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ANGE GIARD 
CALVADOS 
Aged 15 years old 
Malt Whisky Cask Finish (8 month)  
Bottled 2021 
For Maltyama 
700ml 59.1% 

香り:カスクストレングス&ハイプルーフらしくはっきりと強く、その中に独特のこもったような甘酸っぱさ。シロップ漬けの杏や赤リンゴ、徐々にカルヴァドスとは異なる甘味と香ばしさ、キャラメルやバニラ系の樽香が顔を出す。

味:口当たりはコクがあってパワフル、ややドライだが林檎の蜜の甘みと、梅酒を思わせる粘性、ほのかな渋み。じわじわとほろ苦くウッディで、煎餅のような香ばしいフレーバーが混ざってくる。
余韻はハイトーンな刺激の中に熟成林檎酢の香りが鼻腔に抜けた後、ビターな中に蜂蜜を思わせる甘みが残る長いフィニッシュ。

カルヴァドスとしては中短熟という熟成年数で、単体としては若さというか奥行きにかける部分があるものの。カルヴァドスらしさにモルトの厚みと樽感が合わさった、リッチな仕上がりが特徴的な1本。林檎と麦、それぞれが出し得るフレーバーで、お互いに足りない部分を補うペアとしての強みが感じられる。
今の時期はストレートよりソーダ割がおすすめ。さっぱりとしてそれでいて飲みごたえがあり、通常のカルヴァドスソーダに比べて満足感も高い。

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ウイスキー専門店、モルトヤマが昨年リリースしたカルヴァドスのPB。
蒸留所(ブランド)はアンジュ・ジアールで、ここは自社蒸留ではなく、他の生産者や農家が作った原酒を買い付けて熟成してリリースしている、カルヴァドスのボトラーズと言えるメーカー。
モルトヤマからはこれまで2種類のカルヴァドスPBがリリースされており、今回のリリースは14年以上熟成させたカルヴァドスを、モルトウイスキーを熟成していた空き樽で8ヶ月間フィニッシュした、ボトラーズらしいリリースであると言えます。

樽の素性は明らかになっていませんが、比較的樽感とモルトの香味が強いこと。シェリー系の香味は感じられないことから、樽感が強く出るフレンチオーク系の新樽で熟成していた、若い原酒を払い出した後のものではないかと予想します。フランス国内には蒸留所が約80ヶ所あるそうですから、そのあたりのものが使われていても違和感はありません。
また、ボトリング本数533本から払い出し時の欠損を1割と考えると、原酒の量は約400リットル。8ヶ月の追熟ですからエンジェルシェアはほぼないでしょう。ホグスヘッド以上、バット未満と中途半端なサイズとなるため、バレルサイズでの2樽バッティングの可能性もあります。

このようにユーザー側からすれば謎の残るスペックですが、1本丸っと飲んだ感想として、その品質は間違いのないものと言えます。
元々ベースとなるカルヴァドスが、多少癖強めの酒質にカスクストレングス。パワフルでドライな男性的な味わいであるところ。そのままだと通好みな1本となっていたものが、モルトウイスキーカスクのフィニッシュでいい塩梅に繋ぎとなる樽感増し、そして厚みのあるモルティーでねっとりとしたフレーバーが付与されており、前述のドライさが軽減。樽感強めで甘みと“らしい”フレーバーが両立した、遠目で見ると疑似的なオールドカルヴァドスとも言える仕上がりになっていると言えます。

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味にうるさい自分の知人に仕様を伏せて飲ませてみたところ、「あーこれ美味しい時代のカルヴァドスの味がする」といってグビグビ飲んでいたので、モルトウイスキーの個性は言わなきゃわからないくらいに融合しているなと(逆に意識すると、とても解る)。
ただ、このリリースは度数59.1%と中々に強敵です。熟成年数も決して長熟ではないので、ハイプルーフを飲み慣れない人にいきなりどうぞと言っても難しく。まして万年嫁募集中のモルトヤマさんよろしく、レディーキラーに使おうというのも無理な話ですが、そこは常に獲物を狙う男、おすすめはソニックだそうです。

ブランデーの類ってストレート以外でどう飲んでいいかわからないという声を聞きますが、お湯割、ソーダ割、そしてソニックと、実は結構自由にアレンジして良いものなのです。
かつてスコッチウイスキーにショットグラスというイメージがあったように。前時代的なブランデーグラスで、ペルシャ猫膝に乗せてバスローブ姿でくるくるというイメージが先行しちゃってる影響ですね。(下の画像のような…)
個人的に、このジャンルでのソーダ割りは甘いは美味い、そして適度な酸味を好む日本人の趣向にマッチしており、ウイスキーハイボールを越えるポテンシャルを秘めていると感じています。
実際、今回のボトルも6月以降ソーダ割が進む進む。。。気がついたら先日天に還っておりました。

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近年、熟成したウイスキーの高騰から、特に1万円前後という愛好家が手を出しやすい価格帯において良質なリリースを実現しようと、ウイスキーだけではなくラムやコニャック、そしてカルヴァドスなど様々な酒類への横展開が行われています。
長期熟成ウイスキーにあった熟成感や、かつてのウイスキーにあったフルーティーさ、類似の個性を、なるべく手頃な価格帯で実現しようという視点からの試みで、それこそスコッチモルトウイスキーソサイエティからラムやジンがでる時代。今やこうしたリリースは珍しくなったと言えます。

その中で、モルト専門店のチョイスしたカルヴァドス。やはり我々に対して「こういうの」というメッセージを感じるものです。本数の多さからまだ購入出来るようですが、家に一本あって困らない、チビチビ、ぐいぐい飲んでいける。価格的にも内容的にも良いリリースだと感じました。ご馳走様でした!