ハンキーバニスター 8年 1970年代流通 特級表記 43%
HANKEY BANNISTER
YEARS 8 OLD
SCOTCH WHISKY
1960-70's
760ml 43%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後3か月程度
評価:★★★★★★(6)
香り:トップノートは黒砂糖やかりんとう、ほのかにみたらし、カラメルソース。香ばしい要素が混じる色濃い甘いアロマ。古典的なシェリー感の一つが軸となり、そこにデメラララムのようなグレーンの甘い香りも混じる。
味:適度なコクとまろやかさ。香り同様のシェリー系のフレーバーが広がる、まったりとしたリッチな味わい。余韻は軽いスパイシーさと、キャラメルソースを思わせる甘味、ほろ苦さ。奥に乾煎りした穀物、アイスコーヒーにあるような酸味を微かに。
年数表記以上の原酒もブレンドされているとは思うが、8年熟成とは思えないリッチな味わい。当時らしいカラメル系のシェリー感や加水の影響を受けながら個性を残す、香ばしくしっかりとしたモルティーさ、熟成したグレーンの甘みを感じられるのがこのブレンドの魅力である。グレンファークラスがキーモルトと言われても違和感は無いが、実態は不明。ストレートで。
7月頃、ふと濃いめのオールドブレンデッドが飲みたくなり、開封したボトル。ハンキーバニスター8年のJAPAN TAX付き。
狙い通りの味なのですが、若干の引きこもりと金属っぽさがあったので、ワインコルクを刺して放置プレーしていました。気が付けば夏が終わり、秋も晩秋というところ。そういえばこの手のウイスキーを飲むには丁度いい時期になったなと。これもまた狙い通り、香りがしっかり開いて美味しく頂けています。
ハンキーバニスターのスタンダード品は、1980年代前後で原酒の傾向が大きく変わります。シェリー感が濃いのが1970年代までで、求める味は断然こっち。1980年代は15年等の上位リリースに原酒がまわされたのか、12年以下のグレードはシェリー感が淡くなり、リフィル系統の樽使いにシフトしたような印象を受けます。
撮影条件が違うので何とも言えませんが、過去に当ブログでレビューしたものと比較しても、その色合いから系統の違いを察していただけると思います。
(1980年代のハンキーバニスター12年。色合いだけでなく、紋章の違いも時代考察材料。)
同銘柄は、日本では三越デパートを中心にギフト品として展開されており、今回のボトルにも三越のシールが貼られていますね。
ところが洋酒ブームの終焉をもって日本への輸入が途絶えたのか、あるいは88年に親会社がSaccone & Speed社からインヴァ―ハウス社となり、ターゲット市場が変わったか、90年代には姿を消していました。で、そのまま終売かと思い込んでいたのですが、最近はまた輸入が始まったようです。
調べてみると、本国ではリリースが継続されており、40年熟成品までラインナップにあるのだから、知らないウイスキーがまだまだあるなと思い知らされます。
ちなみにこのSaccone & Speed社は1982年にグレンファークラスの販売代理店となり、ラベルに同社の名前が書かれることが、オールドファークラスの時代考察材料としても知られています。
販売代理店になるくらいだから、それ以前から蒸留所との繋がりは深かったと考えられるものの、実は今回レビューする時代のハンキーバニスターのキーモルトが、ファークラスであるという記述はスコッチオデッセイ以外見当たらない。。。いや味的に違和感はないのですが。
なお同誌の記述によると、この銘柄が特に日本に入ったのは1980年代からだそうで、確かにリユース市場で見かけるのはそのあたり。
80年代なら、15年や21年は同様にとろんと甘いシェリー感があるのですが、熟成が進んだためか、陶器のため抜けているのか、味にメリハリが少ないのがこの8年との違いと言えます。
若い原酒も、古典的な樽感も、熟成した原酒もうまく使って仕上げられた、近年中々見られないブレンドです。
コメント
コメント一覧 (7)
講談社・世界の名酒事典・初版(78年1月5日発行)では東京丸一商事の発売。
82-83年版と84-85年版は三越もいっしょに発売元に記載。
86-87年版からレオドール貿易と三越が発売元として90年版まで。
91年版からレオドール貿易のみとなり、95年版まで掲載されてますね。
残念ながら味わったことはありません・・
白ラベルもピート感あってなかなかいいです。
ハンキーバニスタースペシャルはハズレが多いので注意。
Saccone社は1932年にハンキーバニスター社と提携。最近建設した工場でハンキーバニスター他のブランドのブレンド、ボトリングを行なっている。輸出用ブランドの出荷先は日本、スペイン、イタリア、ニュージーランド等。スコットランド、イングランド、ウェールズでのグレンファークラスのディストリビューター。
同じ本のグレンファークラスの項で 95%がブレンド用に出荷。ただここで言及あるのは Highland malt のみ。(別項の Old Highland Blendにキーモルトとしてきさいあるので、ブランドはこれが正しいか?)
との記述。Saccone社がその他のモルトの代理店だったとは書いてないので、グレンファークラスとは関係は深かったのでしょうが、この本にもハンキーバニスターにキーモルトとして入ってるとは書いていないですね。
情報ありがとうございます。
そうですね、時期的に70年から90年代あたりが日本に流通した時期だと思います。
いただいた遍歴に合わせると、裏ラベル等との整合でさらに流通時期が絞り込めそうですね!
おっしゃる通り、陶器のバニスターは外れが多いんですよね。フロストボトルのやつも横置きが多かったのか、コルク臭がついているものが散見されまるし、なかなかに難しい・・・
となると、スクリューキャップで70ー80年代が一番安定している気がします。
知る人ぞ知る銘柄ってところでしょうか。
※コメント反映遅れて申し訳ありません。
詳細な情報ありがとうございます!
グレンファークラスが95%ブレンド用だったという記述は、当時のスコッチ業界の位置付けと合わせて時代の違いを感じさせる数字ですね。
ですが、ハンキーバニスターがファークラスって記述は無いんですよね。この8年の味なら違和感はないんですが、どうもネットでそういう情報がかかれているの日本くらいのようで・・・。
わかったところでなにかが変わるわけではないのですが、こういう疑問にあれこれ考えるのがオールドの楽しみなので、仕方ないのです(笑)