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2015年03月

ダルユーイン29年 (1984-2013) WhiskyExchange

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昨年4月、イギリスに渡航した際、空いた時間でウイスキーエクスチェンジに足を運びました。
ホテルから2マイルない距離でしたし、散歩がてら。

店頭レベルで流石という品揃えでしたが、当時ポンド先生が180円と高まりまくりだったため、ほぼ全て高杉wwwな状況。
流石に何も買わないで帰るのも悲しいので、手の届く値段でそこそこな評価だったコイツを連れて帰ってきました。


Whisky Exchangeオリジナルボトル
DALUAINE
29 Years old 53.2%
(1984-2013)
評価:★★★★★★(6)

"ドライで植物感のある麦芽香主体の香り立ち。
レモングラス、おしろい、リフィル樽なのか29年ほどの熟成感は感じない。
口当たりは芯のある麦感、青さも感じる。中間から盛り上がるスパイシーさ、
微かなピート、オーク由来のフルーツが余韻にかけて。"

エクスチェンジのオールドラベルシリーズはあまり外れが無く、このボトルも内外含めていい味出してます。
またダルユーインという蒸留所のキャラクターとして麦感がしっかり感じられるのもポイントです。

(参照:ウイスキーエクスチェンジ店内

マッサン終了後のウイスキーブームの行方 ~その② マッサン効果はどこまで?~

ついに今日でマッサンが終わってしまいました。

長いようで短い半年間、製作が決まったころから「ついに竹鶴政孝に出番が!」「ブームが来るぞ!」と一部では話題沸騰していた状況でしたので、本当に後のお祭りという感じになってしまいました。
あぁ、BSで朝7時半からマッサン→グレートトラバースを見るのが日課だったのに(笑)。


さて、今日はマッサン終了後のウイスキーブームの行方、第2回。
マッサン効果はどこまで続くのか、考えてみたいと思います。

現在進行形のマッサン効果についてはもう皆様ご存知のことと思います。
ドラマの追い風を受けて、今まさにお酒を飲み始める世代だけでなく、かつてウイスキーブームを経験された方々など、幅広い世代が再びウイスキーに手を伸ばしています。
ウイスキーを本格的に飲み始めて6年くらいになりますが、電車の中でサラリーマンが「余市が」とか「竹鶴が」とか話してるのを聞いたのは初めてです。 (我々はしょっちゅう騒いでますがw)
あぁ、ブームなんだなぁと実感した年度末の夜でした。

ウイスキーは嗜好品ですので、純粋に味で評価しているだけでなく、"あこがれ"や"価値"、"情報"を飲んでる層が少なからずあります。
1990年代、1970年代から続いたウイスキーブームが終演した要因には、焼酎ブームの到来や、皮肉なことに税制改正や円高による価格低下からの"貴重品としての価値の下落"があったほどです。
勿論1980年の円高不況や、バブルの影響も1991年以降ありますが、市場規模の縮小はバブル期に起こっています。
特にこの当時、「ウイスキー」に関する"情報"には現在と比較して大きな差があり、価格=貴重品=あこがれ、の方式が強いものだったと考えられます。まぁネットも無い時代ですし、当然ですよね。

当時の情報発信を見ると、ウイスキーが本来持つこれでもかというほどの情報、バックホーンはほとんどPRされていない状況。せいぜい洋酒辞典にちょろっと載ってるくらいで。
結果、多くの人が素性不明で「有名」「あこがれ」だというだけの酒を飲んでいたとも言えます。

これでは思い入れが無い、ただ話題乗っかっただけですから、ちょっとしたきっかけで消費者の心は離れてしまいます。

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(1980年代後期流通のジョニ黒。この時代、どれだけの人がジョニ黒の構成原酒やフレーバーを意識して飲んでいたのでしょう・・・)

