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2016年07月

ラフロイグ カーディス 2016 マディラカスクフィニッシュ 51.6%

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LAPHROAIG 
CAIRDEAS 
Madeira Cask 
For The Friends of Laphroaig 
2016's 
51.6% 700ml 

グラス:創吉テイスティング
量:30ml以上
場所:自宅&BAR飲み
時期:開封後1週間以内
評価: ★★★★★ (5-6)

香り:スモーキーでパワフルでスパイシー、甘くナッティーな香り立ち、磯っぽいヨードのニュアンス、乾燥した植物に微かに薬っぽさとベリー系の甘さ。荒いエッジのトゲトゲしさも感じる。

味:粘性のある口当たり。ナッティで香ばしい麦芽とピートフレーバー。やや樹脂ぽさのある癖とベタつきのある甘み、ほのかな酸味、海藻っぽさ。
余韻はピーティーでスモーキー。若干の植物系のえぐみ、ウッディーな苦味。鼻抜けにヨードと強いスモーキーさ、ドライなフィニッシュ。

2016年リリースのカーディス。
バーボン樽で熟成させた後、マディラカスクで再熟成させた1本。メーカー的には古き伝統と新しさの融合といったところでしょうか。
個人的には昨年のカーディスが正統派路線のラフロイグだったのに対し、今年のカーディスはいじり系の変化球。一言で、若い原酒の荒さを、マデラカスクで強引に押さえつけたような味わいという印象です。

このボトルはBAR飲みする前、自宅の持ち寄り会で口開けをテイスティングしていました。
その際はワイン樽の影響かプラスチックというか樹脂っぽいニュアンスが口の中に残って、なんだか厳しいなと、最後はハイボールにした経緯があります。
再確認目的で1週間程度経過した後テイスティングしてみると、そうしたフレーバーは馴染みつつあるものの、ベースの荒さはどうしようもないという感じでした。
200周年でスペシャルな原酒を使いすぎちゃったかな?

素材は悪くないのだから余計なことしなけりゃ良いのに、なんていうのは結果論でしょうか。まあ毎年違いをつける上では、こういうスタイルのモルトも出ますよね。
ひょっとしたら開封後時間経過でさらに良くなるのかもしれませんが、お祭りを楽しむラフロイグだなと、自分の中では一区切りすることにしました。

M’s Tasting Room に行ってみた

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7月15日、ウイスキーアドバイザーの吉村宗之さんが、板橋にリカーショップM’s Tasting Room(エムズ テイスティングルーム)をオープンされました。
スコッチモルト販売(Saketry)とのタイアップショップとのことですが、通常販売だけでなく試飲や原酒の量り売りもあるなど中々面白そう。何より吉村さんが直接接客されているとのことで、こりゃ挨拶の一つもせにゃいかんと、早速顔を出してみました。

吉村さんについては、もはやこのブログを読まれている方には説明不要とは思います。Whisky World誌でメインテイスターを務め、Saketry(サケトライ)やバーチャルテイスティング、酒育の会等各種イベントでも活躍中の所謂プロのウイスキーテイスター。
愛好家の方々がBARを開かれることは普通にある話ですが、プロと言える立場の方が酒屋のオープンに関わるのは初めてではないでしょうか。


お店の場所はJR板橋駅から徒歩5分ほど。
外観はちょっとしたカフェのようで、思わずコーヒーでも頼みたくなるような小洒落た店構え。(実際間違えて入店される方もいらっしゃるのだとか。)
入ってみると、小さいながら中々濃い品ぞろえで、ウイスキーはオフィシャルからボトラーズまで幅広く揃っており、他にはビールやラム等も扱いがあります。
基本的にはSaketryの現地ショップなのですが、WEBサイトと商品ラインナップは分けている(実店舗でなければ購入できないモノもある)のと、先にも記載したように実際に試飲しながら選べるのが大きなメリットです。
 

 

試飲の価格は無料〜300円ほどとリーズナブル。時折スペシャルなボトルも試飲が出るようです。
せっかくなので何か試そうかなと物色していると、そういえばコレ飲んだ?と出てきたのは、城アラキの漫画「カクテル」とのコラボボトル。レダイグ7年とリンクウッド18年。
あ、これ試飲あるんですね、もちろん頂きます。

レダイグはバーボンバレルによる熟成のためか、ねっとりとした口当たりからクレゾールなどの消毒臭と土っぽいピートフレーバーが広がる、らしさのある個性的な味わい。中々よくまとまっているボトルだと思います。
対してリンクウッドは中性的で柔らかく、あまり個性が主張しないまったりとした味わい。いかにも最近のリンクウッドという感じです。
 
