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2017年03月

ジョニーウォーカー ブラックラベル ジョニ黒 12年 1980年代後期 香港向け

カテゴリ:
JOHNNIE WALKER
BLACK LABEL
Aged 12 years
1980's (1987-1990)
1000ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:スモーキーで香ばしいローストした麦芽香、カステラの茶色い部分、醤油飴のような甘みを感じる古酒っぽさ。ほのかにヨードを思わせるニュアンスに、時間経過でカラメルソースの甘みが開いてくる。

味:甘くほろ苦い、ピーティーでスパイシーな口当たり。オールブラン、キャラメリゼ、じわじわとオレンジママレード。香り同様に醤油飴のような古酒感を伴う。
余韻はスモーキーでビター、序盤の甘みを引き締め、染み込むように長く続くが、ある辺りからスッと軽くなる。

まろやかでスモーキー、しっかりと味が乗っていて、適度な奥行きもあるブレンド。スコッチウイスキーらしさの一つとも言える構成で、ストレートで十分楽しめるだけでなく、ハイボールでも力を発揮する。
以前、ほぼ同時期流通のノンエイジ仕様のジョニ黒を紹介しましたが、今回は香港向けの1本。日本でも同じ12年表記のボトルが、1980年代後期に流通しており、リユース市場で見かけることの多いボトルです。

ジョニ黒12年のオールドボトルは、数あるオールドブレンデッドの中で、最も手軽に安定して、オールドスコッチらしい美味しさを楽しめるボトルの筆頭候補。
1960年代流通のハイランドモルトこってりな味わいも、1970年代のモートラックが効いたスモーキーで甘みの濃い構成も捨てがたいですが、入手難易度や状態などを考えると、この1980年代後期流通がベスト。正直、これまでこのボトルを何本空けたかわかりません(笑)。

当時、ビック5などに代表される有名どころブレンデッドメーカーのスタンダード品は、1980年前半頃まではある程度のクオリティを維持していましたが、1980年代後半にはガクッと熟成感や厚みを失っています。
その要因となるのはモルトの質、ブレンドの方向性でしょうか。この時期はキーモルトの良し悪しでブレンドの仕上がりが2極化していた時代でもあり、例えばアメリカ市場にに向けてライト志向に切り替わったホワイトホースを見てみると、スタンダードはお察しながら、ラガヴーリンメインとされたデラックス12年は良い出来でしたし、上位グレードのローガンも悪くありません。
ジョニーウォーカーでも、ジョニ赤はだいぶライトな味わいになっていましたが、ジョニ黒はタリスカーを連想させるスパイシーでスモーキーなフレーバー、モートラック由来のコクのある酒質。使われた原酒の質が明確に感じられました。

これを世界的に展開していたというのですから、とんでもないことだと思う一方で、流通先で味に違いはないかというのは気になるところ。アジア向けは怪しいとか、アメリカ向けはライトとか、今尚色々噂はあるわけですが、当時もそうした話があったのか、ジョニーウォーカーでは一時期「世界共通品質」を掲げる文言をラベルに記載していたほどでした。
今回はその怪しいとされる流通先の一つ、香港向け。今回が初めての開封ではないですが、香港向けも国内向けも、この時代明確な違いは無いと感じます。
保存状態による違いも、アジア向けは外しやすいというわけでもなく、個人的には沖縄向けより良い印象。安心してポチれますね(笑)

ニッカウイスキー 鶴 2016年リリース 蒸留所限定品

カテゴリ:
TSURU
NIKKA WHISKY
(No Aged)
2016's
700ml 43%

グラス:国際規格テイスティンググラス
量:30ml
場所:BAR飲み(ゾートロープ)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ツンとドライで華やかな香り立ち。最初はあまり強く香らないが、アプリコット、煮た林檎の甘いフルーティーさ、奥から乾いた牧草を思わせるウッディネスが感じられる。

味:複雑でスパイシー、心地よい樽香を伴う口当たり。バニラ、アーモンドナッツ、キャラメリゼ。中間に若い原酒の軽さが顔を出すが、それをグレーンのコクのある甘みが包み込んでいく。
 余韻はスウィートでスパイシー。ほのかにスモーキー。カラメルソースのほろ苦い甘み、古樽のえぐみを伴い長く続く。

