グレンアラヒー 25年 オフィシャル 2018リリース 48%

GLEN ALLACHIE
SPEYSIDE SINGLE MALT
AGED 25 YEARS
Released from 2018
700ml 48%
グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(6)(!)
香り:オーキーで華やか、ドライなアロマ。バタースコッチや蒸かした栗の甘さに、リンゴのタルト、ドライマンゴーのようなリッチなオークフレーバー、微かにハーブのニュアンスも混じる。
味:粘性のあるモルティーな口当たり。香り同様にリッチなオークフレーバー。黄桃の缶詰、シロップ漬けアプリコットのような、とろりとした甘みを伴う黄色系果実のフルーティーさ。またマロンクリームのようなオーク由来の甘味、麦芽風味も奥に感じられる。
フィニッシュは華やかでドライ、軽いスパイシーやウッディな渋みを伴う余韻が長く続く。
突き抜けた美味さ、というより総合的に完成度の高いシングルモルト。アメリカンオークのリフィルシェリー樽で熟成させたスペイサイドの長熟オフィシャルはこうなる、という仕上がりの一つ。熟成感が年数表記以上に感じられる一方で樽もやや強め。余韻はウッディだが、ボディがしっかりしているためか、それを受け止めて麦感も感じられる点は好印象。加水も少量までなら良好。
突き抜けた美味さ、というより総合的に完成度の高いシングルモルト。アメリカンオークのリフィルシェリー樽で熟成させたスペイサイドの長熟オフィシャルはこうなる、という仕上がりの一つ。熟成感が年数表記以上に感じられる一方で樽もやや強め。余韻はウッディだが、ボディがしっかりしているためか、それを受け止めて麦感も感じられる点は好印象。加水も少量までなら良好。
そのグレンアラヒーのオフィシャル通常ラインナップにおける、最長熟成品が今回のレビューアイテムである25年。市場価格は少々高めですが、原酒構成は40年以上熟成となる原酒を含む25年熟成以上の原酒を用いて構成されており、テイスティングで感じた強い熟成感も納得。度数は48%と通常ラインナップとしては高めな仕様で、バランスがとれつつもリッチなフルーティーさが魅力の1本です。
グレンアラヒー蒸留所は、ブレンド用の原酒調達を目的に1967年に設立した蒸留所です(ブランドPRでは1968年という記載があるが、会社の設立が67年、創業開始が68年だった模様)。以後、同社のブレンデッドであるマッキンレーズのキーモルトとなっていましたが、スコッチウイスキー冬の時代である1980年代に入り消費が低迷。1985年にインバーゴードン社へと売却され、1987年には生産調整のため操業休止。1989年にはさらにペルノリカールへ売却・・・と、ブレンド向け蒸留所の多くがこの時代に経験したようなルートを辿ることとなります。
1990年代に入ってもグレンアラヒーはブレンド向け蒸留所の区分にあり、オフィシャル扱いのシングルモルトリリースはごくわずか。
2000年に入りシングルモルトのブランド価値が向上するなかでも、ボトラーズリリースくらいでしか知られていない、マイナーな銘柄と言っても違和感はなかったと思います。
そのマイナー蒸留所の転機は、ベンリアックやグレンドロナックを一躍世界有数のブランドへと成長させ、2016年にブラウンフォーマンに売却して大きな利益を得た、ビリー・ウォーカー氏の次なるビジネスモデルのターゲットに選ばれたこと。2017年にペルノリカールから大量の原酒ストックと共に蒸留所が売却され、現在の体制へと繋がります。

(2018年に発売となった、グレンアラヒーのオフィシャルスタンダードラインナップ。後にこの4種にシェリーカスク熟成の15年が加わる。また、シングルカスクリリースも積極的に展開されている。全ラインナップの整理とフレーバー構成については、後日別途機会を作ってまとめる予定。)

