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2015年09月

モートラック39年 (1969-2009) ゴードン&マクファイル ケルティックコレクション

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GMの記事をUPした流れで、GMでございます。
このボトルはさかのぼること・・・2ヶ月ほど前の7月半ば。ウイスキー仲間のSさんから「これ開いてるんだけど、飲む?ボトルごと送るよ」としてお声をかけていただいたものです。
Sさんには度々こうした機会を頂いており、感謝しかありません。
すぐにテイスティングしようかと思ったんですが、ちょうど夏真っ盛りで連日の30度越えに、秋まで待ちたいなと。飲むまで少し時間をいただきました。決して忘れていたわけではありませんが、UPまで時間がかかりましたこと、申し訳ありません。

が、しかしこれは秋の訪れを待った甲斐がありました。
厚みと複雑さのある芳醇な香味が、休日のひと時を大変豊かな時間にしてくれました。


GORDON&MACPHAIL
MORTLACH
Years 39 old
Distilled 1969
Bottled 2009
Cask 1st fill Sherry Hogshead #7672
Exclusive bottling for Japan import system
700ml 51.9%

評価:★★★★★★★★(8)

香り:適度なウッディネスを伴う艶のあるシェリー香。微かなハーブのニュアンスがシェリー樽由来の甘さを引き締めている。メイプルシロップ、葡萄、ドライアプリコット、栗の渋皮煮、鼻腔を刺激するスパイシーなキック、奥から徐々に麦芽の白い部分を思わせる香りが開いてくる。複雑で充実している。

味:口当たりは厚みがあってパワフル、黄桃のシロップ漬け、ダークフルーツケーキ、オレンジピールチョコなどを思わせる甘さとほのかな酸味、そして分厚い麦芽風味。ボディはミドル程度でシェリー感はバランスが良く、後半にかけてピリピリとスパイス。カラメルと熟した桃のような甘い香りが鼻に抜けてくる。
フィニッシュはスパイシーで、ナッツの風味と微かにオークのニュアンスを伴う、芳醇な長い余韻。


香りで思わず顔がほころび、口に含んでその厚みのある味わいに感嘆の声を漏らす。
この手のリリースでは、シェリー感に圧殺されがちなモートラックらしい麦芽系の風味が、文字通りシェリーと競演している。完成度の高いシングルモルトです。
ファーストフィルのシェリーホグスヘッドでありながら、それほどシェリー感が強くないこと、これが全体的なバランスの良さ、風味の多彩さに繋がっているように思います。

GMがリリースする長熟で高品質なボトル、2000年頃にシリーズとして確率したケルティックコレクション。
これが乱発したのは2009~2010年ごろだったでしょうか。ロングモーン、リベット、ストラスアイラ、クライヌリッシュそしてモートラック・・・(え、トファース?)、ものすごい大量の1960~70年代蒸留モルトが市場に流れ込んできました。
このボトルもそのひとつで、当時某八重洲地下の酒屋で・・・試飲できました。みんな旨いと認めていましたが、それも割りと長い期間売れ残っていたように思います。高いよねって。3万円したかしないかくらいだったと思うんですが。
当時はこうしたリリースも多かったので、慣れてしまっていたんだと思います、恐ろしいことに。

そこからわずか5年後の今、ケルティックコレクションは絶滅、マイナー蒸留所1980年代のGMCCが2万越えになろうという状況に、頭の整理が追いつきません。まさに何が起こっているのかわからないと思うがおr・・・(ry

・・・話がそれましたが、今あらためてこのボトルを飲むと、旨いウイスキーであることはもちろん、当時の自分には無かった経験の差で、モートラックのキャラクターなど新しく見える世界があり、非常に勉強になりました。
重ね重ね、素晴らしいシェリー樽熟成のシングルモルトでした。

ゴードン&マクファイル社から大幅値上げのお知らせ(2015年10月1日から)

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先日武蔵屋さん経由でお知らせのあった、GMことゴードン&マクファイル社の価格改定(値上げ)の一報。 
2015年10月1日以降受注分に関して、大幅値上げとなるそうです。 
友人にどの程度の規模と値上げなのか、確認してきました。

まぁ今に始まったことじゃないんですけどね、GMの値上げは。
為替関連もあって、告知なしでじわじわ値上げがされていたのが、ここでどかっと来るようです。
つーか何度目でしょうか。



