アラン 18年 46% 新ボトル 2019年リニューアル
ARRAN
Single Malt
18 years old
Release to 2019~
700ml 46%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後数日
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)(!)
香り:近年寄りのシーズニング系のシェリー香。ダークフルーツのシロップ、微かに焦げたオークとかりんとうを思わせる香ばしさ。奥にはオーキーなバニラや華やかさが混じり、複雑さを与えている。
味:ドライプルーンやチョコレートケーキを思わせる色濃い甘味。序盤は香り同様近年のシーズニング系の香味がメインで、若干焦げた樽のエキスのような要素も混じるものの、それを打ち消すように黄色系のフルーティーさが広がる。
余韻はウッディさと柑橘の綿のようなほろ苦さ。シェリーの甘味の残滓の中に、オークの華やかさが混じって長く続く。
色合いの通り、シェリー系の原酒がメインの構成で、旧18年から大きくベクトルを変えてきた。全面にシーズニングシェリーのそれがあるが、ベースにあるのはアランらしいフルーティーさで、シェリー感の奥から開いてくる。加水だが、骨格はしっかりしていて物足りなさはない。
現在の市場において、1万円以内のシェリー系モルトのエースとなれる存在。
2019年に大規模なリニューアルを実施した、アラン蒸留所のオフィシャルリリース。
ラベル、ボトルデザインの変更に加え、中身にも大なり小なり変更があり、上と下の新旧写真を見るだけでもそれは明らかです。
アラン蒸留所は、スペイサイドとハイランドを足して2で割ったような素直な酒質と、アメリカンオークとの馴染みの良さが特徴。15年熟成を越えたあたりから一気にフルーティーな味わいに変化していく傾向が、オフィシャルリリース全般にあるハウススタイルと言えます。
一方、今回のリニューアルでは10年、18年、21年、エイジング表記がある3種類それぞれに共通して"アメリカンオーク"ではなく、"シェリー樽原酒"の使い方に変化が見られるのがポイントだと感じています。
10年はバーボン樽主体のなかにシェリー系の原酒が繋ぎとなって、21年はリフィルシェリー(ホグスヘッド)系の比率が増えて、どちらもバランスのとれた味わいとなっていました。
ではアラン18年の変化はというと、色合いで比較してもわかる通り、構成が明らかにシェリー寄りになりました。3本の中で、最も大きな変化があったボトルと言えるかもしれません。
(アラン18年の旧ボトル。シェリー感は繋ぎ程度で、アメリカンオーク由来のオーキーな黄色系のフルーティーさがメイン。麦感を伴う適度な厚みのある酒質も楽しめるバランスの良さ。類似のモルト(対抗馬)は、グレンモーレンジ18年。1万円以内の価格帯におけるエース候補だった。レビューはこちら。)
公式の記載は旧18年と変わらず、シェリーホグスヘッドとバーボンバレルのバッティングとのことですが、1st fill シェリー樽と思われる濃厚な原酒の比率が増えているのが香味からも色合いからも伝わってきます。
そのため、オーキーで華やかな含み香ではなく、ドライプルーンやチョコレート、微かに焦げたオークのニュアンスを含んだ、リッチなシーズニングシェリー香が、まず香味の前半部分で主体となっています。
使われているシェリーホグスヘッドは、バットからの組み直しではなく、近年増えている最初から250リットルのサイズで作られたシーズニング樽でしょう。それだけだと、アランのような酒質は圧殺されて逆に単調になりがちですが、そこは複数樽バッティングのオフィシャルボトルです。
シェリー感のバランスをとりつつ、余韻にかけて旧18年にもあったアメリカンオーク由来の黄色系のフルーティーさが広がってくる。いかにもアランらいしと言えるキャラクターが、近年のシェリー系のネガティブなところをうまく打ち消しています。
この香味の幅が、新しいアラン18年のポイントであり、魅力であると言えます。