その点、マッサン効果は、ドラマがやってるからという話題性だけではなく、
日本のウイスキーの歴史やブランド価値という、付加価値的な要素を国内市場にアピールしたことがポイントだと考えます。
時期も絶妙でしたね、ハイボールブームで「ウイスキー」というものを多くの消費者が認知していたところにこのドラマ。
なるほど、日本のウイスキーは苦難の連続で育ち、そして1人の男の夢が詰まっているものだったのかと。
マッサンやウイスキー関連の書籍はアマゾンでもマルゼンでも、簡単に手に入ります。
こうなると今後も人々の記憶から"マッサン"が薄れるまでは、マッサン効果は続くと言えます。
実際、マッサン終了後も関連するウイスキーセミナーが多く予定されており、集客は好調なのだとか。
某T屋さんが嬉しい悲鳴をあげてます(笑)。

裏づけは無いですが、NHKが数字を出したドラマをほっておくわけがないと思いますので、特集や、スピンオフ系の続編ドラマ、総集編など半年はお決まりの後処理が行われるでしょうし、海女ちゃんのように、少なくとも1年は効果が持続しそうだなというところです。
(出演者からエピソード0の作成をNHK側にお願いする一幕もあったとか。)
  
ちなみにブームという高層建造物は、強固な基礎がなければ瞬間最大風速で終わってしまうもの。
この基礎を育てたのがハイボールブームとサントリーの戦略なんですが。それらについては次にまとめます。
  
参照:【図解・経済産業】国内ウイスキー市場の推移(2014年9月)
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_seizougyo20140929j-02-w340
 
参照:洋酒輸入協会50年史 P6~8(税制改正や当時の情勢のご参考)
http://www.youshu-yunyu.org/files/1/0295.pdf
 
参照:ウイスキーは文化をまとった酒
http://www.nippon.com/ja/views/b04202/

余市15年(116.7) 1989-2005 スコッチモルトウイスキーソサイエティ ”生命の水”

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今朝でいよいよマッサンが最終回。
ということで、その前夜に飲んだ余市。
ソサイエティのシングルカスクで、奇跡の7番樽と呼ばれる秀逸な1本です。

とある方のイベント後に開封済みながら超格安で譲っていただき、
その後イベントに持ち込んで半分以上が霧消し、後は自分でじっくり飲んでいます。

The Scotch Malt Whisky Society
Cask No,116.7 (YOICHI)
1989 Oct - 2005 Jun
61.8% 700ml
 
評価:★★★★★★★★★(8)

"ツンとしたアルコール感、ウッディーでドライ、パワフルで勢いのある熟成香。
甘いスモーキーさはパイプタバコのよう、黒土のようなピート香。
チェリーやレーズン、熟したバナナを思わせるフルーティーさ。まるでバーボンのようなアロマもある。
口当たりはパワフルでドライ、その上でシロップのような濃縮感があり非常にリッチ。
オレンジピールチョコ、松の樹皮、カステラの焦げ目、焦げたオーク。
フィニッシュはピーティーでスパイシー、葉巻を思わせる甘みを帯びたスモーキーさが鼻に抜ける。"


口開け1年、さらに素晴らしい状態になってます。
グラスに注いだ瞬間から、部屋中に広がる芳醇な香り。
いやこれかなりヤバいです。香りでご飯3杯コース。

口に含むと元気いっぱいなその味は、奇を衒ったモノではなく、オフィシャル直径の味でこれというのも素晴らしいところ。うんうん、これだよこれ。
本場スコッチを目指した竹鶴政孝氏の夢。余市の香味はスコッチにはない日本独自性が強いものの、本場以上のレベルに達していることは間違いありません。


ちなみに隣の伊達は、宮城の実家から突然届いてました。誕生日プレゼントかな?w

マッサン終了後のウイスキーブームの行方 ~その① ブームは終焉する?~


いよいよ最終回を迎える朝ドラのマッサン。
ドラマの展開、マッサンの人物像、史実との関係など、まぁ賛否両論ありましたが、総じて良いドラマだったと思っています。
というかモデルがあるとはいえ、フィクションドラマに史実云々を持ち込むのは野暮ってもんですよ

紆余曲折、思えば失敗と苦難ばかりの中で、
最後の最後に大きく花開くマッサン とドウカウイスキー。
そして最愛の人との別れ・・・王道的展開ですが、「だがそれが良い」というAAです。


