「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」に潜む明暗
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2月16日、日本洋酒酒造組合から”ジャパニーズウイスキーの基準”となる、表示の整理に関する自主基準が制定され、国内外に向けて公開されました。施行は2021年4月1日からとなります。
同組合は、酒税の保全等を目的として設立されている組合で、大手からクラフトまで、国内で洋酒の製造販売等を行うほぼ全てのメーカーが加盟しています。そうした組合が作る基準ですから、自主基準とはいえ、少なからず実効性のある基準ではないかと思います。
実際、既に動きを見せるメーカーもあり。また酒税法に関連する組織であるため、後の法律面への反映も期待できるのではとも感じます。
我々愛好家サイドから見ると、唐突に公開された感のある本基準ですが、検討は2017年頃から始まっていたそうで(参照記事:こちら)、加盟企業から選出されたWG、理事会での協議、意見交換等を経て約4年間をかけてまとめ上げた基準となります。
なお、ウイスキー文化研究所で議論が進んでいたジャパニーズウイスキーの定義とは、別のルートで造られたものという位置づけで、必ずしも整理が一致するわけではありません。
日本洋酒酒造組合:ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準
※英語版はこちら
結論から言うと、ジャパニーズウイスキーとしての透明性とブランドを整理出来る、よく考えられている基準だと思います。
日本のウイスキーには、酒税法等での条件が緩いことから、
- 輸入原酒を使ってジャパニーズを名乗る(あるいは誤認させる)銘柄が、国内外に販売されていること。
- 最低熟成年数や熟成方法が定義されていないため、明らかに未熟な原酒が商品に使われていること。
- ブレンド用アルコールを用いてもウイスキーを名乗れること。
- 焼酎原酒などウイスキーではない蒸留酒がジャパニーズウイスキーとして輸出、販売されていること。
- ラベルの表記等に関して、基準が整理、統一されていないこと。
今回の基準では、これら意図して法律の抜け道を使う、悪貨の駆逐と言う点に主眼が置かれた整理となっており、一定の効果を発揮するものだと思います。
ですが、基準の決定に当たっては大手メーカー主導の流れがあるのか。あるいは目下最大の問題を優先したためか。
シングルモルトについてのブランド保護、透明性は担保された一方で、昨今増加傾向にあるクラフトディスティラリーの”ブランド構築”や、”ブレンデッドウイスキー造り”という点で厳しい内容である、という印象があります。
今日の記事では、本基準がもたらす効果を「明暗」含めて、まとめてみたいと思います。
■ジャパニーズウイスキーの基準における整理
まず、今回制定された”表示に関する基準”において、ジャパニーズウイスキーと区分する条件をまとめると
- モルトウイスキー・グレーンウイスキー、どちらも日本の蒸留所で糖化、発酵、蒸留、熟成を行ったもの。麦芽は必ず使うこと。
- 水は日本国内で採水されたもの。熟成については木製樽(700リットル以下)を用いて日本国内で3年以上とする。
- ボトリングは日本国内で、度数は40%以上とする。
中でも蒸留所での製法に糖化が含まれていることや、原材料で「麦芽は必ず使用しなければならない」とあるのがポイントです。元々糖分のあるものから発酵、蒸留するブレンドアルコール類や、焼酎のように麴を使って糖化・発酵をさせるものと、麦芽で糖化するジャパニーズウイスキーが違うことを定義しています。
そのうえで、表記は「ジャパニーズウイスキー」とし(例:ジャパニーズモルトウイスキーではNG。また第6条の記載から、英訳等で日本製と誤認させる表記へのアレンジもNG)。ジャパニーズを名乗る基準に加え、問題となっていた"疑似ジャパニーズ"や”アル添ウイスキー”、"焼酎ウイスキー"をジャパニーズウイスキーの区分からシャットアウトする整理になっています。

今回発表された基準は、別途ウイスキー文化研究所が調整していた、ジャパニーズウイスキーの定義(TWSC版)と比べると、考え方は同じである一方、スコッチウイスキーの定義である"Scotch Whisky Regulation"寄りの内容で整理されています。
例えば仕込みに関する記述に加え、熟成年数もスコッチに倣って1年長く設定されている点。輸入バルク原酒を加えたものを「ジャパンメイドウイスキー」と整理するウイ文研の基準と異なり、あくまでジャパニーズか、そうではないか、という1か0かの整理になっています。
熟成年数の違いについては、日本のウイスキーがスコッチタイプの原酒である以上、3年熟成からウイスキーであるという整理も納得できなくはありません。
