イチローズモルト 秩父 ピーテッド 2016 54.5%
CHICHIBU
Ichiro's Malt
The Peated 2016
Distilled 2012
Bottled 2016
700ml 54.5%
グラス:サントリーテイスティング
量:30ml程度
場所:BAR飲み(GOSSE@目黒)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)
香り:スモーキーで強いアロマ、バニラやナッツを思わせる甘い樽香、ほのかにエステリー。淡いヨードとピートフレーバーの奥から乾いた木のアロマも感じる。
味:やや粘性を伴う口当たり、パワフルなアタック。香り同様にピートフレーバーとバニラを思わせる甘みと微かにドライオレンジ、柑橘のニュアンス。そして強くスモーキーな鼻抜け。
余韻はスパイシーでドライ、乾いた麦芽風味、ピーティーで強いアルコール感を喉に伴う長い余韻。
加水しても基本的な方向性は変わらない。アイラ島のピートを使ったのか、スモーキーさに淡いヨード混じるようにも感じる。香味の変化という点ではやや単調気味だが、4年少々でこの酒質なら、秩父の環境でも10年程度の熟成に耐えるのでは。
今一大ブームの中にある、秩父蒸留所のピーテッド。2016年リリースのこのボトルは、若いなりに中々よく出来た1本です。
秩父の原酒は蒸留開始初期のものだと多少バラつきがある感じですが、2010年くらいから蒸留ノウハウの蓄積か、だいぶ安定したように思います。
口当たりの若い原酒らしく荒さ、パワーはありますが、ねっとりとしたコク、変な酸味やえぐみの無さ、そこにラフロイグ系統のピートフレーバーで、秩父モルトに多く見られる癖を感じにくい仕上がりとなっています。
フレーバー全体のまとまりを考えると、これまでリリースされてきた秩父のピーテッドより良い出来なんじゃないでしょうか。
若いモルトはピーテッドだとそれなりに楽しめるものが多い、と言うのはウイスキーにおける定石の一つと言えます。
料理で言うならカレーみたいなもので、多少脱線しても最後はスパイスのキャラクターでなんとかしてしまうあの感じ。
最近はボトラーズ側の原酒不足からカリラ、タリスカー等で短熟モルトがリリースされているだけでなく、日本では秩父以外のクラフトディスティラリーでも、ピーテッド原酒の生産が宣言されているところ。テイスティングする機会はさらに増えそうです。
なお、ピーテッドモルトウイスキーの需要増からか、仕込みに使うピーテッド麦芽の値段が上がっているそうです。(国内での流通価格は、昔はピーテッド麦芽のほうがノンピートより安かったのだとか。)
なるほど、これも時代の流れだなぁと。
そしてピーテッドをこれから仕込む蒸留所が、ピートの強い個性の中でどのように蒸留所毎のキャラクターを表現するのか。
また、ピートと一括りに言っても、内陸のものかアイラのものか、果ては日本産という選択肢に加え、その乾き具合などでもフレーバーは異なると聞きます。
楽しみな要素は尽きませんね。