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2016年10月

ボウモア 12年 オフィシャル 43% ブラインド

カテゴリ:

BOWMORE 
Islay sigle malt whisky 
Aged 12 Years 
2016's 
700ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml
場所:自宅(サンプル@Aさん)
時期:開封後1ヶ月以内

【ブラインドテイスティング TWD形式】
地域:アイラ(ボウモア)
年数:15〜18年程度を含むバッティング
度数:40〜43%
樽:アメリカンオーク系のバッティング。バーボン以外にシェリー樽も使われてそう。
評価:★★★★★★(6)

香り:香り立ちはピーティーで淡いトロピカルフレーバーに、グレープフルーツ、オレンジピールを思わせる柑橘系。乾いた麦芽の香ばしさと、塩素を含む磯っぽさ。
奥の方にゴム系のニュアンスと、微かにラベンダーを感じる。

味:口当たりはオイリーでピーティー、そしてエステリーなフルーティーさ。
ヨードを伴うグレープフルーツ、徐々に干し藁やウッディーな渋み。
余韻はスモーキーでピーティー、塩スープのコクを舌の上で感じ、土っぽさと柑橘系のニュアンスが長く染み込むように残る。

複雑であり加水の滑らかさもある、よく出来たボウモア。個人的にはもう一つ飲みごたえ、奥行きが欲しいが普及品と考えればそれも充分。ただ、時間経過で混じるゴム系のニュアンスが少し気になるのと、あと一歩でパフュームに触れそうな危うい要素も・・・。 


先日TWDの宿題として、2問出題をいただいたAさんから、追試となる再出題の1問。リリースが5年以内という条件以外、オフィシャル、ボトラーズなどの縛りは無し。いつものルールです。
こうしてブラインドの出題をいただけるのは、本当にありがたいですね。

通常のTWDのブラインドはあくまでどう感じたかが重要で、蒸留所当てクイズではありません。
ただ、今回はグラスに注ぐ前、サンプル瓶注ぎ口から香ったアロマ(ピートスモーク、グレープフルーツ、磯っぽさ、ほのかにフローラルな要素)で「あ、これはボウモアだわ」と確定してしてしまいましたので、後はボトルの仕様にどれだけ近づけたかを重視しました。 

ノージングの段階でバッティング加水じゃないかという感じではありましたが、飲んでそこは確定。複数の樽の要素や、20年とまでは行かないまでも、18年くらいまでは使われているのではないかという複数年バッティングによる複雑さ。
現行のボウモアの場合、18年はソーピーな要素があり除外。それ以外ではある程度の熟成年数があって、複数タイプの樽を使っていてアメリカンオーク主体となるものは限られているため、12年か、免税向けのNAの一部が最有力候補。
結果はホールインワンとまでは行かずとも、パー3ホールでのバーディーくらいはとれた感じでしょうか。

さて、以下本ボトルに対する雑感ですが、オフィシャルボウモアの12年を最後に飲んだのは4〜5年前のこと。そこから自分のスキルが上がったからか、それとも原酒構成が変わったのか、一言で美味しくなったと感じます。
以前はもっともっさりとした印象で、ここまで明確にグレープフルーツや近年系トロピカルな要素を拾えなかったところ。これなら十分楽しめるというレベルまで、それを感じ取ることが出来ました。

ついついこの辺は普段飲むコースから外れがちですが、時折こうして飲むと発見がありますね。
最近オフィシャルが美味しくなったという話を色々なボトルで聞きますが、ボウモアもそうした変化があったとすれば、嬉しい限りです。
(後は18年の脱パフュームを早く。。。と希望します。)

画像引用:https://www.thewhiskyexchange.com/p/5747/bowmore-12-year-old

ブラドノック 23年 1966-1989 ダンイーダン 50.8%

カテゴリ:

BLADNOCH 
DUN EIDEANN 
Aged 23 Years 
Distilled 1966.3 
Bottled 1989.10 
Cask type Sherry 
750ml 50.8% 

グラス:木村硝子
量:30ml以上
場所:個人宅(Whisky linkイベント)、自宅
時期:開封後3年程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:リッチで甘いシェリー香、高貴、充実している。カラメルソース、黒葡萄、ウッディーでほのかに湿った紙を思わせるニュアンス。徐々に麦芽の芯の部分の甘さ、干し藁の香ばしい植物感。少量加水するとドライフルーツを思わせる酸味も開いてくる。

