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SPRINGBANK 
Local Barley 
Aged 9 years 
Distilled 2009 
Bottled 2018 
700ml 57.7% 

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR Eclipse first 
評価:★★★★★★(6)

香り:スプリングバンクらしい蝋っぽさのある濃い麦芽香。バニラや麦粥、洋梨の果肉を思わせる白い果実のアクセント。微かに硝煙のようなニュアンスを伴う淡いスモーキーさ。

味:塩気のはっきりと感じられる口当たり。香り同様に厚みと濃さのある麦芽風味から、柑橘系の甘酸っぱさ、ホワイトペッパーのようなスパイシーな刺激も感じられる。
余韻はややざらつきを感じる舌当たり、籾殻や土っぽさ、ーティーだが合わせて麦芽由来の厚みのある甘味が残り、長く続く。

まさに麦の地酒という1本。若い原酒故に樽感が強くない分、ローカルバーレイたる麦芽由来の風味が香り、口当たり、そして余韻に至るまで随所に感じられる。一方、その若さ故のネガティブな要素が少ないのも、このボトルの興味深い点である。しいて言えば、ざらつくような舌触りくらいだろうか。

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先日日本国内のモルトBAR等に入り初めたスプリングバンク・ローカルバーレイシリーズ・・・の2018年リリース品。つまり昨年2019年に日本市場に出回っていた”前作”に該当する1本です。
そういえば飲んだ記憶がなかったなと、ニューリリースを飲む前にレビューをUPしておこうと思います。

2015年から復活したスプリングバンクのローカルバーレイシリーズは、16年、11年、10年とリリースを経る毎にだんだん若年化が進み、次は戻るだろうと予想したらまさかの一桁。最終リリースとなる今年流通の2019年版は10年表記なので1年戻りましたが、10年前後が4作続いたのは、蒸留所側でなにか思うところがあったのか、あるいはローカルバーレイの原酒が豊富なところから毎年リリースする形にしたのでしょうか。

過去のリリースを含めると、樽の効き具合等の違いはあれど、総じて麦感強めな地酒的構成なのが新ローカルバーレイの共通項と言えます。
この9年は、一番若い熟成年数であるためか、樽由来の要素が淡い反面、麦芽由来の香味が過去シリーズのなかで最も強く出ているように感じられました。その一方、若い原酒ながら嫌みが少ないというか、ここまで仕上げてくるのも特徴。オールドボトルが5年や8年等の若いエイジングでも旨さを感じられることと、同じ要因があるのかもしれません。

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(スプリングバンク2017年、2016年、2015年リリースの3種。あくまで自分の感想だが、2015年のファーストリリースが、麦芽風味の中に若さに通じる要素が一番強かった気がする。リフィルシェリーなどの樽使いの違いから来る要因だろうか。。。)

では、その麦感の強さ、通常リリースとの違いを考えていくと、今回の麦芽品種はオプティックで、2000年代以降の主要品種のひとつ。加えて、フロアモルティングはスプリングバンクのスタンダードであることから、麦芽関連の情報だけ見ると特別な要素が見えません。

残るは生産地の土壌か、あるいは発効時間や蒸留の際のカットポイント等の違いか。その比較対照となるオフィシャル10年は、加水の影響もあってか麦感は多少弱めながら、共通するニュアンスがないわけではないのも悩ましく。
麦だけにフォーカスするなら、キャンベルタウンの土壌はそんなに肥沃というか、特別な麦が育つものなのか・・・。ブランドの位置付けとして特別であることは否定しませんが、その香味の由来がはっきりしてこない点が個人的に長く疑問だったりするのです。

と、個人的な疑問はさておき、今年リリースの10年は前評判が良いと聞きます。是非早い段階で飲んでみたいですね。