(グレンアラヒー蒸留所創業50周年を記念したリミテッドリリース。上のオフィシャルラインナップの発売に先立ち、6種類のシングルカスクが展開された。このうちの最長熟成となるのが写真の1978年蒸留のシェリー樽原酒。微かにサルファリーだがリッチで奥行きと複雑さの感じられるモルト。酒質の素性は良く、40年弱の熟成を経て枯れた印象もない。)
今回の25年は、近年のスペイサイドモルトでありながら、熟成に耐えるボディの厚さと、その熟成によって得られるリッチなフルーティーさ等、グレンアラヒーの良さとして今後のリリースへの期待も感じられるボトルだと思います。
ただオフィシャル通常ラインナップの宿命とも言える、香味のバランスを整えるようなブレンド仕様になっているが故に、突き抜けるような味わいではない点が、このボトルの味を単体で評価するにあたって「美味しい」の先が別れるところだとも思います。
個人的なイメージは、ラグジュアリーな高級車。分かりやすい速さより、質感重視といいますか。こういうボトルが家飲みにあったら最高なんですが、庶民の私にはそうそう手が出ないので、多少仕上がりは粗いけど、類似のフルーティーさのあるボトルを手に取ってしまう(笑)。
そんなわけで、評価は辛口かもしれませんが、評価方針の違いであって、間違いなく美味しいボトルであることは補足させていただきます。
以下、本ボトルをテイスティングした、新宿ウイスキーサロンさん繋がりの情報が入ってきましたので合わせて紹介します。
営業自粛中だった同店ですが、本日5月7日から営業時間を14時~20時に改め、カフェとして再開するそうです。
フードメニューに加えて、ノンアルコールカクテルも11種類追加されているとのこと。(アルコール類の提供は継続しますが、ラストオーダーは19時。)
ちなみに写真の清里カレーは、自分も大好きな清里・萌木の村のレストランRockの名物とも言えるオリジナルカレーを取り寄せて提供しており、売り上げの一部を萌木の村に寄付されるという粋な取り組みも。。。
ちなみに写真の清里カレーは、自分も大好きな清里・萌木の村のレストランRockの名物とも言えるオリジナルカレーを取り寄せて提供しており、売り上げの一部を萌木の村に寄付されるという粋な取り組みも。。。
コロナウイルスの影響が厳しいなかで、多くの店舗で工夫し、対策した上での取り組みが始まっていますね。詳細は同店WEBページを確認ください。
カフェ新宿ウイスキーサロン 本日スタート
コメント
コメント一覧 (4)
夜に家から出られない日々が続いていますが、たまには家でゆっくりとウイスキーライフを楽しんでください。
こちらこそ、ご無沙汰しております。
グレンアラヒーはまさにプレーンなタイプですね。スペイサイドですが、どちらかと言えばハイランド、麦系の要素が強くある原酒だと思います。それが熟成していくことで、長期熟成スペイサイドの典型という系統に仕上がっていくと。
2018年から仕込みが多少変わっているようで、今後どうなるかはわかりませんが、今のグレンアラヒーのベース部分のキャラクターは、オフィシャル10年のカスクストレングスが一番わかりやすく作られていると思います。
こういうプレーンだけどボディの厚い原酒をブレンドに使うと、その上に作り上げるフレーバーの土台になって香味も安定するんですよね。縁の下の力持ちっていうんでしょうか。最近いくつかブレンドづくりに関わらせてもらって、原酒の質の重要さを改めて認識しています。
家庭にウイルスを持ち込むわけにはいかないので、日中も自粛です(笑)。
仕事しながらでもつい酒瓶に手が伸びてしまいそうになりますが・・・。
最近は、皆様から頂いたサンプル(ブラインドが多いw)を楽しませてもらっています!
SNSでは腕立て伏せチャレンジとか、いろいろな試みがありますが、自分はそのブラインドチャレンジ(笑)を記事にしていきたいですw
スコッチは、ジャパニーズほど顕著ではありませんが、軽く、味が低下しているように感じる。
このような状況とコロナ不況が重なり、もはや、ウイスキーを楽しむ気力も余裕もなくなってしまいました。お金持ちしか美味いウイスキーは飲めません。
ジンへの切り替えを決定しました。
お気に入りのボンベイサファイアを記念日や、特別な日に。養命酒の香りの雫を常飲用に。
ああ、とんでもない時代になりました。
コメントありがとうございます。
10年前、いや5年前と比較してもなかなか厳しい状況になってきていますね。
スコッチについても同感です。最近はそうした「軽さ」を問題として認識して取り組むメーカーもあれば、あえてその軽さを活かしてくる動きもあり、完全に時代が変わってしまったんだなと感じている日々です。
こんなブログをやっていてなんですが、最近自分もウイスキーだけにこだわらず色々なお酒を楽しむようにしています。
ホワイトリカーに抵抗がないようでしたら、是非冷凍ウォッカと冷凍フルーツの組み合わせ、あるいはソーダ割がオススメです。
氷のようにコンビニで売られている冷凍フルーツを使うのですが、気が付くと最近こればかり飲んでます(笑)。
ウイスキーの状況はどうにもなりませんが、だからこそ新しい可能性を探求していくのも、良いものだと思います。