「日本は気候が温暖で熟成が早い(エンジェルシェアが多い)から熟成期間を短縮すべき」という意見もあるとは思いますが、既に国内でシングルモルトは最低3年でリリースするという対応が行われているのを見ると、実態べースで整理しても良いとは思います。レアケースですが、熟成庫に空調いれてるところもありますし。
ただし樽については木樽として幅広く読める表現となっており、スコッチ路線の基準でありながら、アレンジされている点もあります。
一方で、輸入バルクウイスキーを一部でも使ったウイスキーについては、単にジャパニーズウイスキーとして表記できないだけでなく、銘柄名についても制限をかけるのが本基準の特徴と言えます。
これは、第6条(特定の用語と誤認される表示の禁止等)に記載があり、日本を想起させる人名、地名、あるいは国旗の表記といった禁止事項が明記され、一見すると某西のメーカーが色々とやって話題になったような疑似ジャパニーズウイスキーが、その名称を名乗れなくなる整理となっています。

当ブログでも以前から発信していましたが、ジャパニーズウイスキーの基準に関する問題は、製法だけでなく、名称や販売の際の説明についても制限しなければ意味がありません。
今回発表された基準は、その点についても考慮されているだけでなく、表記と言う意味では「ウイスキーに該当しない酒類にウイスキーであるかのように表示する」、前例でいえば”海外で焼酎をウイスキーとして販売する行為”に対して、第6条3項に「酒類※を売らないし協力もしない」という罰則的な記述があるのも、限定的ですが組合の規定として踏み込んだ内容だと思います。
※酒類であるため、製品やウイスキー原酒だけでなく、焼酎、ブレンド用アルコール等が幅広く含まれる。つまり該当するようなことをした企業が使うであろう酒類の供給を条件としている点が、この項目のポイントと言える。他方で、第6条3項は「日本国の酒税法上のウイスキーに該当しない酒類」が対象となるため、必ずしも第5条及び第6条2項を破った企業に対する罰則とはなりえない点が、ややちぐはぐな流れとも言える。
■基準の運用と時限措置
ただし、この基準では
・第6条第2項に、第5条に定める製法品質の要件に該当しないことを明らかにする措置をした時は、この限りではない。(説明すれば、ジャパニーズウイスキー表記はダメだけど、引き続き日本を想起させる単語等は使っても良い。)
・附則 第2条として、すでに販売中のウイスキーに関しては、中身の整理に2024年3月31日まで3年間の猶予を設ける。
とされており、抜け道もなくはありません。
基準制定の背景に一部の方々が強く連想する銘柄が、これをもって急に消えるというわけではないんですよね。おそらくラベル上の表記とデザインがちょっと変わるくらいで。

前者(第6条第2項)は、どこで説明するのかと言うことになりますが、話を聞く限りではラベルに限らないようです。SNS,WEB,消費者が常時参照できるような場所も含まれるようで、既に大手ウイスキーメーカーのサイトで説明の追加が行われているところもあります。
昨今、サントリーが山崎や白州に「Single Malt Japanese Whisky」表記をつけたり、その他ブランドのラベルもマイナーチェンジしていたり。ニッカの竹鶴ピュアモルトのリニューアルやセッションのリリース、キリンの富士や陸しかり。。。大手各社の動きは、ここに帰結するものだったのでしょう。
そうしてみると、入念に準備されていた、業界としての動きなのだということが見えてきます。
また、後者(附則第2条)については、既存のブランドを持っているところは逃げ得が出来るのではないか!と憤る意見もあるかもしれませんが、既存銘柄のラベル変更等は、ロットの切り替えを待つ必要もあり、その準備期間という意味もあると考えられます。
何よりウイスキーの熟成は3年間と定義している以上、自社原酒の準備期間として3年の猶予を与えるのは、性善説で考えると理解できる内容でもあります。
しかしこの附則事項も、ウイスキー蒸留を行うための設備の準備期間は考慮されておらず、本当に最低限の年数であること。
”2021年3月31日以前に事業者が販売するウイスキー”が、ブランド全体を指すか、リリース単位を指すかというとリリース単位であるそうで、例えば日本12年という銘柄をバルクウイスキーでリリースしていたメーカーが、これのフィニッシュモノや年数違いはリリース出来ないとのこと。
どちらも、これから基準に対応するメーカーにとっては、最低限の配慮であるように感じます。(前者の説明をすればその限りではなく、あくまで自主基準上では、ですが。)


※アサヒビールオンラインストアにおける説明文。赤字箇所がこのタイミングで追記された。第6条第2項は運用次第で本基準を有名無実化させる危険性もあるので、組合でのガイドライン整備が別途必要と考えられる。今後注視したい。