過去のアラン18年は、上に書いた通りアメリカンオークのフルーティーさと華やかさがメインにあるモルトであったため、いくつかの蒸留所のオフィシャルと方向性が重複していました。
勿論それも価格帯別では充分上位にあるクオリティでしたが、シェリー系にジャンルがシフトしたことで、同ジャンルにおける1万円以内の価格帯では”候補”ではなく”エース”になったと言えます。
この価格帯で購入できる現行品モルトのなかで、アラン18年以上のシェリー系モルトは見当たりません。
勿論、これだけ大きな変化ですから、旧の方が良かったとする声もあると思います。それこそ10年や21年とは異なり、新旧で別物と言えるくらいの変化ですから、本音を言えば、出来が良かった旧は旧で残してほしいとも。。。
とは言え、近年難しい状況にあるシェリー系のウイスキー市場にあって、このリリースは歓迎すべきものです。
最近のシェリー樽に抵抗がなければ充分満足できるクオリティ。そうでなくても、納得は出来る仕上がりではないかと思います。
コメント
コメント一覧 (4)
先週も三郎丸0とグレンアラヒー12年2020ロットを求めて酒屋巡りしていました。
が全く見当たらず、何気に買いそびれていた新アラン18年を見つけて購入したのですが税別9800円だったので税込み1万円以下だったような気がしてネットで調べているとムッ!なんか写真の色が薄い。
最初は撮影時の光の加減かと思ってwhisk-eのHPで再確認したら、やっぱり、色が薄い。旧18年と同じような色合いです。どうやら、2020年ロットでレシピが変わった模様。まさか、購入したのが2020ロットだったらどうしようと不安ながら、取り出したら、色の濃い2019ロットで一安心。
只、今後は中身を確認しないと買えない。確認できない場合は確率1/2のロシアンルーレット。チャレンジする勇気はないです。トホホ。
では。
コメントありがとうございます!
アラン18年については、確かウイスクイーの写真は去年のリリース初期から薄いです(笑)
アラン蒸留所が、18年を新たにリリースしたときに発表したニュース記事も薄いので、初期はボトルとラベルだけ完成していて旧18年か10年を詰めて撮影したか、あるいは途中で仕様が変わったのかもしれません。
※ご参考(2019年10月の記事です)
https://www.arranwhisky.com/news/213-introducing-the-18-21-yearold
他方で、この手のシェリー系のリリースは販売量が増えると薄くなっていく傾向があるのは、スコッチメーカーいつもの流れと言えるのも事実です。
今は濃い18年がシェリー感が薄くなる可能性もあります。ただ、アランはリフィル系の樽が増えるとフルーティーになるので、それはそれでいいなと思っていたりします。
いずれにせよ、現時点では心配なさそうです。
確かに21年より薄い色ですね。とりあえず、すっきりしました。
写真撮影時はサンプルだと思うので量産までに仕様が変わったような気がします。
問題は次の輸入ロットがどうなるかですね。
シェリーの新アラン18年の肩書が取れないことを祈ります。
これでグリーンボトルだったら、グレンハンターよろしく、開封するまで分からないとはならないのでそこが救いでしょうか。
徐々に薄くなっていくのは仕方ないにしても、アラヒーのようにガラッと変わらないとも言えないのでもう一本ストックしておきたいところです。
お役に立てて何よりです。
自分の場合は全く逆で、18年は旧ボトルから注目していたので、リニューアルの画像をみてあまり色が変わっていなかったため、同系統だろうと思っていたところKO★NO★I★ROですよ(笑)
ウイスクイーの画像も薄い色だし、どういうことやねん、ってなったのですが、美味しいからまあいいかと。
ウイスキー場合、人気が出て数が出ると味が変わるのはテンプレと言っていい流れなので、今のうちに買っておくのが良いかもですね。勿論変化した後のクオリティにも期待できるのが、安定のアランなのですが。
とりあえず様子を見ていきましょう!