長濱 シングルモルト 2017-2021 オーナーズカスク 58.2% フレンチオーク
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NAGAHAMA
FOR CASK OWNER
Aged 3 years
Distilled 2017
Bottled 2021
Cask type French oak
Malt type Peated
700ml 58.2%
香り:焦げたようなウッディーさとピート香が強く香る。日本家屋の中にいるような木香、鰹節のような出汁感に、燻したようなスモーキーなアロマが立ち上がる。
味:キャラメルソースを思わせる甘みとビターなウッディネス、そして存在感のあるスモーキーさが同時に広がる、濃厚で色濃い要素を強く感じる味わい。
余韻はタンニンが強く口内の水分を奪っていく中で、鰹節感のあるピートスモークが長く残る。
本来ならこの熟成年数ではまとまらないような様々な強い個性を、長濱の柔らかくクリアなモルトの甘みと質感が繋いでいる。その点で、長濱蒸留所が短期熟成で原酒を仕上げていく、懐の深さ、樽感との馴染みのいい原酒であることが窺える。
今回はフレンチオークの新樽であるが、シェリーやワインなど、樽感を強く付与するような組み合わせでも、しっかりと香味を形作ることが期待できる。ウイスキーの完成度よりも、蒸留所としての期待値を高めることが出来る1本。

昨年、ウイスキー繋がりの知人から譲って頂いた、長濱蒸溜所のオーナーズカスク払い出しの1本。たくさんあっても飲み切れないので、普段お世話になっている皆さんにあいさつ代わりに配ってるんですよ、と。なんて徳の高いお方でしょう…。
ただ今回のボトルは、新樽フレンチオークのオクタブカスクで熟成した、3年熟成の長濱蒸溜所のピーテッドモルトです。
オクタブカスクのサイズは60リットル程度のもの。つまり、新樽で、樽感の強く出るフレンチオークで、そして原酒に対して接触面積の増える小型サイズの樽で、更に温暖な長濱の熟成環境。ある程度ウイスキーを飲んでる人なら、これらの要素を受け止めて短期間でまとめるには、樽や原酒に求められるスペックが非常に特殊というか、何らかの工夫が必要であることは想像に難くないと思います。
それこそ、一般的なモルトのニューメイクを突っ込んで同じ条件で3年熟成させたとしたら。原酒の若さが残り、バチバチと粗い口当たりの中で、隠れていたニューポッティーな要素が目立ち始め、濃く渋いウッディなフレーバーが襲い掛かってくる…。
樽感がアクセント?いやいやとんでもない、アクシデントですよ。
というレベルでまさに事故。とても飲めたものではない何かが出来上がってしまうわけです。
こうした短熟の難しさを克服して、武器にしてきた代表格が台湾のカヴァラン蒸留所です。そのクオリティは今や世界的に認知されていることも、説明は不要かと思います。
一方で、日本国内においてそれを成り立たせることが可能な蒸溜所が、現時点で2か所。その1つが嘉之助蒸溜所、そしてもう一つが長濱蒸溜所だと私は考えています。
それは今回のボトルが、他の蒸留所ならそもそも熟成に無理のある、いわば記念品のような位置づけであるにも関わらず。
本来馴染むのに時間がかかるはずの各要素を酒質が受け止めて、ウッディな渋みはありつつも、なんとか楽しめるクオリティに仕上がった点に、蒸留所としての可能性を感じることが出来るのです。

(長濱蒸溜所のアランビック蒸留器。長濱蒸溜所が目指す酒質を作る上で欠かせない。)

(AZAI FACTORY内にあるワイン樽の1つ。日本でも有名なボルドー赤ワインの樽であり、今後のリリースが楽しみ。)
長濱蒸溜所はAMAHAGANのリリースが話題になっていますが、実はクリアで柔らかく、そして麦芽風味の豊かなモルト原酒を生み出しています。
この原酒は、原酒の性質と熟成環境、そして樽の質もあって、短熟からでも仕上がる特性は先に触れた通りです。そしてその特徴が生きて、シェリー樽原酒のリッチな味わい、ワイン樽原酒の豊かなベリー系フレーバーなど、色濃いフレーバーを付与する樽との馴染みが良いのも特徴だと言えます。
それを証明するかのように、WWA2022では3年熟成の長濱シェリーカスクがカテゴリーウィナー。IWSCでは同じく3年熟成の長濱ワインカスクが最高金賞となり…、そして3月23日にはアジア地区での最高評価、トロフィー受賞も発表されています。

Nagahama distillery Bordeaux Red Wine Cask 1564 Single Malt Whisky
https://iwsc.net/results/detail/121485/bordeaux-red-wine-cask-1564-single-malt-whisky
こうしたコンペの結果だけで単純比較はできませんが、少なくとも出品物は、短熟ウイスキーの先駆者とも言えるカヴァラン以上の評価を受けたということになります。
サントリー、ニッカら現在日本の大手ウイスキーメーカーも、かつてはスコットランドの有名銘柄とコンペで競い合い、受賞を重ねることで世界に認知される一大ブランドとなりました。
今回の受賞もまた大きな結果であり、将来に向けた着実な1歩でもあります。
長濱蒸溜所は日本最小規模の蒸留所の1つですが、先日の記事でも紹介したように蒸留所内、トンネル、廃校、離島(琵琶湖内)と、滋賀県内4か所にある異なる熟成環境が2021年に整備され、多様な原酒を熟成し始めたところ。まだまだ成長段階にある蒸留所です。
今回の受賞は、蒸留所の成長を後押しする結果となるのは間違いありません。滋賀県の長濱から、世界の長濱へ。更なる展開を楽しみにしています。


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