 
試飲の中では、ウイスキーに疑似的なフィニッシュが可能な、ウイスキーエレメントの実演販売があったのも面白かったです。
中身はラガヴーリンとも言われる若いアイラモルト"燻酒"に、ウイスキーエレメントを漬け込み、その違いを体験できるというもの。
厳密に言うとウイスキーエレメントは熟成ではないのですが、ベースのウイスキーが強い酒質であるため、ウッディーなフレーバーに負けずいい感じにまとまっていました。こういう売り方って、大手ショップとは違う工夫でいいですよね。

 
冒頭紹介したウイスキーの量り売りについては、オープン直後のため原酒が届いておらず準備中でした。
今後は原酒が入荷次第、販売を開始するとのこと。量り売り用の小瓶は準備されており、後は原酒だけという感じですが、入荷状況や熟成状況は事前に確認された方が良さそうです。

M's Tasting Roomは平日14時~19時と営業時間が短いため、どちらかと言うとBAR等飲食店を経営されている方向けの店舗と言えるかもしれませんが、伺ってみるとウイスキーフェスのブースがそこにあるような、そんな感覚で愛好家が楽しめるショップでした。
今後はセミナーを開催したり、店舗を拡張する考えもある模様。時間が合うウイスキーラバーの方々は、是非訪問してみてください。


LIQUOR SHOP 「M's Tasting Room」
東京都板橋区板橋1-8-4-1F
Phone / 03-5944-1033
Open / 月~金 14:00-19:00
Close / 土・日・祝
ご参考:http://www.saketry.com/?sl=ja(スコッチモルト販売 SAKETRY)

ベルヴュー グアドループ ラム 15年 1998-2014 ダンカンテイラー

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BELLEVUE 
GUADELOUPE RUM 
Aged 15 years
Distilled 1998
Bottled 2014
700ml 51.4%

グラス:創吉テイスティング
量:30ml以上
場所:自宅
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:ほのかにハーブの爽やかさと青っぽさの漂う、レーズンや黒蜜のリッチな甘い香り立ち。まるでコニャックを思わせる葡萄系のフルーティーさ。微かに梅の酸味と徐々にウッディーな苦味も感じる。少量加水するとより一層コニャック系のフルーティーさが際立つ。

味:黒砂糖系のリッチな甘み。かりんとう、黒葡萄、微かに感じるスパイスはシナモン、植物っぽいえぐみも少々。香りに比べると味はややフルーティーさが乏しいが、度数相応に勢いがある。
余韻はウッディーでドライ。酸味控えめのレーズンに軽やかな刺激も混じる。


蒸留所のスペルを見ると一瞬バルヴェニーと見間違えそうですが、今回のボトルはカリブ海に浮かぶグアドループ・マリーガランド島のベルヴュー蒸留所のラムです。
BAR Lampと信濃屋さんのジョイントボトルで、製法はもちろんアグリコール、樽の出元は我らがダンカンテイラー社。知名度はかなり低いですが、近年流通の下手なウイスキーやコニャックよりよっぽど光るモノが感じられます。

リムーザンオーク系の樽を熟成に使ったのか、香りは良質なグランシャンパーニュコニャックを思わせるエキゾチックな熟成香が感じられ、フルーティーでリッチな甘みが充実しています。
その中にブラウンシュガーや植物系のニュアンスがあるのは、サトウキビを原料とするラムゆえの個性か。コニャック系の経験値が少ないウイスキードリンカーだと、またダンカンテイラーは"粉"を使ったのかと言ってしまうんじゃないかと思います。

これは内容も価格も良いモノです。もちろん全てのラムがこのような味わいではなく、荒々しい味わいカクテルベース的なモノも多くあるわけですが、中にはこうして単体で個性を楽しんでいけるようなラムも少なからずあります。
コニャックと違いボディも度数なりにあるので、葉巻と合わせてゆったり楽しめたら最高だろうなと。
ああ、このボトルを持って南の島のホテルに行きたい・・・。

バーンハイム 7年 オリジナル ウィートウイスキー 45%

カテゴリ:
BERNHEIM
Original
Wheat Whisky
Small Batch
7 Years Old
750ml 45%

グラス:創吉テイスティング
量:30ml
場所:BAR飲み(Ambrosia)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(5-6)

香り:軽い穀物系のアロマ、バニラ、薄めたメープル、焦がしたサトウキビ。少し溶剤系のツンとしたアロマも感じる。

味:甘くなめらかな口当たり。ボディはライトだがコクがあり、軽いスパイス、バニラ、穀類の甘さがあるが、少し酸味もありバランスが取れている。
余韻は長いシロップのような甘み、鼻抜けチャーオーク、味からすればドライで樽由来の渋みを感じる。

ヘブンヒル蒸留所(バーンハイム蒸留所)で作られている、所謂小麦を主原料としたウィートウイスキー。
つまるところはバーボンの一種なのですが、仕込みの際の原料比率は冬小麦51%、コーン39%、 そして10%の糖化酵素用の大麦で、その香味はなめらかで軽い口当たりに、通常のバーボンよりも柔らかい甘さが特徴的です。
それは同じく冬小麦を原料にするメーカーズマークよりマイルドで、濃くギスギスした樽感の現行バーボンに疲れたら、このウィートウイスキーに癒されたい、バーボン党の選択肢の一つなのかなと感じます。