※海外のウイスキーショップにも動きがあり、有名どころであるWhiskyExchangeも、本基準を紹介。ショップではJapanese Whisky と From Japanese で整理するとのこと。
■基準の明暗そして今後への期待
さて、ここまでは基準における「明」の部分を中心にまとめてきましたが、「暗」となる懸念点についても自分の思うところをまとめます。
冒頭では、”クラフトディスティラリーにおける”ブランド構築”や、”ブレンデッドウイスキー造り”という点では、厳しい内容である。”として触れました。
何かというと、原酒の多様性の確保、特に「グレーンウイスキー」の存在です。
シングルモルトブームの昨今にあって、基準を読む際にモルトウイスキーを連想しがちですが、消費の大半を占めるのはブレンデッドウイスキーです。
ブレンデッドウイスキーをつくるためには、モルトウイスキーだけではなく、グレーンウイスキーが必須となります。ですが、国内でグレーンの製造設備を持っているクラフトメーカーは殆どなく、また設備もポットスチルに比べて高額なことから、スコットランドだけでなく、カナダ、アイルランドといった地域からの輸入原酒に頼らざるを得ないのが実態となっています。(ポットスチルでもグレーンウイスキーは作れますが、連続式に比べ効率が悪く、コストも高くなります。)
大手3者は自社でグレーンウイスキーを作れるので問題はありません。国内外でブランドを確立している有名クラフトメーカーも、あまり問題にならないかもしれません。
しかし、ブームで参入したクラフト蒸留所や、あるいはこれから参入するメーカーはというと、まさに動こうとしていた矢先のことです。
グレーンウイスキーを販売してくれる国内の作り手が無い以上、この基準が施行されると、既存のブランド名や日本を想起させる名称(例えば蒸溜所の地名)で「ブレンデッドを作るな」と取られたり、リリースした商品に対して一般ユーザーから後ろ指を指される可能性もあります。
特に海外市場における影響は重大です。
我々はこの基準を「ジャパニーズウイスキーと名乗る場合の表示基準」と捉えていますが、意図したのか、想定外かはわかりませんが、スコッチや米国の基準と横並びで「日本でウイスキーをつくる場合のルール」として受け取られているケースがあり、これも混乱を呼びかねないと感じています。
というか、現実的にブレンデッドジャパニーズウイスキーを作れないんですよね。
結果、既にブランドを確立しているメーカー優位になりかねず。。。新規参入の障壁となるだけでなく、ブレンデッドウイスキー市場をさらに大手が独占しかねない、その後押しとなる基準にならないかと危惧しています。

(4月以降の日本のウイスキーの整理想定。名称の「奥多摩」は、日本を想起させる地名の例であり他意はない。クラフトメーカーにとって、ジャパニーズウイスキー表記のブレンデッド※4の安定したリリースは難しい状況となる。)
この”グレーンウイスキーの話”をもって、基準を取り下げろとか、バルクを使ってジャパニーズウイスキーを明記してまでブランドづくりをさせろ、という主張をするものではありません。
基準の内容そのものは、現在の日本のウイスキーが内包する問題点だけでなく、製造サイドへの配慮といった多くを網羅するものであり、既に一部メーカーも動きを見せる等実効性もあります。
基準の決め方について、理事会とプロセスの実態がどうだったのか・・・某T氏の発信する情報等から、その透明性は少々気になるところですが、原材料の透明化について業界として動きを見せた。それは大きな一歩だと思います。
あとはこの基準をもとに、更なる問題点にどう対応していくか。何より、業界をどのように成長させていくかが重要です。
透明化の次は、品質ですね。ジャパニーズウイスキーだから買うと言う層の存在が、昨今のブームを起こしているのは事実ですが、愛好家のマインドとしては美味しいから、好きだから、あるいは楽しいから買うのです。
基準が規制である以上、すべてを100%満足させることは出来ません。その上で、基準を守ってもらうメリット(組合に加盟するメリット)も示しつつ、業界全体の成長戦略を考える必要があります。
例えば、ジャパニーズ独自の味わい、魅力の一助となるように、ジャパニーズウイスキー専用の酵母を組合が開発して組合員に提供するとか、品質保証シールのような取り組みはあっても良いのではと思います。
グレーンウイスキーの話もその1つであり、特に緊急性の高いものです。
組合が国内でグレーンウイスキーを調達し、年間決まった量を組合に加盟するウイスキーメーカーに提供するとか。
あるいは、グレーンウイスキーのみを製造するメーカーの立ち上げを業界として支援し、国産グレーン原酒を提供するとか。
