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2015年12月

クラガンモア12年 1980年代流通 オフィシャルボトル

カテゴリ:

CRAGANMORE 
Years 12 old 
(Speyside) 
1980’s 
43% 750ml 
暫定評価:★★★★★★(6-7) 

香り:甘く麦芽風味主体の香り立ち、パン生地、洋梨、酸味の少ない林檎(王林系)、心地よいエッジの刺激と柔らかいスモーキーさ。香りは膨らんでくるように穏やかに広がる。

味:軽やかなスパイシーさと麦芽風味、乾燥させた麦芽をそのままかじったような白い甘さと香ばしさ。蜂蜜、粥、余韻は序盤の麦芽風味にすりおろし林檎を思わせるフルーティーな甘さが開いて長く続く。


まさに古典的なスコッチモルトのスタイル、 嫌味なく華やかな麦芽風味とすりおろし林檎のようなフルーティーさがしっかりと感じられるボトルで、現行品の穏やかではあるものの特筆して印象の無いモルトに比べると遥かに飲みごたえが感じられます。 
1980年代以前に流通したモルトにはこうした風味の蒸留所が幾つか見られますが、蒸留時期で考えて麦芽品種由来か製造方法の違いか。興味は尽きません。

クラガンモアのオールドボトルは見分け方がいくつかありますが、 以下のように分けられ、そう難しいモノではありません。
1980年代:印字が一部青緑色を帯びている。 左上のCの上にスペイサイド表記。
1990年代:全体的に印字がグレー、黒に統一される。 デザイン一部変更。Cの上にモルト表記。
2005年前後:分割していたラベルの下部分が消滅。
肩ラベルから熟成年数表記消滅。全体的に簡素なデザインに。 
1990年代にはCの上にスペイサイド表記時代とモルト表記時代 があるという話も。ただし自分は確認出来ていない。 スペイサイド表記のほうが古い。

個人的にオススメは1980年代ですが、1990年代のものも「らしさ」の流れを感じることができる仕上がり。 国内オークション市場では流通量が少なく1980年代だと値段もそれなりになってしまうため、 オールドに興味がある方は1990年代から入られるのが良いかな と思います。

グレンフィディック 12年 オフィシャルボトル 2015年リニューアル品

カテゴリ:

GLENFIDDICH 
AGED 12 YEARS
OUR SIGNATURE MALT
40% 700ml 
評価:★★★★★★(5ー6) 

香り、若い洋梨と麦芽を思わせるフルーティーなアロマ。徐々に摩り下ろしたりんごのような白いフルーティーな甘さに変化し、スワリングしていくと麦芽香と若い酸味を感じるアロマが主体となってくる。
少量加水すると麦芽や蜂蜜のアロマが開く。

味、ふっくらしたパンをかじったような柔らかい麦芽風味の口当たり、おしろい、オレンジピール、中間はべったりした舌触りでほのかなピート香。
余韻はシリアル系の香ばしさを伴う麦芽風味でほろ苦く軽やかなスパイスと蜂蜜の甘さ。あっさりしており嫌味はあまり感じない。


2015年9月にさりげなくリニューアルされていたグレンフィディック12年、今後オフィシャル通常リリースの1つとして店頭に並ぶ、リニューアル後のボトルです。
リニューアルについてはサントリーからの公式発表もなく、海外サイトにひっそりと情報が載っていました。外観の変更点は
鹿のトレードマークがシャープになり、 ボトル下部分のラベルの変更などで先立ってリリースされたグレンフィディックオリジナルのデザインに合わせる形です。

New look for Glenfiddich 12 and 15 Year Old whiskies (Bar Magazine 2015/9/2)
http://barmagazine.co.uk/new-look-for-glenfiddich-12-and-15-year-old-whiskies/

このニュースに気が付いたのは10月の半ば。某酒販店関係者からは「前より良いよ」と言う話があったものの、しかし店頭在庫が掃けないとリニューアル後のラベルには切り替わらない。最近オフィシャルが良い流れなので早くどこかに入らないかな~と思っていたら、サントリー系列の日比谷BARに入っていたので飲んでみました。

これまでも何度か書いていますが、グレンフィディックは1960年代の魔のパフューム時代は別として、1970年代蒸留以降は今日に至るまでハウススタイルと言える個性を維持し続けている蒸留所です。(15年や18年は樽の影響が強くなるため、12年クラスが一番蒸留所の個性がわかりやすいです。)
それは洋ナシやリンゴを思わせる華やかな麦芽香。ここに厚みや強弱はあれど、1970年代以降はどの年代にもこうした特徴がみられます。

今回のボトルはその華やかさがわかりやすくなり、1〜2世代前のボトルよりフルーティーな方向にシフトしたように感じます。本質的には麦芽風味であることは変わりませんが、若いとげとげしさはあまり感じませんし、嫌味も少ない。後半の蜂蜜のような粘性のある甘みが、少々シャープになった印象もありますが、時間経過で開く印象もあります。
総合的には「よくなった」より「わかりやすくなった」と言うのが正しいかもしれません。

リニューアル後のラベルは、ビックカメラ酒販やアマゾンなどの回転が速い酒屋なら、すでに店頭に並んでいるようです。3000円前後で手ごろな価格ですし、ハイボールで飲むのも良好。この味が好きという方は日常的に飲めるボトルであるのは勿論、比較的ウイスキーを飲み慣れた人にこそ、改めて飲んで欲しい。その良さがわかる優良なスタンダードと思います。

タリスカー 21年 1951年蒸留 ゴードンマクファイル コニッサーズチョイス

カテゴリ:

TALISKER 
GORDON & MACPHAIL 
Over 21 years old 
Distilled 1951 
1970's 
40% 750ml 
暫定評価:★★★★★★★★(8)

亀戸のブランシュさんで飲んだ、ウイスキーファン垂涎スペックの1杯。
過去何度か飲んだことがある1950年代蒸留のGMタリスカー(イーグルラベル)はシェリー&スモーキーで、それはそれで素晴らしい出来でしたが、このタリスカーはシェリーウッドでの熟成と言いつつリフィルタイプで色は薄め、スムーズな飲み口から淡い紅茶のような樽香にボディの厚い麦芽風味とスモーキーさが特徴。
もちろん40年近い経年で、多少香味もへたれているでしょうし、当時の味からはだいぶ変化があったと思うところですが、飲みやすい中に感じられる厚みはこれ本当に40%加水か?と感じられるほどでした。
余韻も長く、内陸系のナチュラルなピートフレーバーで、ほろ苦く土っぽいクセを微かに感じる。 
大変素晴らしい1杯。それだけにコメントをちゃんと残すべきだったと若干後悔しています(汗)

ロングモーン 1969年蒸留 2009年ボトリング #5293 GMリザーブラベル

カテゴリ:

LONGMORN
GORDON & MACPHAIL
RESERVE
Distilled 1969
Bottled 2009
(Aged 40 Years)
Cask No, 5293
700ml 59.3%
評価:★★★★★★★★★(9)

香り:シルキーで艶のある甘い香り立ち。キャラメル、チェリー、ベリージャム、黄桃の缶詰、嫌味の少ない高貴なウッディネス。熟したフルーツにあるような瑞々しく華やかさのあるシェリー香で、グラスの中でもどんどん開いてくる。

味:スムーズだが濃厚な口当たり、熟したベリー、レーズン、ナッツ、キャラメリゼ、ジャム系のコクを感じるボディの厚みもあり非常に充実している。
余韻は黄桃の瑞々しい甘みと天津甘栗を思わせるオークの香ばしさ、そして樽由来の渋みが混然となって長く続く。


先日ウイスキー仲間のRさんが煽りに耐えかねて抜栓した1本。煽ってみるものですね(笑)。
ゴードンマクファイルが当時色々出していた1960年代ロングモーン、その中でも度数、シェリー感、フルーティーさとバランスのとれた1本 で、60年代ボウモアの南国感にもあるような、熟した果実が発するある種のフェロモンを思わせる魅惑的なアロマが備わっています。 
このシリーズは過去に自分でも買っていたりBAR飲みもしているのですが、今となってはずいぶん高値の華になってしまいました。 口開け時は少しゴムっぽさ、硫黄系のニュアンスを感じたものの、時間経過でどんどん良くなってフルーティーさが開いてきます。

1960年代らしい嫌味の少ない上質なシェリー樽由来の甘さと、こちらも1960年代らしいロングモーンのフルーティーな個性がマッチ。フルーツ感は所謂トロピカルなタイプで、味の後半にかけてこれでもかと広がります。
流石に熟成期間40年は伊達ではなく、フルーティーさに続いてウッディーな要素も感じられますが、序盤からの艶のある甘みとフルーティーさを引き立てる要素とも感じられる素晴らしい相乗効果で、長い余韻はいつまでも感じていたい陶酔感をもたらしてくれます。

あぁ、これだよなー良いウイスキーってこれだよなーと思わせてくれる、そんなボトルです。
Rさんいつもありがとうございます!

グレンギリー 15年 ルネッサンス 1stチャプター オフィシャルボトル

カテゴリ:

GLENGARIOCH 
Aged 15 years 
"THE RENAISSANCE" 
1st CHAPTER IN A FOUR PART STORY 
700ml 51.9% 
暫定評価:★★★★★(5) 

香り:酸味を伴うオリーブオイルのような植物感のある香り立ち、ブラウンシュガー、オレンジピール、木の削りかす、乳酸系の若いアロマも感じる。

味:口当たりは度数を感じさせないスムーズさがあり、オイリーでボディも厚みがある。
オールブラン、シロップ、レーズンヨーグルト、植物系のえぐみも感じる。
樽由来の甘味と原酒由来の若い酸味が混在しており、余韻は木材由来の苦み、ナッツ、ほのかなピートフレーバーが染み込むように長く続く。


持ち寄り会でのテイスティング、メインステージ紹介ボトル。
オフィシャルボトル4部作のうちの第一弾、12000本限定品。
グレンギリーは蒸留所そのものはシングルモルトに力を入れて色々リリースを行っているのですが、サントリーがなぜか12年以外を入れてくれないので中々出会う機会が無い。昨年リリースされたこの15年も非常に気になっていたボトルでした。

飲んでみるとギリーらしい酸味のある脂のようなアロマと柔らかいピートフレーバーは感じますが、シェリー樽とバーボン樽のバッティングであるためかバーボン樽系のフルーツ感は控えめで若さが見え隠れする味わい。正直、今のギリーの酒質なら中途半端にシェリー樽を使うよりバーボン樽で15~20年くらいで切り上げるほうが良いような気がします。
一方、このグレンギリー(ルネッサンスシリーズ?)は1年毎に熟成年数を上げて4年間かけてリリースされるシリーズで、今後リリースされる16年、17年、18年と続く布石として、あえて多少の若さを出してきたならば面白いなと感じます。

そういえばこの熟成年数を区切ってリリースしていくシナリオは、どこかで聞いたことがあると思いきやアードベッグですね。
アードベッグは4種類出たリリースのうちベリーヤングの評価が最も高かったわけですが、このグレンギリーの評価はどの段階が高い評価を受けるのでしょうか。次のリリースが楽しみです。

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