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GLEN MUSCLE 
AKKESHI BLEND 
No,8 "Five Spirits" 
Distilled Matured Bottled by AKKESHI DISTILLERY 
Selected Blended by Team GLEN MUSCLE with HOKKAIDO BAR 
700ml 61% 

香り:フレッシュなピート香。焚火のスモーキーさに混ざる潮騒の香り。腐葉土、ベーコン、オレンジや若い林檎を思わせる甘みと酸を伴う、力強いアロマ。

味:口当たりは度数を感じさせない柔らかさとコク、徐々に力強く、麦芽やシェリー樽原酒由来の甘みと柑橘系の酸味。続いて焦げたようなピーティーさ、ヨード、輪郭のはっきりとしたスモーキーフレーバーが鼻腔に抜け、ウッディでハイトーンな刺激が余韻となって長く続く。

若いなりにバランスの取れた味わい。厚岸蒸溜所のモルト原酒の特徴とも言える柔らかさ、麦芽の甘みに加えて、ブレンドに用いられた試験熟成原酒、スコッチ原酒、複数種類の熟成樽がもたらす個性と複雑さが楽しめる。少量加水するとバランスがさらに良くなり、香りは樽由来の甘さとシャープなピート、味わいは柔らかさが増し、余韻にかけてソルティな要素が顔を出す。厚岸蒸溜所が持ち得る原酒から、愛好家が求める味わいを目指したもう一つの厚岸ウイスキー。

※本リリースは関係者向けの限定商品となりますが、一部、信濃屋さんから一般販売(抽選受付)が11月21日(日)12:00~23:59に行われます。
販売価格は税込み13,200円。オンラインのみで実店舗での受付は無しとのこと。
また、関係者、一般に限らず発送は12/1〜で、代引きのみ対応となります。
詳細は以下のサイトを参照ください。
https://www.shinanoya-tokyo.jp/view/item/000000015897

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愛好家による愛好家のためのウイスキーブランド、グレンマッスルの第8弾。今作は、ファン待望とも言える、厚岸蒸溜所の協力のもとで作られたブレンデッドウイスキーです。
リリース本数は300本。ラベルは厚岸蒸溜所の重厚なボトルに馴染むよう、某A蒸溜所コミッティ向けリリースをオマージュしてデザインしました。ネタがわかる人にとっては懐かしい外観ではないかと思います。

構成原酒は、
・厚岸蒸溜所のノンピートモルト、ピーテッドモルト(共にバーボン樽熟成)
・試験熟成国産原酒A(ミズナラ樽熟成、シェリー樽熟成)※
・試験熟成国産原酒E(シェリー樽熟成、アメリカンオーク樽熟成)※
・輸入アイラモルトウイスキー
・輸入スコッチグレーンウイスキー
ジャパニーズとスコッチのブレンドで、所謂ワールド仕様のレシピとなります。

そして蒸溜所としては5か所の原酒を軸にしていること。ブレンドレシピの模索・決定には、チームグレンマッスルに加えて、北海道のBAR4店舗、合わせて5組のメンバーがタッグを組んだことから、本リリースは5つの蒸溜所の魂と、5組の造り手の熱情を秘めたものとして、”Five Spirits”がサブタイトルとなっています。(No,8ということで、8種類の原酒を使っているのもポイントと言えます。)

※試験熟成国産原酒:厚岸蒸溜所が建設される前、厚岸の風土が原酒にもたらす影響を確認するため、2013年から建設予定地で行われていた熟成実験。日本国内の2蒸留所の原酒が用いられており、蒸溜所が稼働した現在も熟成が継続している。

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今回のリリース、企画にご協力いただいた厚岸蒸溜所…については、これまで当ブログでも記事にしていますし、それ以上に高い知名度です。本記事では、グレンマッスルNo,8が誕生するまでの流れ等を紹介していきます。

企画の始まりは昨年11月。個人的に兼ねてから厚岸蒸溜所の皆様とは交流があり、いつかは厚岸蒸溜所とタイアップした企画を実施してみたいと、思い切って企画を持ち込みました。すると快く承諾頂き、その後は何度かのWEBミーティングと企画書のやり取りを経て、蒸溜所から原酒のサンプルが到着したのが2021年2月頃。
また同時並行して、本企画は北海道の皆様と一緒に形にしていきたいと。1stリリースからグレンマッスルを応援してくださっていた、BAR無路良の山田さんの紹介で、4店との合同チームを結成しました。

