カテゴリ:
IMG_20200124_212553
LANGS 
SUPREME 
SCOTCH WHISKY 
(Than 5 years in Wood) 
1970's 
760ml 43% 

グラス:国際規格テイスティング
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:ビターで若干古酒感を伴うドライなアロマ。干し草、オールブラン、オランジェット。微かにカラメル系のシェリーのニュアンスや、色の濃いはちみつのような甘いアロマもある。

味:カルメ焼きやカステラ生地のような、軽い香ばしさとしっとりとした甘味。グレーンを思わせる穀物由来の風味も感じられる。余韻は若干の古酒っぽさと、干し草を思わせるフレーバーが序盤の甘味と合わせて感じられて長く続く。

麦芽風味を主体に、仄かに古典的なシェリー樽由来のニュアンスを伴う素朴な味わいのブレンド。一部熟成した原酒を使っているのか、ハイランドタイプのモルティーな味わいの中にドライフルーツ等に通じるニュアンスが含まれていて、香味に奥行きを与えている。

IMG_20200124_212629

後にエドリントングループとなる、ハイランドディスティラリーと関係が深かった時代のラングス社のブレンド。同社はグレンゴインを所有しており、そのブレンドの中核にはグレンゴインと、この時代のハイランドディスティラリー傘下の原酒が使われていると考えられます。
(1970年代当時、関連原酒一覧:ブナハーブン、グレンロセス、グレングラッサ、タムデュー、グレンタレット、タムデュー、ハイランドパーク、マッカラン。)

もちろん上記すべてが入っているわけではなく、飲んだ印象としてはグレンゴイン他、タムデューやロセスあたりのノン~ライトピートタイプの原酒がメインと思われます。
しかし近年ありがちな無個性でライト、ドライなブレンドではなく、5年熟成表記ながら若さを感じさせない味わい深さは、使われているモルトの質の良さを感じさせるものです。

IMG_20200210_234735
(ラングスブランドのスタンダードグレードである、オールド・スコッチウイスキーの1970年代同時期流通品。シュープリーム(究極の、至高の)という銘だけに、構成原酒の質は良いのかもしれないが、味とシェリー感はオールド・スコッチウイスキーのほうが濃いように感じられる。個人的にはこちらのほうが好み。)


ちなみに”傘下”ではなく関係が深いというのは、ラングス社を所有していたのはウイスキー卸し業者のロバートソン&バクスターグループで、この企業がハイランドディスティラリーの設立に関わるなど、繋がりが深かったため。最終的にロバートソン&バクスターはハイランドディスティラリーに吸収され、1999年にはそのハイランドディスティラリーもエドリントングループに収まるわけですが・・・。

この時期を境に何が起こるかというと、エドリントングループは、自らが求めるポートフォリオに見合わない蒸留所やブランドの、積極的な整理を開始します。
例えばこのブログでも度々出てくる、バーンスチュワート社へのブナハーブンとブラックボトルブランドの売却。グレンゴイン&ラングスブランドは、イアンマクロード社への売却が、それぞれ2003年に行われます。
また、グレングラッサは2008年、タムデューは2011年に売却。買収しない代わりに残るブランドへの集中投資を行うエドリントンスタイル。。。なんとも潔いビジネス方針です。

ということで、こうしてイアンマクロード社の所有となったラングスブランドですが、軸となるモルトは同じでも、構成する原酒が異なるであろうことは想像に難くなく。昔のブレンドの方が、麦芽風味だけでなくシェリー感もアクセントになっている、柔らかさと奥行きのある味わいが魅力です。
なおラングス・シュープリームは、現在も飲食店向け等でアサヒビールからほぼ同じ熟成年数構成で販売されていたりしますが・・・その味わいは知らぬが花なのかもしれません。