味:粘性のある甘さ、ピリピリと細かい刺激のある口当たり。カラメルソース、レーズンチョコ、皮ごと葡萄を口に含んだようなみずみずしい甘みとほろ苦さ。シェリーの奥にはフローラルで、微かにパフュームライクな要素も感じられる。 余韻はビターでウッディなタンニンを伴い長く続く。少量加水するとシェリーの奥に感じられたフローラルなニュアンスが一つ前に出てくる。


絶滅危惧種のローランドモルト、ブラドノック。。。と聞いてグッとくる人は相当なマニアの部類でしょう(私のウイスキー仲間には一人心当たりがありますがw)。
過去にはUD社の傘下にあったため、花と動物シリーズやレアモルトなどのリリースもあり、今回のボトルを含めて高い評価を受けたものもあります。
では近年はというと、線の細いローランドモルトよろしく、フローラルで草っぽさ、良い方向に行けばレモン系の爽やかなフレーバーが楽しめますが、下手すると所謂パフュームフレーバーまで出てしまうボトルもあり、自分としては率先して飲むことはあまり無い蒸留所です。

そんな中でも「おお!」と驚きと感動があったのが今回のボトル。そう言えばブラドノック1つも掲載してなかったなと、ちょうど良いので掲載します。
最初に飲んだのは3年前のWhiskylinkイベント、その後何度か機会を頂いており、自分の中のベストなブラドノックと言えばこの1本が該当します。

しっとりとした甘みのあるシェリー系、当時のGMなどの多く見られるカラメルソースのような甘みを含んだ系統で、葡萄を皮ごと食べたような瑞々しさ、そこにブラドノックらしいいくつかのフレーバー。余韻は樽由来のウッディネスも程よく効いて、単なるこってり系のシェリーで個性を圧殺したボトルでないのも好印象です。 


ブラドノック蒸留所の歴史は地理的な問題や、不況による需要と供給のバランスなどから順風満帆とは言いがたく、1993年には休止の危機にあったところを、前オーナーによる買収から何とか繋ぎとめられます。(ただその買収もWhisky Magazineの特集によれば「別荘地への転用」目的だったということで、蒸留所を観光資産として利用するプランが無ければ、閉鎖に等しい状況だったとか。)
その後、形式的な蒸留を維持する年間生産量10万リットルを条件とした買収が成立。しかし蒸留再開は2000年まで掛かるなど様々な紆余曲折があったようです。

2009年には新生ブラドノックのオフィシャルボトルである8年モノが販売されましたが、2014年には再び休止状態となり、翌年2015年にはオーストラリアの企業に買収されることが決定し、現在は2017年の蒸留再開に向けて準備中・・・とのことです。
他方で、この準備としては現在の設備を総入れ替えするレベルであるようで、BBCの特集記事には"There will be four stills, new boiler, new mash tuns, new wash backs, it's a very exciting project."とあり、初留、再留の数は1基ずつから2基ずつに。マッシュタンなども変わり、新しいキャラクターに生まれ変わる可能性が大きいとも予想されます。
これもウイスキーブームの産物。同蒸留所の設備は非常に整っていて美しいと聞きますが、新しいブラドノックからどのようなスピリッツが生まれるのか、楽しみにしています。

松井酒造 マツイモルトウイスキー 倉吉 8年 シェリーカスク 46%

カテゴリ:

THE KURAYOSHI MALT WHISKY 
Aged 8 Years 
Sherry Cask 
700ml 46% 

グラス:サントリーテイスティング
量:ハーフショット
場所:BAR飲み
時期:開封後2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:近年系のシーズニングシェリー系の甘いアロマ。グリーンレーズン、ケーキシロップを思わせる甘みに、ホットケーキの生地を思わせる麦芽風味。最初は甘み主体のアロマだが、徐々に変化して乾いた木の渋み、ツンとしたエッジを感じる。

味:ピリピリとした口当たり、淡いシーズニングシェリーのプルーン、ブラウンシュガー、ほのかなウッディネスにハイランドモルトを思わせる麦芽風味が中間から広がる。飲み込んだ後はオレンジママレード、クラッカー、粘性のある甘みと微かに乾いた牧草のニュアンスが余韻として残る。
甘み主体で嫌味も少ない、少々奥行きには欠けるが全体的に飲みやすくまとまっている。


