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2016年01月

ローガン デラックス 1970年代流通 ゴールドキャップ

カテゴリ:
LOGAN
Deluxe Scotch Whisky
1970-1980's
750ml 43%
構成原酒:ラガヴーリン、グレンマレイ、クライゲラヒなど
評価:★★★★★★(6)

香り:香ばしいモルトスナックを思わせる麦芽香、焦がしたカラメル、みたらしの濃い甘さ、古酒系のヒネ感、強いスモーキーさ。モルティーで個性の強い香り立ち、微かにヨードチンキ、土っぽいアロマも感じられる。

味:とろみのあるビターで甘い口当たり。みたらし、モルトスナック、クッキー、序盤からスモーキーでほのかに薬草を思わせる苦味や植物系のクセも感じられる。
余韻は強さ以上に存在感のあるピートフレーバーと軽やかなスパイシーさ。舌の中央にはカラメルソースのようなまったりとした甘みが長く残る。

ホワイトホースの上級品に当たるローガン。ラガヴーリンをキーモルトとしたブレンドで、確かに"らしい"フレーバーの影響を強く、それもアンバランスなほど感じる構成になっています。
グレーンや他の原酒も混じっているので、独特のヒネ感やブレンド系の風味はあるものの、手軽に当時のラガヴーリンを感じられるボトルと言ったら、オールドボトルのローガンを置いてありません。
飲み方はストレート以外にロック、ハイボールと何でもござれ。氷で冷やされることでヒネ感が薄まり、ソーダとの相性もGOOD。ピーティーな味が苦手と言う方には絶対的にオススメできないボトルでもあるのですが、逆であれば家飲みで抱えて損のないボトルだと思います。
ファンの多いボトルで、自分のウイスキー仲間もものすごい勢いで買い込んでました(笑)。


以下は昔Whiskylinkに投稿したネタで、ローガンの見分け方について。
ローガンはころころラベルが変わることが有名で、12年表記やLAIRD表記の有無、その他世界各地向けの細かい仕様変更があって、1970年以降は多くのデザインで流通しています。
下位クラスのホワイトホースより、中古市場での流通価格が低めとなるケースが多い背景には、見分け方が良くわからないから手を出しづらいという要素もあるのではないかと思います。

その見分け方ですが、自分は以下のようにラベルではなくキャップ部分を見るのがコツかなと。
1950年代、60年代はショートスクリュー。(白ラベルや馬の絵の書かれていない時代)
1970年代前半は鉛のごついスクリューキャップ。(このあたりからLAIRDや12年表記の有無が分岐)
1970年代後半は金のシンプルなスクリューキャップ。←今回のテイスティングアイテム。
1980年代初頭からはあずき色のスクリューキャップ。

今回のボトルは下から2番目、1970年代後半から1980年代にかけて。免税品なのか、容量、度数、取り扱い先などボトルそのものには何も記載がないものの、同時期のボトルは日本でも流通しており、従価特級の43% 760ml仕様で間違いないと思われます。

グレンロセス 11年 2004年蒸留 アメリカンパンチョンシェリー樽熟成 キングスバリー

カテゴリ:

GLENROTHES
Kingsbury
Aged 11 Years
Distilled 2004
Bottled 2015
Cask type American Panchon Sherry
700ml 58%
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:濃厚な甘いアロマ、癖少なくこってりとリッチな黒蜜、チョコレート、微かにレーズンなどのドライフルーツ。時間とともにイグサ、乾いた木のえぐみ。

味:口当たりは乾いた草っぽさから濃厚な甘さ、チョコレートやプルーン、癖のないシェリー風味。徐々に焦げた木の風味もある。
余韻は黒蜜の甘さにカカオチョコレートの苦味、度数ゆえかべたつかない。舌先スパイシーでドライ。

キングスバリーからリリースされたグレンロセスのシェリーカスク。
このリリースはいくつか面白いなと思った点があり、メモを残しておこうと思った次第です。
まず、これまでシェリーバットというのは当たり前にあった中で、シェリーパンチョン樽というのは珍しい仕様。
酒屋情報では、この樽材はアメリカンホワイトオークだそうで、パンチョン樽そのものはサントリーが積極的に使っていますが、アメリカンホワイトオークのシェリーカスクで、バットではなくパンチョンにしているところ、キングスバリー側の狙いが気になります。

