ロバートブラウン 特級表記 1970年代流通 43%

ROBERT BROWN
Deluxe Whisky
KIRIN-SEAGRAM-LIMITED
1970-1980's
760ml 43%
グラス:グレンケアン
時期:開封2週間程度
場所:自宅
評価:★★★(3-4)
香り:あまり香りが立たないが、うっすらとモルティー、麦茶や干し草、微かにフローラル。甲類系のアルコール感を伴う。
味:味わいはマイルドで風味もそれなりにある。カステラの茶色い部分やカラメルシロップを思わせる甘みとほろ苦さ、グレーンのとろりとした甘み。余韻はビターで序盤の甘みが引き締められ、くどさのないフィニッシュ。
内陸タイプのプレーンなモルトに、グレーンスピリッツのブレンド、あとはカラメル調整。香りはよく言えばクリーンだが、味のボリュームに反して香らない不思議なウイスキーで、これはグレーンスピリッツの特徴に合致する。当時の飲み方として癖なくマイルドで、ハイボールや水割り等、味の伸びを意識した作りだったのだろう。実際加水すると味わいは伸びが感じられ、甲類感もそこまで目立たない。キンキンに冷やして薄めのハイボールは、昭和の味か。。。
先日、酒置場を整理していたところ、奥のほうに転がっていた、買ったことすら記憶にないロバートブラウンのオールド。おそらく、オークションでセット買いした時についてきたブツで、どうにも使われないまま放置したものでしょう。ちょうどいいからレビューしておこうと思います。
ロバートブラウンは60~70年代生まれの方に、昔良く飲んだなと思い入れがあるボトルのようですが、個人的にも思い出深いボトルの一つなのです。
同ブランドをリリースするキリンシーグラムの設立は、御殿場蒸留所と同じ1972年。ロバートブラウンは同時期からリリースされているブレンデッドなのですが、当時のものは御殿場の原酒が無い中でつくられていることになります。
ならばその原酒はシーグラム系列の輸入原酒が使われているのではないか。中身はスコッチなのではないか?と考えたのが、オールドに目覚めたばかりの約10年前の自分です。(シーグラムと言えばシーバスリーガル。ってことはストラスアイラか!なんて安直にも考えていたような記憶が。。。笑)
当時はWEBに情報がありませんでしたが、最近はロバートブラウンの歴史として、1972年にスコットランドから輸入された原酒をもとに、アメリカの工場で試作品を作ったというエピソードが紹介されています。
史実は上記リンク先を確認いただければと思いますが、輸入原酒が使われていたのは事実であり、現在も10~20%程度は輸入原酒のようです。ちなみに現行品は、御殿場の原酒の比率が増えていて、バーボンっぽいグレーン系の香味が主体です。
さて、このロバートブラウンの1980年代流通あたりは、10年前当時古い酒屋を巡れば比較的簡単に見つけることが出来たボトルでした。
ワクワクしながら何本か買ったのですが・・・あれ、思っていたのと違う。いやこれは1980年代だから違うんだ、1970年代の流通初期のボトル(沼津税務署のコード「沼津16」が記載されたもの)なら、もっとスコッチの風味がするかもしれないとまた酒屋を巡って探し出して、購入して・・・(以下略。
当時の自分には、1960~70年代のスコッチ原酒を使いながら、なぜこんな味になるのかが謎でした。それこそ、特級ルールを逆手に原酒3割以外はブレンドアルコールで水増ししてるから?なんて想像していましたが、しかし今再び飲んでみると、輸入モルトに対してグレーンナチュラルスピリッツ(ウォッカ的なモノ)で全体が調整されていたのではないかと思えてきます。
特に、香りが立たないのに味はコクのある甘みを感じるあたりは、該当するスピリッツの特徴そのものです。
まあ当時の予想は当たらずとも遠からずだったというか、これで納得。10年振りのテイスティングは無駄じゃなかったということで、本日はこの辺で。

今日のおまけ:ティトス ハンドメイドウォッカ
最近、生絞りレモンサワーや、冷凍フルーツを氷替わりにしてウォッカを注いで飲むのにハマっていて、雑味が少なく柔らかい甘さがある、それでいて手軽に買えるものがないか探していました。
ウイスキーに比べれば安価ですが、4000円前後のカフェウォッカやシロックは、じゃぶじゃぶ使うにはちょっと高いんですよね。そしてたどり着いたのが、都光酒販輸入のティトスです。原料はコーン100%で連続式蒸留器で6回蒸溜、所謂グレーンナチュラルスピリッツ。香りはクリアながら、味には柔らかいコクと甘みがあり、口に含んだ時のボリューム感もいい感じ。
冷凍庫にぶっこんで、あとはその日の気分でフルーツと合わせる。今年の夏はガンガン消費して酒カス化が進んでしまいそうです(笑)
コメント
コメント一覧 (11)
すでに洋酒にはまってた(ながめるほうですよ。飲むのは・・たまーに)のでTVや雑誌の広告をかなり展開してたのはおぼえてます。
釣鐘がモチーフだというのも雑誌(文藝春秋だったかな)広告で読んだおぼえが。
実際に味わったのは大学時代だけだったので、味はすっかり忘れちゃってますねぇ。
ご無沙汰しております!
デザインのほうもかなりこだわったボトル立ったようですね。(記事中のサイトでも触れられていました)
今のウイスキーはボトルの規格の統一、ラベルの簡素化が進んでいるような気がしてなりませんが、眺めて楽しむという意味でも昔のボトルのほうが、色々な表情を見せてくれて楽しいものだと思います。
自分は当時のものを当時の味で飲めていない側ですが、このロバートブラウンは経年変化を差し引くと、もう少し淀みなくクリアで、メローだったのかなぁと、それはそれで良い味だったんだじゃないかと予想しています。
ご無沙汰してます!
