ラフロイグ 10年 カスクストレングス バッチ11 58.6%
LAPHROAIG
AGED 10 YEARS
ORIGINAL CASK STRENGTH
Batch No,011
Bottled 2019 Mar
700ml 58.6%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅@ブラインドサンプル・T氏
時期:開封1~2ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)
【ブラインドテイスティング】
地域:アイラ
蒸留所:ラフロイグ
年数:12年程度
樽:バーボンバレル主体
度数:57%
その他:香りでウィリアムソンかその他ボトラーズかと思ったが、どうもオフィシャルくさい。カスクストレングスの新しいバッチとかか。
香り:ナッツを思わせる香ばしさと、甘いバニラやヨードをまとった強いスモーキーさ。合わせてグレープフルーツ、焦げた木材、樹脂っぽいような癖が仄かに感じられる。
味:口当たりはとろりとして柔らかいが、中間くらいからパワフルなアタックとピートの広がり、燻した麦芽のほろ苦さ。シトラスやグレープフルーツの柑橘系のフルーティーさと、奥にはオーキーなニュアンスも。若いモルトらしくしっかりとした骨格がある。
余韻はオイリーだが、スパイシーで酒精を感じさせるヒリつくような刺激があり、強いアイラピートと共に長く続く。
注いだ瞬間の香りでラフっぽいなと感じたサンプル。度数の高さ故にパワフルでピーティーで、オーク由来のバニラやフルーツのアクセント。微かにシェリー樽原酒と思われるコクのある甘味が、力強さを楽しめるバランスに整えている。
加水するとピートが焦げたようなニュアンス、塩素系の薬品香りがメインに出てくる。一方で味はオイリーな中に一体感が感じられ、悪くない。
今年リリースされた、オフィシャルラフロイグのカスクストレングスの最新バッチ。
以前は日本でも正規品が販売されていたラインナップの一つですが、現在はイギリス、アメリカなど一部海外市場でのみ販売されており、日本では割高な並行品が流通している状況。それ故、日本のラフロイグ愛好家はTWEなど海外ショップから直接取り寄せる方法をとっているようです。
つまり、それくらいコアなファンから人気のある銘柄ということなのですが、蒸留所を傘下に持つサントリーのお膝元とも言える日本で流通のない不思議。。。(一般受けする銘柄ではないため、という理由のようですが)
今年のものは特に出来が良いとの前評判も聞いていたところ、どこかで飲もうとしていた時に、とあるサンプルのお礼にとブラインドでの出題をいただきました。
Tさん、ありがとうございます!
その感想は、若くてハイプルーフなラフロイグ。ほぼボトル指定ですね。
オフィシャル直系の味わいですが、現行品10年よりも樽感が豊かでボディもしっかりしており、特に燻したようなピーティーさが支配的な構成に仕上がっています。
アードベッグやラガヴーリン等から感じるシャープで乾燥したようなピートフレーバーとの違いは、今尚使われているとされるフロアモルティングでの精麦によるところか。キルホーマンの100%アイラでも感じましたが、口内でもくもくと煙が立ち、どっしりとした存在感があるスモーキーさは、オールドボトルに通じるところで。。。乾燥のさせ方の違いから来るものではないかと。(例えば弱火でじっくり、強火でカリっと、というような。)
一方でラフロイグやボウモアと言えば、ピートと共にトロピカルなフルーティーさのあるタイプが好まれますが、今回のボトルは柑橘系のニュアンスがメイン。バーボンオーク由来のトロピカル系統に通じるオークフレーバーはピートに燻された味わいの奥にあり、時折じわりと感じられる程度です。
樽構成はバーボン樽(リフィル含む)が主体と思われますが、恐らくシェリー樽も少量使われているのでしょう。比率は1割程度かそれ未満か。。。ですがそのシェリー感が繋ぎとなり、オーキーさを突出させない分、全体を整えてバランスをとっているように感じられました。
なお、2011年にラフロイグはBeam社の傘下となっているだけでなく、世界的にウイスキーブームが起こった時期に突入していくわけで、これまで以上に大量生産時代の仕込みに突入します。
製造法方等にどんな変化があるのか。樽についてもどのような違いが出てくるかは、いよいよ違いが出始めるスケジュール。既に全体的に軽くなりつつある銘柄が多い中で、ラフロイグも焦げた樹脂のようなネガ要素が若干感じられるなど、近年必ずしもポジティブな話題ばかりではなく。その変化は要チェックです。
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