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2016年07月

ノッカンドゥー 21年 1990年蒸留 マスターリザーブ 43%

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KNOCKANDO 
Master Reserve 
Aged 21 Years 
Distilled in 1990 
700ml 43% 

グラス:SK2
量:30ml程度
場所:自宅(持ち寄り会@Yさん)
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでパンのような香ばしさのある香り立ち。少し生っぽい木のニュアンスもある。乾いた植物感、藁のようなニュアンスにオーキーなフルーティーさが混じり、良い意味での複雑さに繋がっている。時間経過でクリーミーなニュアンスも感じられるようになる。

味:メープルシロップを思わせるふくよかで甘い口当たり、若干のえぐみとナッティーで香り同様にパンの香ばしさ、後半にグレープフルーツやリフィルシェリー系のフルーティーさが口の中に広がっていく。
余韻は麦芽やフルーツの皮のほろ苦さと軽やかなウッディネス、長く続く。


オフィシャルボトルをリリースする蒸留所の中でも不遇というか、もっと評価されて良いのにと感じるのが、このノッカンドゥー蒸留所です。
主に工業用アルコー・・・じゃなかった、J&Bのキーモルトとして使われており、ジョニーウォーカーでいうカーデュー同様にブレンデッドのほうがメジャーな印象はありますが、ある程度ウイスキーの世界に踏み込んだ飲み手からは「ウマイ蒸留所」の一つとして認識されているように思います。

同蒸留所で有名なのが、オフィシャルラインナップは熟成期間に関係なく一定水準に達したボトルのみをリリースするという方針。そのためオフィシャルの通常ラインナップには珍しく蒸留年の表記があり、オールドボトルでは11年熟成など今とは異なる熟成期間のボトルを見ることが出来ますが、最近は12年、15年、18年、21年という他の蒸留所と似た3年刻みのラインナップとなっています。
しかし無理やり仕上げているわけではなく、15年以上のクオリティは中々のもの。ビンテージ毎に多少のばらつきはありますが、一連のリリースに共通するのは特徴は厚みのある麦芽風味で、21年はナッティーな香ばしさと熟成したモルトのフルーティーな味わい。バランスよく、美味しいスペイサイドモルトに仕上がっています。

このレベルが1万円以下で購入できるのですから、飲み手側には嬉しい話。
それこそ円高時に仕入れられた昔の在庫だと、6000円台後半で販売されている店もあったほどで、家飲みに最高な1本でした。
最近はラベルチェンジしたロットが国内に入ってきているようですが、値段は大きく変わっていませんし、味も傾向は同じであるように感じます。これからも長く付き合っていきたい、そんな蒸留所です。

ロイヤルサルート 21年 40% 近年流通品

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ROYAL SALUTE 
Blended Scotch Whisky 
21 years old 
2010's 
700ml 40% 

グラス:創吉テイスティング
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1~2年程度
評価:★★★★★★(6)

香り:品の良いシェリー香。徐々に華やかなオークフレーバーも伴うドライな香り立ち。ライチ、麦芽、林檎のコンポート、嫌味の少ないモルティーさ。加水するとシェリー系のアロマが後ろに入るが、逆にオーク系の華やかなフレーバーが引き立つ。

味:スムーズで甘い口当たり。最初はとろみのあるシェリー系の甘さがあるが、中間からはほろ苦い乾燥した藁や麦芽系の風味、林檎のコンポート、ケーキシロップ、ほのかな植物感。一口一口のフレーバーは強くないが、余韻は蓄積するようにウッディーでドライ、若干のえぐみを伴い長く続く。
少量加水するとよりスムーズな飲み口で甘みが引き立つ。


ストラスアイラやグレンキースをキーモルトとした高級グレードのブレンデッド。
シーバスリーガルには公式サイトがありますが、ロイヤルサルートってなぜかオフィシャルサイトが見当たらないんですよね・・・。
近年日本で広く流通しているデザインのボトルですが、本国では既にラベルチェンジが行われているようで、一つ前のデザインという事になります。

オールドボトルは1970年代、1980年代をそれぞれ本ブログで紹介していて、状態の良いボトルを引けば熟成感あるオールドシェリー系の香味が楽しめることは紹介したところ。
では現行品はというと・・・以前開封した免税向けの1本はドライでエステリー系で、なんていうか飲み進めるのが苦しいほどでした。
ところが今回、ボトル整理中に出てきた抱き合わせ購入のサルート(開封は1年半頃前)は、現行品では中々のアタリ。ボディはライト傾向で近年のブレンドっぽいえぐみも感じられますが、品の良いかつてのGM系のシェリー香や、モルティーでオーク系の華やかさとフルーティーさ。突き抜ける旨さは無いですが、自宅でのんびり飲むと癒される味わいが楽しめます。

