日々情報収集はするようにしていますが、やはり現場の第一線でコミュニケーションをとっている方々の意見に勝るものはありません。そのため、大概のBARでは「最近いいと思った近年流通のボトル」を聞くようにしています。

そうして出てきたのが、このグレンファークラス15年。15年は、グレンファークラスラインナップで40年以外で46%仕様というちょっと特別感のあるリリースです。
同店はファークラスの品揃えが豊富で、バックバーの一角をファークラス一族が占拠している中であえて15年。
自分は近年のファークラス・オフィシャルリリース通常ラインナップにはあまりいい印象を持っておらず、最近では25年に逆の意味で唸らされたばかり。
しかしこの15年は、飲んでなるほど、近年のファークラスに感じられる嫌な部分が少なく、シェリー系ウイスキーに求める甘みなどのニュアンスがわかりやすいのです。

もちろん突き抜けて高まる味かと言われると、そういう構成ではありませんが、こういうボトルは安心感がありますね。
家に置いて時々確認したい、そんなスタンダードボトルです。

ハーシュ セレクション 25年 スモールバッチリザーブ 43%

カテゴリ:
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HIRSCH SELECTION
Small Batch Reserve
25 years old
Kentucky Straight Bourbon Whisky
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後3ヶ月程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:艶のある濃厚で甘い香り立ち。トースト、メープルシロップ、林檎のカラメル煮、ドライベリーを思わせる酸味や、チャーオークの苦味を伴うウッディネス。充実したアロマ。 

味:とろりとした口当たり。メープルシロップの濃い甘みと焦げたオークの苦味、シロップ漬けチェリー、ダークフルーツジャム、まるで長熟コニャックのような甘みと濃厚さだが、鼻腔に抜けるパン酵母を思わせるアロマがバーボンであることを主張する。
余韻はビターで程よくドライ。柔らかいウッディネスとオークの甘いバニラ香が染み込むように残る。

25年というバーボンの熟成期間では一つの到達点とも言える、長熟のバーボンウイスキー。濃厚な飲み口で、多少ベタつきのある甘さも感じるが、加水調整によるまろやかなタンニンが心地よい。
ロックも悪くないが、このバーボンはストレートか少量加水でメローな味わいを楽しみたい。勿論葉巻との相性もGOOD。

1990年代から2000年代初頭にかけてリリースのあったプレイスインポート社のハーシュ・セレクション。
同社は蒸留所を所有せず、原酒の買い付けでリリースを行なっていたメーカーの一つ。そしてハーシュと言えば、ウイスキー愛好家の間ではペンシルベニア州の閉鎖蒸留所、幻のミクターズ蒸留所の原酒で作られているとして有名ですが、同銘柄でミクターズの原酒とされているのは16年で、その後リリースされた20年はアメリカンウイスキーで出所不明、今回の25年はウィレットだと言われています。

他方、このウィレット蒸留所も1980年代に蒸留を休止しており、その後は別途買い付けた原酒とストックを消費してのリリースを展開。今回のハーシュに使われた原酒も、そうした中で樽売りされたものでしょう。
ウィレットで蒸留が再開されたのは2012年のこと。近年は休止前のストックが枯渇してしまったのか、再開後の原酒?と思われる短熟のバーボンがリリースされています。(あるいはこれも買い付けか?)
いずれのせよ、このハーシュ25年も16年同様に今は亡き時代の忘形見ということに・・・。

テイスティングの通り、オールドバーボンの艶のある甘み、濃厚なフレーバーが実に旨い。先日紹介したエヴァンウィリアムズ23年の、ハイプルーフで背中を叩いて元気付けられるような味わいとは異なる、まったりとした飲み口だからこその酔い心地に包まれる1杯です。

以下、雑談。
昨晩はバーボンの日でした。というかバーボン以外は考えられませんでした。
日本時間5月29日早朝に届いたビッグニュース、佐藤琢磨選手による日本人初のインディ500優勝。
F1時代から応援していただけでなく、2012年インディ500、ファイナルラップでのクラッシュがあったので、尚更嬉しかったのは自分だけではないと思います。

それこそ、仕事を休んででもニュースと動画を梯子したかったのですが、それは叶わず。。。帰宅後はバーボンと、チェイサーには勿論ミルクを片手にPC前に噛り付きました。(この組み合わせ、カクテルにもあるだけに中々旨いです。)



まさに偉業、佐藤琢磨選手おめでとうございます!
それにしても、日本語実況の混乱とその後のグダグダっぷりが微笑ましいというか、いや気持ちはわかる(笑)。
月曜日、仕事始めで暗い気持ちを吹き飛ばしてくれる素晴らしいニュースでした!!

