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2016年04月

マッカラン 18年 1997-2015 GM スペイモルト 46%

カテゴリ:

MACALLAN
GM SPEY MALT
(Aged 18 Years)
Distilled 1997
Bottled 2015
First Release JIS 
700ml 46%

グラス:創吉テイスティング
量:30ml程度
場所:BAR飲み(TWDイベント)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香:かりんとうを思わせる香ばしい香立ち。黒砂糖、レーズンパン、甘く香ばしいリッチな香り立ち。徐々にドライプルーンやオレンジ、果実味が充実してくる。

味:リッチな口当たり。濃厚な甘さの奥からビターチョコレート、カカオ粉末を思わせる苦味、プルーン、サルファリーなニュアンスもある。 余韻は長くビターでドライ、ブラウンシュガーの甘み、タンニンが水分を奪っていく。

GMからジャパンインポート向けにリリースされた、久々に色の濃いマッカランです。
ちょっと前までならこういうのもゴロゴロあったんですが、ここ数年は随分弾が減った気がします。

GMでシェリー系というと、大きく分けてGM味に代表される独特なシェリー感のあるボトルと、その蒸留所のハウススタイルと言える仕上がりの2パターンがありますが、今回は後者の構成で、樽ごとマッカランから買い付けたのでしょうか。
裏は取れてませんが、聞くところでは樽的な制約で1990年あ 上が のモルトをしにくくなった模様。シェリー感の濃い近年蒸留は、GM てそれなり の入ったボトリングえるのだとか。。。

今回のボトルはほのかに硫黄感のあるシェリー系ですが、それほどキツイ系統ではなく、香ばしさにも繋がっていて硫黄嫌いの自分でも飲み進められるタイプ。またそれ以上にマッカランらしい黒砂糖やプルーンを思わせる甘みがしっかりとあり、飲みごたえのある1本に仕上がっています。
バランスや完成度という点では通常の18年のほうがあるように思いますが、加水とはいえシングルカスクで勢いと個性が際立った味わいはボトラーズならではの楽しみと言えそうです。


このボトルは先日のTWDでYさんが持ち込んだ1本。
今回は通常のブラインドに加えて
①出題者は複数本ボトルを用意する。
②うち1本のテイスティングコメントを発表する。
③回答者は選択肢になるボトル複数本を実際にテイスティングし、そのなかから出題者のコメントに該当するボトルを選ぶ。
というテイスティングを試しており、その出題ボトルのひとつがこのマッカランでした。
面白いだけでなく得るものがあるテイスティング方法で、これはまた後ほど記事にまとめてみたいと思います。

マッカラン レアカスク ブラック 48% 免税向け

カテゴリ:

MACALLAN
RARE CASK BLACK
2015's
700ml 48%

グラス:テイスティンググラス
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(ウォッカトニック)
時期:不明(比較的最近の開封)
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:リッチなシェリー香と華やかな木の香り。ドライプルーン、カカオチョコレート、微かにハーブ。時間とともにオロロソの香味とほのかな土っぽいニュアンスも感じられる。

味:まろやかな口当たりからシェリー樽由来の甘み。黒蜜、ドライプルーン、コーヒーチョコレート、徐々にウッディーな苦味が開いてくる。ボディは厚みがあり、複数樽バッティングらしい多層感のあるフレーバー。バランスも良い。
余韻はピリっとした軽いスパイス。長くリッチな甘みとほろ苦さ。心地よくドライ。

マッカランが昨年免税店向けに発売した、レアカスクのブラック。1824マスターズとして同時期に発売されたマッカランレアカスクの上位グレードに当たります。
赤と白のラベルで同時期に発売された通常のレアカスクは、30年以上の原酒を含む16種類の原酒を使ったノンエイジ仕様。このボトルはそれよりもさらに古い、1945年頃に蒸留された、ピートを炊いて仕込んでいた時代の原酒を一部使用したことで、スモーキーな要素をまとった仕上がりなのだとか。樽構成としては、アメリカンホワイトオークとスパニッシュオークのファーストフィルシェリー樽、計100樽が使われています。
実はテイスティングした時、リリースされていたことはおろか、原酒構成も知らずに、「こんなの出てたの?どうせまた免税向けで無駄に高いんでしょ~?」と軽口を叩きながらテイスティングしました。 

一言で、近年リリースとしては上質で美味いマッカランです。
体感での熟成期間は20年程度。シェリー感はマッカランシーズニングシステムのそれで、60年代以前のそれとは異なる近年系です。
リッチな飲み口でありながら嫌味や引っかかりが少なく、それでいてボディに強さがあって飲みごたえも感じられるバランスの良い仕上がり。この辺はマッカランの「加水」でこそ輝く酒質と、複数樽バッティングによるブレンダーの技と言えそうです。