幅広い熟成年代の原酒が使われていると感じる、フレッシュさとまろやかなコクが合わさったノンエイジらしいブレンデッド。あまりスモーキーではなく、求めている鶴らしさは・・・。加水するとバランスが取れるが加減が難しい。

昨年秋頃から、余市、宮城峡の両蒸留所でひっそりと販売され、ひっそりと消えていったニッカウイスキー のブレンデッド最高峰、鶴の限定品。(余市蒸留所を訪問した仲間から、販売再開している旨連絡がありました。2017年4月9日追記)
2015年まで販売されていた鶴17年は、熟成した余市、宮城峡原酒の個性や熟成感のあるコクがしっかり感じられる銘酒で、もっと評価されても良かったと思うのですが、ネット検索では竹鶴17年が引っかかってしまう日陰者感。。。
ブーム前にストックしておかなかった事を、非常に後悔している銘柄でもあります。
そんなわけでこの蒸留所限定品の鶴、手の入らないまでも機会があったら飲みたいなと思っていたところ、流石国産ウイスキーの総本山であるゾートロープさん。しっかりとカウンターに鎮座していました。
こんな時に限ってカメラを忘れ、携帯撮影の不恰好な写真で申し訳ありませんが、そこは目をつぶって頂きテイスティングに移ります。

ノンエイジのブレンデッドなので、ある程度若い原酒が使われているであろう事は想定通りでしたが、驚いたのはブレンドのベクトルがこれまでの鶴17年とは全く異なっていることです。
特に鶴17年に感じられた余市原酒の熟成感やスモーキーフレーバーが乏しく、構成は宮城峡の熟成原酒に若い余市原酒少量、ミドルエイジのグレーンという感じ。これまでの鶴の味わいをイメージして飲むと、控えめな個性に「あれ?」となります。
それこそこれは鶴ブランドで出さなくても良かったのでは・・・。

他方、これが全く悪いブレンドかというと決してそういう事はなく、バランスのとれた美味しさのあるブレンデッドであることに違いはありません。
現状使える原酒の中で作られた意欲作、あるいは販売期間で考えると何かの試作品でしょうか。
ニッカのブレンデッドがザニッカ12年で最高峰というのは、少々寂しい今日この頃。原酒は厳しいと思いますが、こういう形でも良いので細々とブレンデッドウイスキーの上位グレードも生産していって欲しいです。

蒸留所の話題繋がりで余談。3月27日に宮城峡蒸留所の新しいビジターセンターがオープンしたそうですね。
赤れんがが閉店し、限定商品も乏しくなって寂しい空気の漂っていた宮城峡に嬉しいニュースです。後日実家帰りした際に寄ってみたいと思います。

ブラックニッカ ブレンダーズスピリット 2017年再販品 比較テイスティング

カテゴリ:
さる3月28日、愛好家の間で高い評価を得たブレンダーズスピリットがいよいよ再販。
手頃な価格で美味しいボトルが数多く流通するのは良いことですが、気になるのは2016年に発売されたボトルと味の違いだと思います。
公式には同じ原酒構成と読めるような記載となっていますが、同じコメントなのに味が全然違うなんて事例もありますので、我が目、鼻、舌で確かめて見ないと気が済みません。

そんなわけで今回、未開封の2016年発売品と発売されたばかりの再販品を揃え、同時開封、同じグラスと、可能な限りイコールコンディションで、両者の違いにフォーカスした比較テイスティングをまず行いました。


2016年ボトリング(左) 6/18F56 1305
2017年ボトリング(右) 6/06G28 1005
グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封直後

【比較テイスティング】
色合い:ほぼ同じ、本当に微かに2017のほうが濃いようにも見える。

香り:色合い同様にほぼ同じ構成。わずかな差だが、2016のほうが甘みが強く熟成感があり、2017のほうがドライに感じられる。

味:系統は同じだが、味は香りより違いが大きい。2016のほうがリッチでバランスが良く、2017は口当たりが少し水っぽく、徐々に若い原酒由来のバナナっぽさが前に出てくるように感じた。

