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2015年05月

ニッカウイスキー 余市10年 現行品

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自分のウイスキー歴を振り返ると、なんだかんだ一番飲んでいるのは余市かもしれません。
特に余市10年。初任給で買ったモノのひとつで、それだけでも思いいれがあるんですが、このしっかりとした麦芽風味は、なんだか凄く懐かしい気持ちになります。
特に心に残らないボトルは旨くてもその後「アレが飲みたいな」と思うことは無いんでしょうけれど、この味わいは時々飲みたくなるボトルの1つです。

NIKKA WHISKY
YOICHI
10 years old
45% 700ml
IMG_8638

評価:★★★★★★(6)

"香ばしい麦芽香、そこにほのかにチーズのような乳酸と、 赤い果実を思わせる甘酸っぱさ、ヨード香がある。
口当たりはややオイリーで力強さがある。香り同様に香ばしい麦芽香、松の実、かすかに硫黄のアクセント。
フィニッシュはビターでピートがしっかり感じられる長い余韻。ハイランドというよりは島(ジュラやタリスカーなどのアイランズ)地域を連想させる構成。
加水よりもストレートでのバランスが一番良いと感じる。ハイボールも水割りもあまり合わない印象。"

日本のウイスキーの父、竹鶴政孝の夢が結実した理想の蒸留所、余市。
スコッチに習い、スコッチを目指した彼の想いは、 しかしながらスコッチとは異なる独特の個性を身につけ、 世界に認められることとなります。
ジャパニーズの現行各種シングルモルトの10年、 ないしノンビンテージクラスと比較すると、まず余市が際立つのは良い意味でのフレーバーの粗々しさ、力強さ。
度数が若干高いというのもあると思いますが、 それを除いても十分な強さがあり、山崎や白州が正三角形なら、
余市は同じ面積の直角三角形、 突出した個性的なキャラクターを打ち出しているというのが持論です。

また、香味の中に感じられる硫黄やピートの土っぽさが"石炭" のようなフレーバーとして結びつき、香ばしい麦芽フレーバーと合わせて、 余市蒸留所らしさを演出しているように感じます。
ピートも強く、どちらかと言うと通好みの味ですね。

オフィシャルラインナップでは、12年、15年、20年。 年数が増える毎にシェリー樽の比率が増すのか、 硫黄香が強く感じられる傾向があります。
ただし20年は度数の高さから、他の香味とのバランスが取れていて中々"らしい"仕上がりです。
自分が硫黄系のフレーバーが苦手ということもありますが、余市の通常市販ラインナップでは、 価格も考えると様々なフレーバーが感じられる10年が一番好みで す。

なお、アサヒビールが販売する前の、 旧ニッカウイスキー販売時代(1980年代、1990年代) のシングルモルト余市は、度数も違いますが今ほど硫黄は感じません。
松の樹皮系の樽香と今よりも強いピートが特徴的で大きな満足は得られないかもしれませんが、「おっ」 という新しい発見には繋がると思います。 


※この投稿はWhisky linkに投稿したものをベースに再編集したものです。

グレンカダム 22年 1966-1988 ケイデンヘッド ミズハシ 56%

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実はこのブログの構想は1年位前からあって、ブログでもFBでもメルマガでも、何でも良いのでまた何か情報発信をはじめたいなと考えていました。
特にこの1年くらいは、テイスティングの書き方とか、用語の統一とか、自分の中で漠然としていたところを整理するようにして・・・スマホのメモにいくつかのコメントをまとめたりしていました。
が、昨年11月にスマホが隅田川に水没してしまい、バックアップを取っていなかった内容が消失。
本当もう、オワタ\(^o^)/でしたねー。

ただ最近になってituneに一部のデータが残っていることが判明。無事に引っ張り出せました。
これは昨年Whisky linkのMalt Nightで飲んだ1杯。なんか調子に乗って2~3杯飲ませてもらったようなw
まさに至高のカダムです。

GLENCADAM
"MIZUHASHI"
22 years old
Distilled 1966 March
Bottled 1988 Nov
750ml 56%
Bottled by William Cadenhead
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評価:★★★★★★★★(8)

"香りは勢いがあり盛り上がってくるよう。樹液を思わせる艶のある甘さ、焼き栗のような香ばしいオーク香に蜂蜜レモン、ほのかに麦感もあるアロマ。微かに感じる植物感がレモングラスを思わせる。
口当たりはパワフルでオーキー。さつまいものパイに蜂蜜漬けのレモンが添えてあるような、洋菓子系のしっとりした甘みと濃さ。はっきりとした旨みが伝わってくる。
後半は樽由来のウッディネスが感じられてビターな味わいに。フィニッシュはスパイシーでドライ。豊かなオーク香が鼻に抜ける。"