値上げ幅が大きいのはGMCCことコニッサーズチョイス。
JIS保有全在庫のうち7割以上が最低10%UP確定、最大で2倍以上になる商品も結構あるそうです。 
スペイバーン1989-2013が、改定前10962円から、改定後22140円ってなんと無慈悲な・・・。
GMCCは短熟でそこそこ楽しめるものが5000円以内で買えるなど良心的だったんですが、ついに絶滅へ。

また、コニッサーズチョイスだけでなくGM製品全般も値上げ対象です。
例えば去年の11月には7000円前後だったリンクウッド15年。
知らぬ間に9000円に値上がっていたのですが、10月1日からは10600円に(汗)。
シェリーの適度に効いた良いボトルだったんですけどね・・・。
(ロットが変わって味が落ちたという評判もあるのですが 。)
現在10万オーバーまで高まってしまった60年代ロングモーンやスペイモルトなんて、いったいどこまで行くのやら。

GMといえば、ほんの3年くらい前まではオフィシャルよりも安く、30年クラスの長期熟成がバンバン出ていたボトラーズの一つでした。
私が飲み始めた時ですら、ストラスアイラ30年やロングモーン30年が1万円前後。それもバッティング加水で安定してリリースされるという、ボトラーズとしては脅威の在庫量。
冷静に考えるとこれはとんでもないことです。オフィシャルでもやれないようなことを、ボトラーズがやっていたワケですから。


しかし物事に永遠は無いんですね。 
今回の値上げは新規リリースだけではなく、既存在庫も対象となります。
今後のリリースが急激に値上がってしまうことになるため、現状があたりまえとなるよう今から全ての在庫を値上げしてしまうんでしょう。

背景にあるのは原酒不足。
ウイスキー消費量の増加が、蒸留所側の余裕を奪い、結果ボトラーズに原酒が回らなくなる。 
状況の厳しさは理解出来ますが・・・これは酒屋もBARもみんな厳しい。
安く長期熟成を飲みたければGM。そんな時代は・・・もう20~30年は来ないのかもしれません。

ニッカウイスキー フロムザバレル

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ニッカ党御用達の銘柄といえば、このフロムザバレルなしに語ることは出来ません。
2015年9月1日から値上げとなってしまいましたが、今回の終売ラッシュ、大変革を乗り切ったことは、それだけこのウイスキーが内外から評価されているということでしょう。 
変なクセのない甘くまろやかな味わい、それでいて50%を越える飲みごたえは、今夜も晩酌ウイスキーとして世の飲み手の心を癒していることと思います。 

NIKKA WHISKY
FROM THE BARREL
500ml 51.4%
No,6/14E421054

評価:★★★★★(5)

香り:甘酸っぱい熟成したモルトとグレーンのアロマ。ドライフルーツ、メープルシロップ、チャーオークの程よいウッディネス。 表面を漂うように香っている。
次第に荒さ、特にスワリングすると若い原酒のえぐみ、穀物由来の香ばしさ、アルコールも感じる。時間が経過すると冒頭の熟成香が弱くなってしまう。

味:少々粉っぽさはあるが、ねっとりと滑らかな口当たり。
度数に反して刺激は少なく、バニラウェハース、カラメリゼ、中間から余韻にかけては天津甘栗を思わせる香ばしさと甘さ。 鼻抜けはカラメルの甘さと微かな樽香、余韻は少々べたつきがあり、舌と喉の奥をコーティングする甘い余韻。

加水は冒頭の熟成香が弱くなってしまうため、オススメしない。
ハイボールにすると甘くまろやかでスムーズな飲み口から、後半に樽香が感じられる。
多少濃く作っても上述の飲み口からスイスイ飲めてしまうが、しいて言えばハイボールだからこそ得られる変化が無いのがもどかしい。
度数は高いが、個人的にはストレートで飲みたい1本。


1985年に発売された異色のウイスキー、フロムザバレル。
ブレンデットウイスキーで50%Overの仕様と、その独特なボトルフォルムは、今をもってもまさに異色で、コアなファンも多いボトルです。
そのフロムザバレルの売りは、マリッジ(再貯蔵)の行程とハイプルーフボトリング。
マリッジは、原酒をブレンドした後で樽に再貯蔵して一定期間原酒をなじませることで、ブレンドした原酒が混ざり合ってよりまろやかで一体感のある味わいが生まれるというもの。
そこから加水調整程度の樽出し51.4%でのボトリングで、より多くの香味成分を残した・・・というのがメーカー側のPRです。

