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NIKKA WHISKY 
YOICHI 
SINGLE CASK 
Aged 10 years 
Distilled 2008.5.24 
Bottled 2018.9.21 
Cask type New American Oak Cask #409288 
700ml 59% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:―
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:焦げたチョコレートクッキーのような、ビターなトップノートと色濃い甘味。ウッディなアロマと合わせて焙煎した麦芽のような香ばしさ、微かに溶剤系のニュアンス。力強いアタック。

味:ウッディでスパイシー、パワフルな口当たり。チャーオーク由来のキャラメル系のメローな甘みの中で、オレンジやパイナップルの果汁を思わせるフレーバーがアクセントに。余韻は味わいの中で感じられた甘みを残しつつ、スパイシーで舌の上がざらつくような焦げ感を伴うウッディネスが長く続く。

樽感のしっかり溶け込んだウッディな味わいが主体。ビターな樽由来の香味構成に、余市らしい香ばしい麦芽風味と、フルーティーさに通じる酸がアクセントになっている。加水に負ける感じではないが、香りにワックスのような、味わいはビターオレンジのような、特に香りには異なる要素が加わる。


先日我が家に届いたマイウイスキーづくりの余市10年 Cask #411127。例によって購入できるだけ購入し、同様にウイスキー繋がりで違う年度のマイ余市を購入していた方々と、それぞれの余市をトレードしました。
こうして参加者同士で繋がりが生まれて、お互いのボトルをシェアできるのは参加者の特権というか、広義の意味で言えば樽オーナー制度ならではの楽しみだと思います。

今回のレビューアイテムは、北海道のSさんとトレードしたもの。自分のボトルよりも1年前の会のものです。
自分にとって節目の年だった、この2008年。企画そのものは知っていましたが、就職したばかりでとても平日休みをとれる状況になく・・・。2008年の余市は個人的に思い入れのあるボトルだったりします。

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(マイウイスキー余市の樽違い。同じ新樽で10年熟成だが、樽の状態、置かれた場所、あるいは熟成期間中の気候によって色合い、味わいが異なる。色合いだけで言えば中央と右2つはほぼ同じで、気持ち右側のほうが濃いような気もするが、香味はそれぞれ大きく異なる仕上がり。)

今回のボトルである、Cask #409288の特徴はビターなウッディネス。
ハイプルーフなカスクストレングスらしい、パワフルなアタックの強さ。フレーバーは焦がしカラメルのようなほろ苦さと舌の上でざらつくビターなウッディネスが主体としてあり、そこにチャーオークのメローな甘味、余市のニューメイクがもつ酸味が熟成によって変化した柑橘系のニュアンスがアクセントとなっています。

これが他の余市とどう異なるか。上写真の我が家で開封済みの同じ10年では、写真左の#411127はウッディーさが押さえ目な代わりにエステリーでフルーティーな果汁感があり。今回のレビューアイテムである#409288と、同じくらいの濃さを感じさせる色合いである#406599(右)は、仕込みが11月でボトリングも11月と熟成が最も短いが、熟成環境の違いか最も濃厚なウッディさとメローな味わいがメインにあります。
アルコール度数もほぼ同じですが、単に樽の強さだけでなく、アルコール感の感じ方、アタックの強さが異なるのも面白いです。

しかしこうして様々な新樽熟成の余市を経験して思うのが、新樽熟成とその樽感を受け止めるだけのパワフルな酒質を作り出す余市の偉大さ。たまにピークをはずしているものもありますが、どれも一定レベル以上に仕上がる安定感があり・・・。
決して万人受けの酒ではないと思いますが、我々愛好家としてはこれで良いんだよこれで、と思える尊いウイスキーなのです。