なんでしょうこの違い、ロット差? 
ボトルデザインから近年のモノであるのは間違いないのですが、箱がルビーフラゴン用だったりと、どういう経路をたどったのか所有者の自分がわからない怪しさのあるボトルでもあります。
飲み方としてはロックにすると冷やした中でも品の良い甘いアロマが健在。ドライさが和らぎ心地よく、飲み口はよりスムーズで余韻にかけて香味が広がっていきます。
氷に負けないというか、氷に耐えているイメージで、こういう飲み方も大丈夫だよと、作り手のメッセージを受け取った気がしました。

ラガヴーリン 16年 1990年代流通 ホワイトホース表記

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LAGAVULIN
White Horse Distillers
Aged 16 Years
1990's
43% 1000ml

グラス:SK2
量:30ml程度
場所:自宅(持ち寄り会@Mさん)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:落ち着いたスモーキーさ、ナンプラーのようなヒネとこなれた香り立ち。古物店を思わせるような古びた木材の香り、昆布だし、海辺のウェアハウス。徐々に麦芽香が強くなってくる。

味:スムーズでオイリーな口当たり。メープルシロップやカラメルを思わせる甘み、しっとりとしたピートフレーバー。徐々にウッディーで焦げた木材のようなニュアンスが広がり、舌の上に塩気とコク、鼻抜けにヨードを伴う磯っぽいアロマを伴いながら余韻へと繋がる。


ラガヴーリンのオールド、1990年代初期流通の免税向けリッターボトル。
割と有名なオールドボトルで、同蒸留所の愛好家の間では「ラガヴーリンオールドボトルの入門的位置づけ」なんて言われることもあるそうですね。
現行品と似たラベル構成ですが、ロゴなど細部にわたっていくつか違いがあります。中でも特筆すべきは現行品が"ポートエレン表記"であるところ、同時期のボトルは"ホワイトホース蒸留所表記"になっていることでしょうか。(写真右側のボトルが現行品です。)

ホワイトホース表記になっているのは2箇所。1つはラベルの一番上のロゴ下の説明文箇所。もう一つは下半分のラベルの一番下です。
このポートエレン表記の有無で流通時期におおよそのアタリが付くとされていて、2箇所がホワイトホースとなっている時代は1990年代初頭、16年のリリース初期のものとなるのだそうです。
ホワイトホース表記からポートエレン表記に変わった理由はわかりませんが、同時期にグレンエルギンなどもホワイトホース表記を無くしてますし、メーカー側のブランド戦略ってヤツでしょうか。
元々ラガヴーリンの所在地(住所)はポートエレンである事。また同蒸留所はポートエレンの製麦工場から買い付けた麦芽を使用していることや、ラガヴーリンで蒸留した原酒の一部を元ポートエレン蒸留所の熟成庫で熟成させているという話もあり、このあたりも背景にあるのかなと推察するところです。 

香味についてはこなれた樽感がメープルシロップやカラメルのような甘みに繋がり、酒質の厚みという点ではオールドの良さを感じる。一方香味共に穏やかというか、もっと分厚いピーティーさや旨みの濃縮感を想定していたので、少し拍子抜けした部分も有りました。
自分はピーティーなオールドブレンドが好みなので1980年代流通あたりのローガンをよく飲みますが、キーモルトだけあって共通するニュアンスは多いものの、ローガンの方がピートが強いんじゃないか?とも。

オールドボトルゆえの個体差もあるため、ボトル1本では決められませんが、そういえば前に三浦の古い酒屋で買って飲んだちょい古のラガヴーリンも、オイリーでこんな感じでした。
現行品との飲み比べをしてみると、現行品のほうがやや酒質は軽くなるものの、樽由来のフレーバーにピートフレーバーはしっかり強く一長一短という感じ。どちらが良いとは判断しづらかったです。
次は比較レビューも掲載したいと思います。

洛山 25年 サントリーブレンデッドウイスキー 43%

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RAKUZAN
Aged 25 years
Suntory Blended Whisky
700ml 43%

グラス:ハイランドパークテイスティング
量:30ml程度
場所:自宅(持ち寄り会@NYさん)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★★(8ー9)

香り:華やかでウッディーな香り立ち。アプリコット、サルタナレーズン、干し柿の甘み、非常にリッチで充実している甘いドライフルーツの果実香。グラスの残りがはお香や白檀を思わせる日本家屋的な落ち着いたアロマ。

味:リッチでまろやかな口当たり、干し柿やドライマンゴー、メープルシロップ、舌の上で盛り上がるような甘みから、徐々に香木系の木の香りが鼻に抜けていく。ジャパニーズの長期熟成らしくウッディーさは強いが非常にバランスが良い。後半はオーキーな華やかさ、フルーティーでドライな余韻が長く続く。