余韻:双方ともピーティーでビター、古樽のえぐみが微かに余韻に混じってくる中で、2016のほうが奥行きがあり、2017のほうがスモーキーさがわかりやすい。

※味、余韻の確認は、食パンの白い部分を一口食べ、ミネラルウォーターで口の中を流した後で、テイスティングする。この手順を2016、2017で交互に行った。


結論、2016年リリースと2017年リリースについて、どちらもニッカらしさの感じられる良いブレンデッドウイスキーに仕上がっているものの、さすがにまったく同じものという訳ではなく、違いはあると言えます。
その違いについて一言で言えば、全体的な熟成感です。
ブレンドレシピは短熟原酒からPRポイントの1956年蒸留の長熟原酒まで、2016年リリース同様に使われているのだと思いますが、その中のグレーンやミドルエイジ原酒の樽感の系統、あるいは量が異なるのではないかと推察します。

ただ、それらは今回のように重箱の隅をつついて感じられた程度の違いでしかありません。
逆に言えば類似の点の方が多く、単品で飲むだけなら、人によってはまったく同じと感じる方もいるでしょうし、違いを感じたとしても好みの問題で整理できるレベル。同じものを作れないウイスキーづくりにおいて定常的にある、ロット差の範囲だと言えます。
自分は今のところ2016のほうが好みだと感じましたが、今後開封後の変化もチェックしていきたいです。


通常販売品ではなく限定品で原酒も限られる中、しかも急遽決まったと思われる再販の中で、よくここまで類似のウイスキーに仕上げたなと思います。
例えるなら、同じメーカーが作った同じデザインの手吹きグラスのよう。先にちょっと書きましたが、同じ商品、コメントなのにロットやリリース年が1年違うだけで味が全然違うとか、普通にありますから(笑)。

またポジティブに考えると、ニッカウイスキーの今回のリリースは、作ろうと思えばこのレベルの商品をこの価格帯で作れるという証明でもあります。
5月に発売されるクロスオーバーや、秋の新商品にも期待したいですね。

(2016年リリースには表ラベルに「Bottled in 2016」の記載がある。裏ラベルに違いはないが、ロットナンバーは当然異なる。ナンバーの読み方はフロムザバレルの記事を参照のこと。)

【BAR訪問記】Paradee (パラディ) @野毛 桜木町

カテゴリ:
JR桜木町駅下車、"野毛の近道"と呼ばれる地下通路を通った先、ブリーズベイホテルの隣にプチダイニングバー パラディがあります。
ダイニングという表記そのまま、木目調の入り口から覗く店内は、近年流行りのライブカウンターのレストランと見間違うかのデザインですが、其処彼処にはレストランにないようなオールドボトルの数々。席に着けば、約300種類というバックバーのボトルが視界に飛び込んできます。


「ご無沙汰しております。」
先日、オーバン14年の投稿で触れましたが、パラディに足を運ぶのは実に4年ぶりのこと。
今から6年前、ちょうどモルトウイスキーの楽しさに目覚めた頃。地元のBARのマスターから紹介されて来店し、更にお酒の楽しさを教えて貰ったものの、居住地を都内に移してからは足が遠のいていました。


パラディに伺ったら、まず飲みたいのがガロンボトルのハイボール。
同店は現行品よりも1990年代以前に流通したウイスキーやリキュールの品揃えが豊富であり、特にブレンデッドウイスキーは通称ガロンボトルと言われる、1ガロン(英ガロン:約4.5リットル。米ガロン:約3.75リットル)サイズで販売されていてたオールドボトルをハウスウイスキー的に扱っています。
愛好家間の通説では「サイズの大きいボトルの方が、光、温度、空気、様々な要因に対して強く、状態が良い」ということ。今回はシーバスリーガル、ホワイトホース、マーテルが開封されており、この中からホワイトホースの1970年代流通を頂きます。

(一般的なタンブラーサイズのハイボール。。。ガロンボトルと対比すると、ショットグラスのように小さく見える。)