グレンモーレンジ 10年 1981-1991 ネイティブロスシャー 59.6% #978

カテゴリ:
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GLENMORANGIE
THE NATIVE ROSS-SHIRE
Years 10 old
Distilled 1981.2.5
Bottled 1991.4.17
Cask No,978
750ml 59.6%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1週間以内
評価:★★★★★★(6)(!) 
※ストレートでの評価。加水の変化で加点有り

香り:乾いた木や干草の強い香り、ニッキやクローブを思わせるスパイシーなニュアンスと、ハイトーンで鼻腔を刺激するアタック。奥からはパイナップルやオレンジなどのドライフルーツ、バニラの甘み。時間経過でスパイシーさが和らぎ、オーキーで華やかなアロマが前に出てくるが、かなり時間がかかる。

味:ねっとりとした口当たり、大麦のクリーム、蜂蜜を思わせる甘みと砂糖漬けのオレンジピール。あわせて乾いたウッディネス、香り同様ハイトーンな刺激が広がっていく。ボディは強く、しっかりとしている。
余韻はヒリヒリとしてスパイシー、フレッシュで香り同様に木材を思わせるフレーバーと、若干のえぐみが残る。

ストレートでは荒削りだが、加水すると香味のバランスが段違いで良くなる。まろやかさとコクを感じる口当たりから麦芽風味、ほろ苦いウッディネスにオレンジピール。麦芽香と華やかなアロマが心地よく、素晴らしいポテンシャルを秘めている。
      
(ネイティブロスシャーはボトルを一周する独特なラベルが採用され、裏側下部分には、蒸留・瓶詰め年月日、樽番号など原酒のスペックが書かれている。)

グレンモーレンジの意欲作にして、名作の一つとする呼び声もある10年ナチュラルカスクストレングス、ネイティブロスシャー。
何が意欲作かというと、このリリースが行われた1990年代初頭は、スコッチウイスキーの消費量のうち95%以上がブレンデッドウイスキーという時代。40%台に加水した通常リリースのシングルモルトというだけでも少数派である中、シングルカスク、そしてカスクストレングスで樽出しのオフィシャルリリースを展開したことにあります。

同仕様は、ボトラーズリリースであれば珍しくありません。1990年代初頭、ボトラーズメーカーが今ほどない時期でも、シグナトリーやケイデンヘッド、そしてGMなどからのリリースがあります。
また、オフィシャルリリースでは、複数樽をバッティングしたシングルモルトのハイプルーフ(フルストレングス)は、マッカランやボウモア、リンクウッドなど一部メーカーからリリースがありましたが、通常ラインナップとしてのシングルカスクは現代でも数が限られます。
特にグレンモーレンジは、ボトラーズリリースが極めて少ない蒸留所だけに、シングルカスクの存在はより一層貴重と言えます。

上記はネイティブロスシャーに同封されているパンフレット。文章の随所に感じる前時代感はさておき、テイスティングにおける「ノンチルフィルター」「樽出しの微妙なニュアンス」とする香味の多彩さをPRしています。
(今発売されれば大注目のリリースですが、当時はその魅力を伝えるのに相当苦労しただろうと思われます。)

実際飲んでみると約60%のカスクストレングスだけあって、力強いアタックと共にシングルカスクだからこそのアロマ、フレーバーがダイレクトに飛び込んでくる感覚。樽材由来と思われるスパイスや木材の香味一つ一つの存在が、はっきりと感じられます。
10年熟成で、まだまだ荒削りな部分はありますが、この突き抜けた感覚は複数樽をバッティングした43%加水の通常リリースでは得難いもの。媚びない旨さ、と言いますか。このスペックだからこそ味わえる、通好みの味わいがあります。
Ross-shireはグレンモーレンジ蒸留所のある地名、Native は原産、土地由来のものを指す言葉。まさにこれというリリースですね。