リカーマウンテンが創業25周年を記念して2015年に発売したオリジナルボトル。
当時サントリーがそうした高級ブレンデッドの注文を受け付けており(おそらく受注はマッサン放送前後か)、ビックカメラ、信濃屋、キンコー、そしてリカーマウンテンがそれぞれキャラクターの違うブレンドをリリースしました。

信濃屋とキンコーのブレンド、和響と鳳雅は、前者がミズナラ、後者がシェリー樽原酒の個性を際立たせていたのに対し、ビックカメラとリカーマウンテンのブレンデッドは長期熟成原酒がバランスよく使われ、サントリーのブレンド技術の粋を見るようなバランス、奥行き、複雑さが堪能できる。
これぞジャパニーズブレンデッドウイスキーの理想系の一つ!という、素晴らしい1本に仕上がっています。
なんというか、これをリカマンがリリースしたというのは、若干悔しくもあるような気持ちさえ感じてしまいます。

華やかなサントリーらしいミズナラ香に加え、ボディはシェリーやホワイトオークのとした香味、余韻がウッディネスタイプで個人的な好みを言えばほんのひとさじピートが欲しいとも思ってしまうのですが、ミズナラ原酒を使うならブレンドの形はこの方向性以外ないだろうなとさえ思います。
ちなみに同日センチュリー21年をこのボトルを飲み比べましたが、どちらも同じベクトルにあり素晴らしい味わいで、センチュリー21年がミズナラ寄り、洛山は複雑さと奥行きが強いかなという印象でした。

このボトルはウイスキー愛好家のNYさんが「くりりんさん、この前ブログでこれ飲んでないって言ってましたよね?」と持ち寄り会に持ってきてくださいました。
価格もさることながら、その美味しさに「配給制だ!そこに並べ!」と参加者に緊急統制を強いてしまったほどです(笑)。
素晴らしい経験をありがとうございました!

ウィルキンソン ドライコーラ でドライなコークハイを楽しむ

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ウィルキンソンタンサンといえば「百年タンサン」なるPRに、クリアな味わいと強い刺激から、ウイスキーハイボール用のソーダ水としてまず迷ったらコレという愛好家御用達のアイテムです。
ただ最近同メーカーから奇妙なアイテム、"ウィルキンソンタンサン ドライコーラ"が発売されました。
早速飲んでみたところドライは甘くないという意味で、香料で炭酸水に安っぽいコーラの香りだけが付いた、なんだか良くわからないソーダ水でした。

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率直な感想は、単体としてはあんまり美味しくなかったんですが、ふと思ったのはコレを使っての、甘くないウイスキーコーク、ドライ コークハイをつくったらどうだろうという事。 自分はコーラは好きですが、コークハイの濃くなりがちな甘さが好みではなかったのですが、これなら案外イケるんじゃ?
香味が安っぽく人工的とはいっても、元々コーラは人工的な香味が主体だし、ウイスキーを割るには良いかもしれない。。。思い立ったら吉日、発売当日早速リピートし、ドライコークハイを自宅で作ってみました。

ベースは角瓶やブラックニッカあたりが自宅にあればよかったのですが、最近の家飲みハイボールはオールドブレンドかアイラのピーテッドモルト。オールドボトルはともかく、アイラピーテッドが(特にヨードが)合うとは思えないので、オーソドックスなところ酒棚に転がっていたフロムザバレルで試してみます。
元々ストレートではそれなりに甘さのあるタイプですから、とりあえずの試作にはちょうど良いかなという判断です。

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まず1口目 「確かに甘くない、けど何か違和感が・・・。」
2口目 「うん、まあこれはこれといえるかな?」
3口目 「レモン絞るかジャンキーなフードとあわせたら案外イケるかもしれんな。」

と、浮ついたコーラの香りに違和感を感じるものの、甘さとしては狙い通りドライなウイスキーコークに仕上がっていました。後はあわせるウイスキーや食事で工夫の余地が有りそうです。
例えばウイスキーはもっと甘みのあるバーボンやブレンデッドで。食事はフライドポテトやBBQソースで味付けした肉、あるいはハンバーガーなど、ジャンキーな食事に合いそうだなと。
そんなわけで我が家には大量にあるオールドブレンデッドに、急遽隣のコンビニで仕入れてきたジャンキーなフードで2回戦突入。


思ったとおり、味の濃いジャンキーなフードに良く合います。
ベースとなるウイスキーも、淡麗なタイプのブレンデッドよりも味がしっかりあるモノのほうがコーラの香りに負けずバランスが取れてくるようなので、例えばバーボンで作るならジムビームだと白より黒など、樽感の強いほうが良いかもしれません。
バーボンはちょうど良いボトルが開いてなかったので試していませんが、夏本番となるこれから、新しいメニューとして面白い選択肢になるかもしれません。
もっとも、個性的な味わいであるため短期で販売が打ち切られなければの話ですが(汗)。

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