このブログのみならず世間で色々と話題になっている、鳥取の松井酒造の倉吉シリーズ。今回のボトルは今年の8~9月ごろにリリースされた8年モノのシェリーカスクです。
飲み手の中には複雑な想いを持っている方もいらっしゃるようですが、中身の原酒に罪はありません。
結局のところ、倉吉シリーズの問題は売り方、ラベルの表記、この1点に尽きます。
自分は飲んだ上で判断したいと・・・それでも、前回のNAシェリーカスクがメーカーコメントの甘い果実香、チョコレート、至福の1杯という表現から程遠いと感じる内容だっただけに、若干怖さがあって様子見のハーフショットから。

飲んだ日にFBにも投稿している内容ですが、これが思いのほか飲めるのです。
少し薄めですがちゃんと近年のシーズニングシェリー樽熟成の味がするだけでなく、その分近年の樽にありがちなえぐみ、ゴムっぽさなどは感じず、甘さ主体の構成でバランスは悪くないぞと。
ハイランドモルト主体のバルクがベースか、酒質的にはらしい麦芽風味も感じられ、熟成は高温多湿の日本ではなく冷涼なスコットランドを思わせる進み方。飲み口で少しスパイシーな刺激がありますが、それもまた一つアクセントになっていて抵抗なく飲み進めることが出来ました。
評価的には前回の18年と同等、あるいはそこまでちぐはぐさは感じなかったので、ちょい上くらいのイメージ。
もし最初にこの1本がリリースされていたら、もう少し前向きになれたんじゃないかと感じます。


ただ、先も述べたように倉吉シリーズの問題は、中身ではなくラベルの表記です。
前回リリースされたNA、NAシェリー、そして18年から疑問視されていたMade in NIPPONなど各表記は継続されただけでなく、加えてピュアモルト表記が今回のリリースから「KURAYOSHI MALT WHISKY」表記になり、とりあえずモルトウイスキーという事はわかりますが、シングルカスク、シングルモルト、ブレンデッドモルトのどの区分なのか、よくわからなくなってしまいました。

裏ラベルにもその旨は書かれておらず。バッティングはモルトとモルトの掛け合わせを指す為、同じ蒸留所の原酒を掛け合わせることもバッティングになり、シングルカスクの線はなくなりましたが、それ以外は読めるということに・・・。
多分ブレンデッドモルトなんだろうとは感じますが、紛らわしいだけですので、改めて基準整備の必要性を感じます。
別においしいモノが出来れば何の原酒を使っても良いんですけど、こういうところはキッチリしたほうが良いと思うんですけどね。


【10月21日 鳥取方面の地震において被災された皆様へ】
被災された皆様方にお見舞い申し上げます。
多くの被害、建造物の崩壊、断水などが起こっていると伺っておりますし、まだまだ余震も続いているとのこと。現地にお住まいの皆様の苦労は並々ならぬものと存じます。
当方も実家が東日本大震災で被災しただけでなく、親類が犠牲になるなどあり、こうした災害による悲しみと、やるせなさは少なからず理解しているつもりです。

被害が大きかったとされる地域には、この松井酒造合名会社もありますが、伝え聞くところでは「工場関係者は大丈夫」とのことで、一つ安心している次第です。
一刻も早くこの地震が収束し、被災された皆様にとって、いつもの生活が帰ってくることを祈っております。

ロングジョン 12年 1980年代流通 43% 特級表記

カテゴリ:
LONG JOHN
Special Reserve
Aged 12 years
1980's
43% 750ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★★★(5-6)

香り:柔らかくスモーキーな香り立ち。みたらしやカルメ焼きを思わせる甘さ、ほのかに焦げたような苦味、ピート、オレンジピール、徐々に乾いた植物感。
時間経過でスモーキーフレーバーがさらに開くが、少し薄い印象を受ける。

味:粘性を感じる口当たり、香り同様にみたらしの甘みやオレンジピールから、アーモンド、焙煎した麦芽の甘くほろ苦いフレーバー。徐々にピーティーで後半にかけて存在感を増すだけでなく、ヒネっぽさを感じるヨードもある。
鼻抜けスモーキー、余韻は染み込むようなスモーキーさが残る。


ロングジョンの上位グレードとなるロングジョン12年の1980年代流通、特級表記。
現在はトーモアをキーモルトとする個性の少ない低価格帯ブレンデッドですが、特級時代はベンネヴィス、ラフロイグ、トーモア、グレンアギーをキーモルトとするブレンデッドで、ラフロイグを強く感じられるのがこの12年とされています。(盛岡、スコッチハウス談)