余談ですがこのボトル、7年前に自分が本格的にウイスキーを飲み始めた頃に手に入れたものと同じ樽番号でした。
飲んだ印象はほぼ変わらず。ああ、そう言えばこんな感じだったなと。あるいは、いやちょっと丸くなったか?でも相変わらずだな、とも。
おそらく経年変化で完成度を高めるためには、後20年くらいは瓶熟が必要なレベル。しかしこれはこういうボトルとして楽しむものとも言えます。
今回、とある縁から自分の手元に来たこの2本。偶然の出会いに感謝しつつ、大切に飲んでいこうと思います。

レジェンド オブ キューバンラム Pre1962 2016年リリース 45%

カテゴリ:
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LEGEND OF CUBAN RUM 
Pre 1962 Solera "Valdespino" 
Lot 2016 
700ml 45% 

グラス:リーデルコニャックテイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★(5)

香り:サルファリーさを伴う黒糖系の甘いアロマ。焦げたトースト、ハッカのキャンディ、植物感、オールドカナディアンのような古酒のニュアンスも感じる。時間経過でスパイスを伴うウッディネス。

味:とろりと甘く濃厚な口当たり。あわせて軽いゴムっぽさ、硫黄香が鼻腔に抜ける。焦げたカラメルソース、アロエやサトウキビの植物感、微かにレーズン。余韻はトフィーを思わせるベタつきのある濃厚な甘み。サルファリーなニュアンスが苦味となって非常に長く続く。

長期熟成原酒がベースにあるため、香り立ち、口当たりはまろやかでリッチな香味があるが、シェリー樽由来の濃厚な甘さ、グレーンウイスキーに共通する穀物や植物っぽいニュアンス、そして硫黄。判りやすくはっきりとした味わいはB級グルメというか、なんともくどさを感じる味付け。確実に好みが分かれる。

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キューバ革命よりも前の時代、1940年から1950年代にキューバで蒸留されたラムの古酒をベースに作られているのが、このレジェンドオブキューバンラムです。
1950年以前の原酒とされながら、ラベル表記は1962年よりも前を示すPre 1962。キューバ革命とするなら1959年あたりが一般的ですが・・・同年はキューバ危機として海上封鎖も行われた年ですから、「この時期よりも前」とするのにちょうど良かったのでしょうか。
国内のリリース時期は毎年年末頃で、ファンにとっては毎年の楽しみでもあるようです。

原酒の所有者は、シェリー酒の超名門ボデガであるバルデスピノ社。前オーナーであるミゲル社長は、門外不出の逸品として製品化に後ろ向きであり、ゲストへの振る舞い酒として使っていたようです。
その後、1999年のボデガの売却でオーナーが変わり、ついに日の目を見ることとなったのは、今から10年ほど前のこと。同社が所有していたのは、半世紀を越える熟成を経た超古酒となるキューバ産ラム2樽。そんな貴重な原酒がなぜ毎年リリースされるのかというと、所謂ソレラシステムで作られているため、抜いた分だけ新しい原酒を継ぎ足しているから。純粋に1962年以前の原酒だけで構成されているわけではないと考えられます。 

実際、レジェンドオブキューバンラムは、ロット毎に味が変わるようです。
自分はこの銘柄をこれまで飲んだことが無かったのでロット毎の違いは体験していませんが、以前はフルーティーさとラム系の植物感、熟成原酒の舌触りで絶妙なバランスだったとのこと。ここ数年はかなり甘口に振れてきたと言う声もあります。
甘みや硫黄を含むシェリー感が濃くなっているという点については、新たに買い付けてきたラムを同社のシェリー樽で熟成させてからレジェンドオブキューバンラムのソレラに加えているのではないかと推察。
それこそ、今回テイスティングした2016年ロットは、濃厚な甘さに加えてサルファリーな香味も備わっており、好みが分かれる分岐点をいくつも持っているという印象。ラム独特のフレーバーはある種の個性でもあるため、合う合わないはさておき、例えば硫黄耐性があり、グレーンウイスキーを好んで飲める人ならストライクゾーンになりそうです。(自分は苦手とする部類でした。。。) 