パラディのバックバーはウイスキーを中心にラインナップされていますが、オールドリキュール、シェリー、その他の酒類もコアなところが揃っており、マスターである赤羽さんの知識も豊富。
かつてウイスキー一辺倒だった自分ですが、最近様々な酒類を勉強中で、今日はシェリー酒に浮気です。
10年くらい前に流通したパロコルタド。深い酸味とコク、奥に潜むレーズン、樽由来の甘みが実に美味。オールドのハイボールで口に残った甘みをしっかり引き締めて次にバトンを渡してくれます。


さて、準備運動の2杯を終えたところでいよいよ本番。先日、パラディは開店15周年を迎えました。
同店は毎年周年記念としてレア物のウイスキーを開封して提供しており、15周年の当日は、15年ものを中心にマスターこだわりのウイスキーが15本開封されています。

ジュエルオブスコットランドのブローラ、エイカーダイクのポートエレン、ラガヴーリン陶器ボトル、そして赤羽さんの愛するスプリングバンク。。。
周年当日に行われた記念営業でいくつかのボトルは天に還ってしまったようですが、今回は残ったラインナップから1杯頂きます。

1980〜90年代流通のGMスミスズグレンリヴェットの15年。しっとりとした甘みを感じる口当たりから、麦芽風味、そしてスモーキーフレーバーが広がる、今とは異なるスタイルのグレンリベット。1杯目からでも楽しめるナイスな1本です。
「グレンリベットはモルトウイスキーの基本。味わいは変わっても、その時代その時代で基本になるキャラクターがあるよね」と。確かに近年のリベットはピートフレーバーが控えめで、今回テイスティングした15年とはキャラクターが異なりますが、華やかでバーボン樽の香味が主体的なキャラクターは、今の時代のトレンドでもあります。

赤羽さんは「ウイスキーの香味を育てる」という考え方で、ボトルを扱われています。
ウイスキーの香味はボトルの中で絶えず変化していて、それは熟成とは異なる、持っている要素の中で、ある要素が開いている時、別な要素が裏に回るという話であったり。
あるいは、ボトルの中の空間部分にウイスキーの香りが充満すると、それが再度溶け込み、香りが循環していくという考え方であったり。
科学的というより、感覚的な話かもしれませんが、そうして「これは良い」と感じる状態に至ったボトルを勧めてもらえるのは、単にニューリリースを探るだけではない、BARの個性や考え方をも飲むことができる楽しみでもあります。

関連するエピソードとして、以前オールドのアベラワー10年を頼んだ時のこと。至って普通の1990年代流通のアベラワー10年だったのですが、「これはもう最高の状態よ」と、グラスに注がれたそれが店内いっぱいに広がるほど香り立ち、なんでこれほど香るのかと、びっくりしたのを今でも鮮明に覚えています。
それは店内を清潔に保つ、グラスをしっかり磨く、室温を適切に管理するなど、飲食店としてある種当たり前のことを積み上げた上で引き出されたボトルのポテンシャルだったのだと思いますが、まさに"こだわりの仕事"だと感じます。

(「今日はどのボトルの機嫌が良さそうですか?」と頼んで出てきた1本。パールズオブスコットランドのトーモア1995。トーモアらしい軽いオイリーさと、オークフレーバーが馴染んだ親しみやすい1杯。)

お酒ばかりの紹介になってしまいましたが、パラディはフードメニューも充実しており、食事とお酒を合わせて楽しむことも出来ます。
あるいはここは野毛、非常にディープな夜の街。そんなお店でちょっと1杯引っ掛けてから、締めの1杯を飲むために足を運んでも良い。
この日も古くからの常連さんや、デートで来店されたご夫婦、瞬く間に飲まれていったバーホッパーの方、様々なお客で静かな賑わいを感じました。
そう、最初に書くべきことでしたが、このBARは飲んでいて楽しいのです。
マスターのひととなり、雰囲気がそうさせるのだと思いますが、店内には必ず笑顔があります。

15周年という一つの区切りを迎えたダイニングバー・パラディ。自分がはじめて来店したのが9周年のあたりでしたので、そこからはや6年。月日が経つのは早いものです。
今後も20年、30年と、横浜の夜に、こだわりのお酒と笑顔の空間を提供して頂けたらと思います。
PUTI DINNING BAR Paradee
(プチダイニングバー パラディ)
住所:横浜市中区花咲町1-22-4
営業時間: 19時00分〜28時00分
定休日:日曜定休
TEL:045-260-6835
席数:カウンター7席

