アラン 21年 46% 2019年リニューアル
Single Malt Scotch Whisky
Aged 21 years
Launch from 2019
700ml 46%
グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:開封後数日
場所:ジェイズバー
評価:★★★★★★(6)
香り:オーキーで華やかでありながら、シェリー樽由来の色の濃い甘さを感じるアロマ。熟した洋梨、リンゴのカラメル煮、ケーキシロップ。ウッディな要素には、仄かにタルト等の焼き菓子を思わせる軽い苦味と香ばしさが混じる。
味:スムーズな口当たりから、香り同様にマイルドな甘味と林檎を思わせるフルーティーさ。オーキーでじわじわとスパイシー。
余韻はフルーティーでウッディ。紅茶のタンニンや白色系果実の皮の部分を思わせる苦味をアクセントに、ドライなフィニッシュが長く続く。
シェリー樽におけるスパニッシュオークとアメリカンオークホグスヘッド樽、双方のバランスの良い樽感を備えたハイランドタイプのシングルモルト。アランらしいオーキーなフルーティーさの角を丸くする、シェリー樽原酒の甘味ととろみ。突き抜けるレベルの組み合わせではないが、熟成感を伴いつつ安定した仕上がりである。少なくとも、旧ボトルよりも完成度が高いことは間違いない。少量加水すると香りはそのまま、味はさらにマイルドになる。
先日、以下のリカルの記事で公開した、アラン蒸留所の新旧比較テイスティング。
その際、記事を書いた時はまだ国内に入っていなかったことから、今後機会を見つけてテイスティングと考えていた新ラベルの21年と18年。まず21年に出会うことができました。
旧ボトルとなるアラン21年は、発売されたのが2018年12月頃。1996年創業のアラン蒸留所にあって、ようやくオフィシャル通常ラインナップに加わった20年オーバー熟成品ですが、わずか10ヶ月でリニューアルされてしまったのは運命の悪戯と言うべきでしょうか。ですが、個人的に旧ボトルとなる21年は良い部分もそうでない部分もある印象で、リニューアルをきっかけに香味が変わる可能性を、逆に期待していました。

(旧ボトルとなるアラン21年。樽構成が大きく変わった訳ではないようだが、このラベルのものはビターでウッディなシェリー感が主張しており、熟成したアランの良さであるフルーティーな香味を邪魔してしまっていた。決して悪い仕上がりではなかったが、少々残念。)
新しいアラン21年は、色合いこそあまり変わっていないものの、シェリー樽由来の熟成したまろやかな甘さの中に、ホグスヘッド系のオーキーなフルーティーさを感じやすい構成。開封直後であるためか、味の方で少し樽感が馴染みきってない印象もありましたが、全体的なバランスが良いといいますか、旧ボトルにあったネガティブな部分が改善されて美味しくなっています。
アランに求めているのはこの香味。飲み易さと合わせて、幅広いユーザー層から評価されるのではないかと思います。
リニューアルした10年と21年、変化で共通するのはシェリー樽原酒の使い方だと感じています。
バーボン樽だけだと、華やかさはあってもウッディな渋味、苦味がそこに含まれてくる。旧10年はまさにそうしたニュアンスがあったところですが、それをシェリー樽原酒の比率を増やしてバランスを取ったように感じられ。21年のほうは逆に熟成したシェリー樽由来と思われるウッディさが目立っていたところ、セカンドフィルのホグスヘッドタイプの原酒を増やしてバランスを整えたような香味構成。
同じ系統の香味を積み上げるだけではなく、時に引き算して邪魔になるものを慣らしていったような・・・結果として、どちらもアランの良さであるフルーティーな要素がスムーズに感じられるようになったと思います。
実際、どういう方針の変化だったのかアラン側に確認をとった訳ではありませんが、もし同様の整理であるなら18年も期待できるのではないか?
アランオフィシャルラインナップの中でもイチオシなのが18年でしたから、早くどこかで見つけてテイスティングしたいですね。
5月10日修正:テイスティングノートにバーボン樽との記載がありましたが、誤記であるため修正しました。
5月10日修正:テイスティングノートにバーボン樽との記載がありましたが、誤記であるため修正しました。
コメント
コメント一覧 (4)
アランモルト21年はシェリー樽原酒とバーボン樽原酒のバッティングなのでしょうか?
本記事ではそのようにとらえられる記載をしていますが、whisk-eのページでは”アランモルト21年はファーストフィル、セカンドフィルのシェリーホグスヘッドで熟成した原酒のみをブレンドした21年熟成。”1)と記載されています。
”シェリー樽とバーボン樽、双方のバランスの良い樽感を備えたハイランドタイプのシングルモルト。”2)はただの感想なのかそれとも関係者から聞いた情報なのか教えていただきたいです。
1)アランモルト21年|Explore our craft philosophy (最終閲覧日2020年5月9日)
https://whisk-e.co.jp/products/arran21yo/
2)アラン 21年 46% 2019年リニューアル:くりりんのウイスキー置場 (最終閲覧日2020年5月9日)
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1076922432.html
コメントありがとうございます。
ちょっと記憶が定かじゃありませんが、多分これは「アメリカンオーク樽」を書き間違えたのだと思います。
アランのシェリー樽についてはスパニッシュのものと、アメリカンオークのものが蒸留所にあり、特にアランに感じられる黄色系のフルーティーさはアメリカンオーク樽での熟成に由来するものです。
今回の構成では、スパニッシュとアメリカンオークのホグスヘッド樽のうち、特にセカンドフィルのものがいい仕事をしていると認識しています。
アメリカンオーク樽というとバーボン樽もありますが、そのつながりで勝手に脳内変換して書いてしまったのでしょう。後ほど関連個所を修正しておきます。
ご指摘、ありがとうございました。
まさにくりりんさんの記事にあるようにアメリカンオークのニュアンスが非常に強く出ており、とても好みな味でした。シェリー樽オンリーと知っていても『シェリー樽+バーボン樽』な感じの味だったので仰るとおりホグスヘッド樽がいい仕事をしているのでしょうね!
そのタイミングで25年も飲めたのですが、やはりアランは間違いないですね!
>ラムおじさんさん
コメントありがとうございます。
本当に最近のアランは間違いないと思います。
リニューアルした21年はらしいフルーティーさもしっかりあり、シェリーとのバランスも良好です。今後も色々なリリースが出てくると思いますが、安心して飲めるブランドってのは財布にも精神的にも優しくていいですね(笑)