近年リリースの中では最高のカダムという評価も頷ける1本です。
熟成感と樽香のバランスっていうんですかね。元々カダムは加水や度数落ちだとクリーミーな味わいになりますが、ハイプルーフだとフレッシュでクリーンなアルコール感のあることが多く、これは後者にうまく樽香が乗ってるなという印象を受けます。

ミズハシシリーズは、酒類事業を手がける株式会社水橋が、当時ケイデンヘッドから買い付けてボトリングしたうちの1つ。確か、オード、グレンダラン、タムナブーリン、アードベック、そして今回のカダムと、5種類あったように記憶しています。
これらのボトルは今でこそ伝説的な扱いを受けていますが、まるでゴッホのようなボトルだと思うわけです。
1988年といえばウイスキーブームは既に下火の状況で、しかも日本国内はブレンデットウイスキー全盛の時代。
51.4%のフロムザバレルが男の酒だなんていわれていた時代に、さらにアクが強くハイプルーフなシングルカスクのリリース。果たしてどれだけの人がこのボトルを評価したんでしょうか。
もちろんまったく評価もされていなかったとは思いませんが、今ほどではなかったはず。

まぁよくよく考えると、当時評価されていたら夜のPUBなんかで水割りにされまくっていた可能性もあるわけですから、今の飲み手である我々からすれば価値観の違いに感謝するしかありません。
飲まれずに残った結果が、2010年代にありながら、1960年代蒸留で20年モノという素晴らしいスペックのボトルを味わえるのですから。

(Gさん、いつもありがとうございます!)

キリン シングルモルトウイスキー富士山麓18年が終売に

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富士山麓 樽熟50%とボストンクラブの終売は以下を参照。

キリンから悲しいお知らせです。
既にFBやツイッターなどでも情報が流れているのでご存知の方も多いと思います。
私のお気に入り銘柄でもある富士山麓18年、今月いっぱいで終売となる模様です。

メーカーからのプレスリリース等オープンな発表はまだありませんが、既に酒屋通達はされており確定路線。
ドリンクスで販売している富士山麓スモールバッチ17年と重複するところはありましたし、何気に長熟原酒使ってそうな味してましたから、ここらで調整なのかもしれません。
氷結が売れてるうちは趣味レベルでやらせてくれるのではと期待していましたが、動きはあったということですね。
違う商品を当ててくるのか、スモールバッチに一本化するのか、続報はありませんが、もし何も無いとすればキリンの数少ない店頭通常販売品のラインナップからシングルモルトが消えるということになります。

fujisanroku18
富士山麓18年のテイスティングノートはこちらから。(写真、キリンWEBページ商品情報より)
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1023459817.html

ちなみにニッカ、サントリーと比べると日陰感がハンパない同銘柄。売れてないかというとそうでもなかったようで、都内某酒屋いわく「意外と売れるんだよ」と。
先日FBにテイスティングコメントをUPした際には、海外の方から「良いなぁうらやましいなあ(意訳)」とコメントもあり、海外の方がお土産に買っていくケースも結構あったようです。
海外で買うとWhisky baseやWhisky Magazineなどの評価はそれほどでも無いのに、240ユーロとめちゃくちゃ高いですからw

しかしこうして終売が告知されても、「駆け込み需要」的な心配が無い気がするのは気のせいでしょうか(笑)
まぁ何が起こるかわかりませんし(軽井沢の例もありますから)、気になっている方は今のうちに飲まれたほうが良さそうです。

アベラワー 15年 ”セレクトカスクリザーブ” 現行品

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今日は恒例の子供あやしながら投稿です(笑)
午前中は都内の大き目の公園でしっかり遊んだ結果、わが子は隣で爆睡中ですw
 
さて、ここのところちょっとテイスティング投稿多いですね。
出来ればテイスティング3~4投稿にニュース投稿1みたいな割合でいけたらきれいな整理だなぁと思うんですが。
今夜はひとつネタを仕込んでおこうと思います。
 
で、引き続き発掘したブラインドの回答晒し上げです。
これもまたオフィシャル現行品、なかなかBARとかで飲まないんでありがたいです。
アベラワーはアブナックしかり、現行品の中ではがんばってシェリー系をリリースしていると思います。
 
ABERLOUR
Aged 15 years
“Select Cask Reserve"
aberlour
評価:★★★★★(5)
 
香り:近年系シェリー感のある湿った木香と、チョコやレーズンを思わせる甘い香り立ち。バッティング加水のニュアンスもある。
味:口当たりは香りのイメージ同様に湿った木、微かにドライフルーツの酸味、カカオチョコレート、中間からビターでほのかにスモーキー。
フィニッシュは戻りでの変化に乏しく単調、内陸系のピートとウッディーな苦味が残る。
 
(ブラインド回答 ※サンプル容量:50ml)
予想蒸留所:グレンファークラス、ダルモア、ハイランドパーク
樽:バッティング
蒸留時期:1980年代(後半)
熟成年数:15年前後
度数:43%
 
