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AKKESHI 
SHOSHO 
Blended Whisky 
A Fusion of the World Whiskies 
Bottled 2021 
700ml 48% 

評価:★★★★★(5-6)

香り:フレッシュな主張のあるピーティーさ、香ばしいモルト由来のアロマの中に、シェリー樽を思わせる黒糖系の甘みとウッディネスがアクセントとなって感じられる。微かに酸や赤系の要素があり、使われた樽の個性を香りから推察できる。若さの中に複数の樽感、複雑さのあるアロマ。

味: 香りと異なり、味わいは麦芽由来の厚みのある甘みがスモーキーフレーバーを伴って広がる。合わせてオーク由来のバニラやシェリー樽のキャラメルが、塩気と若い原酒の酸味を伴う。
麦芽風味とピートフレーバーを軸に、いくつかの樽の要素を感じられる。余韻は軽くスパイシーでほろ苦く、ほのかに椎茸っぽさを伴うウッディネスが、じんわりと口内に刺激を伴って長く続く。

原酒の熟成年数は3~4年。スモーキーフレーバーはミディアムで20PPM程度。ブレンド比率はモルト6:グレーン4あたりのモルティーな構成と思われる。モルトはバーボン樽熟成のピーテッド原酒とノンピート原酒を軸に、シェリー樽、ワイン樽原酒を繋ぎとして加えたレシピと予想。前作までのブレンドに比べてバランスがとれているだけでなく、ピーティーなフレーバーの中にハウススタイルと言えるコクのある甘みや香ばしさが楽しめる。

オススメの飲み方としてはハイボール。ロックのように温度が変化していくレシピよりは、冷やすなら冷やす、炭酸も強めをきっちり加えて仕上げたほうが伸びる印象。ウイスキーとしてだけでなく、蒸留所全体の成長を感じる1本である。

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8月下旬にリリースされた、厚岸蒸留所ウイスキー・厚岸24節気シリーズの第4弾。まさに「処暑の候」と北国からの便り(ボトル)を運んできたのか、東京も急に涼しくなって、あー夏が終わるなぁとセンチな気持ちになりながらテイスティングしています。

厚岸蒸留所は、シングルモルトとブレンドを交互にリリースするスタイルで、ブレンドとしては第2弾、3月にリリースされた「雨水」の次と言うことになります。
双方に共通する厚岸蒸留所のこだわりは、可能な限り自家製の原酒を用いるということ。連続式蒸留器を持たない厚岸蒸留所はグレーン原酒を作れませんが(ポットスチルでもやれますが、現実的ではない)、スピリッツで海外からグレーンを輸入し、それを厚岸蒸留所で3年以上熟成させたグレーンを使っています。

その為、ラベルの「A Fusion of the World Whiskies」表記は厚岸熟成グレーンに由来しているもので、4月に施行されたジャパニーズウイスキーの基準を鑑み、本リリースから追記されたものと考えられます。
ちなみに一般的にクラフト蒸留所でブレンデッドウイスキーを作る場合は、熟成したグレーンをバルクとして輸入して活用しています。さながらプロ野球で言うところの「助っ人」。ですが厚岸蒸留所の通常リリースは、あえてそれをせず、自前で原酒を育てるところにこだわりがあります。

これまでの記事でも度々触れていますが、こうした取り組みの先には、同蒸留所の目指すウイスキー、厚岸オールスターがあるものと思われます。モルトウイスキーは麦芽、ピート、どちらも厚岸で調達してモルティングし、蒸留は勿論、厚岸で採れた木材を使った樽で熟成させる。
既にモルティング設備については建設中で、ピートも試験的な採掘が行われている訳ですが、
その次はグレーンも北海道産のトウモロコシや小麦を用いて自社で製造し、まさにオール北海道産、オール厚岸産のブレンドウイスキーを目指しているのではないかと。そしてそのマイルストーンとして、可能な限り厚岸産をそろえてブレンドを作っているのではないかと予想してしまうのです。

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さて、この厚岸「処暑」ですが、厚岸ウイスキーの前作・芒種ではっきりと感じられた特徴である麦芽のコクのある甘み、風味の柔らかさが、今回のブレンドでも感じられます。
このフレーバーは、元々厚岸蒸留所の個性として紹介されており、私自身もいくつかのサンプルで共通するニュアンスを感じたことはありました。ですが、過去リリースされた商品からは、まだ原酒が若すぎたことや樽感の強さで、感じにくくなっていた部分もあったと言えます。

今作では、まず上述の厚岸熟成グレーンの熟成年数が約1年程度伸びたことで、全体のバランスが向上したというのが一つ。
レシピとしては、前作「芒種」がバーボン樽熟成の原酒の個性を前面に出したものであったところ。同様にバーボン樽熟成のキャラクターを中心に、アクセントとしてシェリー樽、ワイン樽熟成原酒を用いていることから、バランスの向上と共に、酒質由来の風味が隠されることなく感じられるという点が最大の特徴だと感じられました。

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(今年リリースされた雨水と処暑を飲み比べ。右が雨水、左が処暑。)

その違いは雨水と飲み比べることで顕著に感じられます。どちらのブレンドも、バーボン樽、シェリー樽、ワイン樽で熟成された原酒を主に使っており、グレーンも同じものが使われています。ピートフレーバーもまた、やはり同じくらいの強さだと感じます。
大きな違いは、先に触れた通りグレーンの熟成と、雨水はシェリー樽やワイン樽が主な香味の一つとして前面に出ているのに対し、処暑は香味の繋ぎ、抑えめにしているという点。色合いを見ても、樽の比率の違いが一目瞭然です。

雨水の樽構成を予想すると、おそらく3種ともほぼ同じくらいの量が使われていると思われます。他方で、処暑についてはグレーン、シェリー、ワインで6:2:2、あるいは7:2:1くらいの比率ではないかと予想。樽由来のフレーバーが強い雨水はロックで、処暑はハイボールが合うという傾向もあります。
どちらも若いなりに、蒸溜所の個性、目指すところ、そしてブレンダーの工夫を感じられる仕上がりですが、あえて優劣をつけるなら、処暑のほうがレベルが上がっているようにも感じられるのです

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厚岸蒸溜所のウイスキーは日本のみならず世界的に注目されており、リリースされるたびに入手困難となる状況です。ただし中身については原酒の制限から蒸溜所同様にまだ発展途上であり、そのため24節気シリーズもリリース毎に完成度が上がり、美味しくなってきています。

禾乃登(こくものすなわちみのる)。
9月2日~9月6日ごろ、まさに今。24節気の処暑の後半に該当する季節です。
裏ラベルに書かれている通り、北海道の大麦が収穫のときを迎えており、すなわちそれは厚岸蒸留所で現在仕込みが行われている、北海道産麦芽によるウイスキーへと繋がります。
閉鎖蒸留所とは異なり、次がある。そしてそれは蒸留所の目指す未来の形から、香味は粗削りでも、ワクワクさせてくれるものです。購入できなかった方も、まずはBARや小分けで販売しているショップを活用しつつ、その次を楽しみに待っていくのが良いのではないかと思います。

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※2021年の厚岸産大麦の収穫風景(左)と、採掘中の厚岸町内のピート(右)。将来の厚岸ウイスキーがどうなるのか、様々な取り組みの結びつく先に期待したい。写真引用:県展実業株式会社 厚岸蒸溜所 Facebook https://www.facebook.com/akkeshi.distillery