グレンドロナック カスクストレングス バッチ5 55.3%

カテゴリ:
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GLENDRONACH
CASK STRENGTH
Batch 5
Cask type Oloroso Sherry & PX Sherry
700ml 55.3%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★☆(5→6)

香り:強いアルコールの刺激、スパイシーでミントの爽やかさを伴うウッディな香り立ち。奥からキャラメルソース、ドライプルーン、シーズニングオークの甘いアロマが開き、特に加水することでバランスがとれてくる。

味:スパイシーでハイトーン。ブラウンシュガー、ドライプルーン、アーモンドクリーム。香り同様の構成で、強いアタックの奥に粘性のある甘み。余韻はウッディでドライ、ヒリヒリとした刺激を伴い長く続く。

ハイプルーフらしい強いアタック。シェリー感は少々薄めだが、嫌味の少ないシーズニングシェリーで、加水するとまろやかな甘みのある香味を楽しめる。若くはあるが、酒質の素直さも光る1本。少量加水して楽しみたい。


グレンドロナックが2012年から毎年1~2バッチリリースしている100%シェリーカスクのカスクストレングスリリース。バッチ5は2015年のリリースで、昨年リリースされたバッチ6が最新。ファンの多い銘柄でもありますが、グレンドロナックはベンリアックらと共にブラウン社に買収されたため、今年バッチ7がリリースされるかは現時点で不明となっています。

その構成、位置づけはグレンファークラス105を彷彿とさせる、推定8~10年程度のヤングエイジのハイプルーフシェリーカスクです。
ただバッチ1~3のシェリーカスクはシェリーカスクでも、樽の内側をチャーした際に出るフレーバー、木のえぐみというかクレヨンっぽさが強く出ており、若い年数で樽感を強く出すためにシェリー樽をリチャーしたものが使われたのではないかという印象。自分は自宅での樽いじりの経験からこの手のフレーバーに敏感で、ましてシェリーのそれと混じった異物感が受け入れられず。バッチ1はウイスキー仲間からブラインドで出されて酷評、バッチ2、バッチ3も一応飲んでみたのですが、同様のイメージが変わることは無く。。。もうこのシリーズはいいやと、飲まず嫌いを決め込んでしまっていました。

それが先日、友人宅での持ち寄り会でバッチ5を飲んでみたところ、シェリー感はあまり強くないが素直なシーズニングタイプで、これまで感じていた異物感のない仕上がりになっていてびっくり。テイスティングにも書きましたが、ストレートではアタックが強いですが、少量加水するとまろやかな口当たりでぐっと飲みやすくなり、さらに良い感じ。類似のタイプとしては、タムデュー10年のバッチリリースNo,1あたりで、やはり飲まず嫌いはいけないなと、認識を改めさせられました。
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(グレンドロナック蒸留所のツアーにて。写真左奥、初留釜のネック部分の独特な形状に注目。2005年までは石炭直火蒸留が行われていたが、現在はスチームに切り替わっている。同蒸留所ニュースピリッツは雑味が少ない代わりに麦感が強い。現行品の中では色物扱いだが、本腰を入れて作ればシェリー樽以外のリリースも光るモノが生まれそう。Photo by K67)

グレンドロナックはシェリー樽が高騰する中にありながら、シェリー樽100%リリースに方針転換し、この6年間強リリースを続けてきたわけですが、1996年から2002年までの休止期間など谷間の影響もあり、徐々にシェリー樽以外のリリースも増えてきています。
昨年は15年が終売、21年は限定生産。タンク貯蔵していなければ18年以上の原酒オンリーとなっているアラダイス18年も、今年のロットがあるかどうかというきわどいところ。精力的にリリースが続く1990年代のシングルカスクシリーズもいつまで弾が続くのか・・・。

そうした中、このカスクストレングスシリーズのシェリーカスクは、再稼動後のドロナックメインと思われる新世代。樽でマスク仕切れていない若々しく強い勢いは、荒削り感のあるリリースといわざるを得ませんが、バッチ5には新しい可能性を見出すことが出来ました。

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