まずはじめに、すいません、これもまた外しましたorz
普段えらそーに語ってますが、所詮自分なんてこんなもんす。
飲んだ印象としては、近年のシェリー系主体のバッティングという感じで、よくまとまっているなという印象を受けました。
スペックについては記載の通りですが、予想はシェリー系の原酒、蒸留所から絞ってますね。
ちゃんと樽をバッティング扱いにしているのは、当時の自分がんばってるじゃないかと褒めたくなります。今回は度数も熟成年数も当たってますし。
蒸留時期のズレ、これは予想の過程で一瞬オールドっぽさを感じちゃったことから。
予想経緯として出題者に送ったモノを晒しますと・・・

”時期も地域も絞りづらかったボトル。最初のノージングでは少しオールド的な香りを感じ、オールドブレンド?と一瞬思ったが、基本的にはバッティング系でモルティな味わいだった。
特徴がぼやけているため上述のとおり地域も絞りづらく、グレンファークラスの特徴が一番感じられた。
無理やり持っていけばダルモア、ハイランドパーク、いわゆるハイランド地方と島系もありそう。"

また、フィニッシュでピートを感じたような気がしたことから、予想はそういうタイプの蒸留所に流れました。
今となっては後の祭りですが、実はアベラワーについては当初予想の候補にあったんですよね・・・。
この辺を絞りきれるかどうかが、プロとアマチュアの差なのかもしれません。

【最後に】
くりりんの悩んでいる姿や、珍妙な回答をブログで見たいという方、ブラインドサンプルの提供は随時受け付けております(笑)

ストラスアイラ12年 現行品

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先日ウイスキー仲間からブランドテイスティングのサンプルを頂きました。
仲間間でブラインドサンプルのやり取りを行うことはたまにあるんですが、これもまたウイスキーの楽しみ方のひとつ。
そういえば半年ほど前にもらったサンプルの回答メールが出てきたので、ブログに取り上げようと思います。
自分は現行品も飲んだ上で、ボトラーやオールドもという考え方。この出題は飲めてないボトルでしたしありがたかったですね。
出題内容は、昨年ラベルチェンジを行った、現行品のストラスアイラ12年でした。

Strathisla
12 years old
43% 700ml
strathisla
評価:★★★★★(5)

香り: ホグスヘッド系のさわやかでややドライな甘さのあるオーク香、
ハーブ、蜂蜜、バタークッキー、時間と共に若さも感じられる。
味:スムーズな口当たり、ビター、焦げたカルメ焼き、 少し舌さわりがさらさらしている。
中間からウッディ、えんぴつ、 樽由来と思しきえぐみが感じられる。 微かに焦げたような印象もある。
フィニッシュは単調でのっぺりとしている。ほのかに麦芽香。

(ブラインド回答 ※サンプル容量:50ml)
蒸留所予想:キャパドニック、グレンカダム、アバフェルディ
樽:バーボンホグスヘッド
蒸留年代:1990年代(後半)
熟成年数:15年程度
度数:46%


テイスティング時の感想としては、香りは良かったのですが、樽が強く、その影響からか特に余韻が単調で弱く感じました。
回答が分かった今でも、この樽の強さは意外に感じます。
あれ、ストラスアイラってこんな感じだったっけと。どうもこの蒸留所はマクファイル系リリースのイメージが強く、自分の先入観を是正する意味でもありがたい出題でした。

ブラインドテイスティングは単なる蒸留所当てゲームではなく、そのボトルの味以外の要素に流されない、素の評価が出来る手段だと感じています。
ただ、蒸留所当てゲームも楽しい要素のひとつ。グリコのオマケみたいなもんです。
蒸留所当てでは"これ"という特徴が認識できた場合は一気に蒸留所選定が進むのですが、今回のように中庸で他の蒸留所との共通項が多いと、何か特徴は無いか、絞り込めないかと様々な角度から探ります。
パズルのピースを探す作業に似ていますね。

まずはスペック。
実際は12年で2000年代蒸留中心となりますから、近いところに落とせていますが、12年以上の熟成感を感じたということになります。
度数は40と46では大きな違いがあります。6%もずれてしまっては・・・修行が足りませんねw
いい訳しておくと、これらは樽感の強さから流されてしまったと思います。

そして蒸留所当て。
このサンプルには特筆する特徴がありませんでしたので、地域→酒質の順で入っていきました。
まず地域はスペイサイドだろうと。そして樽が強くそれに対してボディが弱い印象を受けたところから、近年モノの中であまりボディの強くないところでを絞っています。
ただ、なぜかハイランドのカダムが入っているので、その時点で色々迷走しています。
オフィシャルでこんなリリース無いだろうと(笑)
多分ボトラーで何かっていう選択肢を捨て切れなかったんでしょう。

あぁ、こうやって昔解答した内容を時間がたってから考察するのもまた楽しなぁ。
結論、ブラインドって楽しいですね(笑)


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