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Ichiro's Malt & Grain 
World Blended Whisky 
Leaf Series "White" 
700ml 46%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR Eclipse first 
評価:★★★★(4ー5)

香り:プレーンでドライ、あまり香りがたたないが微かにケミカルさとハーバルな要素を感じるシロップのような甘さ、バニラや華やかなオーキーさを一瞬感じるがすぐに消えてしまう。

味:口に含むと華やかなオーク香が一瞬、そこから中間は広がりにかけるニュートラルな味わい。ほんのりと穀物系の甘味とスパイシーさ、微かにえぐみが余韻にかけて分離するようにあるが、全体を通じてはカナディアンを連想するようなグレーン感がメイン。

文字通り味付け、香り付けにスコッチモルトのバーボン樽タイプの原酒を使って華やかさを出しているが、ベースはカナダやアメリカから輸入したプレーンなグレーン系のウイスキーで、そこに秩父モルトも一部・・・といったところか。加水調整でだいぶ慣らされている。
加水すると一瞬オークの華やかさが際立つ。ボディは緩いものの、余韻にかけてじわじわと広がるフレーバーのバランスのよさ。数年前にストレートで飲んだものに比べて、若さや全体のバランスは大きく改善している。個人的にはハイボール要員。

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昨晩のレビューからの流れで、イチローズモルトの超ド定番品。リーフシリーズのホワイト。おそらく、このジャパニーズブームのなかで最も飲まれたクラフトウイスキーであり、イチローズモルトの躍進を支えた1本。ラベル裏に書かれた数字は製造ロットで、1ロット何本かは不明ですが、現時点で500前後まで確認されているという話も聞きます。

そうした意味で超人気ボトルですが、BAR飲みスターターのハイボールで飲むことはあっても、ストレートで飲むことはほとんどありませんでした。ただ、自分も海外原酒を用いたブレンド作りに関わらせてもらっているため、ちょっと勉強も兼ねて最近のものを飲んでみたいなと、注文してみたわけです。


このワールドブレンデッドは2018年頃にイチローズモルトが使い始めた名称で、それまでは秩父ブレンデッド表記、それよりも前は普通にブレンデッド表記。背面ラベルの世界地図にあるような構成原酒も、オープンになってはいませんでした。(蒸留所見学では、海外原酒を使っていることは教えてくれていました。)
構成は輸入原酒に秩父のジャパニーズモルトを加えた、ワールドブレンデッド。たしか、カナダ、アメリカのグレーンに、スコットランドとアイルランドのモルトで、ロット毎に若干異なるようですが、熟成年数は若めで3~10年程度だったかと記憶しています。今回のボトルをテイスティングするかぎり、体感的にも違和感はありません。

偉そうな書きぶりになってしまいますが、上手に作っているなぁという感じです。
グレーンの割合は高く、プレーンな穀物感に、若干のスパイシーさはライ、カナディアン系。香味から察する比率はグレーン7:モルト3~6:4くらいかなと。秩父のモルトは使っていて1程度で、基本的には輸入原酒をベースとしている印象です。
スタンダードなブレンデッドに比べて若干とがったモルティーさ、クラフト感がありつつ、押さえるところは押さえているので加水、ハイボール、使い勝手も良いように感じます。

ただし補足すると、それは万人向けのレベルとして・・・です。
ハイエンドのブレンデッドをシビアに調整されたレーシングカーと例えるなら、このホワイトラベルはエンジン出力も足回りの限界も低いパーツを使いつつ、マフラーだけちょっとスポーツ寄りにしてある感じのプチスポーツモデル。
なので、普段スポーツカーに乗らない人が乗るとバランスがとれていて楽しく走れる。一方でそうじゃない人が乗ると、タイムが出る訳じゃないけれど、よく考えられて作られていることは伝わってくるというわけです。(人によっては普段乗りはこれでいいと、落ち着く場合もあるでしょう。)

しかしこういうウイスキーを大手ではなく、いちクラフトが大量に生産しているというのは、メーカーとしての進化を感じる点でもありました。