ただし全ての時代でラフロイグが強いわけではなく、特に強いのはラフロイグが同ロングジョン社の傘下に入った1970年代流通のボトルと言われており、確かにこの時代のボトルは存在感のあるスモーキーさが特徴的です。

写真左側が1970年代流通、右側が1980年代流通。
見た目だけでなく味の違いも明確で、原酒の比率か、新しく設立されたトーモアの原酒の影響か、同じベクトル上ですが1980年代流通の方がボディが軽く、香味の傾向もバランス型に仕上がっています。
とはいえバランス型と言っても、上位グレードらしくコクがあり、香り、味、ともにスモーキーな要素は感じられます。何よりほのかにヨードを思わせるニュアンスもあり、キーモルトを意識して納得する味わいです。 

オススメの飲み方はストレートかロック。ハイボールはボディの軽さが目立つ印象。悪くはないんですが、もう少し図太いスモーキーさが欲しいところ・・・まあ時代を考えるとこんなところでしょうか。
ロングジョン12年は1970年代流通のハイボールがモロ好みで、妻と二人でガブガブ飲んで3本目。しかし80年代に比べてタマの少ない70年代は中々手に入らず、ならば数の多い1980年代で代用出来ればと思ったのですが、妻からは薄いと言われて早くも次を探す必要が出ています(笑)。

「ロングジョン」は1825年にベンネヴィス蒸留所を設立し、同社繁栄の礎を築いた人物、ジョン・マクドナルド氏のニックネームである事は、同銘柄と常にセットと言えるほど目にするエピソード。
今回の12年のラベルには「REMENBER "LONG" JOHN MACDONALD」と小さく書かれており、そのリスペクトが伝わってくるようです。

カティサーク 12年 1980年代流通 43% 特級表記

カテゴリ:
IMG_2124
CUTTY SARK 
(CUTTY 12)
Blended Scots Whisky
Aged 12 Years
1980's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★(5)

香り:薄めたメープルシロップや鼈甲飴、穀物を思わせる甘いアロマ。乾いた牧草、ハッカ、ほのかにシップのような薬品香が混じる。少量加水するとさらに甘さが広がる。

味:甘みと軽やかにスパイシーな口当たり。穀物を口に含んだような香ばしさ、麦芽風味、そしてメープルシロップを思わせるしっかりとした甘みが広がる。余韻はほろ苦くスッキリとしている。


カティーサークの上位グレード、カティ12の12年。同ボトルは既に1970年代をこのブログで紹介済みであると共に、その他のBBR系列のブレンデッドも掲載しており、身の上話は今更という感じでは有りますが、自分の復習も兼ねてもう一度。

現在はボトラーズとして有名なBBR(BERRY BROS & RUDD)は、グレンロセスなどをキーモルトとして、カティサーク、ベリーズ、セントジェームスなどのブレンデッドを展開していました。
シングルモルトウイスキーのボトラーズリリース的なものも行っていましたが、主力はブレンデッド。その中でもカティサークは、禁酒法開けのアメリカ市場向けにブレンドされた位置づけの強いもので、癖の少ないライトな味わいが特徴です。

1970年代頃に12年が誕生し、カティサークがライト&スムーズでノンカラメルというBBRらしい手法を拘りにしていた反面、12年はリッチでメロウなタイプ。
名前をCUTTY12と表記していたのは、そうした方針の違いから別銘柄を意識していた・・・のでしょうか。
1980年代流通もその系譜を受け継いでおり、ややグレーンが強くなって単調気味な印象はありますが、オールドブレンデッドらしい古酒系の甘みのある味わいと、原酒由来のほろ苦さが引き続き楽しめます。

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1970年代流通とのラベルの違いはいたって簡単、帆船に赤い12の文字が書かれ、キャップが金色であるかどうか。オークションではサムネイル画像だけでも判定できる、違いの大きなボトルです。
また、こうして見比べてみると、1970年代には12年表記があるのに対し、1980年代はキャップシール部分に移っています。
このシールは開封すると取れてしまうので、なくなったら何年ものかわからない、今やったらスコッチ協会のラベル審査でハネられるであろうデザインだと感じます。
       
正規輸入元であるカティサークジャパンの働きで国内に流通した本数が多いこともあってか、70年代含め安価に設定されることが多いボトルです。オールドブレンデッド入門の1本として飲んでみて欲しいですね。

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