参考にしていただき、ありがとうございました。
まさか同じ考えで購入されている方がいらっしゃったとは・・・(笑)。ひょっとしてみんなが通る道なんでしょうか。後付けですが、当時のイメージはTENディスティラリーみたいなものを期待したんですが。。。
アメリカンブレンデッドについては、実際のアメリカンブレンデッドは薄いバーボンみたいな味なので、スコッチ原酒が使われているロバートブラウンはそれとは異なる風味を持ちますが、ベースとなっている原酒は大部分が熟成の浅いグレーンスピリッツであることは間違いないと思います。
米国でブレンドしたのは、当時のシーグラム社はカナダとアメリカに拠点を持ち、スコッチ業界を牛耳る一大企業でしたから、原酒が集約されやすかったのだろうと思います。また当時、日本にはシーグラムの拠点がなく、アメリカにあったものを使ったのではないかとも予想します。
他方で、そこにはふんだんにシーグラムで作られるグレーンスピリッツがあったはずなんですよね。同社は禁酒法の後、それこそアメリカンブレンデッドであるシーグラム7で事業を拡大したことでも有名です。使われていた大多数がスコッチではなかった・・・という結論は、我々にとって皮肉でしかありませんが、この味でスコッチメインは説明がつかないんですよね(汗)。
ちなみに、ブレンドの生産は初期以降は設備の整った日本で行われているはずで、御殿場の原酒の比率も増えていったでしょうから、色合いの違いはそのレシピの変化によるものではないでしょうか。
キリンは謎が多くて、しかも手に入りやすいので楽しいです。
ブレンド好きなのか、TENディスティラリーやロバートブラウンミレニアム15年などに、「もう一息何かあれば、すごく良くない?」と思って、古い輸入酒時代の沼津マークを買えば御殿場要素抜き=70年代のシーバス?と思って買ってました。
改めてロバートブラウン物語を見ましたが、
・ジェームスラング氏のチームでシーバスの基本フォーミュラでブレンド決定。
・シーバスのネットワークで北米のホワイトオーク樽で熟成。
(今のフォアローゼズのように樽の調達を兼ねて樽詰めで輸入したのでは?と解釈した)
・筆者の架空のロバートブラウンの人物像は56歳の退役将校の典型的スコットランド人。
と行った調子で、シーグラム社への言及は少なくスコッチスタイルであることが強調されています。それ故、調べれば調べるほど、何で輸入の頃のでもスピリットっぽいの?未熟の酒とブレンドしてるの?時系列的に御殿場では無いはず?だったのですが、すっきりしました。今夜はせっかくなので開いてる沼津マークを飲んで見ます!
キリンはニッカやサントリーと違って、超実績のあるシーグラムが立ち上げに関わっていた、というのがその”謎”に拍車をかけるのかもしれませんねw
仮説ですが、自分も納得できる答えにたどり着いた結果、ウイスキーそのものに含まれる問題が解決するわけではありませんが、疑問が解消されて一つの線になったような気もします。
今回のきっかけになったのは、そうしたスピリッツを使っているアメリカ産のジンやウォッカでした。何がきっかけになるかわからないものです。
ご無沙汰しております!
ご質問頂いた件ですが、これは「沼津」が該当銘柄の酒税を処理している税関を、
16はその登録番号を意味しています。(当時はバーコードが普及しておらず、管理簿の整理で企業と銘柄の紐づけを税関毎に番号で行っていたようです。)
佐藤さんのお手元にあるほかのオールドボトルを見ていただければと思いますが、他には東京、大阪の漢字表記(ジャパニーズは漢字)のほか、スコッチだとT、Y、K、NY、OKに2~5桁の数字の組み合わせが、ウイスキー特級の表記と共に書かれているはずです。あれと同じものです。
ありがとうございました🙏また、知識増えました😃
もうちょい後の銘柄のクレセントは最初とても美味しく感じましたが、後年飲んだベンネヴィス10年よりは力が弱くて、SRのローヤルと比べてもライトというか。ほとんど飲みませんでしたが角とだるまとリザーブと比べてだるま・リザーブとロバートブラウン・クレセントはコスパでいい勝負していたのだと思います。
ぜんたいキリンシーグラムの酒とはピートの匂いはしませんでした。上級グレードのものは甘くて落ち着くので、酒に頼りたい全ての場合に物足りなくも致命的にもならず重宝しました。ただモルトだけは国産とシーバスの合いの子だったのかもしれません。モルトウイスキーは飲み切ってから三年経ってもまだ香りますがこれまで何十か飲んできたスコッチにも珍しい特性です(勿論経験が薄いだけでもあります)。近年の富士山麓の開けたてにこれに近い染みつくような甘さがありましたが、富士山麓の方はすぐにへたれました。十年か二十年かして原酒が充実した時にどういう酒を造るのか色々な意味で興味深いメーカーと思っています。
コメントありがとうございます。
当時のクラウンローヤルは甘さの強いメローでスムーズなグレーン傾向の味という印象ですが、確かにこうした原酒が使われているかもしれません。
またおっしゃるようにキリンシーグラムのウイスキーはピート香が少なく、クリーンで繊細という傾向で、熟成香が素晴らしい反面ちょっとボディが弱かったというか、ドライに仕上がるイメージがあります。
ブレンデッドについては現行品は何かバーボンのような香味があるのが特徴的ですね。こうした特徴は他の日本の蒸留所にはないものですし、私もこれから先のキリン、御殿場蒸留所が作るウイスキーが楽しみです。