ウイスキー飲み始めの頃は、この説明を見て「おおー手間暇かけてこだわってるなぁ!」と感動したのですが、冷静に考えてみると、マリッジはブレンド全般を見ると割と通常の行程と言えます。
ハイプルーフ仕様もウイスキー全体を見れば、これまた特別なものではありません。
補足をするならば、この価格帯のウイスキーでマリッジの行程までやって樽出しハイプルーフというのは、特別と言える話。低価格帯のブレンデットは、タンクにどばーっとやって寝かせた後で40%でボトリングが一般的ですからね。

フロムザバレルは国内のみならず海外でも評価が高いボトルです。
以前海外のサイトで見たコメントも、
「こんな高品質でハイプルーフなウイスキーが、この価格(海外では約60ユーロですが・・・)で買えるんだぜ!信じられないよ!」
グラスにノーズを突っ込むと花畑のような華やかな香りが広がるんだ!」
など、総じて高評価。
フランスのメゾンドウイスキーでは、日本で販売されていない3リッターサイズが展開され、コンテストではインターナショナルスピリッツチャレンジ2015で最高賞のトロフィー、ウイスキーマガジン社主催のWWA2009では響21年らを破ってベストジャパニーズブレンデットを受賞したこともある。
9月1日の500円値上げを考慮してもなお、この価格帯においては大変出来の良いボトルだと思います。


余談:フロムザバレル(ニッカ製品)のロットナンバーについて。
ボトルやラベルに印字されているナンバリングの解読です。
これは人づてに聞いただけの話ですので、自分が検証したわけではありません。
正しい情報をお持ちの方が居たら是非教えてください。

今回のロットナンバー:6/14E421054

6/ 製品分類
14 ボトリングした月を2倍したもの。
E Aから数えて5番目。西暦の下一桁。
42 ボトリングした日付の2倍。
1054 不明

つまり2015年7月21日のボトリングということになるようです。
過去のものは桁数が少なかったり(ただし読み方は同じ)、2009年以前はラベルに印字されていたようです。



ベンリアック21年 オーセンティクス ピーテッドモルト

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様々な飲み手のご好意に甘えっぱなし、サンプルテイスティングのコーナー(笑)。
貴重な手持ちボトルを分けていただく代わりに、くりりんがブラインドテイスティングで真剣に悩む。
時に珍回答でネタ(まれに伝説)を提供する。
ブラインドテイスティングって、解答する側も楽しいんですが、出す側もまた楽しいんですよね。

今回は引き続きHP氏から頂いたサンプル、残すところ後2種類です。
ここまでのブラインドはそこそこ当てているため、「くりりんなかなかやるやないけ」と思った人が居たら、それは宝くじに当たったようなモノで、たまたまです。今回はなかなかやらかしました(笑)

BENRIACH
Aged 21 years
AUTHENTICUS
Peated malt
46% 700ml
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【ブラインドテイスティング回答】
蒸留時期:1980年代(おそらくは後期)
熟成年数:15年
度数:43~46%
樽:バーボンホグスヘッドかあるいはバッティング
地域:アイラ
蒸留所:ラフロイグ

評価:★★★★★★(6)

香り:焦げた木や土の香りを思わせる強いピートフレーバー。奥から麦芽、アーモンド、バニラの甘さや柑橘系のアロマ。アルコール感由来か、メンソールのスーッとする香りもある。

味:口当たりは少々粘性があり、ナッツを思わせる香ばしさ、噛み応えのある麦芽風味、徐々にスパイス。
口の中で転がすと、強いピーティーさの裏に熟成されたモルトの旨み、ライチや果実感が見え隠れし、ピート一辺倒なモルトにならない良い意味での複雑さを与えている。
フィニッシュはクラッカーの香ばしさと強いピーティーさ、煙が長くとどまるビターな余韻。バニラの甘い香りと焦げた木のスモーキーさが鼻に抜ける。

