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SABUROMARU 
The Ultimate Peat 
Single Malt Japanese Whisky 
Distilled 2019 
Bottled 2023 
Cask type Bourbon Barrel #190093 
700ml 61% 

評価:★★★★★★(6)

香り:スモーキーでビター、和柑橘を思わせるアロマに微かに根菜や発酵香、焦げた木材や藁、灰のような香りも混ざる。スワリングするとオレンジピールやキャラメル、ほのかなオーク香。

味:甘酸っぱくスモーキー、オイリーな口当たり。柑橘やチャーオークの甘さ、ウッディネス。そしてビターなピートフレーバーがしっかりと広がる。
余韻はほろ苦くピーティーで力強い。オークフレーバーがその奥に混じり、グレープフルーツの綿やオレンジ等を思わせる果実味が隠し味となって複雑で長く続く。

やや若さに通じるところはあるが、力強いスモーキーフレーバーと柑橘系の要素、三郎丸らしさがしっかりと感じられる1本。2018年のZEMON導入前に比べて洗練された酒質に、樽感が程よく混ざりあう。樽感は華やか黄色フルーツ系より、少し焦げ目がついた新樽寄りのタイプで、それがピート由来のほろ苦い香味と馴染んでいる。
口当たりは61%あるとは思えない柔らかさ。本リリースの特徴で、専用グラスでなくとも充分美味しさと個性を楽しめる。

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なお、上記通常使っている木村硝子テイスティンググラス1でのレビューだが、The Ultimate Peat Glassを使うことでこれらの要素が混ざり、ピートのスモーキーさと樽由来の甘やかなアロマが主体でネガティブ要素も一層少なくなり、口当たりのスムーズさで美味しさが際立つ。
まさに、良いフレーバーを引き出し、力強いピートフレーバーと三郎丸の酒質がバランスよく融合した味わい。

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三郎丸蒸留所の「ピートを極める」をコンセプトに、その個性や美味しさをストレートに伝えられるように製作したオリジナルグラス「The Ultimate Peat Glass」。このグラスの特装版として発売された、アタッシュケース付きモデルに付属していたのが、今回のテイスティングアイテムです。

本テイスティンググラスの設計には自分も関わらせてもらった訳ですが、「こういうのできませんか?」と、悪ノリで提案したモノが本当に形になってしまったのが本品だったりします。
元ネタは某グラスメーカーのイベント用アイテムと思しき、同社の最上位モデルのワイングラス8種が全て入ったケース。アタッシュケースかっこいいなー、こういうのあったら良いなぁ、2脚セットとかでどうだろうと。

ほら、男性ならアタッシュケースに憧れることは1度くらいあるじゃないですか(特に思春期)。
しかし稲垣さんからは、やれますね、とサムズアップがメッセンジャーで返ってきたくらいのリアクションで、社交辞令だと思っていたらまさか本当に作るとは(笑)。
しかもこのグラス用のウイスキーとセットですよ。完成の連絡を受けて、思わず笑ってしまいました。

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※The Ultimate Peat Glass 特装版内容:専用アタッシュケース、シングルカスク三郎丸2019-2023、専用グラスクロス、ピンバッチ、The Ultimate Peat Glass。これにボトルを入れて持ち歩く日は来るのだろうか…。

そんな個人的な趣味全開のアイテムに対して、付属のウイスキーはピーティーでスモーキーな本格派。また、樽感と酒質、このグラスで楽しむのにちょうどいい塩梅です。
2019年の三郎丸は、独自開発した鋳造ポットスチルZEMON導入によって酒質がさらに向上。数値上では苦労が見られますが、三郎丸が目指すウイスキーの個性が、原酒の成長とともに間違いなく洗練されて感じられます。
一方で、今回の1本は三郎丸の2019年の原酒の中では決してあたりとか、突き抜けた品質というわけではないようにも思います。

いわば、三郎丸モルトとしては平均的なキャラクターの一つ。今後、5年、8年と熟成を経て、間違いなく完成度が高まる余力があるようにも感じられます。
なお、今回の特装版ですが最初に予定していた販売数は瞬殺。その後追加販売もあるなど、想像以上に好評でした。
自分の知人(アジア圏の方)は、これは一体どこで買えるんだ、素晴らしいアイテムだと興奮気味に語っていました。ああ、やっぱりケースって大事なんですね(笑)。

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オマケ:自分が見かけたアタッシュケース入りグラスセット。こういうの作れませんか?この一言が、まさかこんな結果になろうとは。