他方でレアカスク・ブラックの最大の売りとも言えるピーティーさ、スモーキーさはというと・・・少し土っぽくほろ苦いニュアンスは感じられたものの、明確にスモーキーという構成ではありませんでした。
今回はハーフショットテイスティングですから、確証をもっては語れませんし、意識して飲めばまた違うのかもしれませんが、原酒を使ったことは間違いないのでしょうけれど、それが100樽のうちのどれ程なのか。相当希釈されてしまっている気がします。
(そもそも1945年蒸留の原酒は、70年熟成であり、熟成期間で穏やかになっていくピートがどの程度残っているのかも・・・。)

価格は450ドル、相変わらずの強気な値付け。これが2万円くらいならスペック、バックストーリー的にも買いというか、売りやすいボトルなんでしょうけれど、マッカランを飲むうえでは「これなら○○と大差ないし安い」というような考えはしないほうが良いんでしょうね。
車で言えばベンツとカローラみたいなものか(笑)。

GWなので肉と酒もって出かけよう 野外で楽しむウイスキー

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いよいよ明日からゴールデンウィークですね。
早速予定はぎっちり(といっても後半は妻の実家でのんびりなんですが)で、100%遂行に向けて体調管理に余念がないくりりんです。

毎年この時期のお楽しみにしているのがBBQとウイスキー。真夏にキャンプがてらやるのもいいですが、春の爽やかな山の空気の中で楽しむのが個人的にツボなんです。
つい先日、2歳になった子供と妻も連れながら、ウイスキー仲間と毎度おなじみの奥多摩に繰り出しました。

釣りもそこそこに始まる宴。事前に仕込んだ肉の総量は2.4kg、もうほぼ肉しか仕込んでないのですw
今回のテーマは串焼き、焼き鳥焼き豚、そこに釣れた鱒で焼き魚。
ささっと焼いて満開の桜を見ながら優雅に楽しむ予定が、意外と火力調整が難しい。っていうか仲間一人の燃料過剰供給が原因で、高火力に串が焼け落ちるという事態も発生(笑)
まあそれも含めて楽しいわけですよ。

食後はウイスキーに葉巻をくゆらせながらのんびりと。。。は出来なかった今回。そう、今回はやんちゃで元気な我が子も居るのです。

せっかくなので、併設されてる釣り堀で魚を釣らせてみました。
最近だんだん生意気になってきて、「なんでもできる!」「まかせて!」が口癖になのですが、中々釣り上げられず、釣れたら釣れたでびびっちゃって、かわいいことこの上ない。
2歳のころの出来事なんて覚えちゃいないだろうけど、いい思い出になってくれればパパは本望です。

最後は余った薪を積んで盛大にファイヤー!
あくまで釣り場扱いのこの河原、やり過ぎなんじゃないかとヒヤヒヤしました(笑)

夜、自宅やBARで心を落ち着けながら1杯やるのは良いものですが、こうして野外で楽しむウイスキーも最高です。山以外に夜の海なんてのもオツですね。
みなさんもこのGW、ボトル片手に出かけてみてはいかがでしょう!


最後に、ウイスキーブログでありながら酒らしい酒のアップもないまま終わるのはどうかと思うので、現地で撮影した「いいちこ」的写真をUPして締めとします。
「私は麦100%」

グレンモーレンジ アルティザンカスク 46%

カテゴリ:

GLENMORANGIE
ArtisanCask
2004's
500ml 46%

グラス:サントリーテイスティング
量:30ml程度
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで少し粉っぽいオーク香主体の香り立ち。白桃やドライアップルのようなフルーティーさ、ビスケットを思わせる麦芽香、徐々に若い酸味も感じられる。 

味:スムーズでほのかな粘性を伴う口当たり。香り同様にオーキーで華やか、白桃、蜂蜜、後半は厚みのある麦芽風味。余韻はピリッとスパイシーでドライなオーク香が長く続く。


グレンモーレンジがデザイナーカスクを発表する前、その前身として2004年に販売したのがアルティザンカスク(アーティザンカスク)です。
グレンモーレンジらしい癖のない麦芽風味に、柑橘や白桃を思わせるフルーティーなオーク香がマッチ。46%と加水されているため飲み口はスムーズで、バーボン樽にありがちなギスギスした木の香味も控えめ。後のアスターなどの試作品的な位置づけですが、素直に旨いと言えるボトルに仕上がっています。

デザイナーカスクは、日当たりの悪い斜面に生える木目の詰まったホワイトオークを、2年間天日干しで乾燥させ、4年間テネシーウイスキーを詰めて熟成に使用したもの。対するアルティザンカスクは、乾燥期間が18ヶ月と6ヶ月短く、それ以外は同じ仕様となっています。