また樽を工夫しても、中に詰めていたシェリーの質が良くなければお話になりません。
キングスバリーと言えば関係が深いのはバルデスピノ。今回もバルデスピノ産のシェリーカスクということか、これが思いのほか悪くないんです。
酒質は最近のグレンロセスらしい草っぽさが感じられる中で、シェリーそのものは黒蜜のような濃厚さがあって安心して飲める印象。60年代蒸留のシェリーにある突き抜けた完成度はないものの、最近の一般的なシェリーカスクにみられる生っぽいウッディーさや、変なえぐみ、ゴムっぽさが少なく、濃い風味を抵抗なく味わえます。
樽材の違いが生っぽい木の風味の少なさに関係しているのでしょうか。

ここ最近、シェリー樽熟成のスコッチウイスキーを中心にマイナスフレーバーの少ないボトルが見られるようになってきたと感じます。
もちろん、評価の高いシェリー樽熟成ウイスキーにある妖艶な甘みや、豊富な果実感という点はまだまだですが、1980年代蒸留にあったような、シェリーの原液を直接混ぜたような味わいものに比べたら相当改善されたリリースが多いと感じます。
これがウイスキー、あるいはシェリー樽製造側にノウハウや工夫の結果だとしたら、これからどんどん良くなることも予想されるわけで。密かに10年先のシェリー樽熟成ウイスキーが楽しみだったりしています。

グレンフィディック 18年 スモールバッチリザーブ 2016年発売

カテゴリ:
GLENFIDDICH 
Aged 18 Years 
Small Batch Reserve 
Batch No,3306 
40% 700ml 
暫定評価:★★★★★(5)

香り:ツンとした刺激とリフィルシェリー系の生っぽい木の甘さ。林檎、アーモンド、焦げた木、リッチで徐々に淡いピーティーさも感じる。

味:なめらかな口当たり、ボディはミディアム程度から少々厚め。パン生地の香ばしさと甘み、ドライアプリコット、リフィルシェリーのヌカっぽさ。
余韻はウッディで微かにスモーキー。ホットケーキシロップのような甘さが残る。
バッティングされた中でらしい複雑さ、ややシェリーの印象を強めに感じるが、良い部分も悪い部分もある。


サントリーがグランレゼルヴァ21年と合わせ、1月26日に発売した18年スモールバッチリザーブ。スパニッシュオークのオロロソシェリー樽の原酒とバーボン樽の原酒をバッティングし、3か月間マリッジした1本です。
あれ、18年って前からサントリーのラインナップにあったよね、しかも似たような原酒構成で。と思って調べてみると、ラインナップにあったのは18年エンシェントリザーブで、しかもいつの間にか終売になっていました。(昨年9月ごろに終売となったようです。)

正直自分はこの18年エンシェントリザーブは一度ブラインドテイスティングで飲んだきり(答えは忘れたが悩んだ末に外したことは覚えている)で、バーボン樽とシェリー樽のバッティングらしく、リッチな口当たりに加えて余韻が意外とピーティーだったくらいしか覚えていません。
そのため、前リリースとの比較は非常にあいまいではありますが、今回のスモールバッチリザーブ18年も同系統でありリッチな飲み口、しかしながら少々薄くなったかなという印象。
これは樽由来の甘さが少し薄くなったためか、香りではスパニッシュシェリーらしい木の生っぽい香り、味では酸味など、通常甘さの裏に回りがちなフレーバーがいくつか感じられます。
21年グランレゼルヴァがだれが飲んでもそれなりな評価だったのに対し、こちらは好みが分かれそうなタイプです。
飲み方としてはストレート以外にロック、少量加水は取り立ててプラスの変化はなく、濃いめのハイボールだとスムーズな飲み口にナッツのような香ばしさが感じられて中々いい塩梅でした。

ちなみに、旧ボトルとなるエンシェントリザーブの仕様と、今回のスモールバッチリザーブの仕様。
名前が違うだけでシェリー樽+バーボン樽で3か月以上追熟という仕様は同じ。どちらもロットナンバーで管理されている。
もちろんブレンド比率が違ってるんでしょうけれど、スモールバッチの意味って・・・なんなんでしょうね。エンシェントより各ロット(バッチ)の生産量が少ないのかな。