ベンリアックがリリースするピーテッドモルト。
現行品では25年がリリースされていますが、その旧ボトルにあたる21年です。
リリース時期から逆算すると、原酒は1980年代。オーセンティックの由来のとおり、古き時代、100年前のピートが大量に炊かれていた時代のウイスキーを再現したモノなのだとか。
熟成されたベンリアックらしいスムーズな酒質に強力なピーティーさが乗っかって、個人的には結構好みですが飲み手を選びそうな印象もあります。
調べてみると値段も手ごろだし1本ほしいなと思ったのですが、ネットショップ上には既に在庫はなく。
そりゃそうですよね~25年高すぎですし(汗)。これならハイボールで飲んでも美味しそうです。


さて、それでは今回のブラインドの回答を上から見ていきましょう。
蒸留時期。良いですね、バッチリです。
熟成年数。ちょっと外しましたが、致命的というほどではないですね。
度数。これはOKでしょう。
樽。明記はありませんが、蒸留時期的にもこんな感じじゃないでしょうか。
地域及び蒸留所。なんだこれはwwww

女々しくもいい訳させていただくと、バニラ系の風味にピートフレーバーと、結構ラフっぽい香味です。
しかし、そこにひっぱられてヨード等のアイラ要素の無さを無視してアイラに着地。改めて飲みなおしてみると、アイラモルトとしてはどこかパーツの足りない印象を受けます。
ラフロイグっぽい味わいのモルトはアンノックやエドラダワーのピーテッドにあるのですが、ここにもあったとは。。。完全にノーマークでした。

テイスティングは舌と鼻が撮影した写真を、脳が認識する作業だと思うのですが、撮影された写真のどこにピントが合っているかによって、脳の認識が変わってくる。結果今回のようにヘビーピートのスペイサイドをアイラを認識することもある。
今回はまさにその典型的な例。やらかしはしましたが、良い勉強になりました!


※お知らせ※
気が付けば更新待ちのサンプルが長蛇の列を作っております。中には1ヶ月待ちのボトルも・・・。
HP氏のサンプルも、連休に入ったり帰省と被ったりで、だいぶお時間頂いてしまいました。
皆様ありがとうございます。漫画家のファンレターじゃありませんが、1本1本ちゃんと飲んでおりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

スプリングバンク19年(1995-2015) ウイスキーライブ東京2015向けボトリング

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先日モダンモルトウイスキーマーケットに合わせて開催された、 ウイスキーライブパーティー。
その開催を記念してボトリングされたスプリングバンクです。
個人的に今のスプリングバンクは長熟でこそ光ると思っているので、今回のリリースは微妙なビンテージやなあと言う先入観があったのですが、見事に吹き飛ばしてくれました。

SPRINGBANK
WHISKY LIVE TOKYO 2015
Aged 19 Years
Distilled 1995
Bottled 2015
Cask Refill Sherry
55.9% 700ml

暫定評価:★★★★★★★(6ー7)

香り: ねっとりと濃い熟成感のあるアロマは果実感の奥からスモーキーさ が広がる。
ドライアプリコット、ママレードジャム、メープルシロップ。 挽き立ての小麦粉の粉っぽさと香ばしさにピートスモーク。

味: 蜂蜜やママレードジャムを思わせる粘性のある甘酸っぱさと麦芽の 香ばしさ。
中間はコクのある舌触りが続き鼻抜けは華やか、 フィニッシュは序盤のフルーティーさが舌をコーティングし、 香り同様にピート、ほろ苦さが感じられる長い余韻。

正直近年リリースのスプリングバンクの中ではかなり高評価です(25年など飲めてないものもありますが…)。★7いっても良いかなと思いました。 少量テイスティングなので暫定に止めますが。。。
それこそ評判の良かった21年も、ロット違い含めて飲ませてもらいましたが、自分としてはこちらのほうが好印象。味わい的には昔のバンクの味ではなく、基本的には近年系のバンクなのですが、樽との相性が良かったのか、かなりうまい具合にまとまっています。 
樽はリフィルシェリーということで、このコク、 旨みはどういう樽だったのか興味は尽きません

世のバンクラヴァーの皆様も、概ね評価良いようです。それでも購入見送りが多かったのは値段という大きなハードルのためか。(3万はちょっとなあ…。)

こういうリリースがスタンダードに増えて行くなら、バンク党に入党したいくらいです。

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