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原酒の選定にあたっては、従来の厚岸ウイスキーとは異なるベクトルで、グレンマッスルらしさである「尖った魅力やワクワクするような構成」を実現するため、厚岸蒸溜所の原酒に加えて、同蒸留所が保有している試験熟成原酒等、通常リリースで使用していない原酒を依頼。
本来なら、蒸溜所に伺って直接やり取りをさせて頂くところですが、今年の日本はコロナウイルス感染拡大真っ只中。。。現地訪問は叶わず。しかし樋田社長のご厚意で「納得いくものを造ってください」と、大変多くの原酒サンプルを頂きました。

厚岸蒸溜所が、こうして外部のメンバーとタイアップしたブレンドウイスキーをリリースするのは初めてのことです。我々としても満足のいくものを造りたいですし、その心意気を裏切るわけにはいきません。そのため、レシピの選定は、
(1)グレンマッスルメンバーがそれぞれ2種類ずつ、計8種類のレシピを作成。
(2)ゲストも交え、この8種類から半分に絞る第一次評価を実施。
(3)厚岸蒸溜所側での評価、北海道BARによる評価を頂き、最も評価の高かった1つのレシピをリリース
以上の流れで、関係者による複数回の審査を経て実施しました。

選ばれたレシピのモルト比率は8:2。構成比率として最も多く使われているのは、厚岸蒸溜所のモルト原酒とアイラモルトウイスキーで、おそらく20~30PPM程度の比較的ピーティーな仕上がり。
ベースにある厚岸モルトの麦芽風味と柔らかい甘さ、複数種類の樽がもたらす香味を繋ぐ、シェリー樽原酒の色濃い風味、ミズナラ樽由来の複雑さ。異なるピートフレーバーの融合も香味の多彩さの一端を担っていると思います。

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こうしてレシピが決まったのは今年の6月頃でしたが、ボトリングは厚岸蒸溜所のリリースの関係から10月末。使用することが決まっている原酒は樽に入ったままであるため、熟成を継続していくこととなります。
厚岸蒸溜所はリリースのタイミングが年間計画で決まっているので、通常リリースでもこういうことが珍しくないのだとか。特に今回は、ブレンドしてマリッジしたのではなく、大きな影響があると考えられる夏場を越えた後でレシピに基づきブレンドする。完成図を予想してレシピを作る、これまでにない難しさがあったと言えます。

そして追加熟成を経た原酒によるブレンドは9月に行われ、そこからステンレスタンクで1か月強のマリッジ期間を経て10月末にボトリング。企画が始動してからちょうど1年、晴れてリリースとなりました。
なおレシピ作成時点の原酒で試作したものと、半年後にブレンド・ボトリングされたものを記憶の上で比較すると、熟成を経て得られた樽感、口当たりの丸みなど、全体的にいい方向に変化しており、自画自賛ですが上手くバランスをとることが出来たと感じています。

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表ラベル案

ちなみに、ブレンド待ちだった夏の間に行っていたのがラベル作成です。元々は上のラベル画像2枚目のように、シンプルなデザインにするつもりでした。
ところが厚岸蒸溜所のボトルに張り付けてみると、まあ合わないこと合わないこと…。ボトルが重厚過ぎて浮いてしまうのです。紆余曲折あって今回のラベルに落ち着いたわけですが、印刷会社との間に入って頂いた蒸溜所の担当者Yさんには本当にご迷惑をおかけしました。


グレンマッスルはウイスキー好きが思わず笑顔になるような美味しさや、ちょっと尖った魅力のあるリリースを、愛好家が蒸溜所やウイスキーメーカーとの協力で実現していくことをコンセプトとした、オリジナルブランドです。

今回は若い原酒を中心にしたブレンドウイスキーであるため、香味の中にやんちゃな部分や荒々しさが残るところはあります。
しかしそれ以上に、厚岸蒸溜所の原酒がもたらす厚みのある麦芽の甘み。おそらく明示的に使用されているものとしては初となる、厚岸蒸溜所が建設される前から実施している試験熟成による原酒を使ったものや、ピーティーなアイラモルトもブレンドに用いているなど、ワクワクしてもらえるようなリリースに仕上がったのではないかと思います。

こうしたリリースを形にしていくには、過去どのグレンマッスルにおいても、我々だけの力では実現できず、蒸溜所やウイスキーメーカーの皆様のご協力と、そしていつも本リリースを応援してくださっている愛好家各位の後押しがあったからこそ、実現できたのだと感じています。
企画を快諾頂くと共に、様々な無理を聞いてくださった厚岸蒸溜所の皆様。これまでのリリースを応援し、今回のリリースにも快くご協力いただいた北海道のBAR4店の皆様。改めまして感謝申し上げます。
そして、本リリースに関心を頂きました愛好家の皆様。発売後は是非笑顔で、本リリースを楽しんで貰えたら幸いです。

2021年11月 TEAM GLEN MUSCLE 一同