富士山麓 樽熟原酒 50°ノンチルフィルタード レビュー
KIRIN WHISKY
FUJI-SANROKU
樽熟原酒50°
50% 700ml
グラス:SK2、創吉テイスティング
量:個人所有
場所:自宅
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★☆(4-5)(!)
※少量加水やロック、冷凍ハイボールで飲んだ場合★5評価
香り:ツンとした刺激のある香り立ち。若い原酒のニューポッティーさ、溶剤っぽい香りに栗の渋皮煮を思わせる甘さと苦味。少量加水すると若さや刺激が和らぎ、品の良い甘い樽香に加えてエステリーで華やかな熟成香もほのかに感じられる。
味:ハイプルーフらしくスパイシーな口当たり。香り同様に若いニュアンスはあるが、ライチを思わせる爽やかな酸味とねっとりとしたメープルシロップのような甘みがある。
余韻はバーボン樽、というよりバーボンそのものを連想させる樽香、焦げた樽材由来のほろ苦さ。長く続くが、度数から来るアタックの強さと比べると細い。
少量加水すると口当たりの刺激が和らぎ、ねっとりとした甘み、口当たりに。序盤はやや単調気味だが後半は樽の香味が一層引き立つ。
もはや説明不要ともいえる、キリンが3月22日に発売した富士山麓のリニューアルブランド。
ノンチルフィルタードを採用し、香味の幅を増やしたと言うのが今回の最大のウリです。
その他、詳細はこれまでの記事に加え、先日UPした、旧ボトルとの比較記事にもまとめていますので、興味のある方は合わせて参照ください。
ストレートでは旧ボトルに比べて香味の幅が出ていますし、加水、ロック、ハイボールと一般的な飲み方を試しましたが、全体的に見て良くなっていると感じます。特にロックが良かったですね。
富士山麓 樽熟原酒50% 新製品の進化を探る(3/24)
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1054458385.html
旧ボトルと比較して良くなったことは、少なくとも自分の中では揺るがない評価ですが、単体としての評価となれば話は別です。あくまで一つのウイスキーとして、評価をしていくのが今回のレビュー。
まず中身に関してはコスパや他との比較を考慮しないで考えると、熟成感としては体感5年程度とまだまだ若く、グレーン由来の中間の単調さに加え、全体を樽で押さえつけた仕上がりの荒いウイスキーという事になります。
少量加水すると口当たりの刺激が和らぎ、ねっとりとした甘み、口当たりに。序盤はやや単調気味だが後半は樽の香味が一層引き立つ。
もはや説明不要ともいえる、キリンが3月22日に発売した富士山麓のリニューアルブランド。
ノンチルフィルタードを採用し、香味の幅を増やしたと言うのが今回の最大のウリです。
その他、詳細はこれまでの記事に加え、先日UPした、旧ボトルとの比較記事にもまとめていますので、興味のある方は合わせて参照ください。
ストレートでは旧ボトルに比べて香味の幅が出ていますし、加水、ロック、ハイボールと一般的な飲み方を試しましたが、全体的に見て良くなっていると感じます。特にロックが良かったですね。
富士山麓 樽熟原酒50% 新製品の進化を探る(3/24)
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1054458385.html
旧ボトルと比較して良くなったことは、少なくとも自分の中では揺るがない評価ですが、単体としての評価となれば話は別です。あくまで一つのウイスキーとして、評価をしていくのが今回のレビュー。
まず中身に関してはコスパや他との比較を考慮しないで考えると、熟成感としては体感5年程度とまだまだ若く、グレーン由来の中間の単調さに加え、全体を樽で押さえつけた仕上がりの荒いウイスキーという事になります。
まあこのグレードのウイスキーでは、スコッチ含めてそうした特徴は特段珍しい話でもなく、その中でも光る要素がどれだけあるかということになるわけですが、濃い甘みや樽香は見るところがあり、キャラクターは確率されていると感じます。
加えて加水やロックなど、一般的に飲むことが多い飲み方に当てはめてると、ストレートで感じられた香味の荒さが押さえられ、飲み方に幅を感じるのは評価ポイントです。
前回の比較記事では試していなかった、酒販店推奨の富士山麓の美味しい飲み方、関西式のハイボールも試してみました。
ウイスキーを冷凍、グラスもキンキンに冷やし、冷えたソーダで割って氷を入れずに作るハイボール。アルコール度数を感じず飲める飲みやすさに加え、若いフレーバーが爽やかさに繋がって後半に樽香がふわりと広がります。
50ml分を小瓶で冷凍して作ってみましたが、ゴクゴクスイスイ飲み干してしまいました。これは夏場に飲みたい味です。
デイリーに飲んで愛される要素は、こういう様々な飲み方で伸びる間口の広さなのかなと思うところ。リニューアル商品が前作より微妙、というのがここ最近多く見られた流れですが、新しい富士山麓は限られた中でよく作っているなと感じます。
以下、余談。
富士山麓では、特に新ボトルで余韻にかけてバーボンを思わせる香味が感じられます。セメダイン系の香味とかではなく、バーボンそのものを思わせる香味が構成要素に溶け込んでいるわけですが、一部のウイスキーでも見られる現象であり、富士山麓が特別というわけではありません。
富士山麓では、特に新ボトルで余韻にかけてバーボンを思わせる香味が感じられます。セメダイン系の香味とかではなく、バーボンそのものを思わせる香味が構成要素に溶け込んでいるわけですが、一部のウイスキーでも見られる現象であり、富士山麓が特別というわけではありません。
ただこれは富士御殿場蒸留所のグレーンの作り分けで、一部バーボンに近いヘビータイプの原酒を仕込んでいること。
そこに熟成に使われたバーボン樽由来のものが加わったと考えるのが自然でしょう。新樽という可能性も考えられますが、富士御殿場蒸留所はニッカやサントリーほど自社で樽の製造を行っていないため、実際のところ関係が深いフォアローゼス社のバーボン樽がほとんどという話と聞きました。入手した樽に長期熟成用の原酒を入れる前、アク抜き的な熟成で樽に染み込んだ香味を移し、その原酒をブレンドに回すなど個性を出す工夫をしているのではないかと思います。
また、富士御殿場蒸留所ではモルト原酒を50%で樽詰めすることで、香味をより多く引き出す工夫をしています。今回はそこにノンチルフィルターの合わせ技です。
しかし樽の中のウイスキーは、エンジェルシェアと合わせて度数も低下しており、50%で詰めればだいたいは50%以下で払い出されます。(例外的に度数が変わらない、あるいは度数が上がるという現象もあるらしいですが、あくまで特例です。)
じゃあなんで50%で大量に商品化出来るのかというと、グレーンが高度数で度数調整をしているから…ということなんでしょうね。新ボトルでもグレーンを思わせる要素が強く感じられます。
個人的には富士御殿場蒸留所のモルトで18年50%とかを飲みたいんですが、このシステムじゃ難しいのかな。