時限措置として一定期間、グレーンについては輸入であっても国内で指定の年数以上熟成させたものなら使用して良いとか。。。
今この瞬間、ジャパニーズウイスキーのブランド保全は大事ですが、今後、日本のウイスキー産業をどのように育て、世界的な競争力を確保していくのか。このブームもいつまでも続く訳ではありませんから、組合が公的な側面を持つならば、長期的な視点から対応策を検討していくことも必要ではないかと思います。
今回の基準の公開をもってゴールではなく、業界としてはさらに動きが出てくることでしょう。従うメーカーだけではなく、そうではないメーカーも出てくると思います。
国産ウイスキーの原料等の表記や説明は、各社のモラルによって動いてきた業界に、やっと投じられた1石です。これが将来的に見て、日本のウイスキー産業がさらなる基盤を築くことになる一歩であったとなることを、いちウイスキー愛好家として期待しています。
後日談1:クラブハウスでジャパニーズウイスキーの基準を読み解く配信を行いました。
後日談2:同アプリで、ジャパニーズウイスキーの基準施行後に実現してほしいこと、組合へのリクエストに関する配信を行いました。
(音声は録音公開していませんが、当日の参考情報とメモは、それぞれ公開してあります。)
※以下、余談。
本基準の公開と合わせて、昨日の日経新聞(以下、参照)にも記事が掲載されています。このスピード…リークですね(笑)。
我々が良く知っている日本メーカーがリリースするウイスキーのうち、「富士山麓」「ザ・ニッカ」「フロムザバレル」「ブラックニッカ」「角瓶」「トリス」・・・といったラインナップがジャパニーズウイスキーから外れるとされており、個人的には富士山麓はフォアロ・・・うわまてやめろなにを・・・であるため、ある意味で納得でしたが、あれ?ヒb・・・「それ以上いけない!」・・・とか、読む人が読むと刺激的な内容となっています。
見方を変えると、今回の基準に伴う動きは日本のウイスキー産業を牽引してきた、大手メーカーからの盛大なカミングアウトです。
実態として4年間かはさておき、よくぞここまで各社と調整したなと。決断に至ったキッカケは、赤信号みんなで渡れば精神か、あるいは一般に輸入原酒に関する認識が広まるタイミングを待っていたのか。
"基準による明暗"という本記事のタイトルに倣えば、このカミングアウトが大手にとっては暗であり、一方で明であると言えるのかもしれません。
こちらは後でリストを作って、どれがどうだったのかをまとめてみたいです。
ご参考:「ジャパニーズウイスキー」の定義 業界団体が作成: 日本経済新聞 (nikkei.com)
この定義に基づくと、ウイスキー大手のジャパニーズウイスキーは、サントリーホールディングスは「響」「山崎」「白州」「知多」「ローヤル」「スペシャルリザーブ」「オールド」、海外市場向けの専用商品「季(TOKI)」の8ブランドが対象になる。アサヒグループホールディングス傘下のニッカウヰスキーは「竹鶴」「余市」「宮城峡」「カフェグレーン」4ブランド、キリンホールディングスは「富士」1ブランドと、蒸留所限定などがそれぞれ対象となる。
コメント
コメント一覧 (36)
今回の定義は概ね理解できる内容だと思っております。
出来る限りシンプルなものを・・・と思っていたので、
内容を拝見し、良いんじゃないかと思いました。
グレーンウイスキーに関しては大手から買いやすくしてほしい
ですし、、小規模事業者向けにグレーンウイスキーを製造する
会社が出来そうな気がします。
このウイスキーブームの中で、おっしゃるようにシングルモルトに
注目しがちですが、販売量においてはブレンデッドウイスキーが
圧倒的ですし、連続式蒸留器によるグレーンウイスキーの製造は、
各社の心臓、技術の粋だと思いますが、可能な限り大手事業者は
折角できたジャパニーズウイスキーというブランドのために
小規模事業者に何らかの形で支援してほしいと感じました。
ブレンデッドウィスキーとグレーンウィスキーの調達についての懸念については同意見です。ただ、逆に資金調達ができれば、ジャパニーズグレーンウィスキーに特化して、自社ブランドではなくクラフトメーカーへの提供を意識しての蒸溜所建設もありではとシロウトなりに考える次第です。
こう書いちゃうと響だと勘違いしちゃいますよ。
その下に響はジャパニーズウイスキーとの記事載せてますが。
公表されてることなら、わざわざ仄めかすことも無いと思いますが。
カフェモルトに輸入原酒が入ってるのに驚きました。カフェ式を全面に出して売ってるのに…。
輸入原酒もカフェ式なのでしょうか? 果汁1%ジュース状態だったら悲しいな
ジャパニーズウイスキーとしての価値を高めるか
新規参入をやりやすくし多様性を求めるとともに、
ジャパニーズウイスキーの独自性を高めるか
どちらが日本のウイスキーとしてあるべき姿だったんでしょうか?