さて、このバーンハイムについては生い立ちに多少複雑な系譜というか、バーボンらしい作り手側の動きがあり、サイトによって情報にブレがあるのが現状です。
あるサイトでは「バーンハイムはヘブンヒル蒸留所で作られている」とされ、またあるサイトでは「2005年に設立したバーンハイム蒸留所で作られている」とか、まあ色々書かれていて、そもそも蒸留所から情報が安定してないんですけどーって話。

実際のところは1996年、旧ヘブンヒル蒸留所が落雷によって火災に見舞われ、熟成庫だけでなく蒸留設備も大炎上し、生産中止に追い込まれたところに遡ります。
そこで1999年、ルイヴィルにあるシェンレー社所有のバーンハイム蒸留所をヘブンヒル社が買収、ヘブンヒル・バーンハイム蒸留所としてヘブンヒル関連の商品の生産を再開します。
そして2005年、同蒸留所で作られたバーンハイムがリリース。これが連邦アルコール法におけるウィートウイスキー認定第一号だったというのが、ざっくりとした流れになります。

ちなみにこのシェンレー社がヘブンヒル・バーンハイム蒸留所で生産しているのがIWハーパーです。
IWハーパーは原料がコーン主体でライト&メローな味わい。そこにヘブンヒル社が同蒸留所で冬小麦で仕込んだマイルドな味わいである、バーンハイムも生産されている。
もちろん同蒸留所では他にも多くのバーボン銘柄が生産されていて、この2銘柄だけでどうという話でもないのですが、作り手は違うものの母体は同じという、ある種兄弟のような銘柄と言えるのかもしれません。

ハイランドパーク ダークオリジンズ 46.8% オフィシャル

カテゴリ:
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HIGHLAND PARK
DARK ORIGINS
Double First Fill Sherry Casks
(No Aged)
700ml 46.8%

グラス:創吉テイスティング
量:30ml
場所:BAR飲み(Ambrosia) 
時期:不明
評価:★★★★★★(6) (!)

香り;ほのかにサルファリーさの漂う、リッチな香り立ち。若干生木っぽさもあるが、徐々にレーズンやチョコレートケーキなどの濃い甘みが立ち上がってくる。

味;スウィートで香ばしいかりんとう、ねっとりとした口当たりと黒砂糖を思わせる甘み、サルファリー、微かにプルーン。徐々にスモーキーでビター、ウッディーでドライな余韻が長く続く。

2014年にハイランドパークからリリースされたオフィシャル定番商品の一つ。
ダークたる由来のエピソードは省略するとして、原酒構成は80%がファーストフィルシェリー樽(ヨーロピアンオーク60%、アメリカンホワイトオーク20%)で、残りの20%がリフィルシェリー樽で、ラベルに書かれたDouble First Fill Sherry Casksは、このヨーロピアンオークとアメリカンホワイトオークの2つのカスクタイプのシェリー樽を指しています。
かつてのハイランドパークは基本リフィル系のシェリー感が中心のボトルでしたが、シェリーが効いていた一部のオフィシャルボトルを思わせる、リッチな樽構成となっています。

ただこのボトルがリリースされる少し前、自分はハイランドパークにちょっとだけ幻滅していました。
というのも、当時リリースされていた免税向けの限定ボトルがことごとく好みに合わず、特に現行品でシェリーカスク系のステータスが付くものは鬼門という印象が強く根付いていたのです。
そのため、このダークオリジンズも正直期待していませんでした。

しかし飲んでみると近年系のシェリー感ではありますが、嫌味の少ないタイプで濃い目のシェリー感。若干のサルファリーさは甘みと合わさってかりんとうのようで、余韻にかけてはハイランドパークらしくピーティーでほろ苦い。 ノンエイジ仕様ですが、体感の熟成感は12~15年相当で、若さの特徴は目立ってなく。
こりゃ意外と良いぞと、期待していなかっただけにその驚きは相当だったなと記憶しています。

そんなリリースから2年、何度か飲んできたボトルでしたが、先日コメントにて次に買うボトルの相談を頂いた方に勧めたというのもあり、改めてテイスティングして記事にしてみました。
最近の市場では、マッカランは値上げに次ぐ値上げ、ファークラスのシェリー感は薄くなり、グレンドロナック18年も終売間近との予測から品薄状態と、1万円以下のオフィシャルでしっかりシェリー系のボトルが少なくなってきた中で、こういうタイプのボトルは貴重だなと、違う意味での存在価値も感じました。
ダークオリジンズもいつまでこの香味が維持されるかわかりませんが、今の市場にあってもっと評価されて良いボトルだと思います。

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