カテゴリ:
FullSizeRender

THE LAST PIECE 
T&T TOYAMA 
BLENDED MALT WHISKY 
World Edition Batch No,1 
Blender: T&T TOYAMA(INAGAKI TAKAHIKO, SHIMONO TADAAKI),KURIRIN  
One of 800 Bottles 
700ml 50% 

評価:―(!)

香り:華やかでナッティな香り立ち。アプリコットジャムや熟した林檎を思わせるフルーティーな甘み。オーキーで程よいウディネス、ハーブのアクセント、ほのかにスモーキー。

味:フルーティーでしっとりと甘い口当たり。林檎の蜜、甘栗やカステラ、麦芽風味。香り同様に熟成感があり、一本芯の通った複雑な味わい。余韻にかけて香味の広がりを感じられ、微かにピーティーで華やかなオーク香が鼻腔に抜ける。

香味とも華やかでフルーティーだが、キラキラと派手なタイプではなく、しっとりとして色濃く奥ゆかしいタイプ。奥には黄色系フルーツ、麦芽風味、特徴的なピートなど、クラフト原酒由来の個性も感じさせる。
イメージとしては、THE LAST PIECEのジャパニーズエディションに熟成感を増して、完成度を追求したレシピ。日本とスコットランドの個性が織りなす、日本だからこそ作ることができるウイスキー。ストレート、少量加水、あるいはロックでじっくりと楽しんで欲しい。

the_last_piece_wb

先日、T&T TOYAMAから発表された「THE LAST PIECE」のワールドブレンデッド版です。
先日レビューを更新したジャパニーズエディションは、国内5ヶ所のクラフト蒸留所原酒100%のジャパニーズウイスキー。ワールドエディションは、構成比率の過半数以上がクラフト産原酒で、そこに輸入原酒をブレンドしたブレンデッドモルトウイスキーとなります。

発売は若鶴酒造が運営する私と、ALC.を中心に、4月19日(火)から。
先行する形で、4月1日(金)から購入希望の抽選受付が開始されます。
「個性のジャパニーズ、完成度のワールド」、ブレンダーの一員として、その実現を目指したブレンドです。企画の背景、概要、販売方法に関する情報は以下をご参照ください。

公式プレスリリース:https://www.wakatsuru.co.jp/archives/3198
リリース告知記事:https://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1080141305.html


※私と、ALC.抽選販売受付:2022年4月1日12:30〜2022年4月11日23:59

https://wakatsuru.shop-pro.jp/?pid=167372090


改めて構成原酒を記載すると
・江井ヶ嶋蒸溜所 ライトリーピーテッド
・桜尾蒸溜所 ノンピートモルト
・三郎丸蒸留所 ヘビーピーテッドモルト
・長濱蒸溜所 ノンピートモルト
・非公開蒸留所 ノンピートモルト
・スコッチモルト(国内追加熟成)

クラフト原酒は全て3年熟成でバーボン樽熟成。スコッチモルトは熟成年数非公開ですが、バーボン樽以外に、シェリー樽、リフィル樽等での熟成品が用いられており、一部原酒は国内で追加熟成を行ったものが使われています。

追加熟成を経たスコッチモルトは、もともとあったスコッチモルトらしいまとまりのある穏やかな酒質に、日本的な樽感が加わって熟成感も増した仕上がり。こうした原酒の存在は、個性をまとめ上げる繋ぎとして有用である一方、その原酒に頼るだけではワールドの意味がありません。
国産原酒の個性を主として残しつつ、全体の完成度を高めるにはどうするべきか。正直、ジャパニーズのレシピ以上に悩ましく、かけた時間、試作数も多くなりました。
【補足】各原酒の個性はリリース告知記事の後半に記載→こちら

FullSizeRender

しかしワールドブレンドというと、あまり良く無いイメージを持つ方もいらっしゃると思います。
それはブームに乗って利益を得るために、安価な輸入原酒で水増ししたリリース。つまりパッションやストーリーのない、嗜好品としての重要要素を満たさないリリース、というイメージに起因しているのでは無いでしょうか。

確かに、そうしたウイスキーの存在は否定できません。しかし本来スコッチウイスキーは美味しいものであり、日本では作り得ない原酒が数多くあります。(あるいは日本でも作れるかもしれないが、膨大なコストがかかるケース。)
例えば長期熟成原酒がそうです。
ワールドブレンドは、日本でしか作れない原酒と日本では作れない原酒、それらの良い点を引き出すことで、これまでにないウイスキーを作ることが出来る、可能性に満ちたジャンルでもあるのです。
活かすも殺すも、造り手次第というわけですね。

IMG_6915

THE LAST PIECEをリリースする、ボトラーズメーカー「T&T TOYAMA」は、日本のクラフト蒸溜所が、将来単独でリリースを行っていくのではなく、他の蒸留所と連携する可能性を見出せるよう、蒸留所間のハブとなることを目標の一つとしています。
一方で、同社はスコッチモルトも海外メーカーから買い付けてリリースしており、ニンフシリーズやワンダーオブスピリッツがその代表作です。つまり、日本、スコットランド、どちらにも繋がりを持つメーカーと言えます。

であるならば、THE LAST PIECEのワールドエディションは、ジャパニーズの個性感じさせつつ、スコッチウイスキーのいいところも活かした、T&T TOYAMAらしいリリースに仕上げたい。
2つのリリースを飲みくらべることで、なるほどこれが日本の個性か、これがスコッチモルトの熟成感かと、愛好家に伝わるような美味しいウイスキーに仕上げたい。
果たしてその狙いは達成されたのか、限られた条件の中で可能な限り高い点数を目指したワールドエディション。楽しんで頂けたら幸いです。

IMG_6775

以下:余談
4月1日から開始される、私と、ALC.での抽選販売受付は、稲垣代表の趣味趣向が色濃く反映された、激ムズクイズが用意されています。
私と、ALC.抽選販売受付ページ:

https://wakatsuru.shop-pro.jp/?pid=167372090


公開されている4蒸留所とT&T TOYAMAからそれぞれ1問、計5問が選択式で出題されます。
誤解のないように補足すると、正答率が高い人から抽選で選ばれるのではなく、正答率が高いと当たりやすくなる、当選確率がプラス補正されるものです。全問正解でもハズレる可能性があり、正答率が低くても当たる可能性があります。
そんなわけで、これはちょっとしたゲームです。各蒸留所について調べる機会だと捉えて頂き、ぜひ奮ってご参加いただければと存じます。(難しい問題と思うかもしれませんが、冷静に選択肢1つ1つを考えてみてくださいね。)