さて、キューバといえば葉巻です。レジェンドオブキューバンラム2016年ロットの濃厚な甘みは、葉巻とあわせるには好都合。キューバ革命前の原酒が一部でも使われているだけに、出来ればキューバンダビドフなんて吸ってみたいですが流石に手元に無いのでパルタガスかボリバーあたりフルボディタイプで。今度ボトルを片手に行きつけのBARに吸いにいってみようかな。

ブラックスネークVAT4 2nd VENOM ウイスキーラバーズ名古屋2017 57.7%

カテゴリ:
BLACK SNAKE
Single Mlat Whisky 
Whisky Lovers Nagoya 2017
Oloroso Sherry VAT4 and 2nd VENOM
700ml 57.7%

グラス:木村硝子テイスティング
量:20ml
場所:自宅(サンプル@BAR よっちさん)
暫定評価:★★★★★★(5-6)

香り:スパイシーなウッディネス。ハイトーンでメンソールのようなスーッとするアルコール感、焦げた樽材、ザラメや砂糖菓子の甘さ、奥からエステリーな華やかさも。

味:とろりとした口当たりから香り同様の構成。古樽のえぐみを伴うウッディネス、オレンジママレード、黒パン、スパイシーで口の中がヒリヒリする。
余韻はハイトーン、ウッディで長く続く。

アタックの強さが目立つ1本。多少加水しても香りの刺激は治らないが、味のえぐみが軽減されてバランスが良くなる。
一方、酒質由来のフレーバーからは甘さやフルーティーさも出ているため、加水の方法やグラスのチョイスなど、良さを引き出す工夫の余地がある。


ボトラーズのブラッカダー社がリリースしている、蒸留所不明のウイスキーシリーズ、ブラックスネーク。
バッテッドモルトの他に、シングルモルトウイスキーもリリースされており、今回紹介する一本は、今年の1月に開催されたウイスキーイベント、ウイスキーラバーズ名古屋2017の開催を記念してボトリングされた1本です。

その特徴、というかこれはブラッカダー社のボトルに多くみられる癖のようなもの。同社は社長であるロビン氏の好みからか、妙にアルコール感というかツーンとくるハイトーンなアタックの強いカスクを選ぶことが多い印象があります。
今回紹介するブラックスネークも、総じて強い樽感とハイトーンな刺激が、いかにもブラッカダーの最近のリリースだなーと感じるところです。(その個性から、蒸留所はグレンファークラスあたりかなと推測。)

一方で、Oloroso sherry vat4 2nd Venomなる聞きなれない表現は、シェリーでいうところのソレラシステムに近いブラッカダー独自(?)のバッティング方法です。
まず、複数樽のオロロソシェリー樽熟成ウイスキーを1つの大きな樽にバッティングし、マリッジして2/3程度を払い出します。これは1st Venomとして発売されたようです。
このバッティングしている大樽が”VAT”で、払いだしたものがVenomという位置づけになります。同シリーズのVATは1~10くらいまであるそうで、今回はその4番目のVATからのリリースということになります。

そして1st Venomを払い出した後、1/3残っているところに新たにシェリー樽熟成ウイスキーを複数樽バッティングし、マリッジして同じように2/3を払い出したのが、この2nd Venom。つまり、時間差バッティングということですね。
近年のウイスキーは、原料由来か蒸留方法の違いからか、酒質が単調とされることも多く、こうして複数樽をバッティングすることで複雑さと厚みを得ようとしているのかもしれません。実際、飲んでみると樽感はやや焦げ感というか苦味はあるのものの、奥にフルーティーな熟成感など、多層的なニュアンスが感じられます。

市場の声を見るとこのシリーズは価格とのバランスが取れて、内容的にも良いと好評の声も多い模様。ウイスキーラバーズ名古屋の限定ボトルの中でも、お客様の評価良く扱いやすいとはサンプルを頂いたよっちさんの声。
自分はアタックの強さを意識しがちなので、そこに引きずられてや辛口評価になっているかもしれません。

※本リリースにおけるVATとVenomの意味について、正規輸入元であるリカーズハセガワに確認しました。結果、このOloroso sherry vat4 2nd Venomは、上述の通りオロロソシェリー樽熟成のシングルモルト複数による時間差バッティングであるコトが確認できました。何樽バッティングしたかはわかりませんが、バーボン樽熟成の原酒などは使われていないことがわかりましたので、報告いたします(6/11追記)

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