(画像引用:NHK マッサン)

さて、マッサン放送と合わせて加速的に進んだのがウイスキーブーム。
原酒が足りない、あの銘柄が販売休止、などとウイスキーファンは複雑な心境と思いますが、ドラマ終了と同時に多少落ち着くのでは・・・と考えている方も居るのではないでしょうか。
実際"ハイボールの泡のようにはじけ飛んでしまうのでは"、なんて記事も見かけます。
そこで今回はドラマ終了後のウイスキーブームの行方について、個人的な見解を全4編でまとめてみようと思います。


今回のブーム、一般的には2008~9年頃からのハイボールブームでついていた火が、ドラマという後押しを得て一気に広がったのは国内向きの話。
別な要因としてアジア圏を中心としたウイスキーブームがあり、供給側から見ると海外的な要素が相乗している面もあります。(今円安ですし。)

結論から言えば、後述の背景から国内のウイスキーブームはあと1~2年続き、
その後は世界情勢に左右されながら、現状が当たり前だと錯覚するほどに長く続いていく可能性が高いものと思います

さてブームの行方ですが、ブームの要因は
・マッサン効果
・ハイボールブーム、各社の取組
・世界市場への展開

大きく分けて3つの背景があるものと考えています。
もちろん景気要因も無視出来ませんが、 良ければ追い風悪ければ逆風という、ある種当たり前の話。
他方で、今回のウイスキーブームの下地となったハイボールブームは、リーマンショックを受けての不況、 東日本大震災という未曾有の危機の中でも消費を伸ばしてきた背景 があります。
従って、通常生活を送れる範囲の中では、"直ちに影響は無い(キリッ)" ものと考えることもできます。
まあ人の生活と酒は切り離せないんですな(笑)。
よって、条件とはしないこととし、次のマッサン効果の考察に続きます。 


マッサン終了後のウイスキーブームの行方②へ続く

ハイランドパーク37年 (1967-2004) 日本向けボトリング 

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先日のモルト会で飲ませていただいた中で、頭ひとつ抜けて高まってしまうボトル。
どシェリーのハイランドパークシングルカスク、日本向け限定品。

2年ぶりに飲まみましたが、直近で飲んだグリーンダンピーの19年にも共通する点があり、
個人的にどシェリーのパークは好みだなと再認識しました。

※ご参考
Highland Park 19yo (43%, OB, James Grant, Green dumpy, black label, 75cl)
http://www.whiskylink.com/?p=23805


HIGHLAND PARK
1967-2004
37 years old 47.5%
 
 
評価:★★★★★★★★(8)
 
煮詰めたダークフルーツを思わせる、非常に濃厚なアロマ。
黒蜜、いちじく、ブラッドオレンジ、そしてスモーキーで充実している。
口当たりも香り同様にとろりと濃厚なシェリー感、ハイランドパークらしいヘザー系のピートを底支えに、
ベリージャム、良質なカラメルソースのようなほろ苦く甘い陶酔感のあるフレーバーが広がる。
フィニッシュはピーティーでスモーキー。ほどよいタンニンが長く続く。
 
 
味はそこまで複雑さは無いものの、シェリー感といいピート感といい、
共通する土台があるところにその他のフレーバーが展開する。パークらしさもある素晴らしいボトルです。
シングルカスクでどシェリーゆえか、中間からの広がりは控えめでしたが、
そもそも濃厚な構成ですので、これ以上求めるのは酷でしょう。
特に現行品ではこれほどのシェリー系パーク、間違いなく味わうことは出来ないボトルです。
 
それにしてもモルトブームの下地があったとはいえ、2004年のウイスキー氷河期にこのボトルを10万で出す、
アサヒビールの強気っぷり・・・しかし今なら納得出来る気がします。
 
箱も無駄に豪華ですね。
 

 
アサヒビールプレスリリース
北緯59度。世界最北の蒸溜所に現存する
最も古いカスク(樽)からボトリングしたウイスキー。
「ハイランドパーク1967 シングルカスク#10197」発売
http://www.asahibeer.co.jp/news/2004/1115.html
 

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