カテゴリ:
arran_25
Arran 
Single Malt Scotch Whisky 
25 Years old 
Distilled 1995 
Bottled 2020 
Cask type Bourbon Barrel 65%, Sherry Cask 35%
Re-casking 1st fill sherry and refill sherry hogsheads (12 month)
700ml 46% 

暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:やや重みのあるシェリー香が主体。プルーンやデーツ、微かにアーモンドチョコレートやカカオのニュアンス。奥にはバーボン樽由来のオーキーな華やかさが混じる。ふくよかで嫌味の少ない香り立ち。

味:滑らかでまとまりの良い口当たり。黒砂糖や甘酸っぱく煮込んだダークフルーツのようなフレーバーに続いて、アランらしいフルーティーさが開く。余韻は程よいウッディネス、オークフレーバー。シェリー樽由来の残り香が鼻腔に抜ける、リッチなフィニッシュが長く続く。

シェリー系だが圧殺ではなく、綺麗な仕上がり。フレーバーの傾向としてはダークフルーツ、黄色系フルーツ、チョコレート、というシェリーオーク&アメリカンオークのそれ。同じオフィシャルラインナップでは21年より18年のベクトルにあると言えるが、その18年を磨き上げ、嫌な部分を極力なくしたと言える洗練された構成でもあり、例えるなら18年が純米吟醸、25年は純米大吟醸という感じ。蒸留所として今出来るベストを尽くしたと感じる1本である。

EsJQOtuVgAIe5-f

1995年創業のアラン蒸留所が、2020年に創業25年を迎えたことを記念し、3000本限定でリリースした25年熟成のシングルモルト。本数は限られていますが、今後25年はアランのオフィシャルラインナップでコアレンジ扱いとなり、毎年少量ずつリリースされていく予定とのことです。
国内は2021年1月時点で未入荷でしたが、ウイスキー仲間経由で、その貴重な1st ロットをテイスティングさせて頂くことが出来ました。

原酒の構成比率はバーボン樽原酒が65%、シェリー樽が35%。香味ともシェリー樽由来のフレーバーがメインにありますが、主張しすぎないバランスの良さがポイントです。
また、今回のリリースには特徴的なスペックとして、どちらの原酒もボトリング前に、1stフィルまたはリフィルのシェリーホグスヘッド樽に詰め直し、さらに12か月間熟成を経ていることが触れられています。

これは確認できる範囲で、既存の18年や21年等オフィシャルリリースには無い記述です。
1樽1樽移しているのか、一旦混ぜたものをマリッジを兼ねて再充填したのかは不明ながら、3000本限定というリリース規模なら、どちらであってもおかしくはないかなと。(シェリーバットやパンチョンからホグスは、24年間のエンジェルシェアがあっても入らない可能性があるので、やっててバーボン、シェリーの区分で混ぜて、それぞれに対応したカスクに再充填かなと予想。)
シェリー樽原酒のフレーバーにアメリカンオークの華やかさが溶け込み、25年の特徴とも言える一体感のある味わいを形成することに、一役買っているのではないかと思われます。

IMG_20200403_002856
(比較対象と言える1本。今回のリリースを飲んで真っ先に連想したのは18年だった。)

トロピカルとも称される黄色いフルーティーさを伴うシェリー樽熟成モルトは、愛好家に人気である反面昨今のウイスキーシーンでは中々お目にかかれないものです。ただ、近年のアランは疑似的ながらそのフレーバーに近いものをハウススタイルの一つとして構成し、リリースしてきました。

日本市場にも流通したアランのシングルカスクや限定ボトルしかり、2019年のリニューアル後にシェリー路線へと転換した、写真の18年新ラベルしかり。これまでのリリースで培ったノウハウ、ブレンド技術をもって、今アラン蒸留所にあるものでベストを尽くした。その結果が、この25年であるように感じる仕上がりです。
というか、創業初期のアランの原酒って、そんなに評判良くなかったと思うんですよね。シェリー樽も硫黄系のフレーバーが目立ったり、酒質も垢抜けないというか…。

勿論、熟成を経て成長したとか、原酒の中でより良いものを厳選したとか、一概にこれまでのリリースで語ることは出来ないかもしれません。ですが、事実として創業初期の原酒にそういう傾向・評価がある中で、それをここまで磨き上げた。蒸留所の努力と工夫に対し、あの有名な一言で記事をまとめたいと思います。
「いやー、良い仕事してますね!!」