このシステムを見て思い出すのがマッカランのシェリー樽製造方法。樽を作ってボデガに渡し、シェリーを詰めてもらうアレです。
このシステムはシェリー樽不足を補う目的がありましたが、バーボン樽は製法上手に入りやすく、しかも良質な原酒を払い出した後の良質な樽が多くあったであろう1990年代の時点で、アルティザンカスクのシステムを作ったのは流石の先見の明だと思います。


というのもここ最近、バーボン樽そのものの製法が変わってきており、良質な樽の確保が難しくなってきているそうです。
禁酒法廃止以降、バーボンそのものの需要は増減を繰り返しながら増えてきたわけですが、量産体制が敷かれる中で、樽に使用するオーク材を自然乾燥ではなく機械乾燥させる動きがでてきました。
機械乾燥では早く仕上がる代わりに、オーク材のアクが抜けきらず刺々しい味になるのだとか。
最近、同じ熟成年数でありながら、メロウな木香を感じない代わりにセメダインのような刺激を強く感じるボトルが、特に低価格のバーボンに増えてきています。原因は様々あるのでしょうけれど、大きくは樽の製法に違いがあると考えています。
(この辺もシェリー樽の件と同様にキッチリ深堀したいです。)

同じバーボン樽熟成でありながら、蒸留所がによって目指すべきフルーティーさが出ていなかったりするのは、こういうところの違いが出てるためなんだろうなと、改めてグレンモーレンジの凄さを感じました。

テイスティングにおけるパンドラの箱 オフフレーバーを学ぶ

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先週末、1ヶ月半ぶりのTWD(テイスティング勉強会、第5回)に参加しました。
さすがに年度末だけあって忙しく、3月は予定が合わなかったんですよね。
今回もまあ色々濃い意見交換をしたわけですが、一つ年明けから仕込んでいたネタで「オフフレーバーとはなにか」という時間を設けてみました。

ウイスキーで、特にオールドボトルを嗜む人は、オフフレーバーという単語を耳にしたことは多いと思います。
ヒネてたり、こもってたり、あるいは変な臭いや味だがしたり・・・という状態の総称ですが、このオフフレーバーがなぜ発生するのかを、その発生を再現することで原因を特定、知らないメンバーはそれがどういう香味なのか学んでいこうというものです。

まず再現するにあたっては、何がオフフレーバーなのかを定義する必要があります。
オフフレーバーは大きく分けて蒸留・熟成の製造工程でつくものと、ボトリング後につくものとの2パターンがあります。
製造工程でオフフレーバーが出たものは製品化の際に除外されるため早々市場には出てきません。よってボトリング後に何らかの影響でついてしまった、通常の熟成環境下ではつかないフレーバーをオフフレーバーとして整理しました。
いわゆるヒネ、コルク臭、プラキャップ(樹脂)臭、金属臭に該当するものです。

再現方法はこれまでの経験から、それが発生する原因と考えられる物質をウイスキーの中に沈めて放置するだけ。
基本的にオフフレーバーはキャップの裏側の保護材が原因と考えているので、該当するキャップの裏側やコルクを用意しました。(ヒネに関しては温度変化と紫外光の合わせ技が原因ではないかと考えられ、加速的に再現するのは困難であるため、該当するフレーバーがでているウイスキーで代用しました。)

どのキャップがどのフレーバーに該当するかは、こちらの記事の「ハズレに繋がりやすいキャップ」を確認ください。

手元にあった適当なウィスキー(今回はフィンドレイター15年)を4瓶に分けて、それぞれ該当する物質を入れます。
1月から準備を開始したので、そこから約3ヶ月と少々。2ヶ月目くらいから影響が出てきたわけですが、今まで「このキャップだとこのオフフレーバーが出ている可能性が高い」と考えていたことが、間違いではなかったコトがよくわかりました。
また、合わせて横置きがNGであることも改めて証明されたワケですが、数日程度なら香味の面では認識できる影響はないとも言えそうです。

オフフレーバーは、人によって感じる感じないがはっきりわかれます。
むしろ我々一般的な飲み手は、わかったところで楽しみが減るだけで、わからないほうが幸せなのではないかというパンドラの箱。最後にあるはずの希望すらそこにはないかもしれません。
しかし酒販関係者は認識した上で販売するしないを決めた方が良いですよね。
「どうです、このボトル状態バッチリですよ」と出して、実は「ウボァー」なボトルだったなんて事態は洒落になりませんから。

このサンプルは池袋のBAR Ambrosiaさんに放置プレイさせていただきました。
通常売り出すようなものでもないと思いますが、お願いすれば出してもらえるかもしれません。
ただ、その際の飲用はくれぐれも自己責任でお願いします(汗)。

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