マルス モルトギャラリー 21年 1988年蒸留 2009年ボトリング シェリーカスク 蒸留所限定

カテゴリ:

MARS MALT GALLERY 
Aged 21 Years 
Distilled 1988 
Bottled 2009 
Matured in Sherry cask #567 
200ml 58% 
評価:★★★★(4)

香り:ビターでサルファリー、かりんとうを思わせる香ばしさ、ドライ、ゴムのようなアロマ。
徐々にソーセージのようなミーティーさも感じる。

味:とろりと濃い甘さにスパイシーな口当たり。メープルシロップ、シイタケの出汁、サルファリー。 余韻はビター、サルファリーでドライなウッディさ。まさに硫黄爆弾。


信州マルス蒸留所で、お土産品として販売されていた蒸留所限定シングルカスクウイスキーの一つ。 
ウイスキー仲間のHPさんから頂きました。いつもありがとうございます。
で、頂いたところ大変恐縮ではあるのですが、正直これは厳しい味です。
激しい硫黄臭と染み出たシイタケの出汁っぽい風味、そして熟成が早いジャパニーズらしく樽材由来のエグミも強い。
硫黄などの要素が気にならないで飲める人なら、熟成感もあってそれなりの評価になるかもしれませんが、完璧に自分がダメなシェリー路線です。

マルスのモルトはここ数年リリースされたシングルカスクシリーズ等では、新樽やバーボン樽のモルトは非常に良い物もあったのですが、シェリーは飲んだものすべからく硫黄が強く、好みを分ける結果となっています。
果たしてマルスのシェリーで旨いものってあったんでしょうか。
再開後のマルスからこのクラスが出るようになるには、あと10年以上を要するわけですけど、硫黄路線からは脱却してほしいと強く願っています。

キングオブスコッツ レアエクストラオールド 1980年代流通

カテゴリ:
KING OF SCOTS
Rare Extra Old
1980’s
43% 750ml
構成原酒:不明
評価:★★★★(4)

香り:グレーン由来の穀物系の甘さ、蜂蜜、うっすらとカラメル、薬草のような薬っぽい香りとややドライなアルコール感もある。

味:滑らかだがのっぺりとした口当たり。香り同様の構成で穀物系の甘さ主体、モルティーさは中庸的で特段個性は感じないが、後半はピーティーなフレーバーが感じられる。
 
OMCで有名なダグラスレイン社がリリースするブレンデッドウイスキー。日本ではあまり見かけませんが、現在もなお販売されている銘柄の一つです。
蒸留所を所有している訳ではないため、契約している蒸留所から原酒を買い付け、ブレンド製造を行っています。同社はもともとこうしたブレンド稼業から1990年代後半にボトラーズへと参入した経緯があり、他にリリースしていた銘柄ではハウスオブピアーズやJPS等があります。
 
そもそもキングオブスコッツはダグラスレイン社が商標権を1950年頃に購入したもので、スコッチの王という大それた名前はそれ以前からのもの。
ダグラスレイン社に商標権が移った後は拡大路線となり、時代背景もあって原酒はキャンベルタウンモルトにアイラモルトという構成から、ハイランドモルト、スペイサイドモルトの比率が増えていきます。
今回のボトルは1980年代流通のスタンダード品。1990年代に入ると17年や25年などリリースが増えてきます。
ハウスオブピアーズでは同社の製造方針が熟成したモルトに、若いグレーンを加えて調整するというスタイルでしたが、今回のボトルにおいてもその傾向は色濃く。このボトルもかなりグレーンの風味が強く感じられ、余韻にかけてピーティーなモルトの香味が出てくるという構成になっています。
ロックにするとグレーンの甘味がジワリと伸びて、ハイボールは爽やかに飲めますが、穀類のえぐみが少し口に残る。自分はあまり好きではない味わいです。
 
同品は見た目の豪華さからか、国内の正規流通ではなく海外のお土産品として購入されて、自宅保管から中古市場に流通するという経緯が多いように感じます。
中古市場で言えば25年はそこそこ評価が高いようで、陶器ボトルなので手を出しづらいですが、機会があれば飲んでみたいですね。

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