大手百貨店で、倉吉・富士山が棚の値札やポップに日の丸を書かれて販売されており、海外からの観光客の方が日本で蒸留されたウイスキーと誤認して購入しそうになる場面にも遭遇したことがあります。
間接的にではあれ、そのテの国産ウイスキーを製造元に圧力をかけられます。
グレーンに関してですが、「国内でグレーンの製造設備を持っているクラフトメーカーは殆どなく、また設備もポットスチルに比べて高額である」と書かれています。
となると、モルトウイスキーを作っているクラフトメーカーが独自にグレーンウイスキーを作るよりも、モルトウイスーを作っているクラフトメーカー向けにグレーンウイスキーを作るメーカーができたり、クラフトメーカーが共同でグレーンウイスキーの蒸留所を作る方が経済的ではないでしょうか。
ついに来たんだなという感想と、そうなんだろうなと今まで思いつつも公式にこうも様々と示されたとあって、考えていた以上に衝撃の大きい情報でした。
くりりんさんのおっしゃる通りでここ近年の各社の動きも今にしてみれば、これらを見据えたものも多くあったのだと。
そして、これを起点に日本ウイスキー業界の歩み方が明確に変わっていくことが一愛好家として、とても楽しみだとも感じました。
メーカー、名前、流通状況からかなり影響が大きい気が…
文化研究所のはウイスキー好きには分からなくはないですが、FTA/EPA で既に実行されている内容とも噛み合わない内容で、トラブルを増やすだけだと感じていましたので、今回の組合の内容にはうなづけるところです。
グレーンの件も確かにそうですが、じゃあ Japanese と付く前の響をジャパニーズウイスキーだと思って買っていたかというと、少なくとも小生はそんなこと考えたこともありませんでした。今回の件でジャパニーズだからと言ってオールドやリザーブに角から流れることもないでしょう。
一方でクラフト系のブレンデッドはそれこそモルトよりマニアックなわけで、それがジャパニーズなのかそうで無いかは、コアな顧客は気にしないのではないでしょうか。
良心的で、出どころのはっきりした原料の純粋な国産で競争される事が、皆が望む姿であろう。
山崎のSingle Malt Japanese Whiskyへの表記の変更はこれの伏線だったのでしょうね、多分。もしかすると竹鶴エイジ物の終了もこれが原因かな?(海外に蒸留所を保有していますし)。
それはさておき100%国内蒸留でなければ、ジャパニーズを名乗れないのはクラフトメーカー殺しの条文ですね。1%の追いグレーンでもNGですからね。大手の責任としてグレーンウイスキーを供給すべきかと。
そもそも原材料名に「モルト、グレーン」しか記載されていないのが原因だと思いますが…。一部輸入原酒を使用していますって、「どんだけ~~。」なんですよね。
飲み手側からすれば1%なのか49%なのかで主観的に変わってきますので成分表的に余市○○%、宮城峡○○%、輸入原酒○%とか記載されていれば判断材料になりますが。
それと地名が使えないのは、よくキリンがokしたと思います。地名を取ったら、只の山麓ですもんね。いっそのこと、樹海に改名とか…。(笑)
ともあれ、黒歴史のオールドがジャパニーズを名乗れるとは思いもしませんでした。絶対、輸入原酒使っていると思い込んで敬遠していました。こりゃ、1本購入してみなければ。
竹鶴エイジングはもっと前に品薄に。ブームで少ない数が飲み尽くされ、数が出せないことからでしょうね。
グレーンについてはきちんと供給できる環境も作られることが確約されていることを祈ります。
ニッカとしては悲願叶ったといったところでしょうか?
メージャではない地ウイスキーメーカで、ジャパニーズウイスキーとよべるなはなく
倉吉は、どうなってしまうのか?
ジャパニーズウイスキーといい続けるのか?
詰め替えウイスキーは、ジャパニーズウイスキーといえるのか?今後に注目です。
コメントありがとうございます。
正直なところ、大手は別にクラフトが無くても生きていけるので、グレーンについてはどこまで協力的になってくれるかは未知数ですね。
また、グレーン蒸留所が立ち上がったとして、建設にかかる時間、原酒の提供がすぐにできるわけでもないので、3年間という時間制限は長いようで短い。ジャパニーズウイスキーの表記にそれを打ち消すメリットがあるか…あるいは相互に協力するメリットが無ければ離反者も出てしまうなと。
三郎丸蒸留所が原酒交換の表明など、追加の動きを見せていますので、是非後に続く蒸留所が出てほしいなと思います。
ご無沙汰しております!
そうですね。資金調達というハードルがクリアできれば・・・。ただ、クラフトが大手ブランドに対する競争力のあるウイスキーを実現するとすれば、それは価格面か、あるいは突き抜けた個性ということになり、大手ほど安価なグレーンは作れないでしょうから、必然的に実現すべきは、深い味わいを実現する良質なグレーンと言うことになると思います。
となると、熟成期間が必要。これもまたいばらの道。やはり時限的でもいいので、大手の協力は必要ではないかと考えています。大手にとっては、旨みは無い話ですが。。。
受け取り方はお任せいたします。
コアな愛好家にとっては結構「あれ?」と思う内容であったので、その気持ちのままに書きました。
個人のブログ記事ですから、メディアには書けない表現や発信があってこそ、楽しめるものと考えています。とはいえそれは誤解を生じさせない範囲であり、そこは気を付けていきたいと思います。
コメントありがとうございます。
まさにカフェモルトは驚きでした。ホント、何が混じってるんでしょうね。ニッカの連続式蒸留機で蒸留された甘い味わいの原酒がメインであることは間違いないと思いますが…。海外で連続式でモルト作ってるのは聞いたことがありません。ということはそうじゃないモルトでバランスをとっていた、と言うことでしょうか。謎ですね。
コメントありがとうございます。
蒸留所を持たない新規企業が酒税法の解釈で色々やった結果、この基準の制定に繋がったという経緯でもあるため、蒸留所を作れるくらいじゃないと参入は認められないという考えがったのかもしれません。
ですが、スコットランドにあって日本には無いのが、ジョニーウォーカー等の国際的なブレンドメーカーです。アメリカにも、原酒買いのブランドのみバーボンも多数あります。蒸留所を持たないメーカーの参入もそうしたブランドを生み出す可能性があります。
ただ、国内の原酒のやり取りが少ないのが、これら2国と日本の大きな違いなんですよね。
個人的には、この基準の中で活動を制限された蒸留所同士が繋がりをつくり、原酒をやり取りして大手に対抗していくという構図を作っていく。大手VSクラフト連合という姿が、日本として世界から見てオリジナルで、面白みがあり、モルトだけでも多彩なリリースに繋げられる姿ではないかと感じています。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
最近日本酒が妙に進んでなりません。ってそんな個人的な話はどうでもいいですね(笑)。
この第6条第3項は、国内における原酒の動きがほとんどない現状では実効性が無いように見えて、酒類(ブレンド用アルコールなど)販売という点で効果が期待でき、その手のメーカーに今の商売を続けたかったらちゃんとやれと、けん制できるんですよね。
バルクについては商社の扱いであり、商社は同組合には入ってないのであまり効果が無いかもしれませんが…。
また他のコメントでも触れましたが、国産グレーンは原料価格の関係で海外産ほど安くならず、さらにグレーンの製造、熟成にも時間がかかることから、仮にそうした企業が立ち上がってもよほどの規模の蒸留所であるか、良質なグレーンが育つまでの時間を担保出来る取り組みが無いと難しいのかなという現実問題もあります。
また、合弁会社は知財や売り上げの関係でもめることが多いので(この場合はグレーン原酒の振り分け)、やはりどこか大きな企業が音頭をとって、協力姿勢を見せてくれないと難しいのかなという印象です。
とはいえ、この現状に対してクラフト側が連携して魅力的なブランドを発信していかないと、結局は共倒れになる可能性もあるため、どこかがリーダーシップをとって動いていってほしいと考えています。
コメントありがとうございます。
記事にも書きましたが、この基準がゴールではなく、ここからさらに議論をしていく必要があります。
企業任せではなく組合としてしっかりリーダーシップをとらないと、第6条第2項などの逃げ道で、結局WEBで情報開示されただけでほとんど変わらず、という結果も考えられます。
また、苦しい立場となったクラフトについては、一層の動きも必要になりますから、その先にある変化、各社の動きも注視していきたいと思います。
変化の先に進化ありですからね。
江井ヶ島蒸留所は、連続式蒸留機は過去に廃止したので、グレーンは作れません(ポットスチルで作ろうと思えば作れますが)。
なので、第6条第2項により、WEBやラベルに「輸入原酒を一部使用」と表記して、ラベルを維持するのではないかと思います。
一方で、輸入原酒を使った場合、日本的な名称を記載してはならないという基準の整理ですが、ラベルに書かれる蒸溜所名称は、日本的な名称にあたるのか・・・。ガイドラインが明らかにされていないので、この辺は組合からの追加の情報発信を待ちたいと思います。
コメントありがとうございます。
基本的に今回の基準で、製法等に関する箇所はScotch Whisky Regulationに沿った内容なので、既にある国際的な枠組みにも合わせやすいと思います。
そしてコメント頂いた内容はまさにそうで、別に愛好家はジャパニーズだからと買っていたわけではないんですよね。ただしこのブームを維持するだけの資本を流入されている層は、ジャパニーズだからと買っている現実もありますので、ここはジャパニーズの透明化、水域整理で対応するとしても、どうやって品質、美味しさを向上させていくかも焦点だと思います。
現状、ジャパニーズだから美味いかと言われたらそうではないですから。
今回の整理の目的は非常にわかりやすい一方で、その先を見据えた議論もしていってほしいと考えています。
“Coffey Malt is all distilled in Nikka’s Coffey stills, but a part of the old batches in the formula was made from distillates imported from Ben Nevis and then distilled in our Coffey stills as a part of our experiments in the past.”
コメントありがとうございます。
現在の日本の酒税法は日本におけるウイスキー黎明期の亡霊のようであもり、一方でそのグレーゾーンがあったことが日本のウイスキー産業を支え、発展させたという実態的な効果もありましたから、一概に悪とは言い切れないと思います。
何事もそうですが、良いルールも悪用しようとする輩がいるから制限されてしまうのであって、例えば日本の酒税法があったからこそ、イチローズモルトしかり、世界に名だたるブランドとなった企業もあります。最初からガッチガチだった場合はウイスキー産業への参入も、リリースを行うことも出来なかったと思います。
柔軟さを維持しながら、どのように悪貨を駆逐し、求められる姿に導くか。難しいことですが、業界として様々な議論が行われていくことを期待したいです。
大手含めて信用してないので
クリリンさん、一部輸入原酒の定義を考えていたら、分からなくなりました。(笑)
一般的には3年以上熟成されたグレーン等のウイスキーを指すと思っていましたが建前上は輸出できなくなっていたと記憶しています。(裏ではありありですが)輸入するとすれば、ニューボーンかニューメイクの段階で輸入し、国内で3年以上樽詰めしてウイスキーにした場合は輸入した段階ではスピリッツで原酒(ウイスキー)ではないし、今回の条文で国内蒸留でもないからジャパニーズも名乗れない無国籍の野良ウイスキーが出来上がりとなっているような…。かっこよく言えばハイブリッドウイスキーなんですが。う~ん。
尚、単なる詰め替えウイスキーは完全なクロなんですがBENNEVISの場合は違う意味でのグレーゾーンなんですよね。単純な資本注入や買収ではなく、閉鎖蒸留所を改修、再稼働させています。
例えば、ハイネケンは国産ビールかオランダビールか?(ライセンス生産品)とか、iPhoneはアメリカ製か中国製か?みたいな感じで悩ましい。
いつもコメントありがとうございます。
サントリーの動きはまさにですね。このほか、角瓶のラベルとオールドのラベルを見比べると、角瓶にはジャパニーズ関連の記述が一切ないのに、オールドにはJAPAN表記がいつの間にかあったりとか、なるほど考えられてるなと。こういう変化に気が付くのは一部の愛好家だけだと思うのですが、情報が武器となる、あるいは決める側が強いというのはどの時代も変わらないものですね。
角瓶は輸入原酒ではなく3年未満の原酒(例えばグレーンとか)が使われているからかもしれませんが、ともかく私もオールドは買ってみたいと思います(笑)。
>富士山麓
これは本当に意外でしたが、富士山麓ではなく”富士”を昨年3月にリリースした背景はこういうことかと。価格帯的にも香味的にもモロかぶりでしたから。
勿論第6条2項にのっとって、輸入原酒使用とか、一部未熟原酒使用とか、説明を追加して継続することは可能ですが、グレーン原酒は富士や陸に回し、使っていたモルト原酒だけ別のブランドに回す分割整理も考えられます。いずれにせよこれからの業界の動きは要チェックですね!
コメントありがとうございます。
今回の基準の制定は、共通の整理として実態は大きく変わらず、しかし対外的なアピールにはなり、かつ好き勝手やるクラフトには一定の基準としてけん制する。
問題点として考えられる内容について、1~5段階くらいで悪いランキングを作り、最も悪いところをカットしに行った。Lv3,Lv4くらいは警告にとどめた。そんな感じだなと思います。
ニッカはどうでしょうか。ある意味ベンネヴィスの存在を隠す必要がなくなりましたから、今後のブランド戦略に変化があるかもしれませんね。
コメントありがとうございます。
一部本当にブームに乗っかって小銭を稼ぎに来たようなメーカーがあるのも事実ですね。
その点蒸留所を作っているところは本気度が見えますし、また、蒸留所がないメーカーでもしっかりとブランドづくりをしているところもあるので、今回の基準がその線引きになればいいとも思います。
コメントありがとうございます。
今回の基準は、まさに倉吉のようなブランドをけん制する意味が強いと思います。
(現在の業界を見ると、倉吉以上にアレな銘柄も多数ありますが、それでも倉吉が最前線に連想されるのは、印象というのがいかに大事かが良くわかりますね。)
で、倉吉についてですが、多分これは残ると思います。
記事中でも触れていますが、第6条第2項で説明すれば日本的名称は使えるということになっています。
倉吉は「輸入原酒を使っている」ことは名言しているので、それをラベルに入れるか、WEBで記載するかして、多少ラベルデザインを変えるくらいにとどめるのではないかなと。
とはいえ今回の基準が一定の抑止力になるのは事実なので、ブームに乗って小銭を稼ぎに来たブランドと、本気でウイスキーをつくろうとする中で原酒の多様性確保のために輸入原酒を使っているブランドとで線引きがされると良いなと思います。
そうですね。竹鶴のエイジングが終売になったのは2013年頃でしたでしょうか。
これはブームが来て飲みつくされたという側面だけではなく、スコッチ法(スコッチウイスキーレギュレーション)が変わり、熟成させたシングルモルトをバルクとして輸入できなくなって原酒が足りなくなったからという側面もあると思います。
そうですね。ジャパニーズは冬の時代の貯金である熟成した原酒がほぼほぼ使い尽くされ、バルクも制限されとなって、これから本当の姿が出てくるわけです。
嗜好品ですから自分が良いと思うものを楽しむのが一番だと思います。
おそらくスコッチウイスキーレギュレーションのことだと思いますが、まず、この法律上ではスコッチウイスキーと定義されたもの(3年熟成以上)の原酒は、シングルモルト、シングルグレーンとしては輸出できず、バッテッドモルトやバッテッドグレーン、あるいはブレンデッドウイスキーとしてしか輸出できません。(グレーンについてはスコットランド以外のカナダやアイルランドの量産品もありますが、ここは蒸留所を明かせません。)
なので、一般的に商社が扱うバルクは3年以上のブレンド製品で、この記事の画像にある※1~※4の整理で、※1と※2はシングルがなくブレンドのみしか記載がないのもそのためです。
一方でおっしゃるように、ニューメイクであればシングルで輸入できます。
このグレーンスピリッツやモルトスピリッツの扱いは、第5条に照らすと「国内の蒸留所で糖化から行っていない」となるのでジャパニーズではなく、スコッチ法的にも3年熟成していないので、スコッチではない。まさに野良ですね。故にこれを使うとどちらとも名乗れないので、ニッカ製品とかは「輸入原酒」を使ったとなっている商品が多く見られるのだと思います。
畑の違う話となりますが、電子機器や車などでは100%国産に拘るところはないですから、良い商品を実現するために、海外から色々取り入れるのはアリではないかと思うんですけどね。
コメント&情報ありがとうございます!
ベンネヴィス蒸留所にもたしかカフェスチルがあったはずで、それがどうなったんだろうね、とは仲間内で話をしていました。やっぱりそういうことでしたか。
ただそうなると結構古い原酒ってことになるのか・・・このタイミングで除外して、ジャパニーズ表記にすることは出来なかったのか